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2808.報道比較2016.11.29

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改革に批判は付き物。建設的になれるかは、リーダーシップに依存する。

産経新聞・社説
配偶者控除 抜本改革はまた先送りか

妻がパートで働く世帯の所得税を軽減する配偶者控除をめぐり、政府・与党の見直し案がほぼ固まった。控除を満額受けられるパート年収の上限を103万円から150万円に引き上げる。一方で夫の年収に適用上限を設けるため、高額所得世帯は増税になる仕組みだ。これは当面の対策にすぎず、「働き方改革」を掲げる安倍晋三政権が目指してきた抜本的な所得税改革からは、ほど遠いのではないか。若い子育て世帯を支援するには、夫婦であれば働き方を問わない「夫婦控除」を導入するなどの大胆な改革を講じるべきだ。税・社会保障制度を一体で改革し、就労形態や年収を意識せず、世帯全体で所得を増やせる改革案を打ち出すべきである。所得課税をめぐっては、年金受給者向けの優遇税制の改革も課題である。控除全体を見直す中で早急に取り組みたい、としている。

日本経済新聞・社説
年金制度の維持へ国会は建設的議論を

年金支給額を抑えるための新たなルールを盛り込んだ年金改革法の今国会成立をめぐり、与野党の攻防が続いている。政府・与党は今国会の会期を12月14日まで延長する。建設的な議論で広く理解を得ながら、会期内に改革法を成立させてほしい。公的年金は毎年の物価や現役世代の賃金の変動に合わせて、支給額を改定している。これまでは物価よりも賃金が下がった場合には、原則として物価分だけしか支給額を減らさない、といった仕組みになっていた。新ルールでは、賃金が減るならばそれだけ現役世代が苦しくなり、年金制度を支える力も弱まるので、賃金が減った分と同じだけ年金も減らすようにする。さらに今回の法案には、年金受給者の増加や現役世代の減少に合わせて、年金支給額を毎年小刻みに切り下げていく「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みの見直しも盛り込んでいる。現在、マクロ経済スライドは物価や賃金が下がるデフレ下では発動できず、年金支給額は据え置かれる。このままでは年金額だけが高止まりしてしまうので、発動できなかった引き下げ分は翌年度以降に持ち越して、物価や賃金が上がった年にまとめて引き下げることにするという。賃金や物価が下がるような経済状況下では、高齢者にも少し我慢をしてもらい、できる限り将来世代の年金を減らさないような工夫が欠かせない、としている。

読売新聞・社説
臨時国会延長 年金法案も確実に成立させよ

安倍首相と公明党の山口代表が会談し、30日までの臨時国会の会期を12月14日まで延長することで一致した。環太平洋経済連携協定(TPP)の承認と、世代間の負担・給付のバランスをとる年金改革関連法案の成立を図るのが目的だ。いずれも今国会で処理すべき重要案件であり、会期延長は妥当だろう。TPP発効が、トランプ次期米大統領の離脱表明で、極めて困難になったのは事実だ。だが、参加12か国で2位の経済規模を持つ日本には、自由貿易の旗を掲げ続け、他国を牽引する責任がある。年金改革法案は、29日に衆院を通過する見通しだ。賃金や物価の変動に応じて給付額を増減する「賃金・物価スライド」を見直し、将来世代の給付を改善することなどが柱である。少子高齢化が進む中、年金制度を持続可能なものにするには、年金財政を安定させ、将来世代の給付水準を確保する必要がある。現役世代と高齢者が負担や給付減の痛みを分かち合い、公平感を維持することも欠かせない、としている。

会期延長は当然だが、野党は相変わらず反対しているだけで議論になっていない。与党案にも物足りなさを感じるは、せめて3年程度の時間軸の視点がないからだ。年金カットも、税制も、いま決めたいことはとても些細だ。それをゴールとしないなら、何をしたいのだろう?いつまでに?そういう議論を、私は今の国会議員から聞いた事がない。与党からも、野党からも。当分選挙はないものと受け止めている。それだけの時間を託されているのだから、ゴール設定した議論を聞きたい。

朝日新聞・社説
全農改革 組合員に選ばれねば

農家のための組織なのに、不満をもらす農家が少なくない。早急に改めるべき点があることの、何よりの証拠だろう。全農は、農協グループのなかで全国的な商社の役割を担う。肥料や農薬、機械などの購買事業や、農作物の販売事業を手がける。売り上げにあたる取扱高は年5兆円に迫り、世界の農協の中でも最大規模を誇る。その半面、事業が効率的でなく、組合員への貢献が不十分ではないか、と長年にわたって指摘されてきた。今回の議論では、政府の規制改革推進会議のワーキング・グループがまとめた意見が波紋を広げた。全農の組織転換に「1年以内」といった期限を切り、選挙による会長選出や、改革が進まない場合の「第二全農」の設立推進など、急進的ともいえる内容を盛り込んだからだ。ワーキング・グループの意見が突然打ち出されたこともあって、農協側は過剰な介入だとして激しく反発した。緊急集会を開いて与党にはたらきかけ、与党が期限などの「トゲ」を抜くかたちで決着した。与党への影響力に安住するのではなく、山積する日本農業の課題に自ら向き合うことが必要だ、としている。

NHKのPodcastではかなりの時間を割いて取り上げていた農業改革の話題。土曜にも関わらず産経と読売が11.26に取り上げていた。政治の急進的と表現された期限付きの改革案を、農家や世論が「生き過ぎ」と指摘した例は聞かない。それだけ全農には自身の改革が待たれている。政治はラスト・チャンスの位置づけだろう。若い小泉氏がこの領域を今の年齢で務めたことは、日本の未来にとっては明るいかもしれない。この改革は長くかかる。人口減の中で、農業は確実に日本の中心で、変化しながらも持続する必要がある。今までの衰退感をここで払拭したい。全農もそのチームの一員になるのか、保身で解体されて消えるのか。運命は自身にかかっている。

毎日新聞・社説
仏大統領選 欧州の行方が問われる

来春のフランス大統領選挙が、これまで以上に国際社会から注目されている。世界的な反グローバリズムの流れの中で、欧州と世界の行方を左右する特別な意味を持つからだ。最大野党の共和党など中道・右派陣営は、フィヨン元首相を次期大統領候補に選出した。大統領選は来年4月に第1回投票が行われ、過半数を得票した候補がいない場合は、上位2人が5月の決選投票に進む。現時点では、極右・国民戦線のルペン党首とフィヨン氏との決選投票になるとの見方が強い。オランド大統領の与党・社会党は来年1月に候補者を決める予定だが、支持率が低迷し、決選投票には進めないだろうと見られている。ルペン氏は、移民の大幅規制や、欧州連合(EU)からの離脱に向けた国民投票の実施を公約に掲げる。フランスがEU離脱への道を踏み出すことになれば、欧州の安定を支えてきた土台は根底から揺らぐことになるだろう。次の仏大統領には、ドイツと連携して、テロや難民にあえぐ欧州の分断を食い止め、世界を安定に導く役割が求められることになる、としている。

毎日が珍しく先駆ける話題を取り上げた。フィヨン氏の選出が決定したからだろう。ヨーロッパにそれほど毎日が卓越しているとも印象はないが、どれくらいの覚悟で伝えているだろう?ヨーロッパは、今週末に大きな投票がイタリアとオーストリアで行われる。今回の話題には、触れられずにはいられないような国民投票だ。その話題がまるで意識されていないあたり、奇妙だ。
なぜ私が意識しているかといえば、シンプルにマーケットの動きから聞こえる情報だ。今回もマーケットはギリギリまで無反応。ユーロが下げはじめたのは昨日からだが、まだ平静を保っている。この鈍感な雰囲気は、いつまでつづくだろう?

人民網日本語版
軍事協定スピード締結 日韓関係の行方は (2016.11.28)

英BBCの報道によると、韓日両政府は14日に協定に仮調印した。23日の正式調印によって、同協定は両国が第2次大戦後初めて調印した軍事協力協定となった。韓日「軍事情報保護協定」は1945年に韓国が日本の植民地支配から解放された(光復)後の初の軍事協定であり、重大な象徴的意義を持つ。韓国国防省によると、同協定によって韓国は日本の進んだ情報収集設備を利用できるようになる。だが韓国の国民は強く反対し、メディアは懸念している。韓国の世論調査期間ギャラップ韓国が18日発表した、韓国国民1007人を対象にした調査によると59%の回答者が「侵略の歴史を反省しない日本と軍事協力は強化できない」との理由で、「軍事情報保護協定」調印に反対し、協定調印賛成はわずか31%で、残る10%は態度を保留した。「戦争反対平和実現国民行動」など11の市民団体が23日に韓国国防省前で抗議し、韓日「軍事情報保護協定」調印に反対するとともに、朴槿恵大統領の退陣を求めた。米日韓同盟が強化されれば、北東アジア地域にも影響がある。「第2次大戦終結後、北東アジアは『冷戦の生きた化石』の状態にあった。米日韓同盟の強化は、米日韓と中露朝の二大陣営の対立を激化し、地域の平和と安定にマイナスだ」と董氏は自らの観点を述べる。だが孫氏は「日韓の協力関係が一体どこまで行くのかを見る必要がある」と指摘する、としている。

今回の論調は、中国政府の外交部の牽制に比べて冷静だ。11.25にも書いたが、中国は日韓関係を気にするなら、その原因となった北朝鮮の核問題を放置した自身を反省して欲しい。THAADも遠因はそこにある。アメリカの進出を気にするなら、北朝鮮が持つ数少ない外交先の中国が、まるで国際社会の期待に応えられていない事を改めるべきだ。

Wall Street Journal
米エネルギー政策、トランプ次期政権に期待 (2016.11.28)

ドナルド・トランプ次期米大統領は先週、就任直後100日間の行動計画の概要を示す動画を公開した。その中で1つ希望が持てるのが、米国のエネルギーに関する政策だ。トランプ氏は政府による障害を取り除くと約束した。バラク・オバマ大統領の8年にわたる規制の連発を踏まえると、次期大統領にはすべき仕事がたっぷりとある。オバマ政権は先々週、海洋掘削契約に関する5カ年計画の最終案をまとめ、北極海の鉱区を2022年までリースする計画を取りやめた。これは環境団体の抗議に対応したものだ。米内務省海洋エネルギー管理局(BOEM)が3月に示した計画の草案に、ごくわずかな範囲だが北極海での掘削が含まれていたことを受け、環境団体は猛烈に異議を唱えていた。トランプ政権はオバマ大統領の5カ年計画の中止を考えるかもしれないが、そうなればそれに含まれているメキシコ湾やアラスカ・クック湾の鉱区リース計画も頓挫することになる。つまり、新政権は先の計画に取って代わる新たな5カ年計画(例えば2019~2024年まで)を策定する必要があるということだ。それには恐らく少なくとも1年半はかかるだろう。ただし、大西洋も北極海も環境影響評価を最近行ったばかりなので、それがプロセスの迅速化に役立つはずだ。トランプ氏がこの潜在備蓄を開放すれば、世界の消費者と米国の経済成長に大きなメリットがもたらされる可能性がある、としている。

エネルギー産業は、たしかにインパクトがありそうだ。共和党が好きそうな業界でもある。サウジアラビアとの関係も、地球温暖化も、スマート・グリッドも、トランプ氏や共和党には後回しでいいテーマに格下げされるかもしれない。それでどれくらい雇用が創出されるのか、レガシーになりかかった業界が脚光を浴びるのか。そのインパクト次第だ。できれば、そんな中にもイノベーションがあれば…と思う。悲観してばかりもいられない。これが現実だ。アメリカ国民が選んだ未来に、見込めるチャンスを探そうと思う。

Financial Times
サウジアラビア副皇太子の蜜月終わる (2016.11.24)

多大な権力を誇る副皇太子ムハンマド・ビン・サルマンは、原油安を受けて政府が取り組んでいる経済多角化計画の先頭に立ってきた。またこの大胆な改革と併せ、隣国イエメンの内戦でイランの代理勢力を空爆してイランの影響力の拡大を阻止することにも、同じくらい強い決意を示していた。だが、31歳の若き副皇太子の指揮下で、この中東一の経済大国では、非石油セクターが30年ぶりの景気後退に陥る瀬戸際まで落ち込んでいる。「蜜月は終わった」とあるファンドマネジャーは指摘する。「景気からイエメンの惨事に至るまで、政府にとって良いニュースは1つもない」。多くの国民は、サウジという国を変革する必要性を認め、原油安が経済に及ぼす打撃も理解している。だが、その手法と改革のペースについては反対の声が上がっている。この経済改革の計画が漂流しているように感じられる背景には、サウジ改革のために雇われた外国のコンサルティング会社――マッキンゼー、ボストンコンサルティンググループ(BCG)、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)など――への人々の反感が強まっていることがある。「ビジョン2030なんて話にならないよ」。あるベテランのサウジ・ウオッチャーはそう語る。「国民はマッキンゼーを叩くけど、あれは連中を雇った男の代わりに叩いているんだ」。その男とは、ほかならぬムハンマド副皇太子だ、としている。

賛否両論は、新しい発想には付き物だ。あれだけのチャレンジを次の帝王になりそうな人が掲げたのだから、批判はなければおかしい。あとは、その規模と、統制可能か、による。中東はアジアほど温和ではない。今の韓国のような支持率になる前に王族は国を追われるだろうし、現政権はその前に武力行使してでも権力に固執するだろう。それがクーデターの予兆にもなり、近隣諸国が介入するきっかけにもなる。
そんなリスクがあるから、サウジアラムコの上場を目論んでいるのだろうし、キャッシュの計算、国債発行できるか、誰が引き受けてくれるのか…それなりに計算しているに違いない。ビジョン2030が発表は4月下旬。批判の記事がFinancial Timesに載るまで半年は維持できた。トランプ氏に与えられる100日のハネムーンの倍ほどの時間、批判が表にでなかったことを思えば、私はむしろポジティブだ

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