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2639.報道比較2016.6.14

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フロリダの事件が、人の心をざわつかせている。アメリカがまた冷静さを失っている。世界が冷静さを失って、後悔する判断をしないといいが…

Wall Street Journal
フロリダ銃乱射は米国へのジハード (2016.6.13)

過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓った若い米国人イスラム教徒が、米国史上最悪の銃撃事件を起こした。中東で燃え上がるジハーディスト(聖戦主義者)の火が米国本土に差し迫った脅威をもたらすことはないという幻想を、われわれはようやく捨て去ることができるのだろうか。ISが犯行声明を出した。彼らは事件で何らかの役割を果たしていない限り、犯行声明を出すことはめったにない。CNNテレビなどが米当局者の話として報じたところによると、マティーン容疑者は犯行時に緊急電話番号の911に電話し、ISへの忠誠を誓うとともに、2013年のボストンマラソン爆破テロ事件に言及したという。連邦捜査局(FBI)は、そのような米国生まれの危険人物の特定に注力してきた。捜査官の1人は12日、マティーン容疑者が2013年と14年の2度にわたって要注意人物としてFBIに目をつけられていたことを認めた。そのうち1度は自爆テロを行った米国人と関係があったとして取り調べを受けたが、深刻な脅威をもたらすものではないと判断され、捜査は打ち切られた。いくら国内で環視活動を行ったところで、ISに感化されたあらゆるテロ行為を未然に防ぐことはできないというのが悲しい現実だ。唯一の現実的な解決策は、世界中の若いイスラム教徒がISを未来の先導者とみなさないよう、国外の安息地にいるISを壊滅させることだ、としている。

朝日新聞・社説
米乱射事件 許せぬヘイトの凶行

フロリダ州オーランドのナイトクラブで12日未明、男が銃を乱射し、多数の死傷者がでた。オバマ大統領は「テロであり、ヘイト行為だ」と非難した。容疑者はアフガニスタン系の米国人で、現場で銃撃戦の末に射殺された。その前に、過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓っていたと報じられている。実際にISとどれほど関係していたかには謎が多く、今後の捜査を待つほかない。自ら過激思想に傾倒したり、過激派を自称したりして、テロ組織と明確な関係がないまま行動するケースが近年目立つ。動機が不明瞭な無差別犯罪とテロとの境は見えにくくなっており、日米欧の当局にとってテロ対策は難しさを増している。自由と人権を守りつつ安全を確保する策は何かを考える上で、各国間の協力が必要だろう。痛ましい事件を繰り返す米国社会のひずみは何か。米政界は超党派で、銃規制のあり方とともに冷静に考えるべきだ、としている。

産経新聞・社説
米乱射テロ 異常な社会としか言えぬ

米フロリダ州オーランドのナイトクラブで男が自動小銃を乱射し、100人以上が死傷した。米国史上最悪の銃犯罪であり、射殺された容疑者は過激組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う発言をしていた。オバマ大統領は「われわれは恐怖に屈したり、互いに憎み合ったりしない」と団結を呼びかけた。国際社会共通の敵として、テロ行為の根絶に向けた戦いを強化すべきである。それにしても、犯罪者が銃器を容易に手にすることができるこの国の社会は異常といえる。銃規制に向けて米国は具体的な対策を示すべきではないか。これ以上、惨劇を繰り返さないために何をなすべきか。大統領選でも真剣な議論を展開してほしい。自由と民主主義を掲げる国のリーダーである米国での論戦を、世界は注目している。憲法が時代に合わなければ、これを改めることをためらう必要はない、としている。

毎日新聞・社説
フロリダ乱射 銃規制こそ世界の声だ

イスラム世界の重要行事「ラマダン(断食月)」の最中、米フロリダ州オーランドのナイトクラブで、イスラム教徒による銃乱射事件が起きた。死者は49人に上り、米国での乱射事件としては史上最悪となった。昨年12月、米カリフォルニア州の乱射事件で十数人が死亡した。その際、オバマ大統領は銃犯罪の恒常化を憂い、涙を流して銃規制の強化を求めたが、議会は耳を貸そうとしなかった。上下両院とも過半数を占める野党・共和党の議員らは、銃の所有と携帯は憲法上の権利として銃規制に反対している。米国では自国育ち(ホームグロウン)のテロリストも目立つ。対テロで国際的連携を求める米国が、国内ではテロの手段となる銃を規制しない。その矛盾に早く気付いてほしいと世界は願っているはずだ。イスラム世界にも課題はある。容疑者は同性愛に反発し、同性愛者らが集まるクラブを狙ったという。イスラム教は確かに同性愛に厳しいが、どんな理由があろうと人を殺傷することは許されない。そのことをイスラム教の権威者らが繰り返し訴えないと、信者16億人を擁する大宗教は米欧で誤解される一方だろう、としている。

銃乱射型の事件が起きた時のアメリカの感覚には、違和感がある。Wall Street Journalの社説を見ても、日本人としては順応できない。Wall Street Journalが社説として、銃規制より先におとり捜査や大統領の方針批判をするのだから。銃のない社会から見れば、さっさと武器を取り上げた方が、宗教への憎悪より確実に被害の規模は抑止できると想うのだが、常に憲法との戦い。日本の第9条の神格化のような思考停止を感じる。
実現性を無視すれば、毎日の理想論はもっともMake Senseする。アメリカが武器を捨てる代わりに、イスラム教徒が教典解釈を変える。発想としては素晴らしいが、アメリカ大統領どころか、国際連合でも、ローマ法王やダライ・ラマでも不可能だろう。
世界はどこも格差が広がっている。この差を埋める決定的な発想は生まれそうもないし、貧しい層は増えるだろう。暴走のスイッチが入ってしまう原因は、日常に多くの不満が蓄積され、最後に崩壊のスイッチが押される。自殺への衝動、麻薬に手を出す瞬間、犯罪に心を許す決断…たぶん、どれも大差ない。私たちの生活は、さらにこれらの事件に向かう環境が生まれやすくなるほどストレスに満ち、未来が見えなくなっている。誰でも、いくつかの失敗がつづけば追い込まれ、最後に背中を押すきっかけがあれば、人は動いてしまう生き物だと思う。
論理的に考えるべき事は、ふたつ。どうやって自らはこの問題から逃れるか。自分がその当事者にならないようにするにはどうするのか。
まず、どう逃れるか。私は、人物から事件の予測は困難だと思う。犯罪や麻薬と同様と考えるなら、安全地帯、ボーダーラインを意識することだ。公共の場に出る時、人が集まる場所の危機感を、今までより少し上げる。外に出る、都市に集うとは、もはやその緊張を感じさせる行為になりつつある。身の回りに感じられるリスクには、逆に遠ざけるのではなく、むしろ躊躇なく接触し、警戒が必要になってきている。こどもの様子、生活圏での変化、仕事場の雰囲気、社会の空気…険悪な空気が、ひやりとする軽微な事故をつくり、その積み重ねで、いつか大きな事件が生まれる。変化に少しだけ敏感になった方が良さそうだ。気になったらコンタクトする。これが、今までより重要なのだろう。ただ…孤立の進む現代は、ITでコミュニケーション頻度が進んでも進展が見られない。むしろコミュニケーションのストレスを増大させている。チャンネルを閉じるのは間違いだ。だが、まだ策が見えない。
自らが追い込まれることはないだろうか?日本のように衰退に向かっている社会では、このと意に自信を持ってノーと言える人は、ほとんどいないだろう。パラシュートを常に準備することを心がけていきたい。富んだ人ほど、いくつものパラシュートを持っているが、それを羨む必要はない。不平を言っている場合でもない。日本は、追い込まれた時のパラシュートを行政が準備している。どこまで追い込まれたら、そういう手を使うかを、危機と共存する中で考えるべきだ。私は、育児、仕事、海外との交流、金銭でのトラブルでは、いつも意識している。ボーダーラインまで到達したことは数回だけ。それでも、利用した経験は人生としては糧になる。行政の対応はたしかに冷たいこともある。ただ、パラシュートだ。そこで苛立つよりは、しっかり機能して、身を守るための公共財として我慢するしかない。その世話にならないように、自分で余裕のある時にパラシュート、シミュレーションを心がけている。
なぜ、銃乱射がこんな話題に変わっているのか?私は、これを特異な事件とは思わない。日本でも、似たような衝動的な行動は無数に発生している。世界中が、似たような境遇の中にいる。断絶という選択肢は、ない。自分のドアを開き、どこへでも出て行く勇気を持たなければ、仕事はなくなり、埋没する中で行き場を失う。世界と競争しながら、世界と共存する。この恐怖を乗り越える義務を、私たち全員に課されている。長期的な期待は、憎悪の排除であり、ストレスの除去だ。だが、その未来はまったく視界の中に見えない。メディアはさらに憎悪を増幅させている。私たち個人は、その増幅に乗せられてはならない。冷静になろう。
そして最後に、少しだけ気になるコメントを引用する。

腑に落ちないことが多すぎるフロリダ乱射事件 by 株の話、経済の話、何の話だろう?

このコメントが杞憂に終わることを祈る。

日本経済新聞・社説
英国はEUにとどまる重みの再認識を

英国が欧州連合(EU)にとどまるかどうかを問う国民投票が迫ってきた。投票が実施される23日に向けて賛否両陣営のキャンペーンは熱を帯び、足元では離脱支持がやや優勢という。EUから離脱してしまうと、英国は世界から孤立し自らの経済的な強みを失いかねない。金融センターとして栄えるシティーは地盤沈下し、世界中の大企業が欧州の統括拠点を独仏などに動かす事態も十分に予想される。経済協力開発機構(OECD)によれば、英国がEUから離脱すると、2030年までの同国の国内総生産(GDP)はとどまる場合に比べ2.7~7.7%落ち込む可能性がある。欧州の中核国の経済変調は日本を含む世界中に及ぶことだろう。投資や貿易だけでなく文化交流なども含め、日本にとって英国は歴史的に関係の深い国だ。政官民のあらゆるパイプを通じて、英国が自国にとっても世界にとっても正しい選択をするよう、はたらきかける必要もある、としている。

英国の国民投票への緊張、私は今回のフロリダの件でさらに身構えた。冷静さを失えば、英国は離脱を望む衝動に耐えられない。もし、似た事件がヨーロッパであるだけで、英国の揺らぐ国民感情は投票に影響するだろう。スコットランドの時、ギリシャの時より、嫌な雰囲気が世界に漂っている。2週間程度で、世界の雰囲気が変わった。

人民網日本語版
歴史を知って初めて道義の重みが分かる (2016.6.13)

米国商務省は少し前に中国企業の華為(ファーウェイ)に対して、いわゆる米国の輸出制限違反の調査を行なうと通知した。早くも2012年10月に米議会は調査報告で、華為と中興(ZTE)が米国の安全を脅かしていると何の根拠もなく指摘。今年3月に米商務省は中興を輸出制限リストに載せた。ハーバード大学のジョン・ケルチ教授はかつて「華為と中興は新時代を代表しており、第三世界の国が第一世界のハイテク製品を作っている。米国の企業はこの点に適応し難いと内心思っている」と指摘した。英紙フィナンシャル・タイムズはかつて米国のやり方について「口実を探して中国の競争相手を締め出しているようだ」と指摘した。こうした「ダブルスタンダード」は、ほぼ米国の「スタンダードな手法」になっている。ややもすると原則をいいかげんに扱う米国が、意外にも南中国海問題では原則維持の旗印を堂々と掲げている。アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、艦艇や航空機の他国沿岸への派遣をことのほか重視する意図について、なんとカーター米国防長官は、航行の自由と上空飛行の自由に関わることであり、ワシントンが重視しているのは原則だと釈明した。「ダブルスタンダード」とは何か?つまるところ覇道と虚偽だ。「道を得たる者は助け多く、道を失える者は助け寡なし」。この名言は中国のものだが、その哲理は世界に共通する。この言葉の深い意味を直ちに理解できなくても構わない。心を静めて、米国よりもずっと長く豊かな世界の歴史を一読してみるとよい。本当に読んで理解すれば、「道義」の重みが分かるかも知れない、としている。

華為の話だけなら、共感のコメントを書こうと思っていた。だが、言いたいことは南シナ海の自己弁護だ。アメリカのダブル・スタンダードを批判しても、中国自身の理不尽な主張が通じるわけではない。南シナ海への中国の対応は支離滅裂になってきた。追い込まれている姿は見苦しい。相当追いつめられているようだ。

Financial Times
企業を悩ます「人生100年」時代

英国では、100歳の誕生日を迎えると女王陛下からメッセージが届くことになっている。10年前には1人のアシスタントがその発送を担当していたが、今日では7人の人手が要る。リンダ・グラットン氏とアンドリュー・スコット氏が刺激的な近著『The 100-Year Life(100年生きる時代)』で指摘しているように、100歳の人は珍しい存在ではなくなりつつある。高齢化する従業員がより幸福な人生を送れるように企業が支援する際にはどんなことができるのか、実践的で優れた提案を行っている。例えば、従業員がフルタイム勤務と短時間勤務とを容易に切り替えられるようにし、すべての年代の従業員が子供や孫――あるいは、長寿のこの時代には、ひ孫――と過ごす時間を増やせる柔軟な仕組みを作るべきだという。企業は「年齢不可知論者」になり、従業員の年齢は考慮せずに誰がどの仕事に向いているかを見ればいい、というわけだ。100年の人生は多くの面でありがたいことだ。だが、大半の人にとって、100年生きる資金の工面は難しくなる。そのため、高齢の従業員は雇用主や政府と対立することになるだろう。大規模な戦いが始まるのだ。だが、企業や政府の責任者には、その覚悟ができている人はほとんどいないように思われる、としている。

読売新聞・社説
働き方改革 長時間残業が「総活躍」を阻む

政府の「1億総活躍プラン」や「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)などは、アベノミクスの推進に向けて、働き方改革を重要課題の一つと位置付ける。安倍首相は「最大のチャレンジ」と強調している。自民党も参院選公約に、「労働慣行の改革」を掲げた。恒常的な残業を当然視する雇用慣行は、育児や介護で時間的制約のある女性らの活躍を阻んできた。働く女性の過半数が待遇面で劣る非正規雇用なのは、その反映だ。長時間労働の是正は、労働の質を高め、生産性を向上させる。多様な人材が活躍できれば、イノベーションも促されよう。官民を挙げて推進する必要がある。終業と始業の間に一定時間を確保する「インターバル規制」を導入する企業も増えた。普及へ向け、政府の支援強化が望まれる。雇用形態で賃金に差をつけない「同一労働同一賃金」も働き方改革の重要テーマだ。与野党は参院選で議論を深めてもらいたい、としている。

Financial Timesと読売が偶然にも似たトピックを論じている。読売の話題には高齢化は論じられていないが、日本はFinancial Timesの論点に無関心を装っているに過ぎない。やがて日本が、いや、すでに直面している大いなる問題だ。ホワイトカラーの会社人間は、ますますいらなくなる。生産性の向上にもっとも簡単なのが雇用の削減で、機械化することだと気づいた社長は、これからも人を減らし、機械に投資するだろう。抗う方法はただひとつ。みんなが社長になること、雇われるのではなく、自ら立つことだ。個々が競い、集い、目的を達成して、また解散する。その仕組みに少しずつ近づいている。世の中から仕事は減らない。創造やイノベーションは、さらに求められるだろう。だが、社員はもう要らなくなる。いまから非正規の踏み台をうまく使う練習をしよう。やがて、世界の仕事のほとんどが非正規になる。本当のプロになろう。その方が、ずっと人生は楽しく、平均寿命30年の企業に雇われるより、安定している。

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