ORIZUME - オリズメ

2657.報道比較2016.7.2

2657.報道比較2016.7.2 はコメントを受け付けていません。
CC Attribution and ShareAlike, Photo by Jaap Joris via flickr

CC Attribution and ShareAlike, Photo by Jaap Joris via flickr

格差は、世界をさらに分断するだろうが、その原因と移民は無関係、という現実を私は信じたい。

Wall Street Journal
英EU離脱受け、相次ぐ経済見通し下方修正 (2016.7.1)

6月23日の国民投票で英国のEU離脱が決まり、為替、債券、株式市場が動揺し、英ポンドは今週初めに31年ぶりの安値に転落した。その後市場は落ち着いたが、世界第5位の経済規模を有する英国の長引く混乱が今後に及ぼす影響にアナリストらは目を向けている。モルガン・スタンレーのエコノミストらは今週のリポートで、「ブレグジット(英国のEU離脱)は、まだ弱々しい回復を遅らせ、低迷に向かわせる可能性がある」と述べた。同社では、来年世界的なリセッション(景気後退)に陥る確率を30%から40%に引き上げた。シティグループのアナリストらは「米国では、急激なドル高になり高止まりする可能性があるかどうかが懸念の焦点だ。このことが、ブレグジットが生む不透明感とともに、米国の事業資本投資をさらに弱める可能性がある」と指摘した。同行では、ブレグジットで今年と来年の米GDP成長率は0.1ポイント下がる可能性があり、ブレグジットのリスクに対して国際的な投融資を行った米銀行部門のぜい弱性が、米国の成長をさらに抑えるかもしれないと述べた、としている。

朝日新聞・社説
英首相選び 不満の本質を見すえて

国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を選んだ英国で、キャメロン首相の後任を選ぶ与党保守党の党首選が始まった。「反移民」や「反エリート」が声高に叫ばれた国民投票で、英国社会には分断の深い爪痕が残された。投票後、ポーランド人など移民社会への嫌がらせが増えているのも心配だ。英国が直面する難局のかじ取りを担う指導者選びだ。「なぜ人々は不満なのか」という問題の本質にこそ目を向け、腰を据えた論戦をしてもらいたい。同じ問題を抱える英国とEUとの駆け引きは、平行線をたどっている。英国は「人の移動の自由」は認めないままEU単一市場への参加を求めていくとみられ、EUはそうした「いいとこ取り」を認めない方針だ。EU側には「離脱ドミノ」が広がりかねないとの懸念がある。英国とEU双方がまず冷静な思慮を取り戻すことが、日本を含む国際社会の期待でもある、としている。

毎日新聞・社説
欧州連合 統合の正統性取り戻せ

EU各国首脳は、英国が欧州単一市場にとどまって経済的恩恵にあずかりたいのであれば、人の移動の自由という原則も受け入れるよう求めた。フランスやオランダでもEU離脱志向の党派が勢いを増す中で、ドミノ現象を阻止するために強い姿勢を見せたことは理解できる。欧州統合を市民が積極的に支持しなくなったのはなぜか。EUと加盟各国政府はしっかり検証し、対策を立てる必要があるだろう。移民の問題も同様だ。グローバル化の恩恵から取り残された英国民はEUに後から加盟した旧東欧諸国からの移民が雇用を奪い、福祉をむさぼっていると感じ、離脱を選んだ。不安をあおって移民排斥を求めるポピュリズム(大衆迎合)勢力は英国以外の欧州各国でも台頭している。各国がばらばらでは世界の中で欧州の地位は低下するばかりだ。戦争を重ねた歴史に終止符を打つという欧州統合の原点に立ち返り、合意を目指す努力が必要だ、としている。

英国とEUの協議は9月まで先送りされたため、この話題は頭の片隅に追いやれる。忘れない程度にしていれば、考えても意味がない。英国は首相を決める選挙の人選だけで混乱している。スコットランドの分裂は想定内、格下げや暴落の影響を考えれば、短期指標が出ればネガティブなものが多くなるに違いない。ますます後悔するだろうが、やり直しを考えるよりは、離脱のメリットをどう活かすかに頭を使った方がいい。その時が来る兆しが見えれば、英国は「買い」になる。そこまでの戻りには、私は乗りたくない。
EUは、もっと悲惨だろう。稼げる、しかもドイツとフランスの仲を取り持つような国がいなくなる。ユーロが夢に消えるのは現実に近づいたと思う。マルクやフランが復活すれば、EU内の経済に生じた奇妙な統一と格差は解消できる。開かれた国境に警備隊が置かれるよりは、私は通貨の分裂を受け入れた方がいいと思う。
格差は、世界をさらに分断するだろうが、その原因と移民は無関係だ、という現実を私は信じたい。

反移民感情を動かす本当の原因を探る by Wall Street Journal

アメリカで白人の仕事がなくなっているのは、ヒスパニックのせいではない。彼らが仕事を奪ったのではなく、全体の仕事がない中で、白人よりヒスパニックが困難な条件を受け入れただけ。それがやがて、ヨーロッパでも、まずはイングランドで現実になるだろう。難民と移民も別の問題だ。ポピュリズムと、私たちの悪しき感情が、攻撃しやすい人を悪者に仕立てているに過ぎない。
日本でも、これと同じ現実がやがて露になる。ヘイトスピーチの話も、地方と都市で起きている格差も、シニアと若年の格差も。これから、本当の能力の戦いになる。すでに判り切っているが、暴力に訴える人たちは、もっとも能力の低い人たちになる。彼らがその現実を知る日は近い。

産経新聞・社説
参院選と地方創生 人口減生き抜く知恵競え

各党の公約には、地域経済の活性化や地方分権が並んでいる。自民党はアベノミクスの恩恵を行き渡らせるとし、民進党は地方が自主的に使い道を決められる「一括交付金」の復活を訴える。だが、日本に突き付けられているのは、人口激減に即して国家をどう作り替えていくのかのビジョンと方策だ。さらには、減少過程における影響を極力抑える知恵である。一時的な景気浮揚策を図ったり、権限、財源を一部移譲したりしたところで、課題が抜本的に解決するわけではないだろう。首相は全国を1つの経済圏に統合する「地方創生回廊」構想を掲げ、自民党は公約で整備新幹線やリニア中央新幹線の大阪までの早期開業を「地方創生に役立つ」と説明している。高速交通網の整備がかえって東京一極集中を加速させてきたこととの整合性を丁寧に説明すべきだ。人口が激減すれば、産業の在り方をはじめ、住宅や交通などさまざまな制度・政策の見直しが求められる。各党には、高い見地に立った対策を期待したい、としている。

他紙が地方の話をしていたのは、6.29。そこから4日分の深さはない。各紙がまとめて政党に問い合わせることなどはしないのだろうか?評判の悪い記者クラブなどは、そういうための組織ではないのだろうか?同じ話題で紙面を埋めても、何の意味もない。新聞の発想が選挙の助力にもなっていない。全員、無駄だらけだ。

読売新聞・社説
日銀短観 円高の進行に効果的な備えを

日本銀行が発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数が大企業・製造業で6となり、横ばいだった。大企業・非製造業は2期連続で悪化し、前期比3ポイント減の19にとどまった。注意すべきは、今回の調査が英国の欧州連合(EU)離脱に伴う世界経済の先行き不安の増大や、金融市場の動揺の影響を反映していないことだ。ほとんどの企業が6月中旬までに回答している。実際の景況感はさらに悪化している、との見方もある。予想の前提として企業が想定する円相場の平均は1ドル=111円で、前回調査より6円も円高となった。だが現在は、さらに102円前後まで上昇している。このまま円高傾向が定着すれば、業績悪化の圧力が強まろう。企業収益を投資や賃金に振り向け、消費を増やす好循環を実現する施策に知恵を絞るべきだ。政府の財政投融資資金による低利融資の拡充や、保育・介護施設の整備促進などの財政出動を、民需活性化にうまくつなげたい、としている。

横ばいだからか、大した影響はなかった。GPIFの年金運用の損失の方が注目を得るだろう。内部留保が一番あるのは企業だ。読売が言うような対策が効果を示すとは思えない。自民党的な発想はさらに財政赤字を増やすだけだ。

日本経済新聞・社説
企業と株主は長期の成長へ対話を続けよ

株主と企業にとって、対話の場は1年に一度の総会だけではない。長期の視点で企業価値を高めるため、恒常的に意見交換や議論をしていくことが必要だ。今年の株主総会は、ここ数年の企業統治(コーポレートガバナンス)改革が効果を表し始めていることを示した。目を引いたのは、取締役選任への株主の厳しい姿勢だ。2期連続の最終赤字を見込む川崎汽船の社長再任の賛成率は57%にとどまった。他にもトップ選任の賛成率が例年の90%前後から急激に下がった企業は少なくない。こうした圧力を企業は真摯に受け止めなければならない。社外取締役は市場の声を聞き、経営陣に伝える責務がある。そのために投資家向け広報(IR)などの場に積極的に出席すべきだ。上場企業が100兆円余りの手元資金をいかに使うかは日本経済全体の成長にも重要だ。その有効活用を、企業は株主との対話も通じながら考えていくべきだ、としている。

このところの鋭い視点に比べると、逆戻りしたような無意味な社説だ。これなら上場会社の取締役の選任率を聞きたい。一社の特殊な事例を聞いたところで役に立つことは少ない。すでに日本から、外国人投資家は退きつつある。こんな悠長な話をしている段階ではないと思うが。

Comments are closed.