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2550.報道比較2016.3.19

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世界中の選挙で、これだけ適材のいないリーダー選びがつづくのは偶然の一致ではないだろう。今のままでは、世界の争いは増えそうだ。

Wall Street Journal
反トランプで民主系22団体が結束、デモも計画 (2016.3.18)

11月の米大統領選を控え、共和党指名候補争いでトップを走るドナルド・トランプ氏の勢いを弱めるため、民主党を支持する各種団体は一致団結して策を講じようとしている。一方、民主党の候補指名がほぼ確実視されているヒラリー・クリントン前国務長官の陣営は、侮辱の応酬なしにトランプ氏と論戦を戦わせる準備を進めている。彼らは主要都市で「反トランプ」を訴えるデモ行進を行うことを計画しており、オハイオ州クリーブランドで今夏行われる共和党の党大会でもデモ行進する可能性がある。クリントン陣営は侮辱の応酬には乗らない方針だ。無党派の有権者層はトランプ氏のヒートアップした発言に反発し、クリントン氏の思慮深さに報いてくれるだろうと結論づけている。「彼女はこれらすべてを超える存在にならねばならないと思う」と、クリントン氏の選挙資金調達を担当するアラン・パトリコフ氏は語る。「弱い者いじめでエゴイストで騒々しい人間を相手に選挙戦を戦うのはかなりの困難を伴うと思う。通常のやり方ではこんな人物を相手にできない」クリントン氏を支持する各種団体はトランプ氏とのこうした「殴り合い」にクリントン氏自身が参戦する可能性はまったくないとしながらも、自分たちは参戦に備えていると話す、としている。

アメリカの大統領選挙は、日本の奇妙な根回しより痛快だ。有権者も、候補者も、直接行動で示す。個人的には、トランプ氏へのもっとも痛烈な対応策は無視することだと思うが、デモしたくなる気持ちも判る。田母神氏や浜田幸一氏が日本の首相になりそうになれば、日本でも似たような危機感が生まれるだろう。共和党は詰んでしまったようだ。
世界中の選挙で、これだけ適材のいないリーダー選びがつづくのは偶然の一致ではないだろう。本来、リーダーを担うべき人は、そのリスクから政治から距離を置いている。結果、政治の人材はレベルダウンする。その中から選ぶしかない未来は、最上級の幸福からは、ほど遠い。愚かな人を選んでしまうリスクもゼロではない。そんな人たちが世界中でリーダーになれば…争いは増えるだろう。

日本経済新聞・社説
原発事故の避難計画は継続的に改善せよ

原子力発電所で事故が起きた時の住民の避難計画について、政府が新しい方針を決めた。重要な変化は、原発が立地する自治体の裁量の幅を広げたことだ。たとえば、避難指示にあたって「SPEEDI」と呼ばれる放射性物質の拡散予測システムの情報を利用できる、とした。東京電力福島第1原発事故のとき、SPEEDIの情報は役立てられなかった。結果的に、放射性物質の流れた方向へ多くの住民が避難する事態につながった。自治体は今後、より多様な情報をもとに、より柔軟で機動的な判断を下せるようになる。半面、自治体と政府の指示が食い違ってくる可能性には、注意が必要だ。SPEEDIを例にとると、原子力規制委員会は避難指示の判断に使わない方針を変えていない。予測がはずれると避難者の危険をかえって高めかねない、とみているからだ。これでは、いざというときに混乱を招かないか心配だ。普段から関係者の意見を調整する取り組みが欠かせない。ただ、避難計画に完璧はない。絶えず点検して、より実効性の高いものにする継続的な努力を、政府や自治体、電力会社は求められる。その結果を検証する仕組みも必要ではないか、としている。

自民党の原発行政は、民主党時代とは真逆だが、まったく仕切れていないのは同レベルだ。選挙対策と、指摘された川内原発、高浜原発の線量計への付け焼き刃の対策だろう。おかげで規制委員会は抗議した手前、政府とスタンスがずれはじめた。朝日の姿勢を批判する前に、政府は自らの不誠実さの方が強くなっていることを認識すべきだろう。この件では日経は朝日に同調している。当然だ。やはり原発を管理できる体制は、いまの日本にはない。手を引くべきだ。

毎日新聞・社説
アダムズ方式 「違憲」覚悟の先送りか

小選挙区の「1票の格差」是正を図る衆院選挙制度改革について、自民党は衆院議長の諮問機関が採用を求めた「アダムズ方式」を容認する方針をようやく決めた。ただし、導入するとしても2020年の国勢調査結果が出た後だ。実態は党内の反対論に配慮した先送り策である。最高裁は、過去3回の判決で「違憲無効」とせず、「違憲状態」との判断にとどめた理由の一つとして、格差是正に関して「国会の見直しが続いている」点を挙げている。別枠方式が残り、見直しも行われないとなれば、次も違憲判決が出ないという保証はない。自民党がアダムズ方式に抵抗するのは、減らす小選挙区が大幅に増えて党内調整が難しくなるからだ。驚くことに党内には将来の導入を当面の改正法案に盛り込むことにも反対する声がある。「アダムズ方式は口約束で済ませたい」と考えていると見られても仕方があるまい。民主党や与党の公明党などはアダムズ方式を今回の改革から導入するよう求めている。公明党も問われる場面だ。今後の与野党協議で自民党に同調するのではなく、先送りしないよう自民党を説得すべきである、としている。

野党は、またひとつカードを手にした。これだけ自民党が怠慢なのに、次の選挙で負けたら、野党の能力を疑いたくなる。それにしても、自民党はどこまで墓穴を掘るつもりだろうか?増税先送りとバラマキで勝てると思っているなら、ずいぶん私たちは軽く見られている。

朝日新聞・社説
教科書検定 押しつけは時代遅れだ

教科書は、時の政権の言い分を教え込む道具ではない。教科書編集の指針を変え、検定基準も政府見解があれば、それに基づいて記すよう改めた。自民党の意向に沿ったものだ。政府の立場を知ることは悪いことではない。ただ、それを唯一の正解として扱うのは押しつけだろう。戦前の国定教科書に近づいていないか。国はそもそも教科書の影響力を大きく考えすぎている。子どもは教科書だけで学んでいるのではない。図書館で調べれば、反対の見方や違った視点の本を知ることができる。現在の検定制度は、紙の教科書を前提にしている。だが、参考になるサイトのアドレスを書く教科書が増えてきた。検定でもその内容を確認しているが、ページの内容はどんどん変わる。国が中身を吟味し切れるものではない。教科書の一言一句に目くじらを立てる検定は、もはや時代遅れではないか。幅広い教材を認め、教師の指導の裁量を広げ、子どもが多角的に考える機会を増やす。検定も、その方向に踏み出してもらいたい、としている。

政府に賛成する人は、国家としての誇り、日本の統一された尊厳を語る。教科書を統一してそれが成立するとの発想は妄想だ。中国で国家への愛情はどうだろう?国が不景気になっただけで国富が流出し、高級官僚が移民申請と海外留学の列をなす国だ。どれだけ教科書を統制しても、誇りは大人の背を見て学んでいくものだ。リーダーがキャッチフレーズだけで自分の趣味の政治を行い、閣僚が収賄でやめる国に、いくら尊厳を語ってもこどもは嘘をすぐに理解する。政治家だけではない。尊敬される企業がブラック企業のような側面を持っていたり、テレビで活躍していた人が孤独死していけば、本当のしあわせがどんなものかは学ぶ。
教科書に目くじらを立てるなら、自らの襟を大人が正すことだ。いつ見られても、言葉ではなく姿で学べる大人が増えることだ。教科書を検定する政治にも、使う教師にも、その資格を持たない人たちが以前より増えていることを先に是正して欲しい。

産経新聞・社説
暴走する北朝鮮 日韓間の協定締結を急げ

北朝鮮が18日、日本海に向けて発射したのは、日本のほぼ全域を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」とみられ、日本の防空識別圏内に落下したとされる。国連安全保障理事会決議への明確な違反をいったい何度繰り返すのか。日米韓の連携で課題となるのは「日韓」が最も弱い環となっていることだ。日韓の安全保障協力の強化が急務である。具体的には、防衛秘密を交換する「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)や、自衛隊と韓国軍が物資や業務を融通し合う「物品役務相互提供協定」(ACSA)を結ぶことが必要だ。そのうえで、自衛隊と米韓両軍がさまざまなシナリオに基づき共同訓練を重ねる必要もある。在韓邦人の救出態勢を整えることは協力の前提である、としている。

読売新聞・社説
北ミサイル発射 国際社会で孤立深める軽挙だ

北朝鮮が中距離弾道ミサイル「ノドン」とみられるミサイルを、西部粛川付近から発射した。約800キロ飛行して、日本海に落下した。韓国軍によると、もう1発発射したが、直後にレーダーから消えた。空中爆発の可能性がある。北朝鮮の核実験などを受けて、国連安全保障理事会は今月初旬、改めて弾道ミサイルの発射を禁じる決議を採択している。北朝鮮の行動は、1週間前の短距離弾道ミサイル発射に続き、明白に決議に違反している。北朝鮮の脅しに動じず、その暴発を抑止するには、日米韓3か国の安全保障面での連携がますます重要になっている。今月末に米国で行われる核安全サミットに合わせて、日米韓は首脳会談を開催する方向だ。中国の協力を得つつ、制裁の実効性を高める具体策を協議したい、としている。

制裁がワークしているか、特にアメリカに検証を委ねたい。残念だが、日韓に分析能力があるとは思えない。制裁への危機感からの行動か、まったく制裁が機能していないかによって、次のアクションは違ってくる。すでにアメリカも現実的な危機に直面している。本気で動くと期待している。日本がこの危機を煽っているのは安保法制を正当化したいからだろう。だから戦略の話がまったく出てこない。残念だ。

人民網日本語版
日本家電大手の資産売却、中国企業にとって海外進出の好機に (2016.3.18)

日本の3大家電メーカーが、資産売却で経営を維持しようとしている。中国の家電大手はこのチャンスをつかみ、グローバル化戦略を推進しようとしている。東芝は中国の家電大手・美的集団と交渉を進めており、全額出資子会社「東芝ライフスタイル」の株式の大半を売却する方針を固めている。東芝は今夏までに、白物家電事業を主に取り扱う子会社を売却する予定。美的集団は同情報に関するコメントを控え、「現時点で公表すべき情報はない」と表明するに留まった。しかし公式サイトの回答では、「グローバル化は当社の3大戦略の主軸の一つ」と強調した。アナリストは、美的集団が近年相次いで海外M&Aに乗り出していることから、この情報の信ぴょう性は低くないとしている。美的集団は16日、「当社は開放的かつ積極的な姿勢により、グループのグローバル化の機会を模索してきた。当社は実務的かつ着実な発展の原則を貫いており、投資家と消費者への責任ある態度により、各種要素を総合的に検討し、重要なグローバル化の計画を進める」と回答する一方で、「現時点で公表すべき情報はない」とした。パナソニックは2012年、三洋電機から引き継いだ白物家電事業を、中国のハイアール・グループに売却した。東芝は昨年末、インドネシアのテレビ工場を、中国のスカイワース社に売却し、冷蔵庫・洗濯機・掃除機の中国販売権を同社に譲渡した。今年2月末には、日本の老舗家電メーカーのシャープが、郭台銘会長が率いる鴻海精密工業の約62億ドルの買収案を受け入れる方針を固めたと報じられた。取引が成立すれば、シャープは鴻海の傘下企業となる、としている。

日本の家電事業のM&Aで、日本国内に感傷的な記事を見かけるのと同様、中国は勝ち気な記事になった。個人的には、儲けられない事業ならさっさと手放すべきだ。今の日本の家電の魅力はゼロに近い。粉飾決算、赤字経営なら、手元に残す理由など何もない。10年前に世界を制していたものが、今では赤字という、その経営能力のなさを恥じる検証なら真面目にすべきだが、感情的な温存主義は情けなくなる。
一方で、中国も買収に浮かれているのは不思議だ。国内で創出できなかった事業をカネで買うしかできないこと、今にも崩れそうな人民元の価値を必死で資産に変えようと国外に物件を探している状況は、勝ち誇った記事にするには背景を知らな過ぎる。この買収方法では、10年後に中国が腐らせてしまうか、また次の国に売却する未来が待っているだろう。

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