ORIZUME - オリズメ

2669.報道比較2016.7.14

2669.報道比較2016.7.14 はコメントを受け付けていません。

南シナ海への中国国内の反応は、今のところ中国政府に似ているようだ。権利のためなら武力も選択肢にある。相当な衝撃。さらに強硬になるなら、シナ海は紛争になる。

人民網日本語版
国務院新聞弁公室 「中国は南中国海における中国とフィリピンの紛争の話し合いによる解決を堅持する」という白書を発表 (2016.7.13)

南中国海諸島は中国の固有の領土である。国際法と国際的な実践に基づき、海洋紛争が最終的に解決されるまでは、当事国は自制を保ち、紛争の管理制御規則とメカニズムの構築と整備、各分野における協力の展開、「紛争の棚上げ、共同開発」の推進、南中国海地域の平和と安定の擁護を含む実際的な臨時処置に最善を尽くして努め、紛争の最終的な解決のために条件を整えるべきである。関係協力と共同開発は最終的な境界線の画定を妨げることはない。南中国海地域の平和、安定、繁栄、発展を実現することは中国とASEAN諸国の共同の願望と責任であり、各国の共通利益にかなうものである、としている。

Wall Street Journal
中国、南シナ海問題で戦略転換 「岩」に焦点 (2016.7.13)

オランダ・ハーグの仲裁裁判所が南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶという中国の主張を認めない判決を下した翌日、中国は「周辺海域」ではなく「島嶼や岩礁、環礁に対する主権」に争点を移そうと試みた。フィリピンが提訴した重要な裁判の判決に対し、中国はこれまででもっとも詳細な反応を示した。中国国務院(内閣)は13日に発表した白書で、これらの島などが「中国固有の領土」だと述べ、フィリピンがその一部を違法に占拠していると非難した。中国は白書で、スプラトリー(南沙)諸島に対する主権は、仲裁裁判がよりどころとした国連海洋法条約によって規定されないと指摘。同条約は周辺海域の権利のみに適用されるためだと主張した。また、海洋権益の境界策定は国連海洋法条約を含む「国際法にのっとり、当事者による交渉を通じて公平に解決されるべきだ」と指摘している、としている。

人民網は25ページに及ぶ白書のコンテンツを和訳して掲載している。この努力を裁判の時にしていれば、今のような事態にはならなかっただろう。おそらく、その時、ハーグや世界が選ぶ答えは、和解勧告だったはずだ。
中国が、以前から未だに変わらず目的としているのは、中国がなるべく多く、この領域を得たいという欲望だ。譲り合って分け前が減ることをひどく嫌っている。それは、新たに出た白書でも感じられる。だが、正当性の根拠は相変わらず見えない。両者でいっしょに調べることも、この海域を共有する意志も見えない。これは、円満な解決に最も遠い状況だ。
報道からの第一印象のため、正確には判らないが、今のところ、中国国内の反応も中国政府に似ているようだ。権利のためなら武力も選択肢にある。私には相当な衝撃だった。中国人がその感覚でさらに強硬になるなら、シナ海は紛争になるだろう。

朝日新聞・社説
都知事選 「東京の未来」論じよう

1300万都民のリーダーを選ぶ東京都知事選が、きょう告示される。立候補を表明しているのは、自民党衆院議員で元防衛相の小池百合子氏、元岩手県知事で編著「地方消滅」で人口急減社会に警鐘を鳴らした増田寛也氏、ジャーナリストで「憲法改正への流れを変えたい」と手を挙げた鳥越俊太郎氏ら。元日弁連会長で前回は共産、社民両党の推薦を受け、次点だった宇都宮健児氏も、いったん立候補を表明した。だが、野党票の分裂を避けようと、野党4党が鳥越氏への一本化を呼びかけた。宇都宮氏もこれに応じ、最終的に出馬を取りやめた。都政が抱える課題は明白だ。東京五輪・パラリンピックの準備が迫られるのはもちろんのことだ。約8千人といわれる保育所待機児童の解消、首都直下地震への備えも急務だ。新知事が任期を終える2020年から都は人口減少に転じ、2035年には都民の3人に1人が65歳以上となる。「巨大都市の超高齢化」という未曽有の難問に直面することになる。大切なのは、山積する課題に優先順位を示し、将来への大きな道筋を示すことだ、としている。

産経新聞・社説
都知事選 冷徹に新たな顔の選択を

猪瀬直樹氏、舛添要一氏と、2代続けて「政治とカネ」の問題によるお粗末な退任劇を繰り広げた末の選挙である。清廉な人物であることは大前提だ。こうした条件を満たす候補者は誰なのか。有権者は冷徹な目で吟味する必要がある。もう失敗は、許されない。自民、公明は増田氏を支持し、小池氏は自民党都連や都議会との対決姿勢を前面に打ち出している。民進、共産、社民、生活の4党は「参院選結果に危機感を覚えた」として最後に立った鳥越氏を統一候補として推した。宇都宮氏は、この政策なき結託を批判しながら、結局、立候補を取り下げた。この上は、各候補者が選挙期間中、存分に自らの描く東京像を明確に語り、分かりやすく他候補との差別化を図るべきだ。注文を加えれば、五輪やパラリンピックについて、さらに五輪後を見据えた大東京の未来についても、もっと明るい文脈で語ってもらいたい、としている。

日本経済新聞・社説
首都の新しい顔を政策をもとに選ぼう

東京都知事選が14日に告示される。首都の顔、そして4年後の東京五輪の顔を選ぶ選挙になる。2代続けて「政治とカネ」で辞任した後だけに政治資金にきれいなことはもちろんだが、やはり候補者が問われるのは政策だ。これまでに元防衛相の小池百合子氏やジャーナリストの鳥越俊太郎氏、元総務相で岩手県知事もつとめた増田寛也氏らが出馬を表明している。自民党と公明党は増田氏を推薦し、民進党など野党4党は鳥越氏を支援している。政策を問われる課題はまず、都政の停滞もあって遅れている五輪の準備だ。競技施設の整備だけでなく羽田空港の機能拡張や都心とのアクセスの改善なども要る。小池氏らが指摘する五輪経費の圧縮も必要だろう。候補者は五輪後をにらむ中長期的なビジョンも示すべきだ。20年ごろにも東京の人口は減少に転じる。全国から人を吸引して成長してきた東京は新たな成長モデルを求められる。13日に日本記者クラブで開かれた共同記者会見は、この問題で具体論を欠いた。都知事選は人気投票になりがちだ。都民の生活を守り東京の活力を維持する政策を掲げているのはだれか。有権者は各候補の主張にしっかりと耳を傾けてほしい、としている。

3紙が東京都知事選挙を話題に選んだが、内容は「政策で選ぼう」と訴えながら、論点を定め切れていない。これは東京都民の感覚と同様だろう。カネの問題で2回も知事選びをミスし、クリーンな人が並んだようにも見えるが、議論が政策選びではなく、人選に気を取られる。今さらながら、猪瀬氏、舛添氏の罪は重い。また、参議院選挙を終えたばかりで、選挙の騒々しい雰囲気が残っている。都政と国政の話が入り交じり、選択はさらに混乱するだろう。夏の暑さで不快指数の増す時期に、空気がさらに重くなっている印象だ。問題を解決する、発展に向かって成長するという意味では、まったく政治はワークしていない。残念だ。

毎日新聞・社説
天皇陛下のご意向 国民全体で考えたい

天皇陛下が「生前退位」のご意向を周囲に示されていることが明らかになった。82歳の陛下は、象徴天皇として憲法に定められた国事行為など公務を行っているが、ご高齢などで差し支えが生じる前に、天皇の位を皇太子さまに譲るお考えとみられる。ご高齢の陛下にとって負担は軽くはない。周囲にはご体調とのかねあいについて懸念もあった。ご病気もある。陛下は2002年に前立腺がんが見つかって手術、さらに12年には心臓の冠動脈バイパス手術を受けられた。こうした中で、例えば、昨年は両陛下で約270件あった要人らとの面会を今年から減らし、見直すなど公務の軽減が行われているが、まだ十分ではない。陛下は行事でのお言葉でも推敲を重ねられ、事前の知識吸収も熱心であるという。昨年12月、82歳の誕生日を迎えるに当たって、陛下は「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」「一つ一つの行事に注意深く臨むことによって、少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです」などと述べられている、としている。

宮内庁が全否定するようなコメントさえ出さなければ、静かに考えられる話だった。宮内庁のコメントを聞くと、政治と分離して進んでいるのかだけが気になる。

読売新聞・社説
在宅医療 終末期まで支える体制作りを

厚生労働省が、「全国在宅医療会議」をスタートさせた。医療・介護関係者や研究者、自治体の担当者らで構成され、普及に向けた具体策を検討する。都道府県は、政府の方針に沿って、将来の提供体制を示す地域医療構想の策定を進めている。政府の推計では、25年には全国の病床数が今の135万床から20万床近く減る一方、自宅や介護施設で療養する人が30万人以上増える。普及へ向けた課題も多い。医師や看護師ら在宅医療に関わる人材の育成は、とりわけ重要だ。医師会などの積極的対応が望まれる。容体が急変した際の受け入れ病床の確保や、家族の負担軽減策の拡充も進める必要がある。高齢者の多くは自宅での最期を望んでいるが、在宅で看取りを行う医療機関は5%程度に過ぎない。終末期や看取りへの対応をどう進めるか。議論を深めたい、としている。

読売には、意図的に都知事選挙と天皇陛下の話題を避けた印象だ。なぜ在宅医療とNATOなのか。政治や選挙がスムーズに進まない時の、イヤな雰囲気が漂っている。

Financial Times
食糧求めて国境を越えるベネズエラ人

トーレス一家は、10日日曜日にコロンビアになだれ込んだ推定3万5000人のベネズエラ人の一員だった。ベネズエラが慢性的な物資不足に苦しむ中、ニコラス・マドゥロ大統領率いるベネズエラ統一社会党(PSUV)政権が14時間に限り、橋を渡ることを許した後のことだ。マドゥロ氏は昨年8月、犯罪と密輸を取り締まることを理由に国境を封鎖した。コロンビアのククタ市では日曜、国中から集まったベネズエラ人がスーパーマーケットに押し寄せ、運べるだけのコメと食用油、トウモロコシ粉を買うために、静かに商品をかき集めた。こうした商品は自国で供給が不足しているか、闇商人によって法外な値段で売られているものだ。物資不足が今後悪化するのは必至だ。消費財メーカーが、輸入に依存しているベネズエラ国内で事業を何とか継続するのに苦労しているからだ。ベネズエラで操業している企業は原材料を購入したり、外貨を取得したりすることができず、生産者は困窮した消費者と同じように、国際通貨基金(IMF)が今年481%、2017年に1643%に達すると予想している高インフレに苦しめられている、としている。

遠い南米で起きている疎遠な話題と先入観を持っていたが、これは日本にもやがて起り得る姿のひとつだ。原油安と、政治の混乱、インフレで紙切れになった自国通貨。それだけでも国は追いつめられる。ギリシャ危機、香港の民主化運動デモに似て、学べる点が多い。
需要が消えてなくならないオイルが湧いてくる点は、日本より恵まれているかもしれない。日本にある目に見える価値は、対外純資産くらいだ。蓄えを削りながら生きる感覚がどんなものかは、デフレで雇用に安定感がなく、高齢者が増えた日本では半分以上が知っている感覚だ。決して安心できるものではない。持っている資産で次の世代をつくれば、歴史はつづくだろうが、30年…ずっと未来が見えてこない。ベネズエラの姿と似た日本は、私は十分に想像できる。

Comments are closed.