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2785.報道比較2016.11.7

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「もったいない」は美徳でもいい。「あきらめが悪い」は迷惑を越えて破滅の前兆だ。見極めるべし。

読売新聞・社説
地方の鉄道網 事業者と住民で将来像描こう

高齢化や過疎で存続が危ぶまれる地方鉄道をどうするか。事業者と住民が協力し、「地域の足」の将来展望を描くことが重要である。経営不振の続くJR北海道が年内にも再建策を打ち出す。極端に乗客の少ない根室線・富良野―新得間など3線区を廃止して、バスに転換する案を沿線自治体に諮るとみられる。このほか、運賃値上げや乗降客の少ない駅の廃止なども検討している。1987年の国鉄分割民営化では、1日1キロ当たりの輸送人数が4000人未満の路線は原則廃止とされた。JR北海道は現在7割が該当し、廃止を検討する3線区は、いずれも200人を下回る水準まで落ち込んでいる。沿線自治体などが線路や駅などの施設を取得し、運行する鉄道会社の負担を軽減する「上下分離方式」も一案だ。国土交通省によると、全国約90社の地域鉄道の7割超が営業赤字だが、施設保有経費を除けば8割が黒字化する。政府には、上下分離方式に対する補助金や税の優遇措置を組み合わせるなど、改革に前向きな事業者や自治体を後押しする一層の取り組みを求めたい、としている。

月曜らしい、深い内容の社説だ。冷たく考えれば、こうして過疎地からは動線も費え、クルマさえ動かせない人は移住し、街が消える。それを必死に止めるべき場所と、集約を目指してあきらめる場所の選別がはじまる。これは、やがて都市部にも起きるに違いない。高齢化は、効率の追求と、人の集約が進む。その時、こだわり過ぎずに捨てる、あきらめる能力が求められるはずだ。

日本経済新聞・社説
アジア企業の力を生かして経営改革を

中国や韓国、台湾などアジア企業の追い上げは過去四半世紀にわたり日本メーカーの悩みのタネだった。素材や造船、電機など幅広い業種でアジア勢の攻勢に日本企業が苦戦し、世界市場での存在感が薄れたのは事実である。一つの道は将来の展望が見えない事業を整理する際にアジア企業を受け皿として活用することだ。その先駆けが11年前にパソコン事業を中国レノボ・グループに売却し、安定した収益の見込める法人向けIT(情報技術)サービスに軸足を移した米IBMである。海外企業への事業売却については経済産業省が「国内の貴重な技術が流出する」として待ったをかけることも多かったとされる。この懸念は一面でもっともだが、過剰な介入は経営の自由を制約し、事業構造の転換を押しとどめ、経済全体のダイナミズムをそぐ恐れもある。関係当局はこうした弊害に留意すべきだ。もう一つの道はアジア企業と手を結んで、彼らから学習し、その強みを取り込むことだ。シャープのようにアジア企業の傘下に入る日本企業も今後増えるだろう。外資アレルギーは根強いが、資本の流入は新たな経営人材や経営手法を日本が受け入れるチャンスでもある。伸びるアジアの勢いを上手に生かして、日本企業自らの力に変えたい、としている。

日経の社説もまた、読売のものと似た文脈だ。捨てる技術、能力というトピックは最近増えているが、いらないものを捨てるのは簡単だ。いるものを決断して捨てる能力は、日本人には欠けていると思う。「もったいない」を美徳と呼ぶが、使える状態で、譲る、活かす発想が足りない。所有欲、占有欲が強いとも言える。これは、中国に勝てなくなった理由のひとつだ。人口が減る、労働力が減る中で、同じものを求めるなら、膨大な努力が必要になる。その努力を、私たちは拒絶してきた。巧い方法はないかと模索したが、うまくいくことはなかった。何かをあきらめるしかないことくらい、そろそろ判っているはずだ。

朝日新聞・社説
廃炉費の負担 原発優遇は理が通らぬ

経済産業省は、事故を起こした東京電力福島第一原発の廃炉費の負担案を有識者会議で示した。自由化で参入した「新電力」に、その一部を払わせる内容が含まれている。福島第一以外の原発でも、老朽化で早めに廃炉する場合、費用の一部を新電力に負担させる案を経産省は既に示している。福島第一の廃炉費は少なくとも数兆円にのぼるとみられるが、経産省は「国民負担増にならない形にする」と強調する。東電に経営効率化を求め、自力で費用を確保させるという。ただ送配電部門については、効率化で浮いた分を優先的に廃炉費に回せる新制度を提案した。経営努力で利益が膨らめば託送料金を下げるのが今のルールだが、特例を設けて値下げせずに済むようにするという。廃炉費はもともと発電関連のコストだが、経産省案ではこれを送配電部門にも混ぜ込む。その結果、東電の送電線を使う新電力も、本来より割高な託送料金を払わされる。政府や電力大手は長年、原発のコストの低さを強調してきた。それなのに、廃炉という必要不可欠な費用を競争相手につけ回しするのは、虫が良すぎないか、としている。

以前から、廃炉負担を新電力に負担させる案への反発を朝日は主張している。主張内容は徐々に的を得てきた。ただの批判や負担増への文句ではない。エネルギー政策を出せない政府に、問題点のみ上げているのは適切だ。経済産業省の案は、完全に詭弁。どう見ても国民負担が増えているし、原発は発電コストという論理は誰が聞いても正しい。負担増を強いるなら、決めるべきは将来像だ。さらに核燃料サイクルに取り組む、核のゴミの始末を先送りするという発想は許されないだろう。これは東京電力の経営の問題ではなく、政治の怠慢だ。

産経新聞・社説
年金抑制法案 若者世代にツケは回せぬ

年金額を抑制する年金制度改革関連法案の審議が始まった。現在の高齢者への給付額を減らし、若者世代が将来受け取る水準が想定以上に下がらないようにする内容だ。世代間のバランスを考えれば、避けて通れぬ課題である。年金額は、毎年の物価や現役世代の賃金の変動を踏まえて見直される。現行制度では賃金が物価より下落した場合は物価分しか下げず、賃金が下がっても物価が上がれば据え置かれる。新ルールでは賃金が下落すれば連動して減らす方式に改めようというのだ。懸念されるのは、野党の攻勢に押されて与党にも及び腰の姿勢が見えることだ。高齢者の反発を買いたくないのだろうが、ここで高齢者におもねっては年金未納者がさらに増え、若者の年金不信が拡大しかねない。最も避けるべきは世代間対立をあおることだ。将来を見据えた冷静な国会論戦が必要である、としている。

昨日の読売から一歩踏み込んで、与党内の弱腰を指摘している。この先、どこまで指摘をつづけられるかだが…産経も頼りにはならない。年金を現在の高齢者に減額できないなら、破綻のデッドラインはどんどん近づく。若者の年金不払いはさらに増えるだろう。破綻の現実味が増えるほど、不払いは増える。そして実際に破綻が現実に近づいた時、もっとも困るのは?年金受給者だ。下手に延命して、年金制度が誤ったまま延命するよりは、私はさっさと破綻するのも一考だと思う。いずれにしても、知恵を出すべきは政治だ。

毎日新聞・社説
2%物価目標 政府こそ失敗の検証を

日銀が、また物価見通しを下方修正した。目標とする上昇率「2%」の達成時期は7月時点の予測から約1年後ずれし、「2018年度ごろ」となった。延期は5度目で、黒田東彦総裁の5年の任期中に目標達成が困難なことを認めた形だ。物価上昇目標「2%」は、12年末の衆院選で、「デフレからの脱却」を掲げ政権奪回に挑んだ自民党が公約に明記した。日本経済の実力に照らせば高すぎる2%の目標を、13年1月、日銀との共同声明に盛り込んだのは安倍新政権だ。政府は日銀に早期のデフレ脱却を求める一方、自らは「持続可能な財政構造を確立する」と財政再建を誓った。しかし、消費税率の引き上げは2度先送りし、年間予算も過去最大規模に膨れあがっている。財政が市場の信認を失い、国債価格が急落(長期金利は急騰)した時に経済が受けそうな衝撃はかつてなく高まっている。破綻が明らかになった政策を、点検もなく掲げ続けることは無責任極まりない、としている。

最近の毎日は、本当に遅い。日銀がこのリリースを出したのは11.1。もう1週間経とうとしている。これは新聞ではなく週刊誌のペースだ。危機的状況だ。経営が回っていないのだろうか?

人民網日本語版
輸出入の下ぶれ圧力は引き続き大きい 第4四半期 (2016.11.4)

商務部(商務省)の総合司と国債貿易経済協力研究院がこのほど共同で発表した「中国対外貿易情勢報告(2016年秋季)」によると、今年第1~3四半期(1~9月)の輸出入の減少幅は四半期ごとに縮小し、人民元建てで計算すると、第3四半期(7-9月)は前年同期比1.1%増加し、増加率は第1四半期(1-3月)を8.3ポイント、第2四半期(4-6月)を1.3ポイント、それぞれ上回った。比較の対象となる2015年9月以降の月間輸出入の基数が全体として高めだったため、第4四半期(10-12月)も輸出入にかかる下ぶれ圧力は引き続き大きいことが予想されるという。中国国際金融股フン公司(フンはにんべんに分)の陳健恒アナリストは、「今年第3四半期以降、対外貿易輸出先導指数は改善傾向が続いた。これは先に人民元の実質有効レートの低下が輸出を活性化したことが原因とも考えられるが、同レートが徐々に安定に向かうにつれて、今後は人民元値下がりの輸出活性化作用が目立って低下し、輸出は弱々しい動きが続くことが予想される」と指摘する。同報告書は、「今年第1~3四半期には、厳しく複雑な情勢に直面して、中国政府が対外貿易の安定成長と構造調整をさらに後押しする政策措置を打ち出し、各地域と各関連当局が政策を着実に実施し、その効果が徐々に現れてきた。対外貿易は安定回復し好転する動きをみせ、対外貿易の発展に向けた新たなエネルギーが蓄積されて、貿易構造の最適化がさらに進んだ」との見方を示した、としている。

自らの弱みを見出せているなら、誰だって強い。中国が自らの問題点を認識しているなら、リスクは減少に向かうだろう。私が中国経済で気になるのは輸出入ではない。内需と、不動産のようなバブルだ。

Wall Street Journal
中国に忍び寄る年金危機、経済鈍化で迫る足音 (2016.11.4)

中国東北部の斜陽産業を抱える地域では、退職者向け年金プランに拠出できずに窮地に陥いる企業が増えている。経済鈍化が年金危機を深刻にしている形だ。高齢化が訪れる前に豊かになるという中国の希望は実現性が薄らいでいる。現在、65歳を超える退職者1人を労働者7人強で支えている計算だ。しかし国連のデータによれば、35年後には退職者1人をわずか2人で支えることになる。世銀のデータだと、さらに厳しい状況が待っているという。中国政府は、退職年齢を現在の男性60歳、女性55歳(一部はもっと早く退職している)から引き上げる計画を来年発表するとしている。しかしこの提案は強い抵抗を受けており、実施には何年も先になるとみられている。もう一つの検討中の措置は、外国の資産運用会社が強い関心を抱いているもので、企業や個人が拠出する「401k(確定拠出年金)」のような年金プログラムの拡大だ。この種のプランの大きな魅力は税法上の特典だ。だが世銀エコノミストのフィリップ・オキーフ氏(中国の年金制度に関する書物の共著者)によれば、中国ではそれはさほど重要な意味を持たない。中国では所得税を支払っていない人々の比率が相当高いからだ、としている。

まるで、日本が通った道をそのまま追うように見える中国。似た運命をたどることは以前から言われていたが、そのペースはますます早まっている。ペースが早くなるほど、国民の反発は激しい。まして、中国の政治は一党。鬱憤はすべて中国共産党に向かう。日本でさえ、すでに詰んでいるように見える。どこが一番の問題かといえば、決断が遅いことだ。問題が悪化する時間より、解決への決断に時間を使えば、いつか地に墮ちる。日本はまだそんなことをしている。中国も同様だ。決断は早いように見えるが、短絡的だ。だから、いつも問題が増えて返ってくる。手段が減るスピードも早い。今のままでは、中国の衰退が日本を追い越すのではないか?

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