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2586.報道比較2016.4.24

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何事も、現場に答えがある。現場に足を向けなければ、報道がネットに勝てる日は永遠に来ないだろう。

朝日新聞・社説
震災避難 障害者への支援確保を

熊本市では、避難の際に手助けが要る「要支援者」の名簿に登録された人は約3万5千人いる。これに対し、福祉避難所の協定をもつ施設は176あったが、実際に受け入れる施設はなかなか増えなかった。ケアする人が被災して人手不足だったり、建物が壊れて水道も止まったりと、施設の環境が整わなかった事情がある。こうした中、熊本市の熊本学園大の活動が注目されている。最大60人ほどの障害者や高齢者を受け入れ、存在感を示す。もともとはグラウンドが広域避難場所に指定されていただけだったが、相次ぐ強震で住民が集まり始めたため、4教室を住民に開放した。さらに校舎内の大ホールを要支援者専用にし、大学関係の介護福祉士や学生ボランティアらが24時間、避難者を見守る態勢をつくった。避難所づくりに携わった同大の教授2人は障害者・支援者団体と協力して「被災地障害者センター」も設けた。一つの避難所に集約するのではなく、各地の障害者に適切な情報を提供する拠点となり、元の生活に戻るまで必要な支援を続ける、としている。

読売新聞・社説
熊本交通網寸断 露呈した弱点を克服したい

九州の鉄道と高速道路などの主要道は、熊本、大分両県を中心に多くの箇所が不通になった。救援物資の運搬が滞る要因となり、災害時の輸送網確保の重要性を再認識させた。回送列車の脱線などで、一時は全線で運休を余儀なくされた九州新幹線は、新水俣―鹿児島中央間に続き、博多―熊本間でも運転が再開された。在来線や高速道路でも不通区間の解消が進む。新幹線の回送列車は、熊本駅から車庫に向かって時速約80キロで走行中、最大震度7を記録した前震で脱線した。乗員は無事だったが、仮に営業運転中だったら、重大な被害が出ていた可能性がある。この事故を契機に、JR各社が脱線や転覆を防ぐ装置の導入に乗り出した。JR九州も、レールの内側で車体の揺れを抑え込む「脱線防止ガード」を設置してきた。上下線の約1割の55キロが対象で、48キロ分の工事が完了している。強い直下型地震は、日本中のどこでも起き得る。それが今回の地震の教訓である。現行の計画のままでいいのか、各社とも真剣に再検討すべきだろう、としている。

熊本地震への社説が反省に向かいはじめた。避難者の数も20万人と言っていた時期に比べれば大きく減った。復旧・復興のスピードは増していると思う。災害対策への経験値が上がっているのならすばらしいことだ。ボランティアや共助のひろがり、規則より柔軟な対応というものに、国民全体が向かいはじめているのを期待したい。

日本経済新聞・社説
「迷子の土地」の実態を把握し手を打て

所有者がわからない「迷子の土地」が目立ち始めている。所有権が移っても新たに登記しない人が増えているためだ。災害復旧や徴税事務など様々な分野で障害になっている。国土交通省が昨年、実施した調査をみると、都道府県の大半が過去5年以内に「所有者の把握が難しい土地が存在した」と回答した。市町村の多くも同じだった。影響が出ているのは災害復旧や徴税だけではない。農地を再編して規模を拡大しようと思っても耕作放棄地の所有者がわからず、一向に進まない。地籍調査の障害にもなっている。一般に土地を取得したり、相続したりした場合は、新たに登記するが、あくまで任意で義務ではない。このため、所有権が移っても登記簿上は以前の所有者のままというケースが珍しくない。相続を放棄する人も増えている。背景にあるのはバブル経済の崩壊をきっかけとする国民の土地に対する意識の変化だ。かつては土地を資産とみなす人がほとんどだったが、地価の下落で土地を保有する魅力が薄れてきた。ひとつの宅地でも、区画(筆)が分かれていれば別々に手続きが必要になるなど、登記は煩雑すぎるという声も多い。できるだけ簡素化し、登記に必要な費用の引き下げも検討してほしい、としている。

土地の所有権の登記申請が任意とは知らなかった。徴税も関わるので義務だと思っていた。住宅関連で数回関わっただけだが、あれをやりたいと思う人はいないだろう。戸籍の転入転出同様、意味に対しての煩雑さが大き過ぎる。しかも任意とは…誰もやらなくなるのではないだろうか?

毎日新聞・社説
保育所と住民 子供の声は騒音なのか

匿名ブログをきっかけに待機児童の解消が重要課題となっている。その一方で、「子供の声がうるさい」など周辺住民からの反対で保育所の開設を断念する例が相次いでいる。毎日新聞の全国調査では、2012年度以降だけで開設を断念した事例が11件、開設が遅れたケースも15件あることが分かった。千葉県市川市では4月に開設予定の保育所が住民らの反対で建設中止に追い込まれた。子供の声だけでなく、送迎の車による渋滞、交通事故のリスク、親たちのマナーにも批判は向けられる。厚生労働省の15年調査では、子供の声を「騒音」と思う人が約35%に上った。地域活動に参加していない人ほど「騒音」と感じる割合が高い。家族や地域付き合いの変化が、子供の声を疎ましく思う人々の増加に影響しているのだ。子供たちの声を「騒音」と決めつけて受け入れないことに心を痛めている人は多いはずなのだ。これからの時代を背負う子供たちである。優しく見守る地域社会を育てたい、としている。

私個人の感覚は毎日の主張に近いが、高齢化していく中、決めるのは住民だという民主主義の原則も理解できる。私はこどもの声だけが理由で建設が中止になったとは思わないが、保育施設が足りないと言われていても拒絶する理由は拾い上げるべきだろう。
私は、毎日のような感情的な感覚が、もっともこの議論の結末を不幸にすると感じている。情緒でこどもと高齢化を断絶し、価値観に理想論で言い詰める。求められる報道ではない。
私が、ボランティアで関わっている自治体の人との対話の経験を述べたい。なぜ、これだけ待機児童の問題が言われるのに、市町村は保育所をつくらないのか。国が推進し、予算はある。場所も探せば見つかる。手を上げる人もいる。つくるのは簡単らしい。自治体は、ここで慎重な検討も行う。時代は高齢化だ。いまは待機児童があふれている。だが、この先の人口動態で、廃校が連続して批判されるような小中学校のような未来にはならないのか?と。これを調査すると、日本の自治体で、10年後も待機児童問題を持ちつづける可能性は、人口動態だけを見れば五分五分らしい。となると…投資は大いなるリスクだ。原資は血税。10年後、待機児童が減った時に、保育所を代替利用するイメージまで持てなければ躊躇する。批判する側は「未来も想定せずに税金を使った馬鹿ものども、無駄遣いをやめろ、税金を還せ」と平気で言うのだから。民間から関わる私は、別のアイディアをイメージしはじめているが、公務員の方々はサボってなどいない。むしろ必要以上に、私たちが考える以上に考えていることが多い。批判が恐いのではない。賢明なら、未来がないものへの投資は、やはりできないのだ。これを越えるには、アイディアであり、共助であり、発想の転換だ。そこまでを公務員の方々に求めるのは酷だ。
もう一度、この社説を見てみよう。ひょっとすると、いろいろな理由があったのかもしれない。それを取材で集めるのが、新聞にもっとも求められている姿のはず。政治も、メディアも、本当にして欲しい仕事をしていない。

産経新聞・社説
国連報告者 日本の報道を見損なうな

国連人権理事会の「表現の自由」を担当する特別報告者が、訪日調査で「政府の圧力で日本のメディアが萎縮している」などとし、放送法などの改正を求めた。特別報告者は、米カリフォルニア大アーバイン校教授のデービッド・ケイ氏だ。1週間の日程で関係者から情報収集したという。19日に日本外国特派員協会で会見した。調査結果は来年の人権理事会で報告される。ケイ氏は「日本の報道の独立性は深刻な脅威に直面している」とし対策を求めた。「放送法4条を無効にし報道規制から手を引くべきだ」としている。批判は、高市早苗総務相が電波停止に言及した問題を踏まえたものだろう。昨年、自民党の調査会が報道番組でやらせが指摘されたNHKや、コメンテーターが官邸批判をしたテレビ朝日の幹部を呼び事情を聴いた問題もあった。同氏が批判した特定秘密保護法は、安全保障関連の機密漏洩を防ぎ日本と国民の安全を守るのに必要だ。政府に都合の悪い情報が隠されないよう、むしろ報道機関は積極的に取材する。圧力があれば堂々と報じるのが矜持だ。メディアが多様な情報や意見を伝える自由は民主主義の根幹である。日本で報道にたずさわる者はそれをよく知っている、としている。

ずいぶんな自信だ。言葉どおりならありがたいが、市民でそう感じている人はいないだろう。こんな発表を見ると「大本営発表」を思い出す。

人民網日本語版
地震の影響で訪韓中国人観光客増加? 韓国免税店の株価が急上昇 (2016.4.22)

韓国メディアetodayの報道によると、日本の熊本県で地震が発生した後、中国大陸と香港地区では旅行警報が発令された。これを受けて、韓国では中国人観光客の韓国旅行への期待が大きく高まっており、関連の株価もこれに伴い急上昇した。日本の地震発生を受けて、韓国では中国人観光客が大量に韓国に流れ込むだろうという予測が広がっている。日本は中国人観光客の大幅な増加で観光業の大きな発展がみられたが、今回の地震で大きな打撃を受けることは間違いない。韓国ではこれを機に中国人観光客が再び戻ってくることへの期待が高まっている。とりわけメーデーの連休が目前となっており、これも韓国の業界の期待をさらに膨らませる。SK証券のキム・ギヨン研究員によると、円安と原油価格の下落によって、2014年は中国人の訪日が、15年は韓国人の訪日が持続的に増加、一度は低迷も見られた日本の観光業界は大きな繁栄を迎えた。しかし、熊本地震の影響で第二第三四半期に日本の観光業が打撃を受けることは必至。中国人観光客の増加という積極的影響により、韓国の免税店は新たな発展のチャンスを迎えるだろうという、としている

同じことは、北朝鮮がミサイルを発射しただけで起きる。旅行者が行き先を決める時、もう少し違う感覚で決めるだろう。本質で近隣と協力できれば、日本はアジアでもっとも豊かな観光立国になれるだろう。中国の人たちに、それを理解してもらえると信じている。

Wall Street Journal
ニッチ化するフィンテック業界、結婚ローンも (2016.4.22)

かつてのシリコンバレーでは、幅広い金融業務に風穴を開けようとする新興企業に資金がつぎ込まれてきた。現在、ベンチャーキャピタルからの資金が流れ込んでいるのは、その中でも専門性を高めた企業だ。オンライン融資事業者の数が過剰になり、一部の融資事業に対する投資家の関心が冷める中、新たに誕生したフィンテック企業は不動産事業や信用力の低い借り手への融資、自動車ローン、さらには結婚する人に向けた「ブライダルローン」といった分野に焦点を絞っている。ブライダルローンを専門とするプロミス・フィナンシャルのジョシュア・ジャージー最高経営責任者(CEO)は「カードローンの借り換えなど、主流になった(事業)分野はたくさんある。設立間もないプラットフォームがより狭い分野に特化するのは避けられない戦略だ」と話した。投資家はレンディングクラブを含むフィンテック企業の新規株式公開(IPO)がさえないパフォーマンスになったことを懸念。また、事業資本へのアクセスの難しさが、これらプラットフォームの成長をいかに脅かしているかをも不安視してきた。この結果、同セクターからVCが一斉に引き揚げてしまった。ダウ・ジョーンズ・ベンチャーソースによると、米国のフィンテック企業向けベンチャー投資額は2015年7-9月期の13億ドルがピークとなった、としている。

これがフィンテック?違うだろう。どちらかと言えば、フィンテックという言葉を必死にもてはやそうとしているか、フィンテックというブームで投資がもらえるなら、その言葉に迎合したいと企業が苦悶しているように見える。そろそろITの今回のブームも限界だ。今回もVRは置き去りにされるのではないだろうか。
iPhoneが生まれたのは2008年。リーマンショックの後、低迷する経済をものともせずにアップルは躍進した。モバイルを中心としたライフスタイルは、iPhone以前と以後ではまったく違う。経済の波とITが呼応するように時代をつくっていくならば、リーマンショックからここまでの経済成長は、モバイルだった。その波が、もうすぐ終わる。
株価が回復したアメリカで、まだ未来があると語るアナリストは一人も見たことがない。今のうちに逃げておけ。去年の夏を、年初の緊張を忘れたのか?誰もがそう言っている。私は株屋でもなく、マーケットよりは実業中心、主戦場がITだ。だからこそ、この波の強さを意識して動いている。2014年にアメリカに行った時に思ったのが、「今回の波に間に合わないなら、つぎの波にしよう」だった。それくらい、現場は過熱感があった。なんでもありだった。長くはつづかない匂いはすでにしていた。いま、必死に生き残ろうとする人たちは大変だろう。もし、ビジネスチャンスやスタートアップを狙っているなら、奨めない。もっとも高いカネを払う間抜けを演じる必要はない。あと少し待てば、また波が変わる。その時には、フィンテックという言葉も消えているのではないだろうか?

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