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2787.報道比較2016.11.9

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民主主義とは恐ろしい。英国につづいて、アメリカも、また。時代が変わった。

人民網日本語版
選挙の混乱が浮き彫りにした米国の「病」の深刻さ (2016.11.8)

2016年米大統領選の投票が近く行われる。確実なのは、最終的に勝つのがトランプ氏であれクリントン氏であれ、歴史に記されるのが民主の勝利ではなく、200年余りの米国の選挙史における「汚・乱・劣」の1ページであることだ。「直視できない」汚い言葉を浴びせたことだけではなく、いわゆる米国式民主の背後にある「汚い一面」にも現われた。共和党はトランプ氏の勢いを阻止するため、党内の重鎮達が声を発し、クリントン氏に傾くことさえ辞さない。ほぼ全ての主流メディアがクリントン氏の側に「一辺倒」に立ち、トランプ氏らが「米国の民主主義はすでに死んだ」と呼びかけた。今年の米大統領選が普通でないのは、米国の「病」にある。第1に「経済の病」だ。米国経済は回復軌道に乗ったものの、一般国民はその効果を余り実感。しておらず、経済成長は依然として量的緩和などの金融政策によるものであり、構造的問題には触れず、貧富の格差は拡大し、中産階層は減り、青年層は途方に暮れている。第2に「社会の病」だ。第3に「政治の病」だ。世界の人々にとってより関心があるのは米国の将来の対外政策がある程度節度あるものになるのか、あるいは一層突き進み、または冒険的なものになるのかだ。それが米大統領の外交的裁量権は内政を遥かに上回るのだ、としている。

いや、違う。アメリカの選挙速報を見ながら、人民網の主張を読むと、民主主義の恐ろしさは論理を超越することだと痛感する。ロジックではない。感情だ。オバマ氏の時と、同じことが起きただけとも言える。そして、選挙というシステムは民主主義にとって極めて危険なアプローチだと気づく。どれだけ分析しても、批評しても、政治を志す人以外には意味がないだろう。ブレグジットの時と同じ虚無感、失望感が生まれているなら、システムがおかしいのだ。修正が必要だが、トランプ大統領はもちろん、それを自らすることはない。この先、もっと感情的な支持率という数字と、彼はどう対峙していくだろう?
ここから4年、ドゥテルテ氏と同じような感性の人物が、世界でもっともパワーを持つ国のリーダーになる。プーチン氏は、その利用法をもっとも良く学んでいる。中国や日本のような生真面目さで取り組むと、痛い目に遭う。ここから4年、ルールは通じない。

Wall Street Journal
自らの首を絞める中国 (2016.11.8)

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は7日、香港基本法(香港特別行政区の憲法に相当)の解釈を行い、独立派議員2名が香港立法会(議会)に就任することを阻止した。現地の裁判所に判断を任せず、香港から介入の要請もない中で、中国政府は前代未聞となる今回の行動に出た。こうした高圧的な判断は反中感情を間違いなく強めることになるだろう。遊氏と梁氏は、最初から政府のやり方に反旗を翻した。10月、2人は恒例となっている宣誓を行うことを拒否し、逆に「香港国」に忠誠を誓った。「中国」という言葉もわざと発音を間違えて侮辱し、「香港は中国ではない」と書かれた垂れ幕も掲げた。この行動は民主派の人たちからも反感を受け、中国寄りの議長は2人の独自の宣誓は無効だとした。しかし議長が宣誓をやりなおす機会を与えようとすると、今度は香港政府が訴訟を起こして待ったをかけた。香港の裁判所が判断を準備する中で、香港弁護士会は声明を発表し、この件に中国が介入したら「香港の法廷による最終決定が持つ拘束力や司法の独立性に対して深刻な打撃となる」とした。しかし中国政府はそれを無視し、今回の判断は香港の独立に反対する「中央政府の断固たる決意と意思」を表す行為だとした。香港がいずれ服従するであろうと中国がいまだに信じていることは悲劇だ。香港との約束を破った中国は、今後その報いを目の当たりにすることになるだろう、としている。

朝日新聞・社説
香港の自治 中国の介入は不当だ

香港の社会が動揺している。市民が選んだ議員に対し、中国が失格を宣告するという初めての事態がおきたからだ。この習近平政権の動きは、不当な介入であり、市民が反発するのは当然だ。香港の自治を最大限尊重すべきである。きっかけは、香港の独立を訴え当選した立法会(議会)の新人2人の宣誓だった。「香港は中国ではない」との横断幕を掲げ、中国をおとしめる発言をした。そのため宣誓は無効とされ、香港政府が裁判所に2人の失職を申し立てた。宣誓のやり方の当否や、それが議員資格にかかわる問題かどうかは本来、議会自身が判断すべきだ。基本法にもそのための手続きが用意されている。中国側の性急な判断は議会の自律性に対する侵害である。独立を求める主張は主流とは言いがたいが、こうした議員が現れたこと自体、香港社会の大きな変化を意味している。自由を享受してきた市民に対して、「国家の安全」をふりかざす共産党政権の体質が変わらなければ、香港の民心は遠ざかるだけだろう、としている。

産経新聞・社説
香港議員の失職 中国の介入が不信高める

中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会が、香港の議会で独立を訴える2議員を失職させる判断を下した。香港の民意を踏みにじる不当な政治介入であり、強く非難する。香港の国会にあたる立法会の9月の選挙では、親中派が議席を減らす一方で、民主派が重要議案を阻止できる3分の1超の30議席を獲得した。2氏が問題とされたのは、議会活動に入る前の就任宣誓だ。2氏は「香港は中国ではない」という横断幕を掲げ、規定の宣誓文を勝手に読み替えた。中国を挑発する侮蔑的な表現も盛り込んだ。立法会議長は当初、宣誓のやり直しで事態の収拾を図ろうとしたが、香港政府は宣誓の差し止めを求め、議員を司法提訴した。全人代常務委はこの香港での裁判も頭ごしに、香港の憲法にあたる基本法の「解釈権」を行使し、2氏の議員資格剥奪を判断した。2氏の言動は軽率だったろう。中国や香港の当局が隙あらば、と本土派を狙っていたことは明白である。こうした不信と不寛容の積み重ねは、香港、台湾ばかりか、中国国内の政情不安も招くことになる。中国不信の負の連鎖は、決して強権で断ち切ることはできないと知るべきだ、としている。

トランプ氏が大統領に選ばれる理由を考えた時、同じ話題を話しているはずの3つの社説を見て、日本の感覚では次のアメリカに対峙するのは苦痛になるだろうし、次の時代が欲したものに応えられないな、と感じる。感情。この言葉を、私はこれから相当意識すべきだと思い知った。Wall Street Journalが、日本の2紙とは違う指摘の点を挙げている。大事な一文は失職した2人の議員の行動に対して「この行動は民主派の人たちからも反感を受け」という事実に着目した部分。読み進めてこの文に出逢った瞬間、私の感情は一気にリアリティと偏向への中和を感じた。そして「中国共産党がしくじっている」という感情に行き着く。日本の社説には、事実よりは自らの模範解答に埋め尽くされている。これだと、相手の気持ちが揺れない。ドアを閉じたくなる。
香港は、やがて大きな反発を大陸と繰り広げるだろう。その原因を作ったのは大陸自身。そう言わせるような抑圧が目立つ。中国が恐れているのは、当然、香港からはじまるドミノのような崩壊だろう。その弱点を補う締めつけが、さらに香港の反感を招いている。余裕。いま、中国にもっとも必要なものだ。

読売新聞・社説
参院1票の格差 踏み込み過ぎもある高裁判決

初めて「合区」を導入し、「1票の格差」を最大3・08倍に縮小した7月の参院選を巡り、全国の高裁に提起されていた16件の訴訟の判決が出そろった。「違憲状態」が10件で、「合憲」は6件である。合区により、都道府県単位の選挙区を変更したのは前例のない試みだ。4・77倍だった前回まで、数十年間も5倍前後で推移した最大格差を大幅に改善した。こうした点を踏まえ、選挙区間の格差の現状を合憲と結論付けた判決には合理性がある。一方で、「著しい不平等状態」と認め、違憲状態とした判決は、国会の努力を軽視しているのではないか。参院選を「不平等状態」とした判決が、その根拠として、2倍未満という衆院選の区割り基準を持ち出しているのも疑問である。定数が衆院の約半分で、3年ごとに半数が改選される参院の固有の事情に対する理解を欠いている。自民党は、国政に地方の声が届かなくなるとして合区の解消を主張する。憲法を改正して参院議員の地域代表の性格を強め、全都道府県から最低1人を選出する案が軸だが、公明党などは慎重だ。残された時間は多くない。与野党は、衆参両院の役割分担を含め、議論を急ぐ必要がある、としている。

結果が出ていないのに、努力したのだから許容せよとは、新聞が言うことではない。裁判所が求めているのは公平さであり、それが数値として達成されていない現実が是正されるまで、永遠に違憲だ。それを直すのが国会の仕事のはず。間に合わせでやっただけで、まるで足りないというのが投票する側の感覚だろう。

毎日新聞・社説
博多の道路陥没 都市の地下利用に警鐘

5車線の目抜き通りがごう音とともに崩れ落ち、周辺の電柱や信号機も大きな穴に吸い込まれた。福岡市のJR博多駅近くの市道がきのう早朝、約30メートル四方にわたって陥没する事故があった。陥没したのは福岡市地下鉄の延伸工事現場だった。地下約18メートルでトンネルを掘る工事をしていた午前5時ごろ、水漏れが始まったという。地下水が流れる地層を掘削したことで、流れ込んだ大量の水によって道路下の土砂が流出した可能性が指摘されている。今回の事故は大都市の地下利用のあり方に警鐘を鳴らした。事故によって停電やガス漏れが発生した。市は下水道の使用もできるだけ控えるよう周辺住民に要請した。NTTの固定電話や銀行のオンラインシステムにも影響が出た。こうしたインフラが地下に埋設されているためで、都市機能のもろさを示した形だ。地下鉄の工事など現在進められている現場は安全なのか。工事が終わった後の維持管理はしっかり行われているのか。国土交通省を中心に、国や自治体は早急に点検を進めてほしい、としている。

どうも一般の感覚とはずれている。危機意識は芽生えたが、迅速な対応、冷静な市民への称賛が多かったが。国土交通省?国?そういう次元で話すと、こういう事故はさらに増えるだろう。
最近、無益な社説を連発している。役に立たない新聞は、意見が合わないよりタチが悪い。

日本経済新聞・社説
課題多い加工食品の産地表示義務付け

政府は国内で製造されるすべての加工食品に、原材料の産地表示を義務付ける方針だ。消費者が商品を選ぶさいの、目安のひとつにはなるだろう。新たな表示案は、消費者庁と農林水産省が設けた有識者会合で議論した。内閣府の消費者委員会の審議などを経て、2017年夏をめどに新しい基準を公布するという。実施はそのさらに先となる。表示が義務付けられるのは、原材料のうち重量割合が最も高いものだ。例えばハムなら豚ロース肉(アメリカ)などとなる。現行では表示の義務付けは、うなぎのかば焼きなど一部商品にとどまる。これが一気にすべてに広がる。最大の問題は、例外規定の多さだ。加工食品の原材料は、産地が頻繁に変わり、多数の国にまたがることが多い。そのため過去の実績などから使う可能性がある国を「アメリカ又はカナダ」と並べたり、国名の代わりに「輸入」と表記したりするのを認める。新制度を導入する背景には、環太平洋経済連携協定(TPP)がある。「国産」の表示により、割安な輸入食品に対抗する狙いがあるとされるが、外国から「保護主義的な動き」と批判される恐れがあるのではないか。農漁業の競争力強化に逆行するリスクもある。何のための食品表示なのか。この原点を改めて確認することが大切だ。拙速な導入は慎み、効果と副作用の両面について議論を尽くす必要がある、としている。

これは、国民のニーズからだろうか?産地を気にして買うという消費行動も聞いたことがあるし、表示でコスト上昇しそう、多大な負荷をかけそうなものに例外を設けたということだろう。大した利便性や安全性の向上になるようには思えないが、小粒に安心できる気もする。これで、経済効果はどれくらいだろう?算出して取り組んだのだろうか?
いまの政治がやろうとしている改革とは、こういう類いのものなら、いまのペースではまるで足りない。これくらいの改正を、月に10や20やってくれるなら、小粒でも歓迎する。それができないなら、大きな変化を進めなければ、インパクトはまるでない。過半数持ってる与党としては、小さいな、と思う。

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