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2806.報道比較2016.11.27

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産経、日経、読売は、真面目な仕事を日曜にも見せた。これくらい全員が経済を考えるようになれば、ようやく日本は経済最優先と言える。その先にしか失われた30年の終わりはないだろう。まだ勉強不足、努力不足か。

読売新聞・社説
介護人材の確保 経験と技能を評価した賃金に

厚生労働省が、2017年度から実施する介護職の処遇改善案を公表した。経験年数や資格、人事評価などに基づく昇給制度を導入した事業者を対象に、新たな介護報酬の加算制度を設ける。職員の平均給与の月1万円増額が可能になる。昇給と結びついたキャリアアップの仕組みを普及させ、人材の確保・定着と、資質の向上を目指す。その狙いは適切である。人手不足が重労働を招き、さらに介護職が敬遠される。そんな悪循環に陥っている。知識や経験の乏しい職員に頼らざるを得ない施設が多く、虐待などトラブルも増加傾向にある。サービス利用者の安全・安心が脅かされている。事業者の努力と工夫が求められるのは当然だが、中長期的には、一層の処遇改善に向けて安定財源の確保を検討せねばならない。清掃や配膳など補助的業務を担う人材を増やし、役割分担を明確にする。情報技術(IT)の活用などで業務の効率化を図る。政府はしっかりと後押しすべきだ、としている。

月1万円。これで低かったと思われていた報酬の増額として適切かは時間が証明するだろう。人手不足が補えるほど、人気が出そうな上昇には見えない。国家がコミットする報酬と、仕事のボリューム、保険制度の兼ね合いを考えると、これでも相当努力したのだろう。これからも仕事は増える一方だと考えると、仕組みを変えるのは必須だ。介護に関する仕事を、可能な範囲で細分化して分担するという案には賛成だ。必要な特別な技能を持つ部分はそのまま、分けられる部分は誰でもできるようにして、コスト競争する。民間の仕事なら、どこでもしていることだ。使えない人、大したことはしていないのに忙しい人の特徴は「他に仕事を任せられずに抱え込む」ことだ。公務員は、残念なことに仕組みが抱えることを強制しているような気がする。これは、省庁レベルの官僚が使えないことの現れだ。

産経新聞・社説
医療・介護改革 能力に応じて負担したい

政府が大枠をまとめた医療・介護保険改革の特徴は、高齢者の負担増に踏み込んだ点である。70歳以上の医療費自己負担の上限は、特例で現役世代よりも低額に抑えてきた。低所得者を除いてこれを縮小する。75歳以上の医療保険料を最大9割軽減している措置も、段階的に廃止する。介護保険では、高所得者の自己負担を2割から3割に改める予定だ。伸び続ける医療・介護費用を賄うためには、支払い能力に応じて負担し、真に必要とする人に重点的にサービスを配分する。その見直しを重ねていくしかない。とはいえ度重なる負担増には国民の不安も広がろう。どこまでサービスの縮小を続けるのか、安倍首相には改革の将来見通しを、ていねいに示してもらいたい、としている。

民進党は「年金カット改革」と蔑み、産経にも違和感があるようだが、高齢者層が支持基盤の自民党が、よく取り組んでいると思う。これは、改革しないと制度が瀬戸際でもう後がない、若年層も支持基盤にしてやりたいことがある、高齢者層さえ心配するほど若年層の格差が激しい、のいずれかだ。どれも近い状況だろう。将来見通しを求めたところで、もう財源は増えない。むしろ先食いして国債で賄っている。丁寧に説明したら、すべての年金が借金で賄われていることが判るだけだ。
これも、前述の読売と同様、細分化が必要だろう。収入の差別化より、疾病や負担への細分化が適切な気がする。軽度な通院の負担は増えるが、いざとなった時の負担は補助が手厚い。そんな仕組みに向かっているだろうか?

日本経済新聞・社説
小手先の配偶者控除見直しで止めるな

2017年度税制改正に向けた政府・与党の検討状況をみると、税制の抜本改革にはほど遠く、小手先の見直しで終わるのではないか、と心配だ。政府・与党内では、対象を「年収103万円以下」から「年収150万円以下」へと拡大する案が出ているという。しかし、税とは別に、厚生年金や健康保険といった社会保険に「130万円の壁」がある。パートの年収が130万円を超えると年金や医療の保険料負担が生じ、可処分所得が減ってしまう。実は今年10月から大企業で働くパートなどが、社会保険料を徴収される基準は年収130万円から106万円に下がっている。いくら配偶者控除の対象を広げても、パートが106万円や130万円の壁を意識すれば、働くことを控えかねない。税制では年収の壁を高くしようとする一方で、社会保険では壁を低くする。こんなチグハグな対応は、政府・与党が税と社会保険をバラバラに議論しているからだ。配偶者控除の部分的な手直しで終わるのは困る。税と社会保障の一体改革や、所得税の抜本改革に向けた道筋を、17年度税制改正大綱で明示すべきではないか、としている。

適切な指摘だ。野党はこの点を指摘しただろうか?与党はそれに応えたのだろうか?使える制度改正にはまったくなっていない。追求して欲しい。

朝日新聞・社説
カストロ氏死去 平等社会の夢、今なお

フィデルが死んだ。強烈な個性で国際的にも長く存在感を放った人間像には、社会主義革命が遠い過去のものとなった今なお、世界の不平等を問い続ける力があった。豊かな農場主の家で育ったカストロ氏は、もともと共産主義者ではなかった。革命後にカストロ政権を敵視した米国に対抗してソ連と連携。社会主義体制へとかじを切った。両国の和解に尽力したオバマ米大統領が任期を終えようとするのをまるで見届けるかのように、カストロ氏は世を去った。カストロ氏の革命家としての原点には、大資本による搾取や腐敗への怒りがあった。それはグローバル化に取り残され、格差に苦しむ現代の世界中の人びとの不満とも重なり合う。公正で平等な社会をどう平和的に築いていくか。カストロ氏の死を機に、理想と挫折が交錯した20世紀の歴史を振り返り、改めて世界の未来を考えたい、としている。

国家や時代、それは、どれだけの英雄が現れても理想郷など作れない。たったひとりでつくるものではないし、ある時の理想は、時とともに障害に変わる。だから変化に適応するのが最も優秀。適者生存の概念は、150年も前に人類は気づいている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/適者生存

ここでの優秀は、人が感じる幸福とは、近いがイコールではない。競争があると、勝者が優秀になるが、勝者に幸福が約束されるわけではない。キューバは、経済的には孤立とソビエト崩壊で危機的状況だが、幸福度は低くはないようだ。すべてを手にしてもまだ足りない、頭痛の種の尽きないアメリカとどちらが幸福か。それは、決して経済だけでは測れない。その幸福は変化を拒絶したからもたらされたのではないだろうが、カストロ氏がいなければ手に入らなかった幸福はいくつもあるはずだ。いま、キューバの人たちは、その偉大さを痛感している。
日本はどうなのか?と問うとともに、自らにも問いたい。何を幸福に位置づけるのか。だから、自分は何を守り、どう変化に適応するのか。この国が、戦後、ずっと見失ってきた問い。この問いに答えられる人たちは、経済は幸福の一部になり、すべてにはならない。朝日とは違う感覚で、私はカストロ氏の価値観から学びたいと思う。

毎日新聞・社説
激震トランプ 市場の活況 バラマキ期待は危うい

米国の大統領選挙後、世界の株式市場で活況が続いている。外国為替市場では、ドル高・円安が急激に進んだ。「トランプ大統領」の積極政策で米経済の成長が加速するとの期待が先行し、相場を動かしている。市場を勢い付かせたのは、トランプ氏の経済政策「トランポノミクス」が成長率を押し上げると受け止められているからである。勝利宣言をした演説でトランプ氏は、インフラへの積極投資を真っ先に挙げた。高速道路や橋、トンネル、空港などを建設し、雇用を創出すると強調した。公約した大幅な減税も、経済を刺激する効果が期待される。そのまま実行されるとは限らないが、相場は成長加速を先取りするようにどんどん進んでいるようだ。減税やインフラ投資といった財政政策は、需要を刺激する一方、将来にツケを回す。長続きせず、無理が露呈すれば、株式、債券、ドルのトリプル安を招く恐れもある。市場の期待通りにならなければ、相場は反転し、予想通り政策が実施されれば、長期的により大きなリスクを抱え込む可能性がある、としている。

今回、トランプ氏が大統領に選ばれた時、マーケットがどんな反応を示すかを言い当てた人は、私は一人しか知らない。それ以外、あらゆるエコノミストも、マーケットに関わっている人も、もちろんニュースに出るような解説者を含め、まるで逆のことを言っていた。賢い人は、ニュートラルだった。私は、参加しないことに決めていた。理由は、どちらもサイアクだと言うアメリカ国民の意見に賛成だったから。
そして今、また同じ醜い分析を、こうして誰もが繰り返す。先ほど、言い当てた人が何を言っているかは、一応、リンクを載せておく。

ガンドラック:ガンドラック:FANGsを避けろ by The Financial Pointer
ガンドラック:米長期金利は6%へ by The Financial Pointer

彼は、債券で新帝王と呼ばれるプロ。そのガンドラックさえ、あくまで予想だ。彼らプロは、素人やメディアが危険視している間は、マーケットは上げる、と言う。恐がりながら見ているうちは、押し目に買いが入る。誰もが「今回は特別」と言った時が、陶酔の終わりだ。毎日が言うトリプル安は、ゼロではないが、そう簡単には起きない。予兆は必ずある。毎日のような一般紙さえ持たざるリスクを唱えはじめる時が来るか、見定めたいと思う。

人民網日本語版
日本が5カ国を関税減免の対象外に 商務部がコメント (2016.11.26)

商務部(商務省)の沈丹陽報道官は24日に行われた定例記者会見で、日本の財務省が中国やメキシコなど5カ国を、発展途上国を対象とした関税の減免リストから除外する計画であると伝えられたことに対し、「中国は今なお世界最大の発展途上国だ。中国の経済規模は世界2位だが、一人あたり平均GDP(国内総生産)、都市部・農村部の発展、社会福祉などでは先進国とはまだ大きな開きがあり、近代化実現への道のりは依然として遠い」とコメントした。私たちは関連の報道に注意している。中国は今なお世界最大の発展途上国だ。中国の経済規模は世界2位だが、一人あたり平均GDP、都市部・農村部の発展、社会福祉などでは先進国とはまだ大きな開きがあり、近代化実現への道のりは依然として遠い。現在、グローバル経済の復興の勢いは依然として弱く、国際貿易・投資が低迷している。中日はともに世界の貿易大国であり、お互いに重要な経済貿易パートナーであり、両国経済は相互補完性が高く、協力の発展は双方の利益に合致しており、双方がともに努力し、同じ目標に向かって進み、中日経済貿易関係の健全な発展を後押しし、グローバル経済の成長に貢献することを願う、としている。

日本は、尖閣諸島は別としても、せめて東シナ海の安全保障を、この件と引き換えるくらいの交渉力は持つべきだ。自分の国より大きい経済規模の国の関税を減免しつづけるのは理解できない。中国もその論理くらい判るはずだ。もし、この権利が欲しいならカネで買え、というのが適切だ。発展途上国というなら、領海の拡大など望むな、と言い切ればいい。

Wall Street Journal
ポピュリストの波、メルケル独首相も飲み込むか (2016.11.21)

ドナルド・トランプ氏が米国の次期大統領になることが決まった翌日、ドイツ東部のマグデブルクでは、反移民を掲げる新興政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持者数百人が集まり、新たな現実を祝福した。 6月に英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めたのに続き、トランプ氏の当選によって、今年は欧米でポピュリストが2回の逆転勝ちを収める格好となった。そうしたなか、欧州の先頭で国際化の旗振り役を務めてきたドイツのアンゲラ・メルケル首相は、これまで以上に窮地に立たされている。9月にメルケル氏の地元州で行われた選挙では、CDUが得票率で初めてAfDを下回った。それから数日中にメルケル氏の言動が変わり始めた。かつては流入を減らすことに努めながら、ドイツの発展にプラスだとして難民を歓迎するよう国民に訴えていたが、今では難民危機の当初対応を誤ったと認め始めている。メルケル氏は次期米大統領に決まったトランプ氏に祝辞を送った。その中でメルケル氏は、「ドイツと米国は民主主義と自由の尊重、法の順守、(肌の色などに関係のない)人間の尊厳で結ばれている」とし、そのうえで「これらの価値の前提の下、私は米国の次期大統領と緊密に協力する」と述べた、としている。

来年のフランス、ドイツの選挙は注目に値する。トランプ氏が勝ったからこそ、メルケル氏は立候補を決意したと聞いている。そういう人格者が選ばれることを期待している。
私は40代だが、保護主義というものの感覚はイメージできない。ずっと世界は開かれつづける方向に進んでいく中で生きてきた。アタマで判っている保護主義の否定、つまりは歴史や論理で言われる説は、挑戦を受けたら崩壊すると思う。やってみなければ判らない、そうは言っても苦しいのだという反発に、過去や学説は説得力を持たない。オープンで、自由であることが世界の平和をつくってきたと思うなら、より良い未来ができていくのを証明するしかない。クリントン氏はそうは言わなかったし、言ったとしても、今回トランプ氏に票を投じた人は信じなかっただろう。富裕層と呼ばれる人たち、稼ぎつづけるテック企業、自由の中で成功を手にした人たちは、この証明に貢献する義務がある。トランプ氏にその発想があるかは判らないが、Appleに工場をアメリカに戻せという主張は、ゴールは同意だ。それを逆流や成功体験の否定と考えるのは間違っている。この課題を、前進して解く。それをできる人が、次の時代の成功者だ。
メルケル氏は、そのリーダーに値する発想を秘めている。そう期待している。Industry 4.0を本気で思考しているのは、アメリカ、ドイツ、サウジアラビア。その輪に日本も入れるだろうか?

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