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2563.報道比較2016.4.1

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CC Attribution, Photo by Moyan Brenn via flickr

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年度の節目に、経済関連の話題が集まった。これが本来の経済最優先の姿に近い。この状態が持続すれば、日本経済も少しは回復すると思うが…何日持つだろう?

人民網日本語版
大国の匠を育て、「いい加減さん」を減らそう (2016.3.30)

昨年末、オーダー家具を注文したところ、3ヶ月経っても完成しなかった。棚は曲がって取り付けられ、クローゼット内の収納棚の寸法は間違っており、おまけにクローゼットの側壁には組み立て作業員が打ち間違えた時にできたであろう釘跡の穴が2つあった。さらに驚くべきは作業監督者が示した解決案で、シールを貼って穴を隠すというものだった。まさに中国の著名作家・胡適の作品「差不多先生(いい加減さん)」を地で行く事態となった。クローゼットの板材の品質は悪くなかったし、アフターサービスも責任ある対応だったと言えるが、これらユーザーが本来称賛すべき体験は「差不多先生」たちのおかげで全て台無しになってしまった。今年の「政府活動報告」では、品質を極める匠の精神の育成を提案し、その要害を指摘している。日本の軽工業製品、ドイツの精密工作機械と精密計器、スイスの時計など匠の精神が一国の製造業に巨大な経済的利益と強大な生命力をもたらすことは簡単に見てとることができる。リーマンショック後、世界各国はますます製造業の発展を重視しており、中国の製造業がその一部を担いたいと目論んでいるならば、匠の精神を育成していくことが必須となる。匠の精神を備えた企業にとって、市場からの追い風が得られるチャンスなのだ。中国の「差不多先生」が減っていき、大国の匠が増えていくことを期待する、としている。

問題点が判っている時点で、中国の進化は早いだろう。外に出て、より良い体験をする人たちが増えている。中国も変わるべきと考える人が増えるほど、進化のスピードは早いに違いない。世界でもできる人が多いことを真似るだけのこと。中国にはたやすいだろう。
できれば、大陸の持つ大らかさは、失わないままでいて欲しい。アメリカが愛するシンプルさ、イタリアに根付く明るさのように、中国の大らかさは文化であり、すばらしい特長だ。決して日本には真似できない。
翻って日本はどうだろう?劣化しつつある価値観を、早く元に戻したい。

Wall Street Journal
日本株式会社の「シャープ」な方針転換 (2016.3.31)

先月にはぶざまにもつまずいた「日本株式会社」を変化させる取引がようやく実現した。経営難に陥っているシャープの取締役会は30日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収提案を受け入れることを決めた。買収額は3888億円と、2月25日にシャープが受け入れた当初の提示額を大幅に下回る。シャープが総額3500億円ほどの「偶発債務」を明かしたのを受け、鴻海が最後の最後で買収条件を見直したためだ。先が思いやられるスタートではあるが、台湾式の経営と日本の技術との結びつきは、硬直した日本企業にとって良い前例となろう。日本の電機大手が初めて外資傘下に入るのを受け入れた記念すべき取引だからだ。シャープ買収劇は日本経済が直面するジレンマの縮図だ。第2次世界大戦後、日本企業が貿易を積極化させてアジアでのサプライチェーン構築に注力した半面、日本政府は意図的に外資や海外の経営慣行から距離を置いてきた。人口が増加し、貯蓄率が高い時はそれが機能してきた。ただ、労働人口が減少して退職者が増えてくると、日本人は貯蓄を取り崩し始めた。日本企業は海外から投資を呼び込むだけでなく、国際的なベストプラクティス(最善の慣行)から効率性向上を学ぶ必要がある。支援が成功するかどうかに関わらず、日本政府が買収を認めたことは、ようやく株主資本主義への抵抗が崩れだしたことを示唆している、としている。

カルロス・ゴーンが日産に乗り込んだ時は、もう少し騒いだだろうか?それでも、今より日産の未来に期待できたし、立ち直れる気がした。ゴーン氏が良く言っていたのも、やり方が間違っていただけで、社員は士気が高く、誠実で、技術力もある、という点だった。
いまのシャープには、技術はありそうだ。だが、モチベーションと誠実さはどうだろう?最後にディスカウントされて買われる不誠実さは、社員にとっては不信だろう。旧経営陣は、ここで全員いなくなるべきだ。それができて、ようやくリスタートだ。郭台銘氏は、おそらくその信念を持っているだろう。期待している。

朝日新聞・社説
電力自由化 市場をつくる自覚こそ

電力の小売りが、きょうから全面自由化される。一般の家庭でも、電気をどこから買うか選べるようになり、8兆円規模の市場が新たに開放される。3月末までに小売り登録を済ませたのは約270社。ガス、石油といったエネルギー企業のほか、鉄道、通信、放送などのインフラ産業、商社や再生可能エネルギー関連会社、地域主導の「ご当地電力」など多彩な顔ぶれがそろった。ただ、新規参入が多いのは都市部中心で、地域的な偏りが大きい。また、営業の的は、電気の使用量が多く、利益が見込める世帯向けに絞られている。2020年には大手電力がもつ送配電網の分離・中立化(発送電分離)が予定されている。その履行を着実にしなければならない。再エネ普及を促し、電気料金を抑えるためには、誰もが公平に接続できる送配電網が不可欠だからだ。大手電力の間には、発送電分離への抵抗感がなお強い。既得権が温存されないよう、新設された規制機関だけでなく、消費者もしっかり監視し続ける必要がある、としている。

日本経済新聞・社説
成長への活力生む電力小売りの自由化に

電力小売りが今日から全面自由化された。それぞれの地域の電力会社からしか電気を買えなかった一般家庭や小規模店舗も、自由に電力会社を選べるようになった。全国10地域の電力会社に供給を独占させる体制の原型が1951年に誕生して以来、65年ぶりの変革である。多様な事業者による料金やサービスの競争を、成長への活力につなげていきたい。消費者は料金を比べ、自分の生活スタイルにあった好みの電力会社を選ぶ。売り手は選ばれるために料金を下げ、サービスの質を高める必要がある。この競争が新たなビジネスモデルやイノベーションを生む土壌となるはずだ。新規事業者の活動をしやすくするために、制度を常に見直すことも必要だ。自分の発電所を持たない事業者が販売用の電力を調達する卸電力市場の活性化や、電力会社の供給区域を越えて遠方の顧客に電力を送るための送電網の増強も進めていかなければならない。政府は2020年には電力会社の発電部門と送電部門を分ける発送電分離を予定する。課題を検証しつつ、電力市場改革を着実に仕上げていかねばならない、としている。

電力会社への不満げな主張は、どこから来るのだろう?私は、正直、どうでもいい。上場会社の電力会社が、必要以上に儲けているとは思えない。今より原発を使って安くなるなら、電気代は今のままでいいし、再生エネルギーへの移行のために電気代が上がるといわれても受け入れる。もちろん下がるに越したことはないのだが、それよりは最近不足している省エネルギーへの意識を、改めて共有することの方が大切な気がする。
つまり…私が、電力自由化でもっともやって欲しいのは、次世代への電力インフラのシフトだ。スマート・グリッド、家庭での発電、燃料電池…いろいろな提案はあったが、その貴重な一歩の電力自由化ではなく、いつしか電力会社解体、市場開放のような議論に様変わりしてしまった。新たなプレーヤーの提案も、大半はインターネットやガスとまとめて割安に、ポイント…未来はまったく消えてしまった。高くなってもいいから、今より良いものを。それがインフレの基本であり、成長の源泉だと思うのだが、世はすっかりデフレと衰退の発想になっている。期待した成果が出る日は来るのだろうか?

産経新聞・社説
訪日客6000万人 質高い受け入れ策考えよ

円安効果などを背景に訪日客数はここ数年、予想を上回る大幅な伸びをみせている。国内の個人消費が停滞する中で、中国など外国人団体客による「爆買い」を景気浮揚につなげたいという期待も大きい。日本に魅力を感じる外国人観光客が増えることは喜ばしい。日本ファンを今後も増やすため、「おもてなし」の精神で質の高い受け入れ体制を整備していきたい。1日からは、アパートの空き部屋などに有料で宿泊させる「民泊」が一部で試行される。政府はさらに幅広く解禁することも検討中だ。民泊には、治安悪化を懸念する住民や、サービス低下を警戒する既存業者の反対もある。旅行者と住民の安心・安全を確保するルールづくりを急ぎたい、としている。

政府は訪日外国人の目標を2020年に倍の4000万人を目指すそうだ。2020年は特需であり得るだろうが、今のサービス品質なら、現状の2000万人くらいがちょうど良い気がするのは、私だけだろうか?もちろん、来てもらえるのはうれしい。これ以上、来ないで欲しいと想ったことは一度もない。どちらかと言えば、受け入れる私たちのキャパシティを超える心配と、そこまでのニーズに応える魅力を伝え切れているかが心配だ。求められているのは民泊なのだろうか?「受け入れる宿泊施設がないから、家に寝てくれ」と言われても行きたくなる国だろうか?そう言う国を魅力的と思えるだろうか?家に泊まってみたいというニーズがあるというより、日本側の思惑で動くなら、それは観光立国ではない。

毎日新聞・社説
NHK 「異例の事態」いつまで

NHKの新年度予算がきのう国会で承認された。しかし、相次ぐ不祥事を問題視した民進、共産、社民、生活の野党各党が反対した。全会一致が崩れたのは2014年の籾井勝人会長の就任以来、3年連続だ。NHKでは昨年、報道番組「クローズアップ現代」の「やらせ」問題が発覚した。その後も子会社社員の2億円着服や記者のタクシー券不正使用、アナウンサーの危険ドラッグ製造・所持などが続いている。公共放送のNHKには、国の統制から自立し、公共の福祉に寄与する役割がある。インターネットに番組が同時配信される時代の受信料制度や、東京・渋谷の放送センター建て替えなど、課題も目白押しだ。信頼回復へ関係者が一丸となって取り組まなければならない、としている。

読売新聞・社説
教科書謝礼問題 嘆かわしい教員のモラル低下

検定教科書を巡る謝礼問題で、文部科学省が都道府県教育委員会の調査結果を公表した。2009年度以降、3000~5万円の現金などを受け取ったとされる公立小中学校の教員ら約3400人のうち、839人がその後、教科書の選定(採択)に調査員などとして関与していた。そもそも、文科省の規則で、検定中の教科書は外部の閲覧が禁じられている。教科書を見たのは規範意識が乏しいことの表れだ。地方公務員である公立学校の教員は、副業が禁止され、許可なく報酬を受け取ることもできない。教員は襟を正すべきだ。外部からの圧力を避けるため、静かな環境で選定を行う。終了後はできる限り、選定の経緯や理由を明らかにして、透明性を高める。こうした努力が欠かせない、としている。

大きい組織とは大変だなあ、と思う。新聞の関係者も、決して褒められた人種とは思えないが、NHKや教員はマジメでなければならないように批判されている。日本社会全体のモラルが下がっている。その問題を、できればNHKと教員に考えて欲しい。各論で済ませる状態ではないほど、日本の品質は低下している。

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