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2774.報道比較2016.10.27

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10月危機を唱えていた人たちは、安堵しているだろうか?残念がっているだろうか?ならばリスクが減ったかといえば、まるで。どんどんひどくなっている気がする。

朝日新聞・社説
象牙取引規制 日本がするべきことは

アフリカゾウを密猟から守るには、象牙の輸出入を禁止するだけでは足らない。各国の国内での売買もやめて、取引自体を根絶やしにするべきだ――。今月初めまで南アフリカで開かれたワシントン条約締約国会議で、中西部・東アフリカ各国からそんな決議案が出された。絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引について定めるのがワシントン条約だ。国内での取引まで規制する案は、一歩踏み込んだ内容だった。しかし決議案は結局、閉鎖対象を「密猟や象牙の違法取引の原因となっている国内市場」に限り、採択された。アフリカゾウの数が安定している南部アフリカ各国の声が背景にある。国内に大量の象牙があり、売買されている日本もこの修正を後押しした。「持続可能な利用」はワシントン条約も否定していない。ただ、自らの居住まいを正し、不正取引が横行する国に監視を指導するぐらいでないと、主張に耳を傾けてもらえなくなる、としている。

NHKを含め、象牙に関するいくつかの情報を眺めてみた。江戸時代からつづいた仕事を途絶えさせたくないという意見は説得力があるように見えるが、失礼を承知で感じたのは、消費者側の視点、地球視点で見ると、弱い。人間より象が尊いとは思わないが、原料は他に代替品を探す努力をした方がいい気がするし、そうやってあらゆる負荷を下げていったり、効率を上げたりするのも営みとしての大事だと思う。
捕鯨にも通じるが、文化や歴史が成立するには、世界の価値観の中で受け入れてもらえる努力は、人として大切だ。誤解を恐れずに言えば、その努力は、歴史よりも重いと思う。

毎日新聞・社説
宮城・大川小判決 命を預かることの重さ

東日本大震災の津波で74人の児童と10人の教職員が死亡・行方不明になった宮城県の石巻市立大川小学校を巡る裁判だ。うち児童23人の遺族が市と県に23億円の損害賠償を求めたのに対し、仙台地裁は遺族全員に約14億円を支払うよう命じた。東日本大震災で、学校にいた児童がこれだけ多数犠牲になった例はほかにない。学校保健安全法は、学校防災マニュアルの作成を各学校に義務付け、校長にはマニュアルの周知や訓練の実施など必要な措置を講じるよう定める。だが、防災への力の入れ方は自治体や学校によってばらつきがあることが東日本大震災で浮き彫りになった。大川小でも防災対策を10年度に見直し、津波対応を追加したが、津波を想定した避難訓練や引き渡し訓練は一度も行われていなかった。沿岸部の学校が津波の想定を新たにマニュアルに加えたり、防災教育を授業に取り入れたりする取り組みが今、全国各地の学校で進められている。学校で子どもの命を守るために何をすべきか。今回の判決はそれを問い直す第一歩だ、としている。

学校にそれだけの負荷をかけるのかと、最初に文字だけを見た時は思ったが、Podcastで様々な情報を聞いたら判決の意味も判った。被害に及ぶまでの状況が、あまりに粗雑で、未だに謎や秘密が多い。この事例は特殊だと感じた。これが学校への不信や、過大な負担をかけないことにならないかと危惧する。

産経新聞・社説
駆け付け警護 積極平和主義の具体策だ

政府は、陸上自衛隊の南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣を来年3月末まで延長した。これに合わせ、11月に出発する11次隊に対して「駆け付け警護」や「宿営地の共同防護」の新任務を課すことは妥当である。「宿営地の共同防護」は、近くに駐屯する他国軍のPKO部隊と協力して守り合う。これらの行動は、日本以外のどの国の軍隊も禁じられていない。部隊行動の選択肢に含めておくことは、軍事上も人道上も自然なことといえるだろう。むろん、自衛隊のリスクは一定程度高まるが、それを新任務付与を妨げる理由にはできない。これまで駆け付け警護を封じてきたのは、国際常識からかけ離れた憲法やその解釈による制約が大きかった。そうした状況が、国際協調行動を難しくしていたことにも目を向けることが重要だ。リスクの増大を正直に認め、それに見合う万全の対応をとることについて、政府が国民により丁寧に説明することも欠かせない、としている。

昨日の朝日と稲田氏にぜひ読んで欲しい主張だ。産経の主張に同意する。リスクは増えるが、日本が果たすべき責任と比較すれば許容範囲にあると考える。今回、そのリスクを取りに行く決断をすると、なぜ素直に言わないのか。最悪の防衛大臣だ。

日本経済新聞・社説
3期9年だからこそ自民は世論に敏感に

自民党は総裁の任期を「連続2期6年まで」から「連続3期9年まで」に改めることを決めた。これで日本の政治はどう変わるのだろうか。長期政権への道が開ければ政権運営はしやすくなる。国際社会での発言力も場数を踏むほど高まろう。現憲法が施行された1947年以降、日本の首相は31人。同期間に米大統領は12人、ドイツ首相は8人だった。日本のリーダーの短命ぶりは際立っている。ただ、日本ならではの特殊事情も考慮する必要がある。民主国家では与野党の入れ替わりがよくあるのが普通だが、日本は過去60年余のほとんどの間、自民党が政権の座を占めてきた。その総裁の任期に全く歯止めがないと、不安に思う国民もいるはずだ。このさき大事なのは自民党がどう振る舞うかだ。現在の総裁任期が切れる2018年9月に安倍晋三首相が3選を目指す可能性はかなり高い。政権の長期化にともなって、おごりやたるみが目立てば、民意は簡単に離れる。自民党が今後、世論の動向にどれだけ敏感になれるか。安倍政権の、そして自民党の将来は、それ次第である、としている。

読売新聞・社説
自民総裁任期 「3年延長」で難題に向き合え

自民党は党・政治制度改革実行本部の会合で、党総裁任期を現行の「連続2期6年まで」から「連続3期9年まで」に延長する見直し案を了承した。来年3月の党大会で党則を改正する。安倍首相の総裁任期は、2018年9月までだ。首相がその総裁選で勝てば、任期は21年9月まで延びる。20年の東京五輪を首相として迎えることもできる。06~07年の第1次内閣を含めた在職日数は3500日を超え、明治・大正期の桂太郎首相の2886日を上回って、歴代1位の長期政権となる可能性も出てくる。憲法改正の実現など、中長期の重要課題に、腰を据えて取り組む環境が整うのは確かだ。「安倍1強」が続くことへの懸念もある。だが、首相が国政選挙や総裁選で審判を受けることに変わりはない。臨時総裁選を行うリコール規定もある。党内の支持を失えば、退陣に追い込まれる。首相には、これまで以上に謙虚な政権運営が求められる。リーダー候補を育成しながら、健全な政策論争を展開していくことによって、政治の活力を高めたい

自民党総裁としての任期には、以前からまったく興味がない。安倍氏の総理大臣の任期が2020年を越えることになったのが素直にうれしい。なぜなら、彼には責任を取って欲しいからだ。消費増税、アベノミクスという虚構、財政再建への確かな道筋、憲法改正とその後の日本。なし崩しで消えられるわけにはいかない。

人民網日本語版
党内監督を強化する中で厳格な党内統治を全面推進 (2016.10.26)

第18回党大会以来、党中央が全面的に厳格な党内統治を推し進め、腐敗を厳しく懲罰したことで党内政治活動には確かに新たな気風が生まれ、党の心と民心を得ることができた。そして国家統治の新局面を切り開くために重要な確信を提供している。だがわれわれは、情勢と任務の発展と変化に伴い、党建設強化の一部の制度規定が新たな情勢と合わないという問題も顕在化し、権力を監視・管理する「かご」にまだ一定の抜け穴があることにも目を向けるべきだ。したがって、われわれは時代に合わせて進歩するよう党建設の制度規定を整備し、強化して、党内監督をしっかりと強化しなければならない。党建設を強化するには、われわれは党と国家の大局的観点から、監督システムのトップレベルデザインをよりよく仕上げ、「条例」をより適切で、実用的で、実施可能性を備えるものにしなければならない。そうして初めて党内監督と国による監察、大衆による監督を結びつけ、法律による監督、民主的監督などと協調させ、監督の合力を形成し、国のガバナンスのシステムと能力の近代化を推進することができる。党内監督の強化、全面的に厳格な党内統治の揺るがぬ推進は、戦略的目標「4つの全面」の推進における根本的保障だ。党の第18期中央委員会第6回全体会議(六中全会)が、監督制度の整備から監督方式の革新へなどの面で、党内監督の弱い部分に「処方箋」を出し、全面的に厳格な党内統治の制度化推進にとって重要な準拠となることを、われわれは確信している、としている。

Wall Street Journal
権力集中を強化する習氏 (2016.10.26)

中国共産党の第18期中央委員会第6回全体会議(6中全会)が24日、北京で、4日間の日程で始まった。5年毎に開催される党大会を来秋に控え、党最高指導部の人事などが話し合われる。習氏は、過去4年間展開している反汚職と綱紀粛正のキャンペーンを利用して、毛沢東以降みられなかった手法で、党幹部に対し個人的な忠誠を求めている。このことから、内規で10年に制限されている党総書記の任期を、習氏は延長しようとするのではないかの憶測をかきたてている。内規に従えば、2022年に習氏の後任として総書記に就任する人物は、来年の党大会で党政治局常務委員に選出されていなければならない。中国の成長力は低下しており、財政出動と金融緩和は資産バブルを生んでいる。昨年の主要都市の不動産価格は急上昇し、住宅ローン残高は111%増加した。不動産ブームに伴い、中所得層が住宅を購入するのはますます難しくなっており、社会的な緊張が高まっている。2015年の株式市場の暴落のように、不動産市場はいつか必ず調整に見舞われるはずだが、投資家はそれを政府の責任にするだろう。習氏は前任者から、債務増加や経済成長の鈍化などさまざまな問題を引き継いだ。彼にとって最善の道は、改革に向けて新たなコンセンサスを形成することだろう。党中央委全体会議が独裁体制に向けての動きを強化すれば、世界はそれに対応せざるを得なくなる、としている。

今日の人民網ほど、息苦しく、飼いならされた犬ような社説を見たことがない。もちろん習氏は自分のためでなく、国家のために行動しているのだろう。ということは、どこまでも中国は腐っていて、今でも手を緩めると習氏の足下をすくうか、次の国家主席も汚れ仕事をつづけなければならないほどの惨状なのだろう。トップの言うことなどまるで聞かない。利権だけで事は動く。それを国家に関わる人たちが。阿片戦争と一緒だ。イギリスに貶められたと言い訳できる過去より、今回はすべて自己責任。さらにたちが悪い。その厳しさが、なぜ外交や経済運営にまで強硬な姿勢となってくるのかは判らないが、習氏はまるで海の外を見られない。国内ばかりに気を取られている。

Financial Times
EU分裂期の到来を告げる手痛い失敗 (2016.10.24)

ワロン人を甘く見てはならない。ベルギー南部のこのフランス語圏地域が欧州連合(EU)とカナダの貿易協定を否決したことは、助けを求める叫び声でもなければ、保護された利益を引き出す努力でもなかった。彼らはただ単に協定を望んでいないのだ。EUの議決の規則とベルギーの憲法とが相まって、欧州のこの小さな地域が事実上の拒否権を発動することが許される。筆者はワロン人に喝采を送る。CETAの最大の問題は、仲裁裁判所の創設案だ。判事の報酬はEUとカナダが拠出し、新裁判所はどの国の法制度にも属さない。CETAは多国籍の投資家のために、法的なパラレルワールドを創設するわけだ。最近のEUの根本的問題は、ただ基本的な機能を果たすために連邦政府の構造を必要とすることだ。28カ国が加盟するEUは、事実上やることなすことすべてにおいて機能不全に陥っている。ユーロ圏は恒久的な危機から抜け出せない。EUはロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対して情けないほど弱く、シリアではほとんど存在感がない。そして今や、貿易協定をまとめることさえできないことが分かった、としている。

ヨーロッパとカナダの貿易協定CETAが悲惨な状況に陥っているのは、Wall Street Journalから知っていた。Financial Timesの表現は、ここ数か月、遠回しで論点をぼかす傾向が強まっている。今回も、そのパターン。Wall Street Journalの指摘に、私は同意する。ヨーロッパが憂慮すべきは、次から次に生じる懸念や危機ではない。決められず、先送りにし、プライドだけで無意味な舌戦を延々とつづける。ギリシャも、ウクライナも、難民もブレグジットも、彼らはまるで答えを見出さず、先送りしている。日本の優柔不断、先送り、裏取引は世界に知られているが、いまのヨーロッパはそれよりもひどい。次のアメリカのリーダーには期待できそうもないが、これで世界のリーダーシップの知力は、残念なほどロシア、中国の順に傾く。行動だ。動けないなら、せめて決断だ。今のヨーロッパは、失われた国どころか、眠っているように無防備だ。

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