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2699.報道比較2016.8.13

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シナ海の緊張はつづいている。国内紙の取り上げた問題も、見過ごせないものばかり。論理的に答えを出す能力、議論で答えを出す能力が求められる。今からでも遅くない。

朝日新聞・社説
伊方原発 またも見切り発車か

愛媛県伊方町の四国電力伊方原発3号機がきのう再稼働した。新規制基準のもとでは、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)と関西電力高浜3、4号機(福井県)の計4基に続く。伊方原発は東西40キロ、最大幅6キロ程度の細長い佐田岬半島の付け根にあり、原発の西に約5千人が暮らす。原発のそばを経て内陸部へ通じる国道が命綱だ。周辺自治体と国がまとめた避難計画では、国道が通れなければ半島の港から主に船舶で避難することになっている。だが、多くの集落は海ぎわの傾斜地にあり、土砂災害で孤立する恐れがある。伊方町内には放射線防護対策を施した施設が7カ所あるが、うち4カ所は土砂災害警戒区域にある。避難計画は原発の単独事故が主な想定だ。地震や土砂災害の同時発生もより深く考慮し、それでも住民の安全を守れるかを検証するのは最低限の責務だ。電力会社や国、自治体は、課題にほおかむりしたままの原発再稼働はもうやめるべきだ、としている。

産経新聞・社説
伊方原発 再稼働で安全力高めたい

愛媛県伊方町の瀬戸内海に面して立地する四国電力伊方発電所3号機(加圧水型・出力89万キロワット)が再稼働した。5年前に起きた福島事故後の原発再稼働としては、九州電力・川内(鹿児島県)、関西電力・高浜(福井県)に続く3番目の発電所での5基目に当たる。規制委による原発の安全審査は福島事故前に比べ、格段に厳しくなっている。危険性を極限まで排除した審査に合格した原発の運転に対し、差し迫った危険があると判断することには、そもそも根本的な矛盾と無理があろう。にもかかわらず、伊方3号機の場合は、3地裁に運転停止の仮処分の申し立てが行われているのだから、異常事態と言ってよい。四国電力には、3地裁での審尋で、3号機の稼働による急迫の危険はないことを明確に説明し、誤解を解いてもらいたい。福島事故による原発停止は、長いところで5年に達する。この空白は運転経験のない発電所員の増加を意味している。原発の安全力向上のためにも再稼働促進と継続的な安定運転が欠かせない、としている。

この両紙の噛み合わない主張こそが、3.11からの日本に失望する風景だ。政治は、この状況を放置している。平行線をたどらせ、最後は多数決で決める。合意形成や妥協という建設的な議論は皆無。それと同じ状況が、安全保障でも、高齢化でも、あらゆる問題で見られる。政治だけでもない。株主総会や、教育の行政でも、小さなマンションの自治会でさえ、作為のある資料作り、票読み、委任状争奪が起きる。対立の時こそ、終わった後に結束するためにも、両者の妥協と論理的な議論が必要なのだが、その能力が私たちには欠落している気がする。これは技術であり、能力だ。小学生高学年程度の学力があれば確実に習得できる。この問題に行政が気づくのはいつだろうか?

毎日新聞・社説
ゲノム情報利用 提言を着実な実行に

人々の遺伝子情報を病気の診断や治療、予防に役立てるゲノム医療が世界的に進んでいる。ゲノム情報を医療に役立てていくには、遺伝子検査の手法や精度が妥当であることに加え、分析結果の有用性が科学的に示されている必要もある。有識者会議では、遺伝子検査の科学的根拠を評価する仕組みを日本医学会に設けてはどうかとの提案があった。日本医学会に限らず、専門家集団が評価の基準や指針を示すことは、検査を行う側だけでなく、検査を受ける側にも意味がある。ぜひ、検討してほしい。ゲノム情報を取り巻く社会的・倫理的・法的課題は遺伝子差別にとどまらない。研究・医療施設の倫理審査委員会の充実や、人々の遺伝子情報に対する理解度を高める方策など、幅広い課題について継続的に取り組む体制作りも欠かせない、としている。

日本が世界で技術的優位性を発揮できた背景に、アジアで、ほぼ単一の民族が、西洋とは異なる文化圏で発想したコンセプトでイノベーションを目指したことがあると思う。省エネルギーの初期発想は、日本人にとっては自然な考え方だった。禅。Zen mindは、いまでも西洋のコンセプトから興味深く受け止められている。それは、中国の漢方という医療へのアプローチも、西洋が生んだ自由民主主義も同様だ。
ITは、2進数という発想と、シリコン・バレーが生み出した、アメリカの中でもリベラルな発想をベースにここまで成長した。自動車産業は、ドイツと日本の強大な管理構造が機能している。ここに挑戦するのは自由だが、うまくいっているものが変わるには、行き詰まるまで変化の可能性は低い。自動車産業にはテスラという超新星が現れてルールを破壊している。
前置きが長くなったが、AI、ゲノム、これから先のIoTの領域の成長への挑戦は、人の思想、価値観、文化、そして知性が多分に関わる。この報道比較で話題になるような、複雑で多重に利害が絡む問題、歴史や差別、民族や宗教など、簡単ではないと頭を悩めていた問題。これらに、成長領域の挑戦は、どこかで必ず巡り合う。すでにその状況は起きている。
日本の社会環境は非常に恵まれていた。アメリカは、それを混ぜ合わせて合意形成に挑戦した国だった。いま、その歪み、理想とはかけ離れた現実が見えている。今年の大統領選挙はその最前線のようだ。それでも、世界の中ではもっとも理想的。今のところは、そう見える。中国は、政党が力で抑え込んでいる。インドも文化と歴史がどこかで足を引っ張るだろう。ヨーロッパはすでに分断を選んだように見える。分断は、ITの世界ではもっとも無益なアプローチだ。ヨーロッパに再び明るさが戻る日は、私は遠いと思う。
日本は、理想に向けて結束できるだろうか?

日本経済新聞・社説
社会や個人を磨く学びをITで(産業革命4.0が拓く未来)

IT(情報技術)が学びを変えつつある。インターネットを通じ好きな時間や場所で学べるようになった。ネットに集まるデータを分析し、一人ひとりに最適な学習法を提案する試みも始まった。だが日本はこの分野で大きく出遅れている。ITを上手に使えば未来の社会で求められる知識や技能を、世代を超えて学べるようになる。教育界だけでなく政府や産業界も危機感を共有し、学びへのIT活用を推進すべきだ。日本の動きは鈍い。オンライン学習を積極的に取り入れているのは予備校や塾、企業の社内研修などに限られる。2年前、主要大学や企業が「日本版ムーク」を開講したが、受講者は20万人にとどまる。学校へのタブレット端末の配布も始まったばかりだ。日本は何をすべきか。まず教育関係者の意識改革が要る。「ネット授業が広まれば教室の授業がなくなってしまう」と恐れる教員はなお多い。だが欧米ではネットで予習し、教室では討論で理解を深めるなど、両者の長所を組み合わせている。ネット授業は公教育の質を高めることにもつながる。政府の関与も欠かせない。欧州などではムークの運営や教材制作費の一部を国が支援している。教育ビッグデータには個人情報が含まれ、利用ルールを産学を交えて議論する必要もある。これらを含めて国がITによる教育の未来図を描き、戦略として示すべきだ、としている。

私も、ボランティアで関わった教育機関のITへの意識は「ツール、利用するもの」ではなく「今までを破壊する脅威、邪魔者」だった。この環境で、イノベーションの発想が生まれる可能性は低い。電話が生まれているのに手紙を重宝する、クルマ社会の到来を利便ではなく、事故が起きる恐怖を主眼に見ている例と同じだ。この環境で育った人たちと、ITをツールとして日常の勉強で使っていた人たちが、やがて社会で経済活動を行い、競争する。勝敗以前の問題だ。これは英語学習でも同様だが、やはり学習のコンセプトが違っている気がする。
すでに社会は高齢化で、海外の大学は就職や社会貢献を目的としない学生と、若い従来の学生の分別さえはじめている。現状から見出す短絡的な最適解は、なるべく日本より海外で教育を受けた方が、この地球上ではしあわせになるのでは?という感覚だ。だが、アメリカへの留学は、デフレの日本では経済合理性が成立しなくなっている。親としては悩ましい。悩みは尽きない。

読売新聞・社説
北非難声明断念 包囲網崩す中国の責任は重い

北朝鮮が今月初めに「ノドン」とみられる弾道ミサイルを日本海に向けて発射したことに関し、国連安全保障理事会は非難声明を出すことを断念した。日米が主導した声明案に対し、中国が最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」の在韓米軍への配備をけん制する文言挿入を要求したため、協議が不調に終わった。安保理が機能不全に陥ったことは深刻だ。北朝鮮への誤ったメッセージとなれば、更なる挑発を招きかねない。日本にとって厳しい事態だと言えよう。中国は配備が自国を含む地域の安全保障上の利益を損なうと主張する。THAADを構成するレーダーで中国軍の動向まで監視されるのを恐れているのだろう。配備にはロシアも反対している。だが、北朝鮮の体制不安定化につながる制裁に中国が及び腰だったことが、核・ミサイル開発を許してきた主因ではないのか。中国は朴槿恵政権を揺さぶり、日米韓を離間させる狙いだろう。3か国の緊密な連携が地域の安定にとって肝要である、としている。

人民網日本語版
中比が同じ方向に向かうことこそが正しい道 (2016.8.12)

2013年以来、フィリピンの前政権がいわゆる南中国海仲裁裁判を頑として一方的に申し立てたことから、中国とフィリピンの相互信頼は著しく損なわれ、両国関係は冷え込んだ。ドゥテルテ大統領は今年6月30日の就任以来、南中国海問題を適切に処理し、両国間の対話を再開し、両国関係を改善する意向を繰り返し表明している。現在88歳のラモス氏は1992~1998年にフィリピン大統領を務め、ボアオ・アジアフォーラム理事長も務めた。ラモス氏は南中国海問題を扱った経験もあり、その在任中、中比は南中国海問題で摩擦が起きても、適切に管理・コントロールしてきた。中国側はフィリピン大統領が特使を中国に派遣して対話を始めることを歓迎。「フィリピン側との対話・協議の扉が閉ざされたことはない」とも表明した。ラモス氏は中国側の立場をより良く理解できるよう、今回の訪問の非公式性を際立たせている。これは特別な「会談の前の会談」であり、中比双方が必要なウォーミングアップと事前の意志疎通を行ない、将来の両国の外交交渉のために環境を整える助けになると言える。したがって、これは正しい方向へと踏み出す重要な一歩だ。中比は引っ越すことのできない隣人であり、同じ方向に向かうことこそが正しい道だ。両国は妨害を排除し、手を携えて共に歩み、地域の平和の大局を維持し、平和的発展による利益を分かち合うべきだ、としている。

Wall Street Journal
衝突リスク高まるアジア、緊張続いた1週間 (2016.8.12)

ロイター通信は10日、複数国が領有権を主張する南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で、ベトナムが5カ所の岩礁などにロケット弾発射装置を設置したと報じた。このロケット弾発射装置の最大射程は150キロメートルほどで、周囲にある中国の人工島がターゲットとなりうる。これら人工島には滑走路などの建造物が築かれており、貿易の要所である南シナ海における中国の海洋覇権を確立する要塞と化している。国際仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)は先月、南シナ海における中国の主権を認めない判決を下したが、中国は引き下がる気配を見せていない。このため、ベトナムの行動は今回が最後とはなりそうになく、他国がこれに追随する可能性もある。日本政府は7日、中国が東シナ海の公海上に建設したガス田開発のための構造物にレーダーを設置したとの見解を表明、このレーダー設備を違法だと指摘した。同日、外務省は中国大使館に対し、レーダー設置を「受け入れられない」と伝えたほか、中国海警局の公船や民間船舶が尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺海域への侵入をエスカレートさせていることに抗議した。尖閣周辺には6日、230隻ほどの中国漁船が侵入した。こうした緊張を高める行為をつなぐ共通点は、太平洋の西側で独占的な支配者になるという中国の野心だ。中国政府が自由な国際秩序に挑戦する中、東アジアと東南アジアではさらに緊張が高まり、軍事展開が広がることが想定される、としている。

静かな国内紙のテーマに反して、中国を巡る緊張はつづいている。アメリカが気にするとおり、問題は不透明で裏に潜る様相を強めている。中国の取り組みは陰湿で見えないものが増えてきている。フィリピン、韓国にこれが起きているなら、次は日本とアメリカ。時に首相を務めた鳩山氏に中国が接触するが、まるで日本の政府や社会に効果はない。これが民進党だったらどうだろう?公明党ではなかったとして、創価学会なら?似たような工作を日本につづけてくるだろう。アメリカにも同様に。これがまったく逆効果なら、中国はさらに孤立し、再考に迫られる。これが通常の社会だ。未成熟な社会なら、十分に工作が機能する。日本は抵抗できるだろうか?

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