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2793.報道比較2016.11.15

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TPPをスケープ・ゴートにして仕事をしたフリをされても困る。アメリカがいなければ何もできないのなら、偉そうに憲法論をしている場合ではない。今ごろ宿題の難しさに気づいたのだろうか。ここから日本の経済政策をしっかり見ていよう。

人民網日本語版
TPPが暗礁に 米国は深く考えるべき (2016.11.14)

環太平洋経済連携協定(TPP)が重大な挫折に直面している。米大統領官邸の高官は、「オバマ政権は国内政局の変化をはっきりと認識しており、TPPの今後は次の大統領と議会の決定に委ねられることになった」と述べた。これはつまり、オバマ大統領の任期中に議会の投票でTPPを批准するという計画が実現不可能になったことを意味する。大統領選で当選したトランプ氏はTPP不支持の姿勢を明確にしており、TPPはこれから長らく「暗礁に乗り上げた」状態が続くものと予想される。TPPが暗礁に乗り上げた原因は多方面にわたる。まず、公平性と透明性と代表性に対し長らく各方面から疑問の声が上がっていた。加盟国もTPPの効果について心中に疑問を抱えており、各国の批准のプロセスには不確定要因が多数存在していた。次に、TPPには先天的な欠陥があり、自由貿易と相互利益の協力を促進することを重要任務とするのではなく、米国がうち出した重い戦略的責任を背負わなくてはならないという問題点があった。TPPは暗礁に乗り上げ、「アジア太平洋リバランス」の重要な経済的支柱が倒壊する。これは一部の米国人が見たくないものであることは明らかで、多くの米国人が深く考えるべきことだ。米国が「冷戦思考」を捨て、「ゼロサムゲーム」をやめ、協力・ウィンウィンと共同発展の正しい道に回帰することを願う、としている。

私は、TPPに関しては、中国の今回の主張が正しいと思う。日本もまた再考を余儀なくされるだろう。11.11にも書いたが、TPPが反保護主義というのは、完全に誤解。TPPに中国が入っていない時点で、世界第2のマーケットを除外し、日米で結託して対抗しようという意志が見える。それを保護主義でないと言えるだろうか?そして、とにかく欲張り過ぎた。知的財産権も、金融も、雇用も…そこまで国境を平然と越えさせる経済圏は、仮に成立した時に本当にうまくいくだろうか?私がTPPを望んでいた理由は、ITで世界と融合しやすくなるからだ。農業は高付加価値にすれば勝てるとは思うが、金融や知財は完全にやられる。ホワイトカラーは仕事を失うだろうと思っていた。給料が半分で済む、英語も堪能なアジアの若者に、規制で守られてきたレールを歩くだけのような年功序列のサラリーマンが勝てるとは思えない。
共和党は、自由貿易論者だ。その共和党さえ、自国の競争力を考えてTPPに反対している。TPP反対者は大統領候補だけではなかった。民主党も共和党も、何度も説得してようやく過半数という程度の賛成者しか見つけられなかった。ここまでやってきたのだからと意味不明な言葉を発する日本の国会議員には呆れる。保護主義も、グローバリゼーションも、行き過ぎれば反動は起きる。私は今のグローバリゼーションは行き過ぎだとは思わないが、TPPにこれだけの反対があり、世界でポピュリズムにリーダーシップを求める人が増えるほど、世界の中間層は将来を不安視している。彼らが求めているのは保護ではない。変化だ。オバマ氏が約束したはずの変化がなかった以上、今までと同じやり方をつづけるのは間違っている。

Wall Street Journal
米12月利上げ予想、トランプ氏当選後も大勢 (2016.11.15)

米大統領選でドナルド・トランプ氏が予想外の勝利を収めたものの、連邦準備制度理事会(FRB)が12月に利上げを見送る原因にはなりそうもない。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が大統領選後に実施したエコノミスト調査で明らかになった。エコノミスト予想を平均すると、フェデラルファンド(FF)金利は年末までに0.62%に上昇するとみられ、2017年末が1.17%、18年末は1.93%になると見込まれている。これは25ベーシスポイント(bp)の利上げが年内に1回、17年に2回、18年には少なくとも3回実施される計算になる。トランプ氏は減税や国防およびインフラ支出の拡大を公約している。数人の調査回答者は、財政支出の増加による需要喚起が物価上昇につながり、FRBがインフレ抑制へ利上げしなければならなくなるとの見方を示した。また、エコノミストらはイエレン氏が任期満了まで議長にとどまるとみている。回答者の約4分の3が、任期満了を待たずに同氏が退任する公算は小さい、あるいは極めて小さいとした、としている。

期待で偏りは見えるが、上げつづけてるアメリカ株。長期金利も、ドルも上がっている。公共投資期待で、最後の宴のような上昇だ。FRBは平然と利上げできる環境が整いつつある。来年も、むしろ利上げせよといわれるほどインフレが走るかもしれない。ブレグジットと、トランプ氏を選んだアメリカはインフレ。似た政策を狙って公共投資する日本だけがインフレにできない。そろそろ原因が判ってくるだろうか?

毎日新聞・社説
介護報酬 「成果主義」は似合わない

安倍晋三首相は、介護保険について、介護を必要とする高齢者の自立支援を中心にした制度へ転換することを表明した。「介護が要らない状態までの回復を目指す」。成長戦略を検討する政府の未来投資会議での首相の言葉だ。高齢者の要介護度を改善させた介護サービス提供事業所の報酬を引き上げ、自立や回復に消極的な事業所の報酬を引き下げることを検討するという。いわば「成果主義報酬」の導入である。介護サービスによって高齢者の心身がどう変わったかという結果で報酬を決めること自体は間違っていない。しかし、改善の成果が介護サービスによるものか、高齢者本人や家族の努力によるものかわからない場合が多いのが実情だ。介護費抑制のために「成果」を求め、結果的に自立困難な高齢者が取り残されるのは本末転倒だ。高齢者本位の慎重な制度設計を求めたい、としている。

総理大臣が言うのだから、根拠のない目標ではないのだろうが、私は高齢者の介護が回復を目指せるものだとは認識していなかった。もし、回復する見込みのある病気を支援するのも介護と呼ぶのなら、いま介護対象と呼ばれている人の中で、安倍氏が言う回復が見込める対象者がどれくらいいるのか知りたい。それがどういうアプローチなら可能か、首相は見えて発言しているなら挑戦してもいいと思う。今までの女性活躍、地方創生、待機児童ゼロなどを見る限り、疑わしい。思い付きで成果主義が導入されるなら、毎日の言うとおり危険を感じる。

日本経済新聞・社説
農家の競争力強化へ農協改革の加速を

政府・与党は2014年に農協制度の抜本改革をまとめ、全国農協中央会(JA全中)の監査・指導権限をなくすなどの改正農協法が今年4月に施行された。しかし、農協改革は緒に就いたばかりで、改善の遅れる分野は多い。作業部会は肥料や農薬などの販売価格が韓国などと比べ割高で、それが競争力の強化を阻む一因とみている。そのため提言は全農に対し、農家への資機材の供給(購買)事業を1年以内に縮小し、メーカーとの価格交渉やコンサルタント業務に徹するよう求めた。全農が資機材を仕入れ、一定の手数料を上乗せして農家に販売する現在のやり方では資機材価格の引き下げは進みにくい、と考えたからだ。提言は地域農協が手掛ける銀行業務を上部団体の農林中央金庫に譲渡し、農業事業に注力する改革も加速するように促す。この改革は14年の政府・与党合意にも盛り込んだが、まったく進んでいない。農協は農家による農家のための組織という原点に戻り、農家と農業への貢献に専念すべきだ、としている。

小泉氏がやっている領域だからか、非常に細かい内容まで書かれている。これが注目度が原因か、小泉氏自身の仕事の実績かは判らない。いずれにしても、問題点が確実に見えているし、こうなれば後は作業の問題になる。東京都のような意味不明な行動を担当者がしなければ、誰がやっても最適解に近づく。抵抗や衝突は合ったとしても、生真面目な日本人なら、誰でも期限と予算を与えればできる。これがリーダーシップであり、政治が行政とともにチームとして取り組むあるべき姿だ。いつから日本のリーダーは思い付きで言葉だけ並べるようになったのだろう?いつから手段も考えずに「あとはよろしく」と言うようになったのだろう?行政はいつからやったことにして手を抜くようになったのだろう?言い訳ばかりで動かない組織になったのだろう?やると決めたらやる。その能力は、日本人は高かったはずだが。

朝日新聞・社説
高齢者の運転 重大事故を起こす前に

高齢ドライバーによる死亡事故が相次いでいる。誰もが年をとれば衰える。本人が自覚してハンドルを握るのをやめるのが一番だが、現実はなかなか難しい。家族やまわりの者が小さな異変を感じとり、事故を未然に防ぐ道を一緒に話し合うことが大切だ。警察庁によると、車やバイクによる昨年の死亡事故のうち、75歳以上が運転していた割合は13%。免許保有者全体に占める割合は6%にとどまるのに、事故率が高いのが特徴だ。75歳以上の免許保有者数は、この10年間でおよそ倍に増えた。運転をやめるように家族が求め、争いになる例もよく聞く。たとえば町内会などで一緒に講習会を受けるのも一案だ。医師や看護師、警察官など専門家の助言も早めに受けるようにしたい。身内に言われるとしゃくに障るが、他人の言葉には耳を傾けるという人も少なくない。公共交通機関の乏しい地方では、車がなければ生活がなりたたない。自動運転カーの実用化にはしばらく時間がかかりそうだ。予約制乗り合いバスや割引タクシーの充実などの施策を、さらに進める必要がある、としている。

社会問題としての朝日のような視点が一般的だが、このあたりの課題にイノベーションで応えられれば、世界で進む高齢化の中で日本がリードを狙える。前向きに捉えたいテーマだ。運転させない方がいい。これは確実に言えることだと思う。高速道路を逆送する、認知症のクルマが暴走して死傷者を出すとなると、不便以前の安全保障の問題だ。損害保険の保険料を上げたり、免許更新の対価を上げるなど、喫煙者への対応に相当する抑止に向かった方がいい。
当然、それで起きる不利益を、代案が満たさなければならない。この領域は、サービスの競争にできる。通信販売も、交通や移動手段、コミュニティや教育も…高齢化の入り口にある領域は、マーケットとしては十分に狙えるのではないだろうか。

産経新聞・社説
GDP2.2%増 不確実性に耐える改革を

7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で2・2%増だった。3四半期連続のプラス成長であり、この数字自体は悪くない。ただし、その中身をみると、景気回復のカギを握る個人消費や企業の設備投資が低調なままである。国内需要の拡大に向けて官民双方が取り組みを強めるべきは論をまたない。大統領選に勝ったトランプ氏の政策は日本に大きな影響を及ぼそう。だからといって、新政権がどこまで公約を具体化するのかはっきりしない段階で、むやみに浮足だっても仕方あるまい。日本がなすべきは、米経済の変化にも対処できるよう、生産性向上に資する構造改革で潜在成長力を高め、国内の経済基盤の強化を確実に進めることである。最大の懸念は、保護主義の蔓延である。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱だけでなく、米国と各国との貿易紛争が激化する恐れも否定できない。新興国経済が変調を来す中で世界全体の貿易は停滞傾向を強めている。これに輪をかけるように米国が扉を閉ざせば、日本はもとより、世界の成長を大きく阻害する要因となりかねない。米経済だけではなく、世界経済をどう展望するか。トランプ氏と会談する安倍晋三首相は、この点を十分に議論してもらいたい、としている。

論点がボケている。GDPの話からはじまり、トランプ氏の話が出るあたりから違和感がはじまる。その後、TPP、安倍氏への提言…浮き足立っているのは産経自身だ。休み明けのボケだろうか?

Financial Times
トランプが成し遂げた米国版ブレグジット (2016.11.10)

米国がブレグジット(英国のEU離脱)に匹敵することをやってのけた。唯一の違いは、これを「欧州のローカルな問題だ」と片付けられる国や地域が世界のどこにもないことだ。トランプ氏の勝利は、英国のEU離脱を決めた国民投票と比べても計り知れないほど大きい。ブレグジット支持者のうち最も攻撃的だった人々は今でも、エスタブリッシュメント(既得権益層)が裏切るのではないかと固唾をのんで見守っているが、トランプ氏とその仲間たちはエスタブリッシュメントの牙城を強襲したのだ。トランプ氏の言葉は、米国中の怒れる白人労働者階級主流派の琴線に触れた。彼らは、自分の世界では確実だと思っていたものがグローバル化や自由貿易、技術の進歩、さらには、米国は大国の名に見合う力を世界の舞台ではもう発揮できないという感覚などとともに揺らいでいくのを、目の当たりにしてきた人々にほかならない。こうなった以上、米国民と世界の人々は祈るしかない。トランプ氏が――今日見受けられる評価をすべて覆して――優れた指導者になる能力を持っていることを、そして自分が解き放った悪魔を管理する力量も備えていることを、どうにかして証明してくれるように、としている。

5日という時間は、あまりに長い。Financial Timesを日本語で届けようという取り組みには賛成したいが、今の時代、5日は情報の賞味期限としてはとっくに期限切れだ。この内容を許されたのは、当選後の夜だけだ。すでに祈るだけでいい瞬間は過ぎた。もう世界は現実を見ている。株価はそれを折り込み、もはや裏切ることさえできない。オバマ氏の顔が8年でどれだけ疲れ、白髪が増えたかを見て欲しい。これから70代のトランプ氏は、同じストレスを味わう。その仕事を彼に任せたことを、後悔する日は必ず来る。あとは、その回数と規模がどれだけ少ないかだ。失望の数だけトランプ氏は吠えることになる。悪あがきすることになる。その始末の悪さを想像するだけで、私はニュートラルでいつづけたいと思う。オバマ氏にどれだけ世界が8年前に期待し、裏切られたか。ではオバマ氏の人格は?知性は?それと同じことを、今に当てはめるといい。私は祈る気にさえなれない。変える術をすべて説明してできなかった人より、変える術を思い付きで話す人を信じる?どれだけ追いつめられてもユーモアを忘れないナイスガイより、少しの挑発にさえ暴言で答える人に任せる?それは私には変化を求めるいい策には思えない。どれだけ追いつめられても。

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