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2652.報道比較2016.6.27

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Wall Street Journalのトピックが秀逸だ。AIが人間と戦う前に、人間は自らのモラルと戦う必要がある。この課題を経ない限り、AIはプログラミングさえできない。

Wall Street Journal
「ロボットカー」が直面する安全上のジレンマ (2016.6.27)

米誌サイエンスで発表された研究によれば、人々が望んでいるのは走行中の犠牲者数を最小限にするようプログラムされた自動車だということが分かった。ところが、実際に買うかもしれない自動車のタイプについて問われると、人々は車に乗っている人の保護を優先する車を選ぶという。例えば、調査参加者は制限速度で走行する自動運転車に乗っていると想定して回答するよう求められる。その車の進行方向にいきなり10人の歩行者が現れる。エンジニアたちはその車をどのようにプログラムすべきだろうか。10人の歩行者を救うためにそうした状況で急ハンドルを切って道路から飛び出し、乗っている1人を犠牲にするのか、それともそのまま直進して10人をはねるようにするのか。そのシナリオでは、182人の調査参加者の76%がその車にとっての道徳的判断は10人の歩行者よりも乗っている1人を犠牲にすることだと回答した。調査参加者は、実際に自動車を購入する場合、より多くの命を救うことをより重視するようにプログラムされた車、つまり、最大幸福の名の下に自分たちやその家族を犠牲にする車を選ぶのかと質問された。その場合、参加者たちは「乗っている人を保護するモデルを選んだ」と研究者たちは書いている、としている。

今日のトピックの中で、もっとも奥深く、私たちの未来が問うべき課題は、こういうものだろう。ITにどっぷり漬かっている人間として、確実に認識したことがある。
AIが人間と戦う前に、人間は自らのモラルと戦う必要がある。この課題を経ない限り、AIはプログラミングさえできない。ITは、より人間のモラルを学習する義務がある。ITの仕事は、クリエイティビティを越え、心理や社会学まで認識しなければならなくなる。
この記事を読めば、人間がAIの前に自分自身の感情と向き合わなければならない現実がすぐに判る。職を失う前に、利便性を得る前に、私たちは、社会を、自分と他人との関係を、欲望と理性を、愛や憎しみまで…すべてに解を見出さなければならない。
IT業界がすべての業種を呑み込んでいくのか。すべての業種にITが必須になるのか。いずれの道かよりも、人間と同様、上質な会社として誠実でありつづけることの重要性が、さらに強くなってくる。
私は、プログラミングをすべてのこどもたちが学ぶことに、さらに賛成したくなった。ITは、仕事のためや、コミュニケーションのためだけに必要なだけではない。自分の人生、社会の中のすべてに影響を与える。その仕組みを理解せずにいるのと、理解して利用するのは、圧倒的な差異が生まれる。世界のすべての人にITがいる。

日本経済新聞・社説
日本企業は冷静に欧州戦略の再構築を

英国の欧州連合(EU)離脱で混乱しているのは株式や為替市場だけではない。「5億人を抱える単一欧州市場への足がかり」として英国へ重点的に投資してきた日本企業も、今後の離脱交渉の行方を見極めながら、冷静に戦略の再構築を進める必要がある。英国に対する日本企業の直接投資残高は昨年末時点で約10兆円。米国(50兆円)、中国(13兆円)、オランダ(12兆円)に次ぐ規模だ。日本企業にとって「英語が通じる」「規制が比較的緩やか」などの点から英国はビジネスしやすい環境が整い、製造業から金融サービス業まで幅広い企業が対英投資を進めてきた。それだけにEU離脱の衝撃は大きい。例えば自動車では日産自動車など日本の大手3社が英国に工場を持ち、英国生産車の約7割を他のEU諸国に輸出している。EU離脱で英国車の輸出に高関税がかかるようになれば、英国現地生産の利点は大きく損なわれる。1980年代、90年代の貿易摩擦のように日本企業が国際政治の奔流に巻き込まれ、苦労したケースがなかったわけではない。だが、英国のEU離脱はこれまで曲折はあっても前に進んできたグローバル化の流れを逆転させるという点で、かつてない事態である。企業や経済人も政治の動きに受け身で反応するだけでなく、積極的な意見表明や働きかけが必要な時代が来たのかもしれない、としている。

人民網日本語版
EU離脱で中国人の英国旅行にも影響? 人数は増加 (2016.6.26)

英国の欧州連合(EU)をめぐる国民投票で離脱の結果が明らかになると、旅行を考える中国人の間で、このEU離脱が英国旅行の査証(ビザ)や費用に影響するのではないかとの懸念が広がった。業界関係者は、「英国の脱EUは中国国民の英国旅行に積極的な影響を与えることになる」との見方を示す。短期的には英国への旅行者数と観光消費を増加させる。これと同時に、英ポンドが24日に10%近く値下がりしたため、英国で買えば同じ商品がより安く買えるようになる。英国はこれまで独自に査証を発行してきたので、中国国民の英国旅行の査証手続きには何の影響もない」と話す。脱EUが中国企業による英国観光市場への投資を一層促進する可能性について、中国旅遊研究院の戴斌院長は、「現在の状況から考えて、英国のレートは値下げ周期に入っており、脱EUが中国にもたらす最も直接的なメリットは英国ツアーのコストが下がるだろうということだ。だが長期的にみれば、脱EUによる影響はしばらく様子をみる必要がある」との見方を示す、としている。

徐々に英国離脱の影響を、各自が意識しはじめた。まだ気づいていない不利益はあるだろう。喧騒はまだまだつづく。
企業が政治に意見をすべきか?私はイエスだと思う。しない方が不思議だ。それを秘密裏にやろうとする時代が終わったのだろう。

朝日新聞・社説
電力株主総会 原発頼みで展望あるか

原発を持つ電力大手9社があす一斉に株主総会を開く。株主から70件を超す議案が出され、大部分が脱原発を促す内容だが、9社の経営陣はことごとく否決に持ち込む構えだ。東京電力福島第一原発事故を経験したわが国で、原発を動かすことは格段に難しくなった。経営環境の激変を率直に受け止め、乗り切るための長期展望を示すのが経営陣の務めだ。しかも電力小売りが全面自由化された時代に、「とにかく再稼働を」と繰り返すだけで、株主の信頼は得られるか。「事故時の住民避難計画を検証する委員会を設ける」「希望する周辺自治体すべてと安全協定を結ぶ」。ほかの株主提案にも、原発依存からの脱却をはかるうえで、傾聴に値するアイデアがいくつもある。株主の声に耳を傾け、原発に頼らない未来を切り開く道筋をともに探る。そういう姿勢を電力会社の経営陣に望みたい、としている。

読売新聞・社説
エネルギー政策 現実的な電源構成を論じ合え

日本経済を本格的な回復軌道に乗せるには、安価な電力の安定供給が欠かせない。各政党は参院選で、企業や家計の負担、環境への影響などを総合的に勘案した、現実的なエネルギー政策を有権者に示さねばならない。自民党は公約に、原子力発電について「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけ、有効活用する方針を明記した。原発と同様、環境負荷の小さい太陽光やバイオマスなど再生可能エネルギーの導入も大切だ。電力供給が天候に左右されやすいといった課題克服に向けて、技術開発の強化の議論を深めたい。福島第一原発の事故以来、民主(現民進)、共産両党などは「原発ゼロ」を掲げてきた。電気料金の上昇を招き、電力の安定供給を損ないかねない、この主張が幅広い支持を得たとは言えまい。原発、火力、再生エネなど、多様な電源を組み合わせた合理的な政策の論議が求められる、としている。

これが日本の議論の姿だ。是非論。両者が聞く耳を持たない平行線。これをメディアだけでなく、電力会社が株主と、国会は議会で繰り広げている。結果、平行線のまま多数決で進む。小学校の学級会でも、もう少し建設的な議論をしているのではないだろうか?
これは、議論内容の是非の問題ではない。対話して妥協案を作る能力のなさの問題だ。電力会社にも、国会にも、この能力がないことを絶望する。メディアから指摘して欲しい。すでに5年を経て、まだその失敗にさえ気づいていない。

産経新聞・社説
参院選と社会保障 枠にとらわれぬ改革案を

各党には、数十年先を見すえた広範な視点からのアイデアを競ってほしい。ここまでの各党の発言は、消費増税再延期に伴う影響に論点が集中している。安倍晋三首相は1億総活躍プランに盛り込んだ保育と介護の受け皿の拡大や処遇改善を優先する姿勢を見せる。民進党の岡田克也代表は無年金・低年金対策の必要性を強調する。相変わらず、選挙戦に不利になるとの思惑から「痛み」について正面から取り上げているとはいえない。大きな選挙のたびに、安定財源も示さないまま充実策を打ち出す。その姿勢自体が国民の「将来不安」の原因となってきたことにも気付くべきだ。今、求められているのは、少子高齢化が進んだ先に待ち受ける社会保障の姿だ。どこまでサービスをカットし、保険料などの増額を求められるか。その見通しが立たないため、制度自体への信頼が損なわれている。き手世代が激減していく時代に、国家は社会保障サービスをどこまで提供し続けられるのか。各党には、そうした骨太な議論に挑んでもらいたい、としている。

毎日新聞・社説
2016参院選 災害大国 全政党が心構えを

安倍晋三首相は、参院選公示日の第一声を熊本市で行い、さらにその日、東日本大震災と原発事故から5年がたった福島県に移動し、街頭演説をした。民進党の岡田克也代表も24日に福島県で街頭演説をした。党のトップが実際に被災地に足を踏み入れ、訴えることは意味がある。被災地の現実を正面から見据え、政策に生かすきっかけにしてもらいたい。参院選の主要政党の公約には、震災復興や防災政策が並ぶ。相変わらずのハード対策頼みなど首をひねる部分はあるが、この分野は、与野党で議論を深めてよりよい対策を練り上げるのが本来の姿だろう。2014年時点で、「30年以内に震度6弱以上の地震に見舞われる確率」が7%台だった熊本で、震度7の地震が2度続いたのが4月の熊本地震だった。いつでもどこでも大地震は起こり得る。また、発生確率が低くても備えを怠ってはならない。地震国に住むことの教訓を改めてかみしめたい。そして、大地震とどう向き合い、発生後にどう対処するかがこの国の政治の重要課題だ、としている。

論点整理ができていないのは、政党だけでなくメディアもいっしょだ。1年先さえ見えず、3年経っても3本目の矢のアイディアさえ出せないのに、数十年先のアイディアを競えという産経。被災地からの選挙線出発から災害対策を問う毎日。疑問だらけだ。
増税問題と憲法改正だけでいいのではないか?たかが6年の任期の人たちを選ぶのに、なぜ数十年先のプランがいるのか?ぼやけた公約をツメさせる方が先だ。

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