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2800.報道比較2016.11.22

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グローバリゼーションを巻き戻したい願望は判る。どうやって?保護主義はその有効な手段ではなさそう。財政出動?うーん…新しい産業を創るのが一番だと思う。

Wall Street Journal
トランプ氏の経済顧問団、貿易めぐり不協和音 (2016.11.21)

ドナルド・トランプ次期米大統領に助言する経済顧問団の間では、基本的な問題で見解が真っ二つに割れている。国内経済が最も恩恵を受けるのは「アメ」なのか「ムチ」なのかという問題だ。一方のグループは、貿易に関して主流派経済学の考え方を否定し、貿易赤字を解消することが米国の政策の最重要目標だと考えている。彼らは「ムチ」、すなわち貿易相手国に輸入関税を課し、雇用を国外に移転する企業に課税することが、15年続く米国中間層の所得減少を反転させる切り札だと考える。選挙戦終盤のトランプ陣営ではこうした意見が支配的だったようだ。これに対し、共和党の伝統的な見解に近いグループもいる。「サプライサイド経済学」を唱え、一方が得をすれば他方が犠牲になるという強硬な主張には反対する。「アメ」、すなわち規制緩和や税金の軽減を通じて米国にビジネスを呼び込むことで、強い経済成長を促し、保護主義の必要性を事前に取り除くという考え方だ。マイク・ペンス次期副大統領に助言する政権移行チームのメンバーにはこれに賛成する者が多い。問題はトランプ氏がどちらに舵を切るかだ。選挙運動中には過去の候補者のような詳細な政策文書を明らかにしておらず、今後数週間内に示される政府人事や政策方針が市場や経済界にとって重要な手掛かりになるだろう、としている。

1週間の陶酔の後、徐々に目が覚めはじめてきた。この先、来週にイタリアで憲法改正の国民投票、その後、FRBが利上げすると見込まれるFOMC。就任から100日といわれるハネムーン期間の前にも、現実の厳しさを味わいそうなイベントが控えている。沈黙が支持率を上げているトランプ氏だが、いつまでも黙っているわけにはいかない。口を開いた時、禍がはじまりそうな予感。だが、もう誰も予想はしないだろう。するだけ無意味と悟ったはずだ。メディアも信頼を相当落とした。ここから先、憶測や不確かなソースの情報は、より信頼を落とすことになる。噂はいらない。

人民網日本語版
アジア太平洋の発展を力の限り後押しする中国 (2016.11.21)

習近平国家主席は19日、リマで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)・CEOサミットで基調演説し、「サツマイモの茎と蔓」の比喩を用いて中国の発展とアジア太平洋の発展との関係を説明し、中国がアジア太平洋に根を下ろし、アジア太平洋を建設し、アジア太平洋に幸福をもたらしているという生き生きした事実を語り、アジア太平洋の発展を後押しする揺るぎない決意を表明した。世界経済は依然回復力と成長力の不足という困難な状態を脱しておらず、アジア太平洋地域の持続可能な発展も多くの試練に直面している。習主席は今回の演説で、果敢に責任を担い、リーダーシップを発揮し、力強い調整行動を取り、世界経済の回復に新たな原動力を注ぎ、世界経済の成長に新たな道を切り開くようアジア太平洋に呼びかけた。習主席は4つの「キーワード」を用いてアジア太平洋と世界の経済発展の促進について「中国の構想」を打ち出した。「統合」「コネクティビティ」「革新」「協力」だ。中国はアジア太平洋自由貿易圏の構築プロセスを積極的に推し進めており、このプロセスがアジア太平洋の開放型経済を制度面で保障し、アジア太平洋経済統合の重要なキャリヤーになると考えている」と指摘した、としている。

君主礼賛。そんな印象だ。アジアでの中国の影響力を最大限に発揮する。その意志が見える。私だったら、このパワーをうまく利用したい。今の日本に多く見られる競合という発想や、やけに仲良くする協力も必要ない。良いことをする時は笑っていっしょに励み、余計な思惑が感じられた時は、批判もせずにその場から去ればいい。適度な距離感。友好的過ぎず、敵対せず。味方にならず、敵にもならない。これをもっとも練習すべき相手が中国だ。これができれば、アメリカにも、ロシアにも、この手法を使える。間合いを適切に取ることを意識したい。

朝日新聞・社説
貿易の自由化 懐疑論と向き合おう

状況が不透明な中で、どんなメッセージを発するのか。注目されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)が終わった。首脳宣言とその付属文書は、世界で高まる保護主義に対抗すると明確にうたった。21のすべての加盟国・地域が参加するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を目指すことを再確認し、TPPと、経済規模で中国が中心の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の両方を実現すると改めて示した。注目したいのは、宣言に「自由貿易に対する懐疑的な見方」という文言が盛り込まれ、「自由化が不平等と格差を広げている」との反発に向き合おうとする意識がうかがわれることだ。首脳宣言は「貿易および開かれた市場の恩恵がより効果的に幅広く一般の人に伝えられることが必要」と指摘した。首脳会議に先立つ担当閣僚会議では「説明だけでなく、具体的に恩恵が広く行き渡るようにすべきだ」との発言が相次いだ。問われているのは実行である。先進国か途上国かをはじめ、国や地域ごとに異なる問題と経験を持ち寄り、解決を図っていく。それを、国連や世界貿易機関(WTO)という地球規模に広げ、加速していく。今回のAPECを、その出発点としなければならない、としている。

産経新聞・社説
APEC閉幕 結束強めTPP頓挫防げ

ペルーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)が、あらゆる保護主義への対抗を確認した意義は大きい。オバマ大統領はTPP参加国の首脳会合で、引き続き国内の理解を得られるよう努めると表明した。米議会が同調せず、発効が厳しい状況であることに変わりはないが、その職にある限り、自由貿易体制の堅持に向けて最後まで責任を果たすべきだ。トランプ氏は大統領選中にTPP離脱を表明したものの、当選後はTPPを含む経済連携について具体的に触れていない。今後、多くの国の首脳らと接触を図る中で、発効への働きかけを自然な形で受け入れてもらいたい。中国を含む16カ国の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉には日本も参加している。ただ、こちらは自由化水準がTPPよりも劣る。何よりも、自由主義や法の支配の価値を共有する国々が、TPPで新たな経済秩序を築く大切さを忘れてはならない、としている。

日本経済新聞・社説
自由貿易堅持へTPPをあきらめるな

ペルーで開いたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせて、日米を含むTPP参加12カ国は首脳会合を開いた。安倍晋三首相が「発効に向けた努力をやめるとTPPは死に、保護主義がまん延する」と訴えたのは当然である。一部の国からは、会合に先立ち「米国を外し、新たな環太平洋での協定を構築すべきだ」との意見が出ていた。仮に最大の経済大国である米国がTPPから抜ければ、貿易・投資の自由化により域内経済を成長させる効果は限られる。世界的に自由貿易が退潮し、世界経済の行方にも影を落としかねない。日本など各国は、高水準の貿易・投資ルールを通じて実現しようとしているTPPの意義をトランプ氏に粘り強く説明していく必要がある。米国の外交戦略にとって重要である点も訴えてほしい。中国やインドなどが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉でも、日本が積極的な役割を果たせば、米国にTPP参加を強く迫ることができる。APEC首脳会議は「あらゆる形の保護主義に対抗する」との宣言を採択し閉幕した。日本はこうした国際的な取り組みの先頭に立ち、世界の自由貿易をけん引しなければならない、としている。

文面は達成感に満ちているが、現実的な実効性はどうだろう?TPPは未だにアメリカの判断を待っている。TPPと関係のない中国の方がよほど魅力的で現実的な方針を示している。TPPを成功に導きたいなら、アメリカがいない場合のプラン、アメリカがいる場合のプラン、そして、中国を導くためのプランまでを、当事者が議論する方がずっと生産的だった。未だオバマ氏に期待し、トランプ氏の心情を窺っているくらいなら、アメリカが羨むようなプランで先行してはじめてしまう方がいい。日本は、まだ建設的に考えることをリードできる能力はないようだ。これは先進国の姿ではない。

毎日新聞・社説
朴槿恵大統領 国政停滞の責任は重い

朴槿恵大統領を巡る疑惑で引き起こされた韓国の国政停滞が長期化しそうだ。どのような形であれ、決着までに数カ月はかかるだろう。大統領退陣を要求する集会の参加者が数十万人になるような国民の怒りが、検察の姿勢をより強硬なものにしているようだ。国民の怒りは、まったく専門性を持たない民間人が国政に介入したという疑惑に向けられている。韓国の置かれた状況にそれほどの余裕はない。そうした時に解決策を探るのが政治の役割のはずだ。与野党ともそのことを改めて認識してほしい。北朝鮮の核問題は現実の脅威となり、米国のトランプ次期政権の北東アジア政策への対応も考えねばならない。経済への悪影響も心配だ。朴大統領には、指導者として混乱を収拾させる政治的責任がある。自らの行動で、その道を探るべきだ、としている。

読売新聞・社説
韓国朴政権混迷 対北朝鮮で懸念はないのか

朴槿恵大統領の友人女性による国政介入疑惑を捜査していた検察は、朴氏の側近2人と友人を職権乱用罪などで起訴した。文化やスポーツを振興する財団への資金拠出を企業に強要し、政府の内部文書も漏えいしていたという。検察は、朴氏について「犯罪事実のかなりの部分が共謀関係にある」と判断した。朴氏が側近に指示したともされる。起訴された友人の娘が名門大に不正入学したことも発覚した。受験競争や就職難に苦しむ若者らの反発を買ったのは当然だろう。韓国に求められるのは、内政の混迷が外交や安全保障に影響を及ぼすのを食い止めることだ。北朝鮮の核ミサイル配備は一段と現実味を増している。日米韓が連携して抑止力を高めることが急務だ。GSOMIA締結は、その重要な一歩となろう。韓国内では反対論も根強いが、協定の円滑な運用に努めることが肝要である、としている。

韓国にありがちな権力と賄賂のスキャンダル。北朝鮮でさえ呆れているだろう。中国は、これでTHAADが保留になったらフィリピンにつづく幸運で笑いが止まらない。アメリカはまた同盟国の脆弱さを悔やんでいるだろう。とはいえ、できることは何もない。日本から余計な口を出せば、また感情的な返答が返ってくる。気にすべきは韓国ではなく北朝鮮だろう。

Financial Times
怒れる有権者は工場で作られた (2016.11.17)

トランプ氏に投票した人々の動機は、移民への敵意、賃金が上がらないことへの怒り、社会自由主義の拒絶などさまざまだ。彼らの大半は決して貧しくない。年収が5万ドルに満たない人々の過半数はクリントン氏を支持した。だが、トランプ氏に投票した人々の怒りの大半や、英国のEU離脱を支持した人々の熱意は、もともとは工場で作られたものであるように筆者には思われる。特にジョンズタウンやグリムズビーなど、今ではもう無くなってしまった工場に由来する気がしてならない。この怒りは、雇用の喪失だけでなく行為主体性の喪失、つまり中間レベルの従業員が自分たちの労働生活を以前のようにはコントロールできなくなったことを物語っているからだ。地元の住民のためにちゃんとした雇用を創出してほしいと企業に要望することは、排外主義でも偏見でもない。ピッツバーグやロンドン、ニューヨークといった都市では、移民の受け入れとともにすでに行われていることだ。これは企業がグローバル化を急ぐあまり忘れられてしまった、創業の目的の1つなのだ。自分がやらなければと考える経営者が増えるまでは、第2、第3のトランプ氏が登場することになるだろう、としている。

怒れる有権者、グローバリゼーションに反対する職を失った人たち。その類いに記事はいくつか見てきたが、今回のコンテンツは、その中でもかなり現実的で、実態を表現しているように見える。税金や、資産を持つ投資家、銀行やファンドが、雇用を創出する責任を政治とともに担うべきという意見には賛成。最低でも、生活できる援助、求められる技能の教育などは絶対に必要だと思う。彼らが聞く耳を持たないとは思わないし、今まで後回しにされて「もう限界だ」と声を荒げているなら、彼らの勝利だ。世界でも似た事例はいくつもあるし、アメリカがその処方箋を見出せれば、日本も、もっとも悩める中国さえ、アメリカを真似るだろう。
私は、それが保護主義や、財政出動で道路や病院を作ることで満たされるものではないと思っている。荒廃しきったアメリカの公共施設を見れば、今はやり時、税金の無駄遣いにはならないとも思えるが、日本が同じことをすると言ったら、効果を疑う。中国でも、公共投資が奏功しているようには見えない。やはり、新しい産業を創出するしかないと思うのだが、アメリカはどう動くだろう?

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