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2811.報道比較2016.12.2

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順番が違うだけで、うまくいくことも失敗する。その典型のような臨時国会。強行採決できるとはいえ、段取りで手を抜いている。

産経新聞・社説
対北制裁決議 抜け穴ふさぐ努力続けよ

9月の北朝鮮の核実験を受け、国連安全保障理事会が新たな制裁決議を全会一致で採択した。決議は通算して6回目である。核・ミサイル開発放棄を求める国際社会の決意を実効あらしめるためには、決議内容の着実な履行と監視が欠かせない。1月の核実験を受けた3月の安保理決議には「最強の制裁」(米大使)を盛り込んだはずだった。だが、実際には「抜け穴」があり、金正恩体制への大きな打撃とはならなかった。3月の決議で石炭の輸出禁止を決めたものの、民生目的は例外としたことが大きい。中国が決議後に輸入を増やす事態も生じた。新決議で、北朝鮮の総輸出額の4分の1に当たる約8億ドルを減じることができるという。石炭輸出の「抜け穴」を狭める仕組み作りに腐心した点はうかがえよう。新たな安保理決議への反発として、北朝鮮が挑発に出ることへの警戒も必要だ。米国は政権移行期にあり、韓国は朴槿恵大統領の辞任問題で大混乱している。そうしたときでも、日米韓の緊密な連携を欠かしてはならない、としている。

朝鮮半島の話題には、産経はさすがに強い。特に、強硬な話題には。
中国に北朝鮮の制御を求めたいのは、世界共通の認識だ。あとは、どうやって?だが、今までの手法は中国にはまるで通用していない。もちろん中国に制裁を課すことはできないのだが、仕組みとして、北朝鮮の核開発が進むと、中国にもデメリットが出る状況をつくり出すべきだ。たとえば、儲からなくなる、外貨が減る、入国時のストレスが増える…いろいろ取り組んではいるのだろうが、まだ足りない。産経のような強硬主義だと、相手は最初から抜け穴を作った制裁案を作る。中国には拒否権もあるのだから。仕組みの中で、中国にも自然に協力させるのが理想だ。アメリカは、こういう仕組みをつくるのが得意だったのだが、最近はそんな知性もなくなっているのだろうか?

日本経済新聞・社説
原油の減産合意を市場安定につなげよ

石油輸出国機構(OPEC)が減産で合意した。加盟国全体の生産量を2016年10月の生産量に比べて、日量100万バレル以上少ない日量3250万バレルに減らす。OPECが減産で合意したのはほぼ8年ぶりだ。加盟国が長引く原油安への危機感を共有し、足並みをそろえた意義は大きい。原油市場の安定にOPECが果たす役割に期待したい。減産合意を受けて原油相場は急反発し、東京株式市場では株価が大きく上昇した。消費国にとって原油安の恩恵は大きいが、産油国の不安定化は世界経済の大きなリスクだ。エネルギーの安定供給と世界経済の成長には、産油国と消費国の双方に望ましい価格を探る必要がある。米次期大統領に就くドナルド・トランプ氏は、国内の石油・ガス開発の障害となっている規制の撤廃を唱えている。これによって米国の原油生産が増えれば市況の軟化要因になりかねない、としている。

NHKは、原油減産合意で、ずっと生活者が原油高で困る悲観論ばかりしていたが、日経の感覚が正しいだろう。原油安で起きたことは、株安、世界経済低迷とネガティブなことばかりだった。だが、ひとつ見落としている。日銀のインフレターゲットが達成できない理由を原油安に求めていた。その原油が上がる。口ではインフレを望む日銀だが、金利上昇でもっとも困るのもまた日銀。これから、少しずつ黒田氏の表情に苛立ちが見えてきたら…日銀の政策に危うさが増す。果たして?

人民網日本語版
米国はTPP離脱 日本は旗を掲げることができるか (2016.12.1)

米国で次期大統領に決まったドナルド・トランプ氏の態度表明により、米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱することがほぼ確実になった。これについて、日本の安部晋三首相は極力冷静さを保ち、21日にアルゼンチンを訪問した際の記者会見では、「米国抜きのTPPでは意味がない」と述べながらも、他の加盟10カ国に対しTPPの批准を呼びかけた。安部首相がTPPの継承者になり、米国からバトンを引き継ごうとしているのは明らかだ。今月10日には日本の衆院本会議がTPP法案を可決した。だが日本の思い通りになるだろうか。「TPPにとって、日本の役割は小さく、核心はやはり米国国内の政策的支持や各政党の態度、特にトランプ氏の態度だ。日本ができる最大のことはTPPの推進に努力すること、最後の抵抗を試みることだ」との見方を示す。「日本には今、いくつかの可能な『撤退の道』がある」とした上で、「1つは、日本がさきにRCEPを主導したいと述べたことで、TPPに望みがないことを前提として、もう一度こうした意志を示すという道だ。だが注意しなくてはならないのは、RCEPはASEANが主導しているということ、また日本が意志を示した際には本当にRCEPを推進するつもりはなく、RCEPを米国との交渉の材料にしていたことだ、としている。

日本のメディアが社説では書いていないような現実を、人民網は適切に伝えている。登場する研究員の提案は、面白みのない冷静な意見だが、現実的だ。日本が望んでいたのは孤立しない保証だったし、中国に対抗する際のブロックを求めていた。アメリカにも中国への対抗心はあっただろうが、アメリカが求める利益はなかった。また失業が増えるだけ、安いものを売られやすく、アメリカのモノは売りにくくなるだけと感じたのだろう。
TPPがリセットに向かっている今、日本は、改めて再考する必要がある。安全保障、アメリカ依存、経済のブロック化、国内の産業構造、中国との関係…何もかもを、ひとつの案に詰め込んで、退路を断つのは、どれだけリスキーか。そろそろ学ぶべきだろう。

朝日新聞・社説
カジノ法案 危うい賭博への暴走

カジノを解禁する統合型リゾート(IR)推進法案の審議が衆院内閣委員会で進んでいる。与党と日本維新の会は今回、民進や共産の反対を押し切って法案を審議入りさせた。おとといの委員会では民進欠席のまま質疑を進めた。わずか2週間の延長国会で成立をめざすという。異常な状況である。刑法が禁じる賭博に、民間業者が営むカジノという新たな例外を認めようとする法案だ。国内外の反社会的勢力に利用されないか。治安が悪化しないか。国民の懸念は根強い。推進派がカジノ解禁を急ぐ背景には、20年東京五輪と合わせ、海外から観光客を呼び込みたいとの思惑がある。25年大阪万博誘致構想を掲げる維新は、万博候補地の人工島にIRも、と夢を描く。カジノ解禁は、国の様々な施策にかかわる問題といえる。数の力で無理やり決めるようなことはあってはならない、としている。

毎日新聞・社説
カジノ法案 唐突な採決に反対する

カジノを合法化し、事実上解禁する「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)の今国会成立を目指す動きが強まっている。自民党は、衆院内閣委員会での採決を与野党に提案するなど、決着を急いでいる。法案は、カジノや会議場、ホテルなどが一体となった施設の整備をうたう。成立してもすぐにカジノができるわけではないが、政府は1年以内をめどに別の法律を定め、カジノ運営のルールなどを決める。この法案は議員立法で、昨年再提出されたものだ。自民党以外に日本維新の会などが賛成している。今国会では、カジノ解禁を目指す超党派の国会議員連盟を中心に審議入りを模索していた。自民党は早ければ、きょう委員会で採決し、6日の衆院本会議での採決に持ち込むようだ。与野党の対決法案について、審議入り直後の採決は極めて異例だ。対決法案をほとんど審議しないまま成立させるような国会運営は許されない、としている。

読売新聞・社説
カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか

カジノの合法化は、多くの重大な副作用が指摘されている。十分な審議もせずに採決するのは、国会の責任放棄だ。自民党や日本維新の会が今国会で法案を成立させるため、2日の委員会採決を求めていることには驚かされる。審議入りからわずか2日であり、公明、民進両党は慎重な審議を主張している。そもそもカジノは、賭博客の負け分が収益の柱となる。ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの“散財”に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全である。さらに問題なのは、自民党などがカジノの様々な「負の側面」に目をつぶり、その具体的な対策を政府に丸投げしていることだ。カジノは、競馬など公営ギャンブルより賭け金が高額になりがちとされる。客が借金を負って犯罪に走り、家族が崩壊するといった悲惨な例も生もう。こうした社会的コストは軽視できない。与野党がカジノの弊害について正面から議論すれば、法案を慎重に審議せざるを得ないだろう、としている。

国会議員は、やり方が下手だ。TPPの審議の前に経済対策や規制緩和の案を概要として提示し、その中にカジノや昨日のもんじゅの後継研究を挙げていれば、その時期に議論はあったろうが、駆け足になる必要はなかった。TPPが危うくなり、ロシアとの首脳会談にもまるで期待ができなくなった現在、何のために会期を延長してるかといえば、本音はTPPの参議院の審議を待ち。ついでに通せるなら…と勇み足になれば、誰だって拒絶感が出る。各紙の社説は完全に感情論で、経済効果の話などどこにもない。こうしてしまう理由は、政治がコミュニケーションを疎かにしているからだ。こうして通す法案は、成立しても実現時にミソがつき、協力者は減る。取り組み方が間違っている。

Wall Street Journal
トランプ政権の物足りない経済閣僚 (2016.12.1)

ドナルド・トランプ氏が次期米大統領に当選して以来、金融市場が活気づいている。経済協力開発機構(OECD)の悲観的な向きでさえ「トランポノミクス」が世界経済の成長を押し上げると予測する。こうした楽観論はトランプ氏が成果を出せるかどうかにかかっているが、重要な2つの経済閣僚ポストの人選は過熱気味の期待に水を差すものだ。財務長官に指名されたスティーブン・ムニューチン氏はウォール街出身で、選挙期間中はトランプ陣営の財務責任者として資金集めを指揮した。しかし政治や政策論争にはなじみがない人物だ。明るい材料は、ムニューチン氏が経済成長に関するトランプ氏の考え方を取り入れていることだ。30日にはCNBCの取材に対し、米国の国内総生産(GDP)が「安定的に3~4%の」成長を続けることができると主張。そのためには税制改革が不可欠だとし、連邦法人税を35%から15%に引き下げることが必要だと述べた。トランプ氏がより力強い経済成長を実現できれば、皮肉にも国内需要が高まり輸入も自然と増えることになる。資本が国内に回帰し、貿易赤字はさらに増える。ただしその前に成長戦略が功を奏して雇用や所得を増やせれば、トランプ氏も貿易赤字があまり意味を持たないことに気付くだろう、としている。

少しずつ夢から覚めはじめたトランプ・ラリー。それでもまだマーケットは過度の期待で動いている。年内は夢は続くだろうが、年明けはどうだろう?私は年末で利益確定するつもりだ。去年は利上げだけ。今年は、利上げとトランプ・ショック。普通に考えれば逃げる。ただ、普通に考えた仮説は、トランプ当選の暴落だった。まるで逆の表情を見せている世界。仮説より現実についていくしかない。

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