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2814.報道比較2016.12.5

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イタリアの国民投票を受け流した東京マーケット。これが無関心の始まりなら危ない。ギリシャの時のような混乱を引き起こす火種が、今日生まれた。

Wall Street Journal
イタリアの国民投票、注目すべきポイント (2016.12.2)

イタリアで4日、レンツィ首相が提唱する憲法改正案の是非を問う国民投票が実施される。注目すべきポイントについて以下に挙げた。

何を問うのか

上院が有する権限の大幅縮小と315人から100人への議員定数削減を中心とする見直しを巡る国民投票。承認されれば、上院は新政権の信任投票を実施する権限を失い、全ての権限が下院に委ねられることになる。

改憲が承認される可能性は

イタリアの法律では世論調査の発表に2週間の「ブラックアウト」期間が設けられているが、この期間前に実施された調査では5対8の割合で反対意見が勝っていた。しかし、有権者の2割近くがまだ決断していなかったことから、依然として賛成票が上回る可能性もある。

次に何が待っているのか

レンツィ首相は否決されれば辞任すると明言している。否決された場合、早ければ5日にもマッタレッラ大統領に辞意を伝える可能性が高い、としている。

日本時間の12.5のAMには、改憲は否決、レンツィ氏が敗北を認めて辞任の意志を表明した。今年3回目の大きな投票を日本のマーケットが最初に迎えたが、今回は今までと違い、無視を決め込んでいる。オーストラリアのマーケットが急落ではじまったユーロは、東京時間で戻した。これが夕方のロンドン、夜のニューヨークでどう動くかだが、影響は小さそうだ。
これがイタリアへの無関心の始まりなら危険だ。日本並みにドタバタの政治で知られているイタリアは、破綻しそうな銀行と、財政難、ユーロ離脱の思惑を孕んでいる。ギリシャに比べればケタ違いに大きい国の政治が、また混乱する。数年後、ギリシャの時のような混乱を引き起こす火種が、今日生まれたようだ。

朝日新聞・社説
薬価見直し 納得できる仕組みに

薬の公定価格(薬価)を決める仕組みの抜本改革に向けて、安倍首相が基本方針を年内にまとめるよう指示した。オプジーボは当初、対象患者の少ない一部の皮膚がんの治療薬として承認され、高い価格が設定された。その後、肺がんなどの治療でも使えるようになって対象患者が拡大。1人につき年間3500万円ほどかかるため、保険財政への影響が心配されていた。政府の経済財政諮問会議の民間議員は、今回の見直しにとどまらず、この際すべての薬価を毎年改定する仕組みに改めることを提言し、首相官邸も後押ししている。以前からたびたび議論になってきたテーマだ。薬の値段が下がれば患者の負担は軽くなり、医療費の抑制にもつながる。一方で、薬は安ければ安いほど良いというものでもない。すぐれた薬の開発が滞ることになれば、長期的には国民のためにならない。大事なのは、市場での取引価格や普及度合いなどを踏まえ、国民が納得できる薬価を導く仕組みを築くことだ。どのような方法がよいのか。実行性や費用対効果も考えながら、新たなルールを検討してほしい。安全性や効能が確認された薬や治療方法は、みんながその恩恵を受けられる。そんな日本の公的医療保険の良さを残しながら、制度を維持していく方策に知恵を絞らねばならない、としている。

日本では、いまは政治が経済活動よりパワーを持っている。支持率があるからなのか、自民党の体質なのかは判らないが、社会主義、国家主義の政治姿勢は強まっている。どんな理由にせよ、企業が決めた価格に政治が法を介さずに圧力をかけるのは、市場経済を歪めている。何のために立法府という権限があり、議論の末に国会が決めるのか。3500万円が高いかどうかは、市場が決めるのが経済活動だ。しかも、利用者からの懸念ではなく保険財政への影響とは、理由も不自然だ。医療保険の制度を決める権限も政治が握っているにも関わらず、薬科を下げさせる圧力は異常だ。外資は日本のマーケット・リスクを検討しはじめるだろう。

読売新聞・社説
日露外相会談 山口での「成果」につながるか

15日の山口県での日露首脳会談を前に、岸田外相が訪露し、プーチン氏と会談した。安倍首相の親書を手渡し、領土問題に関する日本の考えを伝えた。プーチン氏は、8項目の経済協力計画を挙げて「幅広い分野で協力したい」と述べた。1日の年次教書演説でも、経済関係発展への期待を表明しただけで、北方領土への言及を避けている。共同経済活動については、ロシアの主権を認めず、日本の法的な立場を損なわないという原則を堅持する必要がある。交渉の本質はあくまで領土の主権だ。日本では、領土交渉の進展がないまま、ロシアが経済協力で恩恵を得ることへの懸念が強い。首脳会談で経済協力が突出することは避けねばならない。日露関係を前進させ、ロシアの利益にもつながる道を確保したい。看過できないのは、ロシアが最近、日露関係の改善に逆行する動きを強めていることだ。先月下旬には、ロシア軍が国後島と択捉島に地対艦ミサイルを配備したことが明らかになった。プーチン氏の来日は、静かな雰囲気の中で迎えたい、としている。

「あくまで」という、今までの日本がしてきた発想で臨むなら、プーチン氏は予定を切り上げて帰るだろう。いまの安倍氏がした貢献は、ロシアにはロシアの言い分があるということを、少しずつ日本人に認識させはじめたことだ。この話を適切にした人は、国会議員では鈴木宗男氏だけだ。読売が看過できないなどと言う日本の感情は、ロシアが公式に言っていることとまったく違う。ロシアにも言い分があることを、日本はずっと教育でも、国会でも認めてこなかった。メディアも同調してきた。これこそ、プーチン氏をはじめ、ロシアが「話すだけ無意味」と言って日本に来ない理由だ。静かな雰囲気で迎えたいと言うなら、もう一度日本国内に浸透させた考え方が、ロシアとまるで違っていることを公式に認めるべきだ。そうしなければ、交渉にならない。

毎日新聞・社説
高速炉開発 あてのない無駄遣いだ

ほとんど運転実績がないまま「もんじゅ」が廃炉になれば、実証炉開発への道筋が途切れたと考えるのが常識だろう。当然、高速炉の存在を前提とする核燃料サイクルそのものを見直す以外にない。ところが政府は「もんじゅ」抜きでも実証炉の開発を進め、サイクルを維持する方針で、計画の具体化を進めようとしている。これでは、成果が得られないまま税金をつぎ込んできた「もんじゅ」の二の舞いになるだけだ。そもそも、核燃料サイクルが資源利用や廃棄物処理の面で意味を持つのは、高速炉を実現し、高速炉で燃やした後の使用済み燃料を再処理し、再び高速炉で燃やすというサイクルの輪がきちんと回り、経済的にも見合うようになった時だけだ。その見通しはフランスでも立っていない。福島第1原発の廃炉費用や賠償費用が膨れあがっていることと考え合わせれば、これ以上、あてのない労力と資金をかける余裕は日本にはない。一刻も早く立ち止まって、原子力政策を根本から見直すべきだ、としている。

昨日の産経の方が、軸がしっかりして意見も適切だ。毎日の主張は感情論。国会議員の主張よりも意識が低い。1日遅れてこの内容は無意味だ。

産経新聞・社説
五輪ボランティア 国民参加が社会の活力に

五輪・パラリンピックの運営は、ボランティアを抜きに語れない。「大会の顔」と呼ばれるのは彼らの応接しだいで大会の評価が良くも悪くもなるからだ。2020年東京大会では約9万人のボランティアが必要とされ、早ければ一部の募集が来年度末から始まる。五輪招致が決まったときの一体感を再び共有できるように、一人でも多くの国民参加を期待したい。内閣府調査では、東京五輪でボランティア活動を希望する人はおよそ4人に1人しかいない。参加を妨げる要因に5割超の人が「時間がない」と答えたことは環境の不備を浮き彫りにしている。20年大会を見据えたボランティア希望者のための外国語講座や、学校での教育プログラムの開発など前向きな取り組みも見られる。外国語に不安のある人は、東京五輪を機に語学のスキルを磨くのもいいだろう。わが国が直面する人口減少社会の中でも、新たな活力となることが期待される人材だ。東京五輪を大きなステップとしたい、としている。

いまの感覚では、対価ではなく、心情としてボランティアに関わりたくない。外国人に楽しんでもらいたいとは思うが、行政のすることに共感できないのが理由だ。産経には、その感覚を共有して、運営側に提言して欲しい。

日本経済新聞・社説
企業はビッグデータ元年への備え急げ

改正個人情報保護法が全面施行される2017年は「ビッグデータ元年」になる可能性を秘める。企業は今から準備を急ぎ、自社の成長戦略にいかしてほしい。政府の個人情報保護委員会が個人情報保護法の指針(ガイドライン)をまとめた。法律だけではわかりにくい新ルールの解釈や事例を紹介している。改正法のポイントのひとつは、個人を特定できないように匿名に加工した情報は、本人の同意なしで利用できるようにした点だ。改正法で定めた新ルールでは、第三者から個人情報の提供を受けたとき、その経緯の確認や記録を一定期間にわたり保存することが義務づけられる。気がかりなのは、中小企業の対応が遅れていることだ。改正法はそれまで除外されていた中小企業を含む全事業者に適用される。17年春とされる全面施行まであと数カ月しか残されていない。個人情報の適正な取得、利用、保管、提供を通じてプライバシー保護に万全を期しつつ、新たな事業や雇用の創出につなげることができれば、日本経済を活性化できる。その主役となる企業はいっそう取り組みを加速してほしい、としている。

現時点の個人情報さえ、適切に活用できている企業は少ない。むしろ、個人情報保護法のせいで、手間が増えたと不平が出ている状況だ。ビッグデータと例えているログや解析データを活用できる可能性は低い気がする。価値はデータにはまるで存在しないし、データは腐る。フレッシュなデータでなければ意味がない。そして、データの解析や活用は、法改正に合わせて行うものでもない。企業戦略が先で、データを分析すれば何でも判ることはない。視聴率の分析をしたら、良い番組ができあがるだろうか?いや。つくった人なら知っている。数字が見えるのはありがたいが、その人たちに振り向いてもらうための答えは、データの中にはない。データに答えが宿るような短絡的な発想で、思考を止めたことが、いまのイノベーションの起こり難い日本の原因だ。データは助力にしかならない。データさえ集めれば答えが見えることもない。データがカネに変わるのは、データを分析した上で、サービスを形にできた時だけだ。

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