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2784.報道比較2016.11.6

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醜い争いも、ようやく結末を迎える。日付変更線の関係から、日本のマーケットが選挙結果速報のインパクトをもっとも強く受けるのは、いつもの運命。ニュースとともにマーケットに注目したい。

朝日新聞・社説
東京五輪 「本丸」改革を忘れるな

2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、一部の会場選びが論議の的になっている。各競技ごとの個々の計画を精査することは大切だが、この巨大な事業全体の成功を期すためには、同時にもっと大きな視座で急ぐべき改革がある。全体の構想と準備の進み具合を常に見渡す「仕切り役」を明確に決め、東京都や国、大会組織委員会などの分担と責任の所在をはっきりさせることだ。新国立競技場の迷走やエンブレム選考問題は、まさに不透明な過程による過ちだった。同じ失敗を繰り返してはならない。一方、小池知事が投じた一石には功績もあった。開催費が膨らむ危機感が共有され、工夫次第で会場整備費を削れることがわかった。復興五輪という意義にも再び光があたった。作業部会は、輸送や治安対策も含めた全体のコスト削減も議論したようだ。だが、都の報告書が指摘した「社長と財務部長のいない」運営体制については改善の気配が見えない。五輪・パラリンピックは、その開催都市がホストとして大きな責任をもつ以上、知事が論議を率先するのは自然な流れだ。だが、全体の責任の所在を決める改革こそ知事には求められている。そのために国や組織委は前向きに協力すべきである、としている。

論点は適切だと思うが、問題点は私の感覚とは違う。単純に、国政と組織委員会がずるいのだ。問題が持ち上がったから「我々に権限はない。メイン・プレーヤーではない」と逃げ回っている。仕切り役だったはずが、うまく仕切れないから逃げ出している。ならば、権限を仕切れる人にリーダーをスイッチするのが適切だ。それを東京都に兼任させればいいだけなのだが、権力を都に渡すにはかなり抵抗しているのが組織委員会だ。この意味不明な権力闘争を、小池氏がデータで仕切っている。朝日を含めたメディアが、権力の争いや政局のように表現しながら、社説で「協力しろ」と正論を言うのがおかしい。組織委員会や国政同様、まともに機能していないのはメディアだ。

人民網日本語版
習主席「パリ協定」発効で国連の潘事務総長に祝電 (2016.11.5)

習近平国家主席はこのほど国際連合の潘基文事務総長に祝辞を送り、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の発効を祝った。習主席は、「2015年12月に『パリ協定』が成立して以来、国際社会は協定ができるだけ早く発効するようはたらきかけてきた。中国は今年4月22日の『パリ協定』署名期間の初日に協定に調印し、9月3日に協定を批准した。中国が開催国として主要20カ国・地域(G20)首脳会議(杭州サミット)を主催した際には、気候変動問題に関する主席声明を初めて発表し、『パリ協定』への調印を推進するための政治的な支援をうち出した」と強調した。また習主席は、「『パリ協定』は世界が協力して気候変動問題にあたる新たな段階を切り開いた。中国は革新・協調・グリーン・開放・共有の発展理念を堅持し、グリーン・低炭素・循環型の発展の推進に力を入れ、有力な行動を取って気候変動に対応していく。中国はこれからの地球の気候対策のプロセスに十分な信頼感を抱いており、各方面とのコミュニケーションや協力を強化し、協力・ウィンウィンに基づき、公正で合理的なグローバル気候変動対応メカニズムを構築するために貢献していきたい」と強調した、としている。

中国は、パリ協定にどれだけの戦略を持っているだろう?今までのシナ海へのアプローチ、シルクロード、中東対応などを見る限り、人民網で主張されるほど深い思慮を感じたことはない。行き当たりばったりではないが、アメリカやロシアほどの高度な戦略はない。アメリカと共同したい、世界にアピールできる実績をカネで買う、国家予算を使うネタが欲しい…これくらいのレベルで済んでくれるなら、日本の出遅れは杞憂に終わる。そう願いたい。祝電や国連へのアピールなど、外交では何の役にも立たない。自身で悦に浸ればいい。

毎日新聞・社説
パリ協定発効 出遅れ挽回に力尽くせ

地球温暖化対策の新国際枠組みである「パリ協定」が発効した。協定は、今世紀後半に二酸化炭素(CO2)など世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指している。世界は化石燃料に依存する文明からの脱却に向けて歩み出した。日本は批准手続きが遅れ、発効に貢献できなかった。近く国会で承認予定だが、モロッコで7日に始まる国連の気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)の開幕には間に合いそうにない。批准を急いだ米国や中国、インドなど主要国に比べ、大きく出遅れてしまった。この失態を挽回し、温暖化を巡る今後の国際交渉で存在感を示すには、今世紀後半を見据えた長期的な脱炭素戦略の具体化を急ぎ、世界に示していくしかない。温暖化対策の柱となる再生可能エネルギーのコストは大幅に低下し、世界的に有望な産業となりつつある。一方、日本ではCO2の排出量が多い石炭火力発電所の新設計画が相次ぐなど、再エネに力を注ぐ世界の潮流に乗り遅れている。政府は、温室効果ガスを30年までに13年比で26%削減する国際公約に加え、50年に8割削減する長期目標も掲げるが、具体策はまだない。政府が世界の動きを先取りし、50年目標の実現に向けて長期的な脱炭素戦略を打ち出せば、日本企業にとっても好機となるはずだ、としている。

いまさら何を…臨時国会が決まった時に提言するべきことだ。社説として役に立っていない。

産経新聞・社説
山本農水相 TPPへの信頼を損なう

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の承認案は、民進、共産両党が退席する不正常な状況の下、衆院特別委員会で可決された。混乱の原因は、山本有二農林水産相の相次ぐ失言である。山本氏は先月、強行採決が選択肢になるという趣旨の発言をして撤回、陳謝した。その舌の根も乾かぬうちに「こないだ冗談を言ったら首になりそうになった」と軽口をたたいた。政府与党は週明けに、衆院通過を図る構えだ。山本氏に国会答弁を続けさせれば、TPPや法案審議に対する国民の信頼を損なうことにならないか。安倍晋三首相は熟慮すべきだろう。1強多弱」の政治状況は、有権者が自民党に政策遂行の力を与えたものだ。だが、資質を欠く人物の不適切な言動は、おごりの表れと受け止められる。それは与党自体が数を頼み、ごり押ししている印象をもたらしかねない。TPPに関わった甘利明前経済再生担当相、西川公也元農水相も辞任した。安倍首相は任命責任の重さを再認識すべきである、としている。

パリ協定をTPPより優先したのなら、産経の価値観は正しい気がする。無能な大臣への批判よりは、国際社会が取り組む地球温暖化への対応が正しいのかを考えるべき時だ。できれば、これを毎日同様、臨時国会の開会前に言って欲しかった。いま言っても、何の役にも立たない。

読売新聞・社説
年金改革法案 将来世代の給付改善が重要だ

少子高齢化が進む中、年金制度を中長期的に維持するには、世代間で痛みを分かち合うことが欠かせない。年金を「政争の具」とせず、建設的な議論を展開することが重要だ。年金改革関連法案が衆院で審議入りした。年金額の改定ルールを見直し、将来世代の給付を改善することなどが柱である。現行制度では、現役世代の保険料水準を長期的に固定し、その範囲内で高齢者に給付している。今の高齢者に多く支払えば、それだけ将来世代の取り分が減る。そもそも、今の高齢者に比べて将来世代の給付水準は2~3割低下する見通しだ。この差をいかに縮小し、世代間のバランスを取るかが年金制度の最大の課題だ。疑問なのは、民進党が「年金カット法案」と批判することだ。目先の年金額のみに注目し、長期的視野を欠いた、的外れの主張である。民主党時代に年金を争点化し、国民に支持された成功体験の再現を狙っているのだろう。デフレ下での実施が制限され、年金水準が高止まりしている。このため、抑制できなかった分は繰り越し、物価上昇時にまとめて差し引く方式にする。ただ、これではデフレや低成長の下では繰り越しが続くだけで、不十分だ。経済情勢にかかわらず完全実施すべきである、としている。

民進党の批判はどうでもいいので、高齢者の年金が減る法案を与党が本当に成立させられるのかを読売は注視して欲しい。おそらく、どこかで腰砕けになって民進党と同じ年金減額には慎重な結論に落ち着くだろう。自民党を応援する立場なら、しっかり進言して欲しい。

日本経済新聞・社説
企業の萎縮招かない情報開示ルールに

株式市場はさまざまな投資家の売買を通じて、企業の成長に必要な資本を効率的に配分する場だ。企業情報が適切に開示されなければ、市場の公正さを保つことはできない。金融庁が金融審議会の場で、企業の情報開示に関する新ルール策定に乗り出したのはそんな考えに基づく。金融審で議論が始まったのは「フェア・ディスクロージャー・ルール」と呼ばれる制度だ。企業が特定のアナリストや投資家などに未公表の重要情報を提供した場合、同じ内容を速やかに公表させるという中身だ。米欧にはすでに同様の制度がある。資本市場のグローバル化に対応するには、情報開示の取り決めも海外と歩調を合わせたほうがよいのは確かだ。未公表情報に基づく不正の防止についてはインサイダー取引規制がある。さらに、上場企業は業績修正などの重要情報が発生した場合、証券取引所の適時開示システムで速やかに公表するよう求められている。そのうえで、さらに企業にどのような情報開示を求めるべきかは慎重な議論が必要だ。あまりに広範で細かい情報の開示を求められたり、罰則が厳し過ぎたりすると、違反を恐れた企業が広く市場関係者との会合を避けるといった事態も考えられる。軌道に乗り始めたガバナンス改革が後退し、資本市場の機能がかえって低下するようなことがあってはならない、としている。

マーケットのルールに関しては、投資する側としては、金融庁の感覚よりさらに厳しい内容を期待したい。東芝の事件が起きる前、私は日本株のパフォーマンスが海外に比べて見劣りするので、距離を置いていた。そして、東芝後。興味は戻らない。ETFでインデックスに投資する、一歩進んでCFD…官製相場の様相の今、それくらい冷めている。売買代金も低下している中、誰に対しての情報開示なのだろう?正すべきは金融庁よりは日銀ではないだろうか?

Wall Street Journal
米大統領選当日、速報は何に注目すべきか (2016.11.4)

米大統領選はすでに接戦の様相を呈していた。とはいえ、この異常な選挙戦が大きな注目を集めたまま大詰めを迎えることになったのは、連邦捜査局(FBI)が民主党候補ヒラリー・クリントン氏のメール問題への捜査を再開するという電撃的なニュースのせいだ。共和党候補ドナルド・トランプ氏の支持者は熱狂し、クリントン氏の支持層は意気消沈した。では、選挙当日、われわれはどんなことに注目すべきなのか。出口調査では次の2点に注目してほしい。まず、白人有権者のあいだでトランプ氏がどれほどの票を獲得しているかだ。トランプ氏の戦略では、2012年のミット・ロムニー氏を上回る59%以上の白人票を獲得することが不可欠となっている。大学教育を受けた白人は伝統的に共和党候補を支持してきたが、トランプ氏はその支持を得るのに苦戦してきた。トランプ氏はロムニー氏のように大卒者全体の51%の票を獲得できるだろうか。次に注目すべきは、マイノリティーやミレニアル世代のあいだでクリントン氏がどれぐらい健闘しているかである。今年の大統領選の最重要州はフロリダ州だ。過去6回の大統領選では、18の州とワシントンDCを常に民主党候補が制してきた。クリントン氏がその「青い壁」で242人の選挙人を確保すれば、あとはフロリダ州の29人で勝利に必要な270人に達する。トランプ氏がホワイトハウスへの道を残しておくためにはフロリダ州で勝たなければならない。フロリダ州の投票速報と期日前投票の結果は重要な指標になるだろう。フロリダ州の最終結果が出るのは夜遅くになる。共和党の地盤であるパンハンドル地域が中部時間帯に含まれているからだ、としている。

こういう記事を、日本のメディアでは、新聞だけでなくテレビを含めても見たことがない。実に楽しめる。
とはいえ、今年のアメリカ大統領選挙のドラマは醜いものばかりだった。心を打たれるような話は記憶にない。日付変更線の関係から、日本のマーケットが選挙結果速報のインパクトをもっとも強く受けるのは、いつもの運命。ニュースとともにマーケットに注目したい。

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