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2558.報道比較2016.3.27

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どうやら、私たちは間違ったリーダーを選んだようだ。経済通でもない憲法改正論者が、経済最優先を連呼するのを信じても意味がない。野党にも訊きたい。あなたの得意なこと、したいことは何ですか?答えられない人を選ぶ意味があるだろうか?

朝日新聞・社説
ざわつく政界 衆参同日選は筋違いだ

夏の参院選に向け、政界がざわついている。安倍首相が消費税率の再引き上げを先送りし、衆参同日選に打って出るのではないか、との観測が広まっているのだ。先行きが不透明な世界経済を踏まえれば、一昨年11月の衆院解散時と同じように、税率引き上げの再延期を表明し、その是非を問うとして解散に踏み切ることは考えられないことではない。首相は一昨年の解散時に、税率引き上げを再延期することはないと「みなさんにはっきりと断言します」と語った。それができない経済状況を招いたというなら、アベノミクスの失敗を自ら認め、潔く退陣するのが筋だろう。一方、首相は在任中の憲法改正をめざし、改憲案の発議に必要な参院で3分の2の改憲勢力を得たいとの意欲をたびたび表明している。この目的のため、衆参二つの選挙の相乗効果で議席の上積みを図るのが真の狙いだとしたら、解散権の乱用だというしかない、としている。

二度、同じ手を使われて乗るほど、日本人はバカではないと思う。安倍氏にもっとも失望したのは、彼の言う経済最優先とは、アベノミクスと叫び、世界の学者を呼んで言われたとおりにすればいい、日銀に任せておけばいい。その程度の優先度だったということだ。農協の改革も、TPPも、オリンピックも、規制緩和や構造改革は見るも無残。指示をしてやってもらうのは総理だから当然だが、小泉氏の郵政民営化とは信念が違う。具体的なイメージも目標もないから、待機児童ゼロ、女性活用、賃上げと言葉は踊るが…どうやって?「それは君たちが考えて」では、永遠に事は進まない。3年の時間を使った結果、見えた結末は民主党時代と大して変わらない。無責任さはない。支持率もある。その点は評価するが、実績はゼロだ。
だが一方で、他に選びたくなる提案をしている人はいない。みんな、安倍批判、廃案を望むだけで、対案はない。したいことさえない。これは、安倍氏がもっともやっつけやすい相手だ。我々も、票を投じる確率はゼロ。その現実は、3年前に見ているはずだ。
憲法改正論者が、ペテンのように経済最優先を連呼した。それを信じてやらせてみたが、やっぱりダメだった。私は、無責任で何もできない政権交代よりは前進したと、この3年を評価する。だが、さらに未来を託すには、あまりに哀しい。今日、党大会を開いているはずの集団は、その意味を判っているだろうか?
国民みんなが待っているのは、提案だ。結果だ。もはや夢の亡くなった国で、夢を語らないで欲しい。現実を話すべきだ。

毎日新聞・社説
待機児童 子供本位の抜本対策を

国がまず考えるべきは子供が健全に育つ環境の整備であり、緊急対策とは別に子供本位の抜本的な改革が必要だ。認可保育所は年々増えているのに待機児童が減らないのは、低賃金の非正規雇用や夫婦共働きの増加によるものと言われてきた。しかし、切実に保育所を求める親たちが多数いるのに、国も自治体も「待機児童」の定義を狭くしてニーズから目を背けてきたことに大きな原因がある。一時預かりを常時利用できるようにする案もあるが、緊急時に一時預かりが不足する心配もある。匿名ブログについて国会で質問された当初、政府の対応は鈍かった。親たちの怒りが噴き出し、慌てて対策を迫られた認識の浅さが緊急対策に表れているのではないか、としている。

読売新聞・社説
児童虐待対策 根絶へ体制強化を急ぎたい

厚生労働省が、児童虐待対策を拡充する児童福祉法等改正案をまとめた。厚労省の検討会が今月公表した報告書に沿う内容だ。近く国会に法案を提出する。全国の児童相談所が扱った2014年度の児童虐待件数は、過去最悪の8万8931件に上った。15年間で7・6倍に増えた。改正案では、児童相談所の増設を目指し、東京23区の独自開設を認めた。親から子供を引き離す際に法的サポートをする弁護士らの確保も義務づけた。家庭に強制的に立ち入る「臨検」の手続きを簡略化し、権限強化を図る。児童相談所と市町村との役割分担の明確化も盛り込んだ。 虐待の被害から子供を守るためには、政府と自治体が連携し、多面的に取り組むことが重要だ、としている。

適切な指摘だが、ブーメランのように批判がやがてメディアに返ってくることに、今から対処することを警告したい。市民の問題を取り上げ、指摘して伝えるのはメディアの仕事だ。それがSNSに載らなければ気づかないのか、SNSのスピードに到底勝てないのかは判らないが、いずれにしても政治や行政以上にメディアが役割を果たしていない。現場の声を集めるだけで、いくつかの問題は顕在化できたはずなのだから。それがSNSに載り、政治が無視し、デモが起きるまで、国会もメディアも、その問題点をまったく認識していない。これでは、革命やクーデターが起きようとした時、いま世の中が懸念しているテロや危険行動が起きようとした時の察知能力も推して知るべき、だろう。
なぜSNSの話題がここまで炎上したかにも触れておこう。今回の方々は、おそらく切実な問題という意識もあるが、話題になったから動いた点も多いと思う。話題になることを狙って書き込んだSNSではない。その後のデモも、動く環境が整ったから動いた、話題になったから動いたのだ。本当の意味での切迫感には、まだ距離がある。それだけ政治に期待していないことの裏返しであり、苛立ちながらも代替案を必死に自らで探しているとも言える。本当に立ち上がった時、この国の政治は完全に追いつめられるだろう。メディアもワークしない。香港と同様の風景が東京に現れても、私は驚かない。そしてその危険度は、すでに十分にあると思う。

産経新聞・社説
相次ぐ原発廃炉 国は知らぬ顔続けるのか

四国電力が、来年9月に運転開始から40年を迎える伊方原発1号機の廃炉を決めた。既に関西電力や九州電力など4社で、新規制基準導入後に、高経年原発の廃炉決定がなされており、伊方1号機を含めると計6基もの撤退を数えるまでになっている。今は安値が続く石油の価格が上昇に転じ、天然ガスも連動して高値に動けば、日本の電力需給は一気に危機に向かう。また、地球温暖化防止で日本が掲げる温室効果ガスの排出削減の目標は高い。国内の原子力発電の維持には、原発の新規立地や建て替えより、安全対策を施した高経年原発の運転延長の方が、円滑に進むはずだが、現実にはそれさえ難しく、廃炉の流れも起きている。その抑止には、国による原子力利用のグランドデザインの明確な提示が不可欠だ。政治が大衆に迎合して媚を売っていては、国家の土台が傾いていく、としている。

私は原発へは反対の意識が強いが、産経の今回の主張は理解できる。いずれにしても、リーダーシップはない。4年単位で任期が変わる運命のリーダーにはできない決断なのかもしれない。これは、政治から別の場所にリーダーシップを移すべき問題かのだろうが、経済産業省にその能力はもはやない。新たな組織が必要かもしれない。今のままでは、永遠に決められない仕組みで動きつづけることになる。ただ、そう言うと、よろこんで組織だけを作って責任は取らない官僚組織ができあがってしまう。この国に適切なリーダーシップを植え付けるには、どんなアプローチがベストだろうか?

日本経済新聞・社説
民泊普及へ規制緩和を後退させるな

空き部屋や空き家を活用し旅行者を受け入れる「民泊」を巡り、政府が規制緩和のための議論を進めている。既存の旅館業界の反対もあり、施設面などで厳しい条件を課す意見もみられる。しかし「民泊」は日本の観光に新たな魅力を加え、個人が資産を生かし収入を得る道も開く。可能な限り柔軟に対応したい。ホームステイ型は、宿泊者の身元確認など最低限の義務を除き、原則的に自由に認めるべきだ。旅館業法はもともとホームステイ型民泊のような形態を想定しておらず、同法の対象とすること自体に無理がある。住宅街や農村で日本の生活にふれたい外国人に喜ばれる。こうした民泊は立地や旅行目的からみて旅館と市場は重ならない。連携して、ツアー商品を作る手もある。民泊合法化で先行する欧州では、年間の稼働日数で線引きするなど工夫している。海外の例を参考に、現実的で、旅行文化の多様化に役立つあり方を議論してほしい、としている。

ホームステイは、実は私も期待するモデルだった。信頼関係が先にあれば、トラブルにはならない。欧米の長期滞在スタイルや、ハイヤーというモデルなら、私はUBERやAirBnBの未来に、今以上のバリューを期待する。残念ながら、今の彼らのビジネスモデルでは、この方針は受け入れられないだろうが。別のプレーヤーが登場することに期待したい。

Wall Street Journal
トランプ氏、政策が批判されても支持の落ちない理由とは (2016.3.25)

政策論に関するトランプ氏の姿勢は批判を浴びている。たとえば、妊娠中絶などの問題では一貫性が無く、財政赤字削減等への対応は曖昧だ。外交政策では矛盾を露呈し、強硬姿勢と孤立主義の間を行き来している。貿易を始めとする諸課題では保守派的な見解を逸脱することもしばしばだ。予備選期間中、トランプ氏には片っ端からこうした問題がぶつけられたが、トランプ氏支持に傾いている有権者にとっては大した問題ではなかったようだ。フォーカスグループでは、同氏の発言が本気なのかどうかさえ心配していないようだった。トランプ氏がこれまで非常に明確な姿勢を打ち出している分野はおなじみの移民政策だが、フォーカスグループでこれについて質問したところ12人中8人は、本当にメキシコとの国境に壁を建設したり、数百万人もの不法移民を強制送還するとは思わないと答えた。ただし、本選でトランプ氏に投票するかと聞かれると、2人を除いて全員がトランプ氏を支持することに確信を持っていた。ハート氏はこれについて、トランプ氏が性格に難ありと見られているにもかかわらず、共和党の支持基盤を一体化させる上で非常に有利に立っていることを示唆していると説明する、としている。

いま、時間があるなら、トランプ氏を評価しているアメリカ国民に、日本の鳩山由紀夫を選んだ時とその後の事例を紹介したいくらいだ。今までとは違う、きっと何かやってくれるかもしれないという期待だけで、無保険に4年を委ねるという決断は、あまりに愚かで無謀だ。その結果、日本は竹島と尖閣への韓国と中国の戦略変更を許し、アメリカからの信任を失い、沖縄の基地問題では無責任な約束を前例に残したことで今でも浮かばれない。国内はバラバラになり、経済界は政界との連携を断絶した。その最中に、東北は地震に見舞われた。吉田氏という現場のリーダーがいなければ、日本列島の一部が無くなっていたとしても不思議ではない。その時の総理大臣は、未だに自己弁護を繰り返している。
トランプ氏を選んだら、少なくともこの前例の一部はアメリカでも起きるだろう。世界がアメリカを信じなくなる。たったひとりのリーダーのせいで。ただ、大統領を選ぶのは、アメリカ国民だ。失う信頼は、国民全体で共有することになる。その覚悟が、このレポートを見る限り、国民にはシェアされていない。いまの日常に失望するのは理解できる。だが、その対案に、ユニークなだけの選択肢を選ぶのはお勧めできない。ユニークなだけでアメリカが動くなら、もっとユニークな人は、いくらでもいるはずだ。

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