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2585.報道比較2016.4.23

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日本のジャーナリズムやメディアは、このまま死に向かっていくのではないだろうか。今回の毎日の社説を観察すれば、日本の報道の反省のなさが判る。

毎日新聞・社説
報道の自由 外からの指摘にも耳を

日本における表現の自由について訪日調査していた国連特別報告者、デビッド・ケイ米カリフォルニア大教授が記者会見し、「日本の報道機関の独立性が深刻な脅威にさらされていることを憂慮する」と、報道の自由に対する懸念を表明した。この中でケイ氏は、放送法などの改正を求めた。日本政府への勧告は来年予定されている。憲法が保障する言論の自由についての指摘であるだけに、耳を傾けたい。国連調査の背景の一つには、番組の政治的公平を定めた放送法4条を根拠に、放送局の電波停止に言及した高市早苗総務相の発言がある。報道の自由に関しては、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」の2016年各国ランキングでも、日本は前年の61位から72位に順位を下げた。過去の国連調査には、実情を正確に把握しているとは言えないものもある。もし見解が異なるなら政府は丁寧に説明すればいい。ただ日本への懸念が国外にも広がっていることはきちんと認識する必要がある、としている。

ケイ氏が指摘した大きな論点は、放送法の改正とともに記者クラブの廃止だ。そして、ジャーナリズムが存在しない環境だ。匿名を条件にするジャーナリストの存在を、ケイ氏は相当憂慮している。あらためて、一昨日掲載したリンクを載せよう。

国連「表現の自由」特別報告者「懸念は深まった」記者クラブ廃止など提言【発言詳報】 by Huffington Post

自らにイヤな話は書かず、意志に合う部分だけを取り上げる。こういう姿勢をつづけているから、新聞を含めたマス・メディアは死に向かっているというのが、彼の指摘だ。毎日のような姿勢なら、このまま日本のメディアは消滅するだろう。
私がこの件を放置できると思っている理由は、Wall Street Journalの成長、日本に根付いた報道が十分に価値を得られると観察できているからだ。残念なのはWall Street Journalだけで、Financial Timesは、JBpressのコスト削減か、日経新聞の買収の影響で、徐々に良質な記事に出逢いにくくなっている。人民網はまったく使い物にならないが、インターネットへのアクセスが維持され、Wall Street Journalがいまのスタンスをつづけてくれるなら、私は日本のメディアが壊滅しても痛みを感じない。
すでにずいぶんと偏りと、政府への奇妙な結託と遠慮を見せているメディアには、懸念を越えて危険を感じている。2011年頃にやっていた報道比較の頃から、日本のメディアは本当に劣化した。

産経新聞・社説
震災とオスプレイ 着実な日米協力を示した

熊本地震で、在日米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイや輸送機C130などが、被災者のための救援物資や現地に赴く自衛隊員の輸送に当たっている。ブリンケン米国務副長官は岸田文雄外相に対し、「危機の時にこそ友人同士は助け合うものだ」と語った。米軍が苦難に陥った熊本の人々に、温かい手を差し伸べてくれたことに感謝したい。おかしいのは、野党議員や一部マスコミがオスプレイによる輸送をことさら取り上げ、「政治利用」「実績作り」などと批判していることである。最初のオスプレイは18日、2機が熊本空港隣接の陸自分屯地で水や食料、毛布などの物資計20トンを積み込んで離陸し、南阿蘇村の公園グラウンドへ一気に運んだ。自衛隊と米軍が協議し導き出した合理的な作戦であり、政治利用の入る余地がどこにあるのか、としている。

読売新聞・社説
自衛隊熊本支援 オスプレイの活用は効果的だ

熊本地震で、自衛隊が2万人以上を動員し、被災者の救助・支援活動を展開している。今回、熊本、大分両県など関係自治体に連絡調整要員を派遣したことで、支援活動を円滑にしている。自治体や警察などとの業務の重複を避けるためには、適切な役割分担が欠かせない。米軍は、普天間飛行場所属の輸送機オスプレイ4機を投入した。国道の崩落で孤立した熊本県南阿蘇村に飲料水・食料、毛布、簡易トイレなどをピストン輸送し、多くの被災者の生活を維持するうえで、重要な役割を果たした。オスプレイは、従来の輸送ヘリより最大速度、搭載量、航続距離のいずれも大幅に優れている。垂直離着陸の機能を有し、山間部でも対応可能なため、かねて災害派遣に有効と指摘されていた。陸自も2018年度までに、オスプレイ17機を導入する予定で、佐賀空港への配備を目指す。その受け入れの地ならしではないかとの臆測も否定しておきたい、としている。

前述の政府との奇妙な結託とは、こういうことだ。アメリカが助けてくれることの打算までは、感謝とともに受け入れる。政府がその意識を黙認して許容するのも理解する。それをメディアがこうして持ち上げるところが、まったく理解できない。産経と読売は、自らが悪魔に魂を売っているような姿勢を理解しているのだろうか?

日本経済新聞・社説
成長強化へアベノミクス再構築を

安倍晋三首相が自らの経済政策「アベノミクス」を打ち出してから3年あまりがたった。一定の成果はあったが、日本経済は真に再生できるか否かの正念場にある。世界経済の不透明感が増すなか、安倍政権は日本経済の成長力を強化するためにアベノミクスを再構築しなければならない。金融緩和だけで、物価が持続的に下落するデフレから脱したり、景気が本格回復したりするのは難しい。政府はその点を改めて肝に銘じてほしい。まずは財政政策を再調整する必要がある。景気回復がもたついているのは、個人消費が精彩を欠いているからだ。来年4月に予定している10%への消費増税は、その景気下押しを財政支出でカバーする必要がある。8%への前回の増税は予想以上に景気を下振れさせた。足元の経済活動は当時よりも停滞しており、デフレに逆戻りする危険がある。日銀のマイナス金利政策は、企業や家計が予想する物価上昇率がかえって低下するといった副作用も目立つ。日銀は市場との対話にもっと工夫を凝らし、実体経済にも幅広く目配りしながら柔軟に政策を運営してほしい。いま安倍政権に求められているのは、日本経済再生に向けた総合戦略を再強化することだ。消費増税の是非だけを論じるのではなく、経済最優先の方針の下で3本の矢を一体で立て直してほしい、としている。

唯一、このところまともなスタンスを持っているのが日経。今年になってから、時折バランス感覚が際立つ。ただ、まだ旧体質も相当に残っている。上層部にも迷いか、人材か思想の衝突があるようだ。
政治に要請するより、民間が何をできるかを書いた方がいい気もする。安倍政権に規制緩和や構造改革の才能がないのは明らかだ。いつまで待っても答えが出ることはないだろう。残念ながら経団連もメディアも、政府に寄り添う姿勢ばかりだ。だから財閥系、JRやNTT、郵政のようなところばかりが活躍している。私は外資から実益を得ることを奨める。日本の感覚の特殊性が許容されるのも、2020年くらいまでだろう。金融政策でやった最後の手段も、世界が懸念を示しはじめた。モラルを失った行動が最後に陥るのは、いつだって破滅だ。いまの日本は、すでに片足を突っ込んでいる。

朝日新聞・社説
電子教科書 自治体任せは無責任だ

小中高校で使う教科書について、文部科学省がデジタル化を解禁する方針を固めた。紙の教科書と同じ内容の電子データをデジタル教科書とし、タブレットやパソコンなどの情報端末で学ぶ。教科書のデジタル化によって文字や写真を拡大できる。音声や動画と一体で学ぶことで英語の発音を聞いたり、算数で図形を動かしたりできる。まず気になるのは、体への影響だ。脳の発達や睡眠への影響、長時間使うことによるデジタル依存の問題について指摘する研究者がいる。文科省は健康への影響が少ない形で始め、導入後に調査研究をするというが、保護者の不安に応えられるだろうか。ところが文科省はデジタル版を当面、無償配布の対象にしない方針だ。実際に導入するかどうかを決めるのは、教育委員会とされる。国として無責任ではないか。自治体が負担しなければ、端末の代金なども含め、保護者が担う可能性がある。だが、憲法は義務教育を無償としている。合意はどこまで得られるのか。教科書は教育の機会均等を保障する手段である。その原点を忘れるべきではない、としている。

朝日が何を訴えたいのかが不明だ。デジタル版の教科書を推進したくないと言いたいのだろうか?経済的な話?格差の話?ぐちゃぐちゃだ。こんな議論しかできない人が社説を書くような教育だけはしない方がいいだろう。デジタルは技術であり、開発するのも知恵ならば、それをどう使うかも人の知恵だ。理由をつけながら避けつづけるなら、可能性も未来も狭まる。クルマができれば交通事故を憂い、電話ができれば手紙が減ると嘆いた。そうやって育てた人に未来があったかを考えた方がいいのではないだろうか。未来を見る教育の重要性を理解していない。

人民網日本語版
亡霊参拝の背後のわがままと思い上がり (2016.4.22)

靖国神社問題は安倍晋三政権にとって痛いところであり、国際社会の抗議や非難を受けても、敬虔な亡霊参拝の執拗さと衝動は消しがたい。安倍氏は21日、「内閣総理大臣」の名で靖国神社に供え物「真榊」を奉納した。また、衛藤晟一首相補佐官が靖国神社を参拝した。東条英機を含む第2次大戦のA級戦犯14人を祀る靖国神社は、日本軍国主義の侵略戦争発動にとって徹頭徹尾精神的道具であり、象徴であった。日本メディアが政府筋の話として、安倍氏が自ら靖国神社を参拝しないのは隣国との関係改善基調への「障害」となることをはばかっているからだと思われると報じたことに人々は注意している。また、G7の伊勢志摩サミットを前に、日米は共に全体的に安定した環境を必要としている。こうした計算は一見実務的で慎重だが、その陰険な点は腹の中のわがままと思い上がりにある。侵略の歴史を認め、歴史の罪責を反省することは日本が遅かれ早かれしなければならないことであり、日本がアジア近隣国の信頼を得て、尊敬される国になるための前提条件でもある。もし歴史から教訓を汲み取ることを拒み、歴史問題で勝手な行動を取るのなら、日本に前途はなく、アジアさらには世界の平和と安定も繰り返し試練にさらされる、としている。

靖国神社関連についての感覚は、中国の意見にも賛成する。宗教観なのか、政治的な思惑なのか、まったく判らないが、海外の人が不快感を示すなら、それをつづける理由はない。それを政治家が率先してやる、その政治家が与党として国を仕切っているのが哀しくなる。中国にもアメリカにも、それなりの思惑が合っての批判なのは判っている。それでも、過去の戦争へ反省と言いながら、矛盾する行動を取る人たちが日本の行政を担っているのを残念に思っている人たちは、日本国内にもかなりいることを知って欲しい。

Wall Street Journal
中国が警戒する安全保障の脅威「ウミガメ」 (2016.4.21)

中国の国営メディアは今週、明確な警告メッセージを国民に送った。外国に留学する若者が増えるに従って、国家の安全保障に対するリスクも当然のように高まっているという警告だ。国営中央テレビ(CCTV)は20日夜、具体的な国名には触れずに、留学経験のある若い男が中国東部の寧波市にある軍事施設を撮影して2013年に逮捕されたという事件を報道した。この男のように、外国に留学した後、国に戻ってきた留学経験者のことを中国人は「ウミガメ」と呼んでいる。中国の国民所得が増えるのに伴い、外国で学ぶ学生の数も急増している。米国際教育協会(IIE)のデータによると、2008年から2015年の間に、米国の学校に通う中国人学生の数は3倍の30万4040人に膨らんだ。留学中の学生が外国の情報機関にとって人材確保の豊富なターゲットになっていると懸念しているのは中国だけではない。2014年に米連邦捜査局(FBI)は、中国に留学中の米国人学生に向けて、魅力的な女性や簡単に手に入るカネに惑わされないよう警告する30分の動画を公開した。この動画は米国人のグレン・シュライバーさんの実体験に基づいている。中国政府と関係のある複数の人物から7万ドル(約770万円)を受け取っていたシュライバーさんは、米国の防衛に関する機密情報を不正に渡そうとした罪に問われた。シュライバーさんは2011年に有罪を認め、すでに刑期を終えている、としている。

中国とアメリカの緊張は、ここ数か月でずいぶんと高まっている。南シナ海では、お互いに譲らない姿勢が鮮明になっている。さらに、アメリカも中国も、徐々に柔軟姿勢を見せなくなっている。国際会議の場でも、習氏はアメリカへの不快感を示すようになった。オバマ氏はすでに去る日を意識しているからか多くを語らないが、中国に理解を示そうとする政治家は、アメリカには少なくなっている。
カネの切れ目が、縁の切れ目。中国経済の低迷とともに、中国の意見を通すのに必要なだけの魅力を失いはじめている。稼ぎつづけても、いまシナ海で行っていることや、香港や台湾での政治的な行動は許容を越えていたが、反映に陰りが見えるなら、そんな主張さえ許されない空気が生まれるだろう。そして、ウミガメたちは海外の思想をもって中国国内の矛盾に抵抗する。海外の工作の有無を問わず、彼らはやがて中国の未来に決定的な役割を果たすだろう。いまの中国の体制が末期に近づいているように見える。

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