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2631.報道比較2016.6.7

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南シナ海の緊張が極限に近づいている。この緊張は、やがて東シナ海に移る。日本だけが貧乏くじを引くことにならないか、心配だ。

朝日新聞・社説
南シナ海問題 中国は国際法の順守を

中国による海域での拠点作りについてカーター米国防長官は「かつてない拡張的な行動」と批判。中国軍の孫建国・連合参謀部副参謀長は「少数の国が混乱を起こすのを座視しない」と米の介入への反論を掲げた。明白なのは、いまの南シナ海問題の原因は中国にあるということだ。いくら既成事実を積み重ねても、一方的な現状変更の正当化はできない。国際社会のその認識を、中国の習近平政権は軽視するべきではない。中国がいう南シナ海での「歴史的権利」は、海域全体を自国の内海と言っているに等しい。岩礁を埋め立てて滑走路を建設するような行動は、中国が唱える平和的な解決に反している。米中両政府はきょうまで、戦略・経済対話で広く懸案を話しあう。中国を説得し、南シナ海の安定化を探る作業は、米国だけでなく関係国すべての工夫と努力が試される難題だ、としている。

日本経済新聞・社説
南シナ海の裁判が試すアジアの法治力

領土や領海をめぐり、地球上にはたくさんの争いがある。そうした対立を力ではなく、国際法によって解決する法治体制を整えていけるか。世界はいま、大きな岐路にさしかかっている。その行方を左右するのが、南シナ海のほぼ全域について中国が領有権を主張し、軍事拠点を広げている問題への対応だ。フィリピンやベトナムなど沿岸国が反発を強め、主要7カ国(G7)も中国を批判する声明を出している。問題の核心は、中国の領有権の主張に国際法の根拠があるのかどうかだ。フィリピンは異を唱え、国連海洋法条約にもとづき、仲裁裁判所に訴えている。その裁定が、月内にも出る方向という。そもそも、中国の言い分には国際法の根拠が見当たらない。同国は「南シナ海は昔から中国のもので、長い間、異議は出されてこなかった」(孫副参謀長)というが、受け入れられない主張だ。特にカギをにぎるのは、南シナ海に近接する東南アジア諸国連合(ASEAN)の出方だ。中国に分断されれば、圧力は不十分なものに終わってしまう。問われているのは海の領有権だけでなく、アジア太平洋の法治力である、としている。

日本は、この件でも米国に寄り添うことを明確に決めたのだろう。東シナ海の利害を考えたら当然だ。中国の主張は最初から無理があったし、その背景は経済力の増大によるルール変更という浅はかさなのは事実だ。だが、追いつめるだけでは、事態は緊張しかしない。緊張の先にあるのは衝突だ。中国の妥協を期待するのは判るが、期待しているだけでは進展は難しい。誰かがその役割を担うべきで、その妥協案をつくれた国こそが、後で賞賛を得られる。日本は、そんな役を担う意志はゼロ。アメリカの後ろで吠えている弱虫にしか見えない。この役を狙っているのは、オーストラリア、カナダ、ヨーロッパあたりだろうか。南が終わった後、緊張は東シナ海に移る。日本だけ、後で貧乏くじを引くことにならないか、心配だ。

Wall Street Journal
米中対話、米財務長官は過剰生産能力の削減要求 (2016.6.6)

米国のルー財務長官は、米中戦略・経済対話の開幕に当たり、中国の産業政策や海外の非営利組織(NPO)を規制する法律について批判した。ルー財務長官は6日の記者会見で、中国の過剰生産能力と海外の非政治組織(NGO)を取り締まる新たな法律に触れ、これらがいずれも国際市場と中国の経済成長を妨げる恐れがあると述べた。中国ではこの法律に基づき、警察が海外のNGO団体を監視する動きを強めている。一方、中国の習近平国家主席は、米中両政府が「戦略上誤った判断を避けるため、定期的に意思疎通を図り、互いの信頼を高める」必要があるとの認識を示した。ルー財務長官は中国に過剰生産能力を削減するよう要請。中国の過剰能力が「世界の市場を歪め、悪影響をもたらしている」と指摘した。ルー長官はその上で、中国に対し、供給過剰の目立っている鉄鋼やアルミニウムなどのセクターで生産を削減するよう強く求めた。米政府関係者らは今回の戦略対話で中国に対し、行動や改革を進めるよう圧力をかけるとみられている、としている。

人民網日本語版
中米戦略・経済対話 二国間投資協定に進展あるか (2016.6.6)

第8回中米戦略・経済対話と第7回中米人的・文化的交流ハイレベル協議が6月6日から7日にかけて北京で開催される。外交部(外務省)の鄭沢光副部長(外務次官)の説明によると、「中米双方は今回の対話で、二国間の、地域の、グローバルな一連の重要問題について話し合い、中米間の新型大国関係の構築の推進、2国間の実務協力の深化、意見の食い違いや敏感な問題をめぐる調整、アジア・太平洋地域における中米の双方向の関係、国際的な地域問題やグローバルな問題について、深いレベルで意見を交換することになる」という。米財務省のネイサン・シーツ国際担当次官はこのほど、「双方は今回の対話で中国経済のバランスの取れた成長、過剰生産能力、投資自由化などの議題について話し合う。米国はオバマ大統領の任期中に中国とのBIT交渉を終結させたい考えだ。米中はBIT交渉で多くの進展を得たが、やるべきことはまだたくさんある。米国は中国と新しいネガティブリストを交換することを期待する」と述べた。中国は米国にとって最大の債権国でもある。両国はお互いへの依存度が高まれば高まるほど、対話を行う必要に迫られるようになる」と述べた、としている。

経済の対話が、南シナ海の緊張でギクシャクしている。経済もお互いにとってのカードと位置づけているようだ。昨年までは、中国は世界経済の牽引としてリードできる立場だったが、低迷感が強まった現在、利上げを目指すアメリカの顔色を見ている印象だ。アメリカ国債くらいしかアメリカを揺さぶるカードがないように見える。中国が追いつめられ過ぎないか、気がかりだ。

毎日新聞・社説
舛添氏の調査 これで続投に意欲とは

政治資金をめぐる公私混同疑惑について、舛添要一東京都知事が弁護士による調査結果を公表した。その内容は政治資金の使い道の一部を不適切な私的流用と認定する一方で、違法性は否定している。舛添氏は「生まれ変わった思いで都政に全力を挙げたい」と表明したが、都民に受け入れられるとは思えない。舛添氏が依頼した弁護士は一連の支出を「違法ではない」として虚偽記載などの可能性を否定した。調査の進め方について「すべて聞き取りしなければいけないものではない」と強弁している。ホテルで会議をしたとするメンバーや会食の同席者などは、十分に裏付けられていない。都議会はきょうから各会派による代表質問がスタートする。一問一答形式による、総務委員会での集中審議も行われる見通しだ。都民の代表として、どれだけ厳しい姿勢でのぞむかが試される。とりわけ都政与党である自民、公明両党の責任は大きい。知事の監視役としての役割を果たすべきだ、としている。

想像以上にこの話題が大きくなっているが、私が注目しているのは都議会議員の告発がどこまでの効果に行き着くのか、自民党や公明党の議員がどこまで腰抜けなのかだけだ。都民でもない私には、舛添氏の辞任にも続投にも、あまり興味はない。他に考えた方がいいことはいくらでもある。全国紙が社説で取り上げる話題ではないだろう。

読売新聞・社説
韓国慰安婦財団 合意履行へ国民の理解求めよ

元慰安婦を合意に基づいて支援する財団の設立準備委員会が韓国で発足した。韓国政府が設立する財団に、日本政府が10億円を拠出する。「元慰安婦の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やし」が事業目的とされる。その合意の趣旨を体現した財団となることが求められる。気がかりなのは、国民の理解が十分に得られていない状況だ。読売新聞と韓国日報の共同世論調査では、合意を「評価しない」とする人が韓国で73%に上った。合意は日韓双方が歩み寄った成果であり、停滞していた日韓関係を改善する契機となったのは間違いない。朴政権が元慰安婦との面談を進める中で、合意に肯定的な反応が増えているという。朴政権は合意の意義について、粘り強く国民に理解を求め、財団が円滑に活動できるよう努めることが欠かせない、としている。

韓国国民に評価されないのなら、拠出金よりは対話を先行すべきだろう。こういうカネを先に出すと、また後でこじれる。韓国政府に委ねずに、日本ができることはないのだろうか?本気で関係改善する気はないのだろうか?

産経新聞・社説
沖縄と基地 自民は安保の現実訴えよ

沖縄県議選で、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する翁長雄志知事の支持派が議席を伸ばし、過半数を維持した。知事らは、これが「直近の民意」だとして、移設阻止の構えを一層強めようとするだろう。安倍晋三政権が県議選の結果にかかわらず、移設の方針を堅持するのは当然だ。尖閣諸島など南西の守りと普天間の危険性除去を両立させるには、それしかないからだ。そうだとすれば、大きな疑問を呈さざるを得ない。米軍基地問題に対する自民党、とくに同党沖縄県連に、腰の定まらない姿勢がみられることである。この問題では、自民党沖縄県連会長でもある島尻安伊子沖縄北方担当相が事件後、地位協定改定を主張し、島尻氏ら県連幹部は党本部を訪ね、改定を要請した。また、沖縄県議会が5月26日に、県内移設反対と米海兵隊全面撤退、地位協定改定を含む抗議決議を採択した際、自民党は明確に反対する態度をとらず、退席した。公明党は決議に賛成した。安全保障上の重要問題をめぐり、閣僚や国政与党の地方組織が、政権の方針から大きく逸脱した行動をとっている、としている。

産経の沖縄への感情は、いつも冷たい。これが沖縄を冷遇する人たちの感覚なのだろうと受け止めている。アメリカ側に、この感覚の人は少ないだろう。徐々に事態は動いている。どちらが現実かを、少しずつ変えていけばいい。

Financial Times
米国の生産性低迷のナゾ

米国の生産性伸び率はここ10年間低下し続けており、今年は三十数年ぶりのマイナスになることがほぼ確実視されている。さて、どちらを信用すべきなのだろうか。経済統計だろうか、それとも、ふしあなだったりする自分の目だろうか。ほかの指標もこの悲観論を裏付けている。例えば、今日の米国経済のトレンド成長率は2%をわずかに上回る程度で、30年前の半分ほどでしかない。ポール・クルーグマン氏が指摘したように、「生産性がすべてではないが、長期的には生産性がほぼすべて」なのだ。ほとんどの米国人はここ15年あまり、賃金の伸び悩みや低下に苦しんできた。実質ベースでは、今日の大卒者の初任給は2000年当時のそれを大幅に下回る。経済協力開発機構(OECD)によれば、米国では次世代の労働者の教育水準が現世代のそれを下回ることになるという。これは史上初めてのことであり、状況が今後もっと悪くなりそうなことを意味するものだ。先日発表された米国の生産性に関する報告書は、それを裏付ける内容になっている。米国の都会で最も裕福な地区の住人とその周辺に住むほかの人々との分離が加速され、教育を受けたエリートたちはさらに豊かになるだろう。下手をすると、それによって民主主義的秩序の崩壊の引き金が引かれることもあるかもしれない、としている。

世界でもっとも豊かで、昨年まで、そして今でも単発エンジンとして世界経済を牽引しているアメリカが生産性の低迷に喘いでいるのは大きな心配事だ。IT分野に近い私には、まだ世界は仕事で満ちているように見えるが、プログラミングはタクシー・ドライバーや工事労働よりもハードな面もある。特殊技能ではないと思うが、流れが早く、一度覚えた技能がずっとメシを保証してくれることはない。イノベーションと称した技術基盤の移行が頻繁に起きる。ずっと勉強が必要。生産性が高いように見えて低い。ITでさえこれだ。バイオ、金融、マーケティング…成長するといわれる分野の伸び代を増やすには、どこだってタフさが必要だ。現場でも、Financial Timesが言うような疑問には、日々頭を悩ませている。が、最後には「Just make it」に尽きる。誰かがつくるしかない。新しい方法を。いまは2%しか増やせない生産性だが、その先にある未来を信じて。やがてAIが自動でイノベーションまで導いてくれるまで、道なき道をつくるのは、私たちの仕事だ。

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