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2795.報道比較2016.11.17

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トランプ氏選出の混乱は収束しつつある。マーケットの期待はまだ止まらない。今回は置いていかれる悔しさを捨てることにする。私には期待が理解できない。理解を求めるべきでないのがマーケットだが…

産経新聞・社説
4度目の官製春闘 賃上げ拡大へ環境整えよ

安倍晋三首相が「働き方改革実現会議」で、経済界に昨年並みの賃上げを求めた。個人消費を盛り上げるには、継続的な所得改善が欠かせないと判断したためだ。首相による賃上げ要請は4年連続である。これまでの賃上げ要請で、ベアと定期昇給を合わせた賃上げ率は3年連続で2%を超えた。政権が目指すデフレからの脱却を確実に果たすためにも、さらなる賃金上昇が欠かせない。景気は楽観を許さない。上場企業の中間決算は自動車や電機などの輸出産業を中心に4年ぶりに減速に転じた。それでも利益水準はいまだに高い。経団連は、会員企業だけでなく、産業界全体に賃上げや設備投資を積極的に呼びかける必要があろう。消費を活性化するには、国民の将来不安の解消も重要である。社会保障制度改革や、そのための安定財源の確保も不可欠である、としている。

日本経済新聞・社説
賃上げ持続へ企業の経営力が問われる

消費を盛り上げデフレ脱却への歩みを進める鍵として、賃上げへの期待が高い。安倍晋三首相は働き方改革実現会議で経済界に、来年の春季労使交渉で今春並み以上の賃上げをするよう要請した。民間の賃金決定への政府介入は市場メカニズムをゆがめかねず、控えるべきだが、賃上げの意義が大きいのは確かだ。消費を刺激し、生産活動を活発にして雇用や設備投資を増やす。それがまた消費を下支えするという好循環の起点になるためだ。生産性を高めて業績を伸ばしている企業は来春の賃上げを前向きに考えてほしい。上場企業の手元資金は100兆円超と過去最高水準にある。これを技術開発やM&Aなどにもっと振り向けるべきだ。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)など有望分野が相次ぎ登場している。問われているのは企業の戦略性だ。企業活動を阻む規制の多さや社会保険料の企業負担増が賃上げを抑えている面はある。政府は規制改革や社会保障改革を急ぐ必要がある。同時に企業自身も、賃金を安定的に増やしていくための努力が求められる、としている。

読売新聞・社説
首相賃上げ要請 中小や非正規にも広げたい

首相は「経済の好循環を継続するカギは来年の賃上げだ。少なくとも今年並みの水準を期待する」と述べた。経団連の榊原定征会長は「賃金引き上の勢いを継続していく」との意向を示した。政府が賃上げを要請するのは、これで4年目だ。それまで1%台だった賃上げ率は14年以降、2%台へ上昇した。賃金は本来、労使の合意を元に企業が独自の判断で決めるものである。だが、長年にわたるデフレ経済で守りの経営が染み付いた企業は、利益水準が上がっても賃上げには慎重な姿勢が根強い。政労使は協力し、非正規の正社員化を含めた待遇改善に努めねばならない。同一労働同一賃金の実現も課題となる。医療費の自己負担増や介護保険料の引き上げなどが今後、想定され、消費者の節約志向を強めかねないとの見方がある。消費底上げには、社会保障制度の持続可能性を高め、将来不安の払拭を図ることも不可欠だ、としている。

賃上げに対して、3紙はやるべきことが違うと思う。4度目の賃上げ要請に、4回とも同じ反応をしている。4年間、まったく効果の無い要請をつづけなければならない理由を問うべきだ。賃金を上げても効果が上がっていないと考える企業が多いこと、賃金を上げるに値する経済活動ができる環境が4年待ってもできないこと、2年で来るといわれていたインフレは先延ばしで無期限になったこと…行政では何も変化が起きていない。安全保障と憲法を語っていた3年。ようやく経済と言えば崩壊寸前のTPPに賭けた1年。そんな行政の言い分は、民間は聞かない。聞きたくても聞けない状況がまだつづいているとも言える。聞かぬふりができないほど人材不足になれば賃金は上がる。その仕組みをつくれない政治を質すべきだ。

朝日新聞・社説
いじめの手記 きみは独りじゃない

鉛筆で書いたんだろうか。きみの手記を読んで、胸が張りさけそうになりました。「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」見知らぬ土地でばい菌あつかいされたり、支援物資の文房具をとられたり、福島から転校してきた5年前からずっとつらい思いをしてきた。それが、いたいほど伝わりました。福島からの避難者への冷たい仕打ちは各地で問題になっていたし、きみもサインを出し続けていた。だれか気づいてほしい、助けてほしい。そう思っていたんじゃないだろうか。なのに学校の対応はまったく不十分だった。ほかの保護者からの連絡で、お金がやり取りされているのを2年前に知っていながら、相談をよせたご両親に伝えなかった。教育委員会も本気で向き合ってほしかった。同じことをくり返さないようにしなければなりません。きみが将来、自分のことも、他人のことも大切にできる大人になることを信じています、としている。

手遅れになる前に食い止められたことが、今回のもっとも注目すべき点だと思う。朝日の社説は、最初に聞く人が受けた衝撃そのものだ。誰もがそう感じただろうと思う感情。同時に、この感情論だけでヒステリックに時間を浪費したから、5年経っても風評で心を痛める人がいる一方、ずっと霧の晴れない原発論がつづく。しかも、好転する兆しさえない。
今回の被害者の人たちは、公開を期待していたという。オープンにすることのリスク、その後、ずっと困難に耐える覚悟ができるなら、今回のように問題を公開は効果的だ。ポイントは適切に広まるか、だ。広がらなければ、さらに孤立感で失望する。悪く広まれば、同様のことが起きて胸が痛くなる。どこまでも抱え込んで耐えない方がいいが、積極的に晒すリスクは誰もが知った方がいい時代だ。いまのメディアは、今回のようにこの手の問題の処理能力がない。社会も一時的に騒ぎ、すぐ忘れる衝動的な印象だ。理想的な情報の共有を探りたい。

毎日新聞・社説
激震トランプ 米露関係 原則曲げた協調は困る

トランプ氏とロシアのプーチン大統領の電話協議では、双方が「関係正常化」を目指して努力することで一致した。世界の2大核保有国が関係改善を目指すことは歓迎したい。核軍縮の進展や国際情勢の安定のために、米露の緊張緩和は必要だ。しかし、これまで米国が主導してきた国際法の原則を曲げて、ロシアの力による現状変更を黙認するような「協調」では困る。特に欧州諸国の懸念は強い。ロシアの脅威に対抗し、北大西洋条約機構(NATO)はロシアに隣接するバルト3国などの防衛体制強化を進めているが、トランプ氏は欧州諸国が「相応の費用負担をしていない」と批判し、米軍を欧州から撤退させる可能性にも言及しているからだ。懸念されるのは、米国の自国第一主義が世界に広がることだ。そうなれば、テロや難民をはじめ今の世界が抱える問題の解決が遠のく。それを防ぐための米露協調こそが求められている、としている。

メルケル氏がなぜ寡黙になったかを説明すればシンプルに伝わる気がする。毎日の主張は混乱してまとまっていない。まだ人事も決まっていない。いまは騒がずに笑顔を見せて様子を窺うのが理想的だ。

人民網日本語版
中国、「中間所得の罠」を回避できるかが重要課題 (2016.11.16)

英エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が2日に発表した最新報告は、中国人の4分の3が2030年までに、中間所得層となり、現在世界第二位のエコノミーである中国は「中所得国」になると予測している。そのため、現在、中国では「中産階級」が大きな話題となっている。清華大学(北京)中国経済研究センターの李稲葵センター長が最近まとめた「『中間所得の罠』は『中所得国の罠』よりはるかに怖い」とする文章が注目を集めた。李センター長は、「最近、我が子の同級生の親たちは移民の手続きをしている。彼らは、自分の子供が、競争が熾烈な中国の小中学校の教育になじめないことを心配している。私の周りの友人の多くも、大気汚染が子供の健康に与える影響を心配して、同じ道を選択している。さらに、一部の家族は将来の医療費や老後を心配して、オーストラリアなど、公共衛生システムが比較的健全な国へ移住している。移民をまだ考えていない中産階級の友人の間でも、『長期に渡って人民元安になるのか』、『家庭の資産をどうやって国外に移すか』などがよく話題になっている。これらの現象は、中産階級の『懸念』を反映している」と例を挙げながら説明した。しかし、中国労働学会の蘇海南・副会長は「『中間所得の罠』に落ちてしまうかは、収入の分配制度改革やそれに深く関連した改革の進展次第。改革の程度や決意が不十分で、対策がきっちり実施されなければ、『中間所得の罠』が現実になる可能性がある。現在、最も重要な問題となっているは、中産階級の割合が明らかに小さいこと。まず、収入の分配構造が不合理である現状を変え、中産階級の割合を拡大するよう努めなければならない。『中間所得の罠』について考えるのはそれから」との見方を示している 、としている。

言葉の定義を不明瞭に主張するので、意味がまったく伝わらなかった。何度か読み返して、中間所得の人たちが政治不安を感じているのが危ない、と解釈した。人民網が「中間所得の罠」と呼んでいる社会不安は、成長をつづけるしかない。アメリカでさえ、リーダーの選出結果で移民になりたいという人が急増する。日本で財政破綻に脅えて外貨準備する人も絶えない。それでも国を本当に捨てたり、全財産を外貨にしない理由は、まだ自国に愛着と可能性を感じているからだ。国がIMFが定義した「中所得国の罠」に取り組んでいる中、成長の限界を感じて脅える人は出る。

中所得国の罠 by iFinance

いまの中国が間違っているのは、それを力で止めようとすること、それが許されている国家という点だ。そこに手を付ける勇気は、共産党には当分なさそうだが。ブレグジットを決断したイギリスでさえ、EUに引っ越したという話は多くない。本当に国の魅力を信じられる人がいて、政治がそれを信じられるようになることこそが、先進国になるより大事なゴールだろう。

Wall Street Journal
「トランプ相場」は行き過ぎ、債券に注目を (2016.11.16)

4年間にわたるドナルド・トランプ次期政権の政策を市場はわずか4日間で織り込んでしまった。投資家の判断はまだはっきりしないが、インフレ率が上昇し経済成長率も小幅上昇するほか、貿易戦争や外交上の大失策といったひどい事態は起きないと、投資家はかなりの程度まで確信している。最も極端な動きを見せている商品の1つである30年物米国債を見てみよう。同国債の価格は3日間で6.6%下落し、1989年以降で最も大きな下落幅を記録した。誤解しないでほしいが、この動きは完全に理にかなっている。インフラに5500億ドルを投資するというトランプ氏の政権移行チームの公約が実現すれば、借り入れが増加するほか、完全雇用に近づいている中で雇用を創出することでインフレ率が上昇するだろう。富裕層向けの大型減税も含めると、なぜ投資家の間で30年にわたる債券利回りの低下に歯止めがかかるという見方が広がっているかは簡単に分かる。借り入れと支出の増加が見込まれる時は債券の魅力が薄れる。つまり、債券価格は低下し、利回りが上昇することになる。10年物米国債の利回りは現在2.224%で、長期保有の魅力に欠けるかもしれない。だが、年初来では最も高い水準であり、トランプブームへの期待が裏切られた場合もその衝撃を和らげてくれるだろう、としている。

今回のトランプ氏選出後の反応を予測したエコノミストは、ゼロ。トランプ氏が選ばれたら、トランプ・ショックで株とドルは下げる。それが通説だった。唯一「債券は下げる」だけが当たった。エコノミストの悲観はトリプル安と呼ばれるアメリカ売りを予想していたが、マーケットは債券以外は逆に走っている。期待?誰が?私は買っている人が誰なのかだけが知りたい。この問いに答えてくれたエコノミストがまたいないのが残念だ。
今週後半から、この波に乗った人たちは「波に乗り遅れまい」と乗ったフォロワーだ。この人たちが増えるほど、バブルは膨らむ。陶酔かもしれないが、利益が出れば人は近づく。だから私は最初に波に乗った人たちが知りたい。

Financial Times
大混乱するインドの日常生活 (2016.11.15)

「モディ(首相)のテレビ演説を見ている?」。同僚が興奮した様子でこう言ってきた。「500ルピー札と1000ルピー札を全部廃止するみたいだよ」。こうして、私は自分の家族――および12億人のインド人――がまだ抜け出すことのできない大混乱に放り込まれた。インドの「高額」紙幣――500ルピーは7.50ドル、1000ルピーは15ドル程度――は、ただの犯罪組織の通貨ではない。金額ベースで、この急成長を遂げる経済国で流通している現金の86%を占めている。これらの紙幣は日常生活の通貨であり、メイドや運転手、警備員、建設作業員、タクシーなどにお金を払い、食料品販売で圧倒的に大多数を占める小規模商店から果物や野菜を買うために使われているのだ。翌日、開店前に銀行に到着したら、長蛇の列ができていた。裏口を通って店内に入り、廃止された紙幣をいくらか預金し、100ルピー札で1万ルピーを引き出すことができた。私は大得意で銀行を後にした。これで新鮮な牛乳やサヤマメ、パパイヤを買う力は安泰だ。紙幣不足のせいで、カードを持った中産階級の消費者が、現金以外の支払い方法を受け付ける大規模で正式な企業へと流れる中、現金商売の昔ながらの商店の多くが大打撃を受けている。だが、伝統的な野菜業者が商品を売ってくれるなら、まだ歓迎だ。少なくとも差し当たりは、私は小銭を持っているのだから、としている。

文末に、ビジネスのエッセンスが混ざっている。この混乱の前に、クレジット・カードのサービスを売っていた会社は特需が芽生えているかもしれない。モディ氏が何の目的で、この混乱を作ったのかは不明だ。世界の政府は、キャッシュをなくしたがっている。すべてをデジタルにできないか、模索しはじめている。なぜ?納税が簡単で、ごまかしにくくなるだからだ。預金封鎖も、年金を止めることも簡単。あとは、高齢世代が受け入れてくれるベースが整えば…できるかもしれない。だから三菱銀行は自行通貨をつくれるかを考えはじめているのだろう。モディ氏にも、何か思惑があったに違いない。何だろう?

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