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2741.報道比較2016.9.24

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公務員に風当たりの強い社説が並んだ。世界中、どこを見ても肩身が狭く、退屈な仕事ばかりの公務員。それでも、なりたい人は尽きない。不思議だ。

日本経済新聞・社説
もんじゅ抜きの核燃サイクルの展望示せ

高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、政府の原子力関係閣僚会議は廃炉を含めて計画を抜本的に見直すことを決めた。年末までに廃炉を最終的に決め、もんじゅに代わる新たな高速炉の開発を検討するとした。政府はもんじゅを廃炉とする一方で、官民で新たな高速炉の開発を検討するという。だが高速炉がなぜ必要なのか。根本に立ち返った議論を求めたい。論点のひとつがプルトニウムをどう利用するかだ。日本には使用済み燃料から取り出したプルトニウムが48トンたまっている。プルトニウムは核兵器に転用でき、国際社会の懸念が強い。プルトニウムを増やさず燃やすだけの高速炉も考えられるが、何をめざすのか。高速増殖炉の見直しは、日本の原子力政策にとって大きな転機になる。核燃料サイクルの意義や実現性、コストなどについても改めて点検するときだ。そこでは透明性の高い議論が欠かせない、としている。

日経は、冷静にもんじゅと原発を見ているようなので、この件ではニュートラルな報道をひきつづき期待している。毎日はヒステリックな反対、朝日は冷静ながら安倍氏への対抗意識が強過ぎる。産経と読売は自民党に寄り過ぎ、電力会社に迎合の傾向あり。以前の原発への姿勢では、広告主への配慮のような、歯切れの悪い主張が日経には目立った。もんじゅにはそこまでの利害がないようだ。
この件が動き出した理由は、自民党が長期政権の中で「勝算あり」と見込んだからのはず。もんじゅをリセットするなら、それ以上の利権を描ける算段があるから動かしたはずだ。それくらい報道関係者なら予測はつくだろう。その利権が、土地なのか、電力なのか、新たな研究開発なのか、外圧なのか…いずれにしても今の自民党安定政権のリレーションで実現できる目論見があるはずだ。
ここに、イノベーションや未来への卓越したロードマップがあれば、これは素晴らしい政治のリーダーシップだ。プリサーマルを最初に考えた人たちは、当時はそう賞賛されたことだろう。だが、哀しいかな、今の日本の政治家は小粒になった。日本全国を豊かにするよりは、自分の周りだけが金持ちになる程度の絵しか描かない。世界の流れも見ずに、自分の得意な領域の知識で進む。すでに世界では後発になりつつあるこの国で、相変わらず国産に頼る。はじめる時の壮大さな計画は得意だが、途中で中止を決断するのは、ご覧のとおり、まるで及び腰だ。そんな環境で、長期安定政権で取り組むと決めた核燃料サイクルの見直し、それだけの絵を描いてくるか、注目したい。報道にはチャンスだ。小粒な政治家の尻尾をつかむのはたやすい。

読売新聞・社説
豊洲盛り土問題 方針転換の経緯が不透明だ

東京都の築地市場の移転先となる豊洲市場の盛り土問題は、混迷の度を深めている。都の調査によると、中央卸売市場の歴代市場長は、「建物下の地下空間の存在を知らなかった」と口をそろえる。土壌汚染対策の柱だった盛り土を建物下では取りやめ、地下空間を設けることを決めた時期や経緯は依然、判明していない。都は方針転換にあたり、専門家の意見を聞くことも怠っていた。全容解明のため、小池百合子知事が追加調査を指示したのは当然だ。月内に最終報告をまとめるという。身内に甘い姿勢があれば、さらなる不信を招く。正確な事実関係を明らかにすべきだ。都はなぜ敷地全体に盛り土を行っていたかのように都議会や都民に説明していたのか。不透明な点があまりに多い。都の市場問題プロジェクトチームは、工事入札の経緯も調査する方針だ。計画変更が工費にどう影響したのかが焦点となろう。安全性を確認する調査は大切だが、過度に不安を煽ることは避けねばならない。市場関係者の意向にも配慮しつつ、冷静に移転問題の論議を進めるべきだ、としている。

追い詰められ、痛みを感じて、ようやくその責任の重さに気づく。行政の責任感は、政治が適切に認識させなければ、こんなものだ。それは、公務員だからではないだろう。世の経営者も、管理職も、親も、教師も…人とは先に起きる問題など知らずに平然と無責任なことをする。する時には、罪の意識などないから、記憶があるはずもない。当時の石原氏の強権的なリーダーシップで、コストのことだけを考えていたのは原因のひとつだろうが、だからといって石原氏を罪人にするのも無意味だ。こんな以前から日本の劣化ははじまっていたか…とさみしくなるばかりだ。
これから大切なことは、急がないことだ。小池氏が言うすべてを、当時の石原氏のリーダーシップのように信じないことだ。オリンピックがあるから、間に合わないから、と、なし崩しに進めないことだ。オリンピックにむけて、何度日本はヒヤリとした現実を味わっただろう?ヒヤリの先には、その数倍の災禍があり得る。今のうちに、徹底的に些細な不安を消し去る必要がある。

朝日新聞・社説
自民総裁任期 忘れてはならない論点

総裁選の歴史は、権力闘争の歴史である。派閥や実力者の綱引きによって、さまざまな党則改正が重ねられてきた。今回は「連続2期6年」の総裁任期を延長したいという。安倍氏に限った任期延長ではなく、将来の総裁すべてに適用する党則改正をめざすという。だが少なくとも当面は、2年後に2期目を終える安倍氏の任期延長が目的である。忘れてはならない論点がある。総裁の任期が首相の任期より優先されている現状だ。これは中選挙区制時代の遺物でもある。有権者が選挙で首相を代えることが難しかった時代には、党内の派閥が総裁選を通じて首相の座を争い、結果として首相の在任期間を調整する意味があった。いわゆる「疑似政権交代」である。だがいま、有権者と首相の関係は変わった。小選挙区制時代の首相は、衆院議員の任期(4年)の間に、総選挙で掲げた公約を実現すべきリーダーとして有権者に信任される。であれば、首相として本来務めるべき任期4年の前に、党総裁選の結果で首相が交代するのは有権者の信任に反する。2大政党の党首選びのルール変更は、首相の選び方の議論でもある。日本の政治をより成熟させ、安定させる論点も、あわせて論じてはどうだろう、としている。

反自民党にしては、適切な提案だと思う。議院内閣制の国家形成でも、総理大臣を国民が選んだ感覚は、国民は持ちたいはずだ。その意味では、たしかに自民党の総裁任期の議論は、政権与党としては考え方が浅い。朝日の感覚の方が国民に近いと思う。

産経新聞・社説
北朝鮮制裁と中国 日米で暴走許さぬ圧力を

安全保障理事会では、「核なき世界」を掲げる米オバマ政権が主導する決議が採択された。包括的核実験禁止条約(CTBT)の採択から20年を迎えたことに伴う動きだが、国際社会にとって目の前の問題は、核実験やミサイル発射を繰り返す北朝鮮の暴走をいかに止めるかである。北朝鮮に強い影響力を有する中国の態度が制裁の成否を決している。新決議に向けて改めて認識すべきである。中朝間の物資の移動が、完全にシャットアウトされていない。中朝国境の貿易状況をみれば、「人道目的」などの例外を許した前回の制裁決議の効果には重大な疑問を持たざるを得ない。この問題を放置したまま従来の延長線上で制裁を強化しても、どれだけの効果を持つだろう。安倍晋三首相が述べた「異なる次元」に達した北朝鮮の脅威に、真に向き合えるかである、としている。

安倍氏の演説はまるで効果がなかったようだが、北朝鮮のリスクと、中国の北朝鮮を題材にした時の国連での態度は、産経の意見に賛同する。昨日の人民網の原稿編集者に、そのあたりを訊いてみたいところだ。国連の常任理事国として、国際社会の平和を守る大事な大国として、対話を前提にするなら対話の場に中国が北朝鮮を連れてくるべきだ。その能力もないのなら、圧力と制裁の外交意義を知るべきだ。実際は理解していながら、何の仕事もしない中国は、北朝鮮問題でやがて大きな後悔をすることになるだろう。

人民網日本語版
中国空軍の遠洋訓練を常態化 戦略のモデル転換を加速 (2016.9.23)

中国空軍の申進科報道官は22日、深セン特区国防フォーラムで「空軍は実戦的訓練水準の向上を牽引に、列島線を飛び越え、東中国海を管理・コントロールし、南中国海を戦闘巡航し、高原で武力を鍛え続けると同時に、ハイテク武器・装備のシステマティックな発展、空軍の戦略モデル転換の量から質への飛躍を加速した」と表明した。「南中国海戦闘巡航」について、申報道官は「南中国海諸島は古来中国領であり、南中国海における中国の主権と権益を侵害することは許されず、空軍航空兵による南中国海戦闘巡航はすでに常態化している。今年7月中旬、空軍は轟-6K機を黄岩島(スカボロー礁)などの島・礁周辺空域に出動して戦闘巡航を行ない、戦闘機、偵察機、空中給油機と共に任務を遂行し、戦闘巡航の目的を達成した。空軍の使命と任務の効果的な履行という必要性に基づき、空軍航空兵による南中国海での戦闘巡航は引き続き常態的に行なわれる」と述べた。近年、先進的戦闘機、大型輸送機、早期警戒機、給油機、先進的地対空ミサイルなど世界先進水準のハイテク武器・装備が相次いで配備され、長距離遠洋作戦能力と情報システムに基づくシステマティックな作戦能力が著しく強化されている」と述べた、としている。

相変わらず、人民解放軍への予算は聖域でコントロールできていないようだ。中国の体制が崩壊するなら、確実に軍は離散する。生産性よりも予算のようだ。インフラ投資と国防費だけは削れないのは、日本も同様なのが哀しいが。

Wall Street Journal
米の自動運転車指針が示す、実用化への長い道のり (2016.9.23)

米デトロイトの自動車メーカーやシリコンバレーのテクノロジー企業は、オバマ政権が20日に発表した自動運転車に関する指針を歓迎している。しかし、機械が完全に人間に代わって運転するまでの道のりは依然長く、さまざまな困難が待ち受けている。今回の指針は法的効力を持つ規制を避けると同時に、自動運転車の発展を妨げないよう、国の指針と矛盾する規則を策定しないことを州に求めている。これは、メーカーやテクノロジー企業側が自動運転車の規制を巡る初期の戦いを制したことを意味する。フォード・モーター 、ウーバー・テクノロジーズ、アルファベット傘下のグーグルといった企業は、完全な自動運転車が5年以内に開発されるとの見方を示唆している。 テスラ・モーターズ は、限られた状況で車体を制御できる「オートパイロット」機能を製品に搭載し、技術というものがいかに急速に組み込まれうるかを示した。この機能は、自動運転に向けた大きな1歩とみられている。連邦政府や州が問題解決に努めるなか、都市も変更に直面しそうだ。全米都市連盟(NLC)によると、長期計画の中で自動運転車の影響について考慮している都市は6%程度にすぎない。同連盟は、当局者が自動運転車の専用レーンを設けるかどうかや、「潜在的に不要な多くの駐車場」への対応を決める必要があるとしている、としている。

どこの国でも、公務員の仕事への不満は変わらないようだ。彼らは、人命と規則の遵守のために最善を尽くしているつもりだろうが、もんじゅ、豊洲市場を見ても、中国軍やインフラへの放蕩ぶりを見ても、無責任で、予算の管理も粗雑、任せておけない人たち…に見える。世界中でそう見えるのだから、これは人格の問題ではなく、その職種はそうなる運命なのだろう。公務員は、もっとも古くからある職種のひとつのはず。それでも未だにこの様。どれだけ管理を改め、システムを変えても、効果は限定的。残念でならない。
もっともいいのは、彼らを減らすこと、アメリカのように小さな政府に向かうに尽きる。道は穴だらけ、消防車は呼んでもいつ来るか判らず、警察より自分で身を守る銃を法が認める。それがしあわせかは、国民が決めることだ。確実なことは、アメリカは今のペースで財政を削減したら、確実にインフラで大事故が起きる。インフラのための増税がやがて必要になる。中国は今のペースで財政投資をしていたら、増税で国家が暴動に遭うだろう。日本は、今のペースで国家が成り立つはずはない。破綻とともに、倍以上の増税か、今の半分の国家運営を選ぶことになる。その時に、一番不幸なのは公務員。だが、文句を言わずに仕事をするのもまた、公務員だ。

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