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2559.報道比較2016.3.28

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リーダーに求められるのは、もはやビジョンではない。未来を託せる証明だ。キャッチフレーズではなく、結果が見たい。

朝日新聞・社説
民進党発足 1強と対峙するには

民主党と維新の党などの議員が合流し、新しい民進党としてきのう党大会を開いた。待機児童問題で安倍政権を追及する若手の山尾志桜里氏を政調会長に起用したが、岡田代表らほとんどの役員が民主党からの横滑り。党名以外にどこが変わったのかとの批判もある。自民党の長期政権に代わる新たな政治への期待を背負って09年に発足した民主党政権は、国民の思いを裏切り続けた。実現できないマニフェスト、空回りした政治主導、そして消費増税をめぐる党の分裂。その時に出ていった議員の一部とよりを戻しただけだ、との印象はぬぐいようがない。民進党は「自由、共生、未来への責任」を結党の理念とし、教育、雇用、男女の三つの格差是正や立憲主義の堅持を打ち出すという。方向は妥当である。国民一人ひとりの思いをすくいあげ、具体的で説得力ある政策として政権にぶつけ続ける。政党にしかできないこの地道な作業を通じてしか、信頼を取り戻すことはできない、としている。

毎日新聞・社説
民進党発足 女性と若者引きつけよ

民進党が発足した。民主党と維新の党などが合流し、衆参両院で150人を超す議員が参加した。政治が緊張感を保つためには、政権の受け皿となる野党の存在が欠かせない。自民党の1強状態が強まる中、野党第1党として責任は重い。自民党に対抗するためには、女性や若者らの共感を得られるかが鍵を握っている。毎日新聞の世論調査で安倍内閣の支持率は女性が男性をほぼ一貫して下回る。タカ派的な政権運営の影響だろう。一方で、かつての民主党も女性の支持を広げられなかった。山尾志桜里衆院議員(41)の政調会長への抜てきを女性を重視した政策の実現につなげるべきだ。国政、地方選挙で女性公認候補の割合を義務づけるくらいの決意を示してほしい。参院選は民進党にとって、2大政党の足がかりを得られるかが早くも試される場となる。取りざたされる衆参同日選について岡田氏は「受けて立つ」と語った。野党第1党に値する公約を早急に示すべきだ、としている。

読売新聞・社説
民進党結党大会 国民の不信感を払拭できるか

民主、維新の両党が合流した「民進党」の結党大会が開かれた。岡田代表は挨拶で、「日本に政権交代可能な政治を実現するためのラストチャンスという認識を共有しよう」と強調した。肝心なのは、民進党が政権を担える党として現実的で説得力ある政策を打ち出せるかどうかだ。憲法改正については「未来志向の憲法を国民とともに構想する」との曖昧な文言にとどまった。維新は改正に前向きだが、民主党に慎重論が強かったためだ。安全保障政策では、「専守防衛を前提に現実主義を貫く」と訴え、「日米同盟の深化」も掲げた。しかし、民主、維新両党は、米国が高く評価する安保関連法について、廃止法案を共産党などと共同で国会に提出した。こうした言行不一致で、同盟をどう深化させるつもりなのだろうか。原発政策は、「原発に頼らない社会」を目指すとした。当初案は「2030年代稼働ゼロ」だったが、電力系労組などの反対で、より現実的な表現に落ち着いた、としている。

意地悪な言い方で恐縮だが、結党早々に「ラストチャンス」とは、すでに過去を引きずった政党という前提で進むようだ。振り出しに戻るでも、リスタートでもない。改名して、寄せ集めただけという、もっとも低い期待値からスタートすることになる。追い風はないだろうが、向かい風も少ないだろう。無関心から脱却するにはどうするつもりなのかを聞いてみたい。
企業経営も、ビジョンや理念では、もう人は動かない。そんなものでは食えないこと、実現できない絵空事を目指して、くたびれ損に付き合う社員などいない、ということだ。聞いた事もない美しいビジョンより、目の前で動くものを持ってこい。就職面接で、そう言われる日は近いだろう。社長に聞きたいこともそうだ。ソフトバンクやユニクロのプレゼンテーションにも、食傷気味の溜め息が多くなった。借金しただけで注目を集められたのは昔。時代をつくれなければ、やがて誰も振り向かなくなる。
リアライズ。やってみろ。そう言われたチャンスを、5年前にまんまと棒に振った反省にしては、いまの民進党のプランはスカスカだ。理念や理想では国は変わらない。3人も首相を替えて、それさえ学べなかったのなら、もう一度チャンスを渡す気にはなれない。
今の政権にも、ぜひ猛省して欲しい。キャッチフレーズはいらない。結果を見せてくれ。

産経新聞・社説
政府機関の移転 地方創生とは切り離しを

政府機関の移転は地方創生とは根本的に異なる政策だ。人口減少社会を迎え、あらゆる社会の仕組みがその在り方を見直す時期に来ている。中央省庁も例外ではない。そこには、公務員の働き方や地方分権も含め、行政改革の視点が欠かせない。本来、行政改革推進本部などが主体となり、地方創生とは切り離し検討を進める大きな政治課題である。政府の「まち・ひと・しごと創生本部」が主導する形で、文化庁を数年以内に京都府に移転させるなどの基本方針がまとまった。創生本部は、これ以上の深入りは慎むべきである。政府機関の移転には膨大な政治的労力を要する。それに足を取られ、本来業務がおろそかになる愚は避けるべきだ。組織が1つ移転したぐらいで、いかほどの地方創生の効果があるのか。文化庁でも非常勤を含め360人ほどの規模で、大都市を抱える京都府に与えるインパクトは限定的であろう。求められるのは、人口減少を経ても、その規模で食べていける特徴ある仕事の創出、コンパクトな町づくりの推進だ。政府の研究機関の技術を地場産業の育成や発展に結びつけていくような、地に足の着いた取り組みこそ急がれる、としている。

地方創生の切り口からの文化庁移転だったとは知らなかった。それなら、もっとおもしろい移転を志した方がいい気がする。公務員など呼ぶ必要はない。一流企業も不要だ。彼らは、新しい発想をつくる人たちではない。条件が整った場所で、追随しながら成果を出す人たちだ。そういう人たちは、スパイラルを逆転させることなど不可能だ。人口が減っているような街、産業が衰退している場所にもっとも不向きな人たちだろう。
適任は、なるべく若い企業と、ライフスタイルを創出できる人たちだ。大学生では稼げない。稼げる人材に「仕事をつくってくれ」と依頼して、負担をほぼゼロの状態で、チャレンジのつもりで時間、場所、資源を提供すれば、規制さえなければ花開く可能性はある。シリコン・バレーも、ミラノのコングロマリットも、いま、テキサスで話題を集めるオースティンも、そうやって生まれた。日本だからできない理由はない。あるとすれば、やり方が間違っているのだろう。

日本経済新聞・社説
安心はネット発展の土台だ

だれもが安心して使える環境をどう実現するか。スマートフォンの普及とともに社会に浸透するインターネットは、安全対策が一段と重要になっている。ネット業界が果たすべき責任は重い。ネット企業でつくるセーファーインターネット協会は2015年、児童ポルノやわいせつなど、違法、有害と判断した情報6898件の削除をサイト運営者らに要請し、8割近くが削除された。利用者からの通報に加え、独自の調査を強化した結果、削除数は14年の4倍以上になった。個人に打撃を与えるような情報でも、短時間で拡散してしまうのがネットの怖さだ。ネット業界が対策に本腰を入れ始めたことは前進といえるが、課題は多い。自由な表現活動や交流を可能にするのがネット本来の魅力だ。問題のある情報だとして削除を要請するような場合、表現の自由に十分配慮すべきなのは言うまでもない。外部の専門家の意見を聞くなど、慎重な判断が求められる。画期的なサービスの創出だけでなく、安全確保もネット産業の発展には欠かせない要素だ。ネット企業は強く自覚してほしい、としている。

ブロードバンドの時も、最初のガラケー時代も、同じことを言っていた。放置していいとは思わないが、この土台を作るのはネット企業ではなく利用者だ。そして、学校や会社などの、リアルのコミュニティだ。ネットで起きていることを特別視するのではなく、ネットが現実社会の一部だと考えるべきで、リアルの世界のストレスがネットの中で増幅されていると捉えるのが自然だ。利用者のスタンス次第で、ネットは制御できる。つながっていることを強制するリアルのコミュニティ、ネットの情報で脅迫する企みは、ネットが原因にあるのではない。リアルの社会の問題だ。新聞がこのレベルの発想しか持てないことに失望する。

Wall Street Journal
ISの外国人戦闘員、地元出身者との亀裂拡大 (2016.3.27)

過激派組織「イスラム国」(IS)はこれまで外国人戦闘員を歓迎してきた。だが今、ISが欧米諸国などに攻撃対象を広げるなか、こうした外国人戦闘員はIS内部に大きな摩擦を生み出しており、暴力行為に発展することもある。ブリュッセルの連続テロがISにおける外国人戦闘員の役割を示しているとすれば、ISの支配下で人々の話から、ISが外国人戦闘員を受け入れる上で問題を抱えている様子が浮かび上がる。イラクやシリアのIS支配地域では今、いらだちが高まっている。資金がひっ迫し、戦闘に敗れて支配地域からの後退を余儀なくされたことが、IS内部の緊張を悪化させている。外国人戦闘員は報酬も高く、地元出身者の報酬が月130ドル(約1万5000円)程度なのに対し、外国人戦闘員は通常、同200ドル程度をもらっているという。こうした不平等感が今年に入って地元出身の戦闘員をISから離脱させ、他の反体制グループに参加させているという。そのほとんどはISとは緊張関係にあるものの、おおむね対立はしていないという。戦闘地域で敗北を重ね、イラクとシリアでISの支配地域が縮小するなか、ISの指導部は外国人の潜在的な賛同者に対し、ISが支配拡大を狙うリビアをはじめとする地域へ直接向かうよう、積極的に奨励しているという、としている。

プーチン氏はオイル暴落を「アメリカの陰謀」と非難した。そのオイル価格下落が、ISの息の根を止めつつある。アメリカが本当にシェールでオイル価格を操作したかは判らないが、経済制裁が、戦わずして相手を弱体化し、自滅に追いやれることを今回も再認識しただろう。古くは孫子から、太平洋戦争の日本への石油禁輸、現在の「悪の枢軸」への経済制裁…セオリーどおりのアプローチだ。国家でない、本質的な結束のない組織は、これをやられると分裂する。非常に乱暴に言えば、前述の旧民主党や自民党もそうだろう。政権を取るというテーマに添えなければ、分裂を繰り返す。票に通じるカネ、評判、権力、人脈に傷がつきはじめると、烏合の衆も甚だしい。ISの結束には、本来の宗教ではあり得ない無様な離散がはじまっている。ここで息の根を止められるか、徹底的な制裁と、二度とこんな反乱を起こさせない恐怖を味わわせることができるかが、これから国家がすべき戦闘だ。おそらくそれは、戦争ではない。陰湿で、夜も眠れず、二度と希望を感じられないような恐怖を味わわせる工作だ。アメリカの無人機が得意な領域かもしれない。
アメリカにぜひ覚えておいて欲しいのは、北朝鮮やロシアには、この策は通じないということだ。日本の時にしたのと同様の強硬な外交は、最終的には望まない戦争につながる。いつでも追いつめるのが正義ではないことを、私はケネディ以降の外交でアメリカは学んだと信じているが…いまのアメリカの選挙を見ると不安を感じる。

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