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2789.報道比較2016.11.11

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TPPは、反保護主義ではない。むしろブロック経済を推進する。日本政府も日本メディアも完全に破滅した論理を展開している。

朝日新聞・社説
「トランプ大統領」の衝撃 保護主義に利はない

米大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏は「米国第一主義」を掲げており、政策面で内向き志向を強めそうだ。通商政策では自由貿易の推進に否定的で、保護主義へかじを切ることが懸念される。だが、世界第一の大国が自国の目先の利益にとらわれた行動をとれば、世界経済の足を引っ張り、米国の利益にもならない。トランプ氏の主張は、自由貿易を重視する共和党主流派の伝統的な政策と相いれない。上下両院で共和党が多数を握ることになっただけに、トランプ氏の訴えがどこまで具体化するかは不透明ではある。新たな産業の振興と就労支援など社会保障のてこ入れ、教育の強化と課題は山積する。大企業や富裕層による国際的な税逃れへの対応も待ったなしだ。自由化で成長を促し、経済の規模を大きくする。同時にその果実の公平な分配を強める。トランプ氏を含む各国の指導者はその基本に立ち返るべきだ、としている。

産経新聞・社説
TPP衆院通過 反保護主義を行動で示せ

太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の承認案が衆院を通過した。その一方で、TPP離脱を唱えるトランプ氏が米大統領選に勝利し、発効は極めて難しくなったという現実がある。TPPは米国が加わらなければ発効しない仕組みだ。それゆえ、日本が率先して審議する必要などない、という議論が野党などにある。だが、これには同意できない。むしろその逆ではないか。トランプ氏に世界が抱く大きな懸念の一つは、保護主義の広がりである。自由貿易の推進で各国が結束を図り、そうした動きを阻むことが必要である。参院では、経済連携を成長につなげる改革の具体策や、負の影響を抑える対策をさらに議論してもらいたい。食の安全や知的財産、投資紛争処理などの論点も、自由貿易を進める上で欠かせない課題である、としている。

日本経済新聞・社説
日本は自由貿易の推進役を果たせ

TPPは21世紀型の貿易・投資協定だ。モノの関税撤廃に加え、環境、労働、知的財産権など広範な内容を含み、実質的に世界標準となりうるルールを定めている。TPPが発効するには日米両国の批准が不可欠だ。トランプ氏がTPPからの離脱を明言している以上、TPPは漂流を余儀なくされる。その事実を踏まえ、世界と日本は自由貿易秩序の再構築に挑まなければならない。日本は今国会でTPP承認案・関連法案を着実に成立させつつ、TPPが実現しようとしている価値の大きさをトランプ氏や米議会に粘り強く訴える必要がある。英国のEU離脱決定とトランプ氏の当選は、経済のグローバル化への批判から保護主義的な動きが強まる世界の現実を示すしかし、グローバル化に背を向けて世界が持続可能な成長を保てる保証は全くない。世界貿易は今年に入って減速している。保護主義の台頭はこれに拍車をかけ、世界経済の成長率をさらに押し下げるリスクがある。主要先進国の中で日本はもっとも政治情勢が安定し、安倍晋三首相は比較的高い支持率を保つ。今こそ日本は自由貿易の守護者として世界を引っ張る時ではないか、としている。

読売新聞・社説
トランプ経済策 保護主義は全世界の不利益だ

経済のグローバル化が進む中で、世界一の大国が独善的な「米国第一」主義に転じれば、国際社会全体に深刻な影響を及ぼす。ひいては米国の利益にもなるまい。「トランプリスク」に身構えていた米市場は9日、株価が急上昇した。10日の日本市場も反発し、前日の下落分を取り戻した。トランプ氏が掲げる法人減税や公共事業の上積みを好感したとみられる。共和党が米議会上下両院で多数を維持し、オバマ民主党政権での「ねじれ」が解消する。政策の実現性が高まるとの期待も反映したのだろう。米国が内需拡大による成長促進を果たせば、世界経済にとってプラスだ。ただ、減税を穴埋めする財源が見当たらず、財政悪化を懸念する声も出始めている。今国会の焦点である環太平洋経済連携協定(TPP)承認案が10日、衆院を通過した。参加12か国が正式に合意した協定の国内手続きを進めるのは当然だ。しかし、トランプ氏はTPPからの撤退を公言しており、発効が厳しい状況なのは間違いない。安倍首相は来週訪米し、トランプ氏と会談する方向だ。自由貿易体制の重要性や、TPPを含む望ましい通商協定のあり方について理解を求める必要がある、としている。

日本の新聞が、完全にミス・リードしていることがある。TPPは、反保護主義ではない。むしろブロック経済を推進する。それは、一国による保護主義ではないが、ブロック内での取引のみを優遇する広義の保護主義だ。このブロック経済が第二次大戦の要因のひとつになったとは、世界の常識だ。

ブロック経済 by Wikipedia

TPPを推進して、保護主義を打破すると平然といっているが、ブロック経済をつくり、その輪の中に中国を入れない壁を作りたいという発想は、一国が関税で対抗する保護主義より始末が悪い。もし、トランプ氏が、この点を問題視してTPPを許さないなら、それは適切だ。中国を失ってまでブロックを作る意義があるのか?冷静にTPP連合は考えるべきだ。
日本は何をしたいのか?何を焦っているのか?TPPに関して、まるで見えない。これが日本の構造改革の根幹と言い訳するなら、構造改革の失敗をTPPに押し付けようとしている、いわばスケープゴートにしているのでは?と見えてしまう。最初から失敗する試みに、自分たちのやりたくない構造改革をセットにして潰すのなら、最低の政治手法だ。

人民網日本語版
日本企業にとって中国市場の魅力は薄れたか? (2016.11.11)

トランプ氏が米大統領選で勝利し、米日が苦心して進めてきた環太平洋経済連携協定(TPP)の先行きが読めなくなってきた。日本企業は寒々しい気持ちに襲われている。ここ2年ほど、重大な資本引き上げの動きをたびたびみせてきた日本企業は、今の中国は改革開放初期のように日本からの投資を必要としないとの見方を示しつつ、大な政治的変動の中にあっても中国という大きな市場を失うわけにはいかないとの判断も示す。日本最大の企業ロビー活動団体・日本経済団体連合会(経団連)はTPPの推進を重要なロビー活動に位置づけるが、最近、中国を訪問した際には、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や中日韓自由貿易協定(FTA)のような中国が参加する地域経済一体化に向けた協力を推進する姿勢もうち出した。実際の状況をみると、日本企業は中国に長くとどまりたいという気持ちが非常に強い。日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた15年の調査データでは、在中国日本企業の今後1~2年間の事業発展の方向性について、「拡大する」と答えた企業が38.1%、「現状維持」が51.3%で、「中国から撤退する」および「第3国に移転する」とした企業は1.7%に過ぎなかった。多くの分野で、日本企業は引き続き中国企業とウィンウィンの発展を達成できる。10年以降、中国の自動車販売量は米国を超え、世界最大の市場になった。この世界最大の市場において、日系車は乗用車分野で引き続き強い勢いを示している、としている。

非常に長い記事だった。内容は、長文の中で要点が見えない。結局、日本からの投資が欲しいということだろうか?政治の介入がなければ、日本企業は意欲を示すだろう。その介入は、日本政府しかり、中国政府しかり、だ。日本政府の文句を言うのなら、中国政府も介入しないで欲しい。

毎日新聞・社説
激震トランプ 日米関係 同盟の意義、再確認から

米大統領に決まった共和党のドナルド・トランプ氏は、米国の利益を最優先する「米国第一主義」(アメリカ・ファースト)を掲げ、米国の伝統的な価値観である自由、平等、多様性に反するような排外主義的な発言を繰り返してきた。選挙戦でトランプ氏は「米国は日本やドイツ、韓国を防衛しているが、彼らは対価を支払っていない。応分の負担をしなければ、日本を防衛することはできない」と語った。安倍晋三首相は、トランプ氏が次期大統領に決まったのを受けて電話し、17日にニューヨークで会談することを確認した。首相が電話で語った内容からは、米国が「内向き」思考に陥らずに、アジア太平洋地域に関与し続けることが米国の利益であり力の源泉になるのだと、トランプ氏に呼びかける意図がうかがわれる。日本政府は、こうした外交努力を積み重ねてほしい。日米同盟が何のために必要か、どういう国際秩序を描くのか、そのために日本はどういう役割を果たすべきか、主体的に不断に考える作業が欠かせなくなるだろう。トランプ氏の登場はそのことをいや応なしに日本に突きつけているように見える、としている。

日本政府は不安視し、沖縄県は独自にトランプ氏に祝電を送った。沖縄の動きが見込み通りに進むかは未知数だが、その思惑が示すとおり、トランプ氏にはディールが通用する、過去の経緯や基本の理念よりディールとして納得させることができるかにかかっている。沖縄は、明らかに不公平と言える自信があるからコンタクトしたのだろう。日本政府には、明らかに今のままでいいと言い切れる自信がないということだろう。カネの話は別として「アメリカが危機の時に、日本がアメリカを守る」という条文がないことは、指摘された時に答えに窮するだろう。片務は同盟ではない、と。もちろん、それはディールのきっかけだ。だから、これを同盟ではなく任務にして予算を増やせと言われるか、日本がアメリカを守るために北朝鮮のミサイル防衛の費用を積め、と言われる。この発想を切り替えすだけのディールをできる自信がないのだろう。これは、トランプ氏だから言う論理ではない。今までも言われてきたが、何とか逃げてきた。正面から言われる相手が登場しただけのことだ。
その危機感もなく、安倍氏は「日米同盟は二国の基本」と言ってしまっている。ディールの前に、守りたいものを言う無能さを、アメリカのブレーンなら誰だって見抜くというのに。4年間で、関係が強化され、相当なカネを召し上げられるな…の印象だ。

Wall Street Journal
トランプ氏の外交政策、真意見えず世界に動揺 (2016.11.11)

米大統領選で共和党ドナルド・トランプ氏が勝利したことから、長年にわたって定着した米国の外交・軍事政策に対する不透明感が強まっている。米国の最高司令官の交代に対する不安は世界中で高まっている。米国の最高司令官の交代に対する不安は世界中で高まっている。トランプ氏は選挙戦を通じ、為替問題で中国に強硬姿勢をとり、メキシコとの国境に壁を築いてその費用をメキシコに負担させ、さらにはイランとの核合意を破棄すると主張してきた。また、イスラム教徒の入国禁止や、テロ行為の歴史がある国からの米国入国も阻止すると表明している。こうした主張は米国の同盟国を混乱させており、米国に対して従来の国際的役割を担うよう求める声も出てきている。トランプ氏にとって緊急の課題は、国家安全保障チームの編成だ。選挙アドバイザーには、マイク・ロジャーズ前下院情報委員長(共和、ミシガン州)や、ジェフ・セッションズ上院議員(共和、アラバマ州)など、安全保障問題に精通している多彩な人材がいる。政策面では、トランプ氏はISとの戦いで早急にさまざまな決定を下さなければならないだろう。オバマ氏は、イラクとシリアのISに対して空爆を実施し、地上軍としては特殊部隊を展開しているが、その戦略は徐々に成果をもたらしている。トランプ氏は選挙戦中、IS打倒の秘密のプランがあると述べていた、としている。

選挙勝利から1日。今のところ、トランプ氏は公約より常識を優先させている。まさかメキシコ国境に壁ができないことを公約違反という人はいないだろうが、混乱の発言を繰り返してきた責任を、これからひとつずつ検証されていくことだろう。彼が好かれ、そして嫌われる原因は「あれは撤回」と平然と言える無神経さだ。彼を信じて票を投じた人が求めているのは、移民排斥や、白人至上主義ではない。職や収入という、カネで買える部分だ。日本ではないが、バラマキをやれば黙る。不公平を是正すれば称賛する。そう信じたい。ただ、日本でも判るとおり、バラマキは際限がない。得た金を、次の仕事のための学習や勉強に当てる人はいない。家やクルマになり、場合によってはギャンブルや宝くじになる。そしてまた、おかわりを求める。トランプ氏は、人を雇ったことがあるなら、この感覚を知っているはずだ。報酬を上げるには成果をと言っても、ヤツらはボーナスを先に欲しがる、と。彼はどうやって仕切ってきたのだろう?ベンダーをいじめるのはたやすい。使えないと社員をクビにするのも容易だっただろう。次は、決して逃れられない支持率だ。彼らはこの先、ずっと言いつづける。おまえに俺は票を投じたのに、と。「おまえの票はたったひとつだけだ」と言い逃れできるだろうか?

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