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2794.報道比較2016.11.16

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人民網が、TPPに意思表示していた国の情報をまとめてくれている。日本政府だけが無駄に労力をかけていたようだ。

人民網日本語版
TPPの挫折は決定的 中国に目を向ける関係国 (2016.11.15)

「環球時報」はこのほど、環太平洋経済連携協定(TPP)の挫折は決定的であり、関係国はすでに興味を失い、次々に目を別の場所に向けるようになったと報じた。インドネシア紙「ジャカルタポスト」は14日、「TPP加盟12カ国のリーダーは今週、この協定の出口について話し合いを行う予定だが、アジア太平洋経済協力(APEC)のアラン・ボラード事務局長は、「これまで話し合いにかけた時間が長すぎて、『交渉疲れ』の様子がみえる」との見方を示した。多くのメディアが、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が注目を集めていると伝える。米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は14日、「オーストラリアのビショップ外相が、『TPPの失敗により貿易協定に真空状態が生じ、その空白は中国が主導する経済パートナーシップ協定が埋めることになる可能性がある。オーストラリアは利益になるものなら何でも合意の道を探る』と述べ、具体的にRCEPを挙げた」と報じた。新興5カ国(BRICS。ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)のニュースに特化した英国の新聞「The BRICS Post」は13日、「オバマ大統領が米国の主導するTPPを埋葬すると、関心は中国が支持する貿易協定に向かうようになった。中国がうち出したアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)がペルーで行われるAPECサミットの焦点になるとみられる。FTAAPにしろ、RCEPの貿易交渉にしろ、ロシアのプーチン大統領は常に中国を支持する」と伝えた、としている。

久しぶりに、人民網に感謝する。TPPに意思表示していた国の情報をまとめてくれている。
アメリカの議会が本気でないなら、日本の国会議員だけが無駄な労力を使っていただけに見える。日本政府は代替案はあるのだろうか?こうなった時のリカバリー・プランくらい持っているのが普通だが。
これが普通の外交であり、交渉への当然の態度だ。臨時国会をこの無駄な時間に費やしたのは、やはり過ちだった。本当に反保護主義を唱えるなら、この流れに乗るべきだ。他の通商交渉案を検討すべきだ。このままでは、中国からの提案を待つことになるのだろう。私はそれでも有益なら十分だ。意味のない自尊心より大切にしてほしいものがある。

朝日新聞・社説
駆けつけ警護 納得できぬ政府の説明

南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊部隊が「駆けつけ警護」などができるようにする。政府がきのう閣議決定した。事実上の内戦状態にある南スーダンでの新任務の付与に、あらためて反対する。現地の治安情勢は予断を許さない。国連の事務総長特別顧問は今月11日、南スーダンで「民族間の暴力が激化し、ジェノサイド(集団殺害)になる危険性がある」と警告した。駆けつけ警護について政府は「近くで対応できる国連部隊がいない場面で応急的かつ一時的な措置」と説明。邦人保護の必要性を強調し、地域はジュバ周辺に限り、他国軍人を助けることは想定されないとする。実際に駆けつけ警護を行う可能性は低いと政府はいうが、ならばなぜ、この混乱のなかで新任務の付与を急ぐのか。日本がめざすのは、あくまで南スーダンの国造りであって、自衛隊の派遣継続で存在感を示すことではない。そのためにも、支援の重点を切り替える必要がある。自衛隊の「出口戦略」を描き、人道支援や外交努力など日本らしい貢献策を強めていく時だ、としている。

毎日新聞・社説
駆け付け警護 慎重のうえにも慎重に

政府は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊の施設部隊に対し、「駆け付け警護」という新しい任務を付与する実施計画を閣議決定した。ただ、南スーダンの治安は、事実上の内戦状態と言われるほど厳しい。国連のディエン事務総長特別顧問は「ジェノサイド(大量虐殺)になる危険がある」と語り、潘基文事務総長は報告書で「カオス(混沌)に陥る」との所見を示した。駆け付け警護で、自衛隊が武器を使う際、相手に危害を加えていいのは正当防衛などに限られる。それでもいったん武器を使えば、戦闘に巻き込まれる可能性は否定できない。安倍晋三首相は「PKO参加5原則が満たされている場合でも、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と判断する場合には、撤収をちゅうちょすることはない」と語った。政府は現地の治安情勢を正確に把握し、状況次第で撤収を決断する覚悟も必要だ、としている。

読売新聞・社説
駆けつけ警護 安全確保しつつ新任務を担え

政府が、南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊部隊に、安全保障関連法に基づく「駆けつけ警護」任務を付与することを決定した。駆けつけ警護は、国連や民間活動団体(NGO)の職員らが武装集団などに襲われた際、救援に向かう任務である。従来は、正当防衛・緊急避難でしか武器が使用できないという過剰な法律上の制約から、実施できなかった。今後は、正式な任務と権限が認められ、事前に訓練を重ねることもできる。重要な前進である。疑問なのは、野党が、こうした実情を踏まえず、新任務は危険だと批判ばかりしていることだ。政府は、活動範囲をジュバとその周辺に限定した。安全を確保しつつ有意義な活動を行うのが困難な情勢になれば、部隊を撤収する、と実施計画に明記した。医務官も3人から4人に増やす。いずれも妥当な措置だろう。現地で得た情報や教訓を踏まえて、様々なケースを想定した陸自の訓練や装備を中長期的に充実させることも大切となろう、としている。

政府が自衛隊派遣を急ぎたい理由が、未だによく判らない。明確な要請、南スーダンの国造りに関与したい戦略があるのだろうか?
ここに公式な情報がある。

南スーダンへの自衛隊の派遣について by 防衛省・自衛隊

当然、表面的な内容だろうが、それでさえ、リスクを取ってまで得たい成果が何なのかは判らない。
シリアがなぜ見捨てられるのか。かなりドライに言えば、オイルの利権も、政治的駆け引きを治めた際のメリットがないからだ。北朝鮮がなぜ放置されるのか。あの地に何のメリットも見えないからだ。悲惨さから考えれば、シリアの方がひどい。リスクから考えれば、北朝鮮の方が日本にとっては危機だ。もちろん、この地域に自衛隊を出せないことくらいは判っている。それでも、南スーダンで実績をつくりたい理由が不明なまま、国民の一部が武器を持っていくなら、法的な許容とともに、何らかの合理性がいる。そういう議論は聞こえなかった。つまり日本は、今後もお付き合いで国民の犠牲を出すということだ。損得も、他の大事なことを置き去りにしても、今までの経緯や、役に立つか判らないお付き合いに。任務としていかれる方には、せめて納得してもらえる説明をして欲しい。

産経新聞・社説
安倍トランプ会談 同盟の有用性を確認せよ

安倍晋三首相とトランプ氏が17日(現地時間)にニューヨークで会談する。他の首脳に先駆けて、安倍首相が超大国の新指導者と顔合わせをする意義は大きく、注目も集めるだろう。戦後の日米関係は長く、安全保障分野も通商分野も、米国の要求に日本がどう対応するかを基盤とした協議が重ねられてきた。しかし、それでは済まない時代に入った。待ちの姿勢では日本の安全も繁栄も保てない。能動的に日米関係を構築していかねばならない。しかし、その前に確認しておくべきことがある。日米同盟は、軍事上も経済上も揺るぎのない存在でなければならない点である。トランプ氏は経済政策をめぐり中国を厳しく批判している。対中戦略上、TPPを敵視するのは筋違いだ。自由貿易を志向する国際世論を味方につけるときだ。国を代表して交渉にあたるのは生身の人間である。相手は政策に不透明感が残るトランプ氏だ。本音で語れる信頼関係の構築に努めることも欠かせないだろう、としている。

日本経済新聞・社説
トランプ氏に同盟の価値をどう説くか

安倍晋三首相は17日、米次期大統領のトランプ氏とニューヨークで会談する。日本の首相が就任前の次期大統領に会うために米国を訪れるのは異例だ。会談の焦点は同盟関係と自由貿易の大切さをどう説き、理解を引き出すかだ。彼は日米や米韓、米欧の北大西洋条約機構(NATO)といった同盟関係は、米側の持ち出しが多く、公平ではないと考えている。この認識を改めさせるにはまず客観的なデータを示し、理解してもらうことが第一歩だ。在日米軍基地を維持するため日本は多くの資金を払っている。基地が集中する沖縄の社会的な負担も大きい。だが、これらの説明だけでは不十分だろう。トランプ氏の根底には「米国は日本を守るのに日本は米国を守らない」という不満があるからだ。事実関係だけみれば、あながち間違った指摘ではない。 今春施行された安全保障関連法にもとづき、日本は同盟強化へどんな役割を果たすのか。できるだけ、具体的にトランプ氏に語りかけることが大事だ、としている。

安倍氏にはトランプ氏に負い目がある。9月下旬、安倍氏は国連の会合でニューヨークに行った時、クリントン氏には逢ったが、トランプ氏には逢わなかった。この点をトランプ氏はカードに使える。そして、安倍氏という人物の人間性を見抜くのには十分だ。非礼を詫びるのか、言い訳をするのか、知らぬふりで通すのか。産経や日経が書くような打算で、2か月足らず前に安倍氏は判断した。そして、それは過ちだった。要点は、このミスをどう使うかだ。有能な人はミスを次のチャンスに変えられる。安倍氏の周りに、それだけのブレーンがいることを願いたい。
産経と日経に言いたい。事前にどんなに目論んでも、無駄だ。大切なのは誠意と信念。本当の友人であり、パートナーと、一言も書いていない産経と日経のようなリーダーが逢いに来たら、誰だって高額な請求書を笑って出して手を振る。同盟という言葉の意味を、もう一度考えるべきだ。

Wall Street Journal
欧州のトランプ・パニック (2016.11.15)

米国の有権者は同国が欧州の安全保障、あるいは自由貿易を支持し続ける根拠を理解するのに苦労している。米国の有権者を遠ざけた責任の一端はEU側にもある。NATOに対するトランプ氏のもっともな批判の一つとして、国内総生産(GDP)の最低2%を軍事費に充てるという目標を達成しているのがエストニア、ギリシャ、ポーランド、米国、英国だけだという事実がある。また、EUでも貿易が大成功を収めてきたわけではない。オバマ政権がTTIPへの期待をつなぎ留めようと努力していたときでさえ、フランスとドイツの政治家は今年、同協定が死んだと宣言した。EUは最近、カナダとの包括的経済貿易協定(CETA)の妥結に何とかこぎ着けたが、それはベルギーの酪農家からの反対を辛うじて抑え込むことができたからだ。はっきりと言えることは、トランプ氏の外交政策の方向性が依然として多くの点で謎だということだ。欧州は軍事支出への関与を高め、米国を見放すよりも関係を再確認することで、両岸の大西洋主義者を支援することができるだろう。米国人は常に欧州救済に駆けつけているように見えるが、それでも欧州の人々は政治選択について米国人に説教するのが好きだ。トランプ氏の当選でパニックになる前に、欧州の指導者は彼に会うべきだと思われる、としている。

ヨーロッパのリーダーたちが、信念ではなく感情でトランプ氏に迷いを感じているなら、節操がないと批判されても、コミュニケーションするためにすぐに動いた安倍氏は、まだまともだ。逢いたくない相手こそ、さっさと逢って話をする。集団生活の基本だ。今の陶酔がアメリカから去る前に、絶対に明るい関係を構築しておくべきだ。いまは祭りのような混乱が起きているだけ。まだ何も始まっていないどころか、大統領に就任さえしていない。マーケットも、メディアも、やがて手の平を返す。その前にリーダーは逢うべきだ。トランプ氏をはげませる立場になっていれば、関係はつづくのだから。

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