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2796.報道比較2016.11.18

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インフレが走りはじめた気配。1週間で様変わりした風景が、この先、さらに変容しそうだ。今までのままではいられない。学ばなければ。

Wall Street Journal
トランプ発のインフレ、本格化はこれから (2016.11.17)

債券市場には、あらゆる事象を「インフレ要因」か「デフレ要因」かの二者択一で判断する特性がある。米大統領選がドナルド・トランプ氏の勝利という衝撃の結末になると、債券市場は直ちにこれをインフレ要因と結論づけた。それ以降、10年物の米国債利回りは0.33ポイントも上昇(価格は下落)している。その半分程度は予想インフレ率の上昇が原因だ。トランプ氏の反グローバル政策はインフレを押し上げかねない。ゴールドマン・サックスの試算では、トランプ氏が豪語しているようにメキシコと中国からの輸入品に35~40%の関税を適用した場合、インフレ率は0.2ポイント上昇する。250万人の不法移民を強制送還すれば、働き手が減ることでインフレ率はさらに0.1ポイント上昇するという。トランプ氏と同様、議会共和党もインフレや財政赤字をそれほど懸念しないかもしれない。50年前のジョンソン大統領時代、さらにその後のニクソン大統領時代に、本来なら独立しているはずのFRBの歴代議長が政治的な圧力に屈すると、インフレは上昇し始めた。議会がいまFRBの独立性を制限するようなことがあれば、将来的にインフレが上昇しやすい土壌をいつの間にか作り出していた、ということになりかねない、としている。

FRBは、早々に12月の利上げに向けて最後の地ならしをはじめた。急がなければ、次のクラッシュに間に合わない。追いつくように金利を上げていかなければ、インフレが走る。同じ状況が、イギリスで起きている。一時的にポンドが下げ、株価は上げたが、当然経済は変わっていない。インフレが走りはじめた。利下げのスタンバイが急遽、利上げへ。アメリカも似た境遇に向かう。
このインフレが日本に伝染したら、日銀の悪夢がはじまる。口先、待ち望んでいたインフレ。金利を上げはじめれば、財政の首が絞まりはじめる。一方で、放置していれば良かったキャッシュが、少しずつ価値を下げる時代に変わる。インフレは貯蓄がない人ほど、さらに苦しい時代。今の若い世代には免疫の無い価値観、年金世代には忘れていた感覚だ。適応できるだろうか?

人民網日本語版
中国製造業の主要課題は「コア競争力の低さ」 (2016.11.17)

中欧国際工商学院の許小年教授はこのほど、経済紙「経済観察報」とドキュメンタリー番組「品質」が共同開催した第2回中国製造業2025年サミットフォーラムおよび10大優良品質表彰イベントに出席した際、「中国製造業が目下直面している課題は、人件費ではなく、主にコア競争力の弱さだ」と述べた。許教授によると、「中国製造業は改革開放以来約40年間の発展期を経て、今では設備が整い、種類もそろったシステムを形成している。このシステムには一定の国際競争力が備わり、総合的加工製造の能力と設備の能力では日本やドイツなどの製造業大国と並び論じられるレベルに達した。現在、人件費が上昇し、一部の製造業の国外移転現象がみられるが、それは主に加工業と技術力の低い産業であり、専門的に細かく分化し、協業の要求レベルが高い産業には、海外移転の動きはほとんどみられない」という。政府は基礎理論の研究と基礎的な技術開発に傾注すべきであり、技術の商業的応用ではその革新の主体は常に企業であるべきで、主に民間企業であるべきだ」との見方を示した、としている。

日本にそのまま当てはまりそうな秀逸な指摘。日本が失われた30年は、この課題に挑戦しながら、勝率が想像より低く、新たな成長や世界をリードするものを生み出せずに足踏みにリソースを使っている。成功事例も生まれた。新しい手法も生まれた。だが、世界を席巻したのは…なんだろう?記憶しているものさえ、なくなってしまった。青色や白色のLEDはどこへ?iモードもフェリカも規格を潰されたことに固執していたら、新たな技術に呑み込まれてしまった。
中国は、この教訓から学んで成功して欲しい。SushiやNinjaが流行るのはうれしいが、それで日本が豊かになったのは旅行者が来るようになったくらいだ。パンダや中華料理が文化だと褒められても、心地良いだけで儲からない。本当の戦いは、経済活動の最先端で行われているもの、世界が求めている新しい楽しさ、利便性、豊かさに集中している。その先端は、本当に過酷な戦いだ。真似する能力の延長にあるものではない。産みの苦しみを、お互い競争しながら越えていきたい。

朝日新聞・社説
憲法審査会 まず立憲主義を語れ

きのうの衆院の審議で、自民党は憲法改正の論点として、環境権、統治機構改革、緊急事態条項、参院選の合区解消、自衛隊の認知などを列挙し、「国民の憲法改正への合意形成をめざす」と意欲をみせた。憲法は権力を制限し、国民の自由と基本的人権を保障するもの――。それが近代立憲主義の考え方であり、現行憲法はこれを基本理念としている。首相がもし立憲主義は時代遅れという考え方を憲法改正の出発点に置いているなら、その改憲に与することはできない。憲法をより良くするための議論を否定するものではない。ただ、そうした議論のためには与野党が立憲主義という共通の土台に立つことが欠かせない。安倍内閣が憲法解釈の変更によって、集団的自衛権の行使を認めたことをどう総括するか。まずそこから共通の土台づくりを始めるべきだ、としている。

日本経済新聞・社説
国民の理解を深める実のある憲法論議に

衆参両院の憲法審査会が議論を再開した。改憲への各党の立場はなお開きがあるが、現憲法のどこが時代に合わず、なぜ改正が必要かについて冷静な検討作業を積み重ねていく必要がある。国民の憲法への理解が深まるような実のある議論を求めたい。平和主義を定める9条の扱いは重要な論点に違いないが、だからといって他の改憲テーマの議論を避ける理由にはならない。自民党が2012年に公表した憲法改正草案で示した緊急事態条項は、日本有事の際に政府に広範囲の強い権限を与えるなど多くの問題点を含む。一方で大規模な自然災害で国政選挙ができなくなった場合の規定などは合意が得やすいのではないか。国政選挙の「1票の格差」の抜本是正、参院選での県をまたぐ「合区」の解消は、衆参の役割分担を含む統治機構のあり方をめぐる議論が必要だ。憲法は今月3日で公布から70年となった。制定当時に想定しなかった社会状況が生まれているのは事実で、改憲、護憲という議論の入り口での対立から卒業すべき時期にきている。与野党には思い描く日本の将来像を競うような視野の広い議論を期待したい、としている。

毎日新聞・社説
憲法審査会 極論排し建設的議論を

安倍晋三首相は今臨時国会の所信表明で「(憲法改正)案を国民に提示するのは国会議員の責任だ」と改憲への意欲を示し、憲法審査会での具体的な改正条項の議論を促した。改憲へ突き進もうとする首相に対し、野党第1党の民進党は「立憲主義や憲法の定義についての議論が必要だ」と制してきた。何から議論するかでまず温度差があった。改憲が必要だとする理由として、戦後の憲法制定過程における連合国軍総司令部(GHQ)の「押しつけ憲法論」が、安倍晋三首相をはじめ自民党などに根強くある。参院の議論では、自民党から復古的色彩の濃い2012年憲法改正草案について「バージョンアップする」との発言があった。自民党はいったん草案を事実上棚上げする姿勢を示したが、練り直すとなればその真意を疑わせることになる。先祖返りすることがないよう自民党はわきまえるべきだ、としている。

読売新聞・社説
憲法審査会再開 政権批判の場ではないはずだ

衆院憲法審査会が1年5か月ぶりに実質的な審議を再開した。テーマは憲法制定の経緯などである。自民党の中谷元氏は、憲法制定に「GHQ(連合国軍総司令部)が関与したことは否定できない事実だ」と指摘した。一方で、GHQの「押しつけ」を強調すべきではないとの考えも示した。民進党の武正公一氏は、「日本の主体性が発揮された」と力説した。公明党の北側一雄氏も、「押しつけ憲法という主張自体、今や意味がない」と語った。憲法審査会は本来、いかに国の最高法規をより良いものにするかを冷静に論じる場だ。蓮舫代表が提案路線を掲げるなら、民進党には、より建設的な対応が求められる。「護憲」を唱えた共産、社民両党とは立場が異なるはずだ。今国会中に予定される審査会はこの後、衆院の1回しかない。憲法改正原案の審議という重大な役割を担う機関として、怠慢すぎないか。国民が審査会の動向を注視する中、もっと精力的に議論することが欠かせない、としている。

議論が始まっただけで社説が揃うとは、新聞にしてみれば憲法はよほど興味深い内容なのだろう。だが、準備ができていたと感じられる内容の新聞は皆無。議員の議論もまだ本質的なものとは思えない。GHQに押し付けられたと言われる現行憲法より、自民党草案は明治時代まで戻ったかのような時代錯誤の作文を見せられても、ベースに話すにはあまりにお粗末。では民進党は対案を準備したかといえば、相変わらず手ぶら。この案が出てきたら、今回のアメリカ大統領選挙なみに「どちらも選べない」ものになるのではないか。
土台、新聞が提案しても良かったと思う。4紙も並んで憲法を話したいなら。新聞社も社を越えて案をまとめて議会に提出してはどうだろう?

産経新聞・社説
高額薬値下げ 明快なルール作りを急げ

新型がん治療薬「オプジーボ」の価格が、2年ごとの改定時期を待たずに、来年2月から50%引き下げられることが決まった。優れた効果はあるが、患者1人当たり年約3500万円かかる。画期的な新薬が今後も開発されると考えれば、高値のまま放置することは医療保険財政の破綻につながる。「緊急的な対応」としては、やむを得ない措置といえよう。それにしても、今回の見直しは強引さが際立つ。厚生労働省は現行基準にのっとり25%引き下げる考えだった。安倍晋三首相のさらなる引き下げの意向を受け、50%という引き下げ率になるよう計算し直した。オプジーボの予想販売額に、流通経費などを上乗せする方法だった。製薬業界から「乱暴な手法だ」と異論が出るのも無理はない。厚労省は平成30年度の次回薬価改定までに随時値下げできる新ルールを作る。もっと明快な仕組みが求められる、としている。

この話題の方が、国民には憲法より興味深いのだが、賃上げ同様、政治と行政の強権の話題に終始した。そこまで薬科を下げたいなら、国が知財権を一時的に買うとか、開発資金を出すとか、別の関与方法はいくらでもある。中国か北朝鮮のような指導、要請。これで海外から新薬が来たら、国家は何か支援するのだろうか?モラル・ハザードがどんどん進んでいる。

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