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2543.報道比較2016.3.11

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昨日の大津地裁の判決で見えた日本の分裂。この分裂のまま、復興に取り組んでも時間ばかりが過ぎていく。言いにくいことが増え、気遣いに疲れる。雰囲気の悪い復興にしてしまったことが悔やまれる。

朝日新聞・社説
震災から5年 心は一つ、じゃない世界で

戦後最大の国難といわれた東日本大震災と福島第一原発の事故が起きた「3・11」から、5年がたつ。直後は、だれもが被災地のことを思い、「支え合い」「つながろう」の言葉を口にした。年の世相を表す「今年の漢字」に、「絆」が選ばれもした。あの意識ははたして本物だったろうか。被災地の間ではむしろ、距離が開いていく「分断」を憂える声が聞こえてくる。福島の人びとが「この5年」を外に知ってほしいと思うのは、原発事故がもたらす分断の実相と克服の努力を全国の教訓として共有すべきだと考えるからでもある。この世は、「心は一つ」ではない。歴史をみれば、分断はいくつも存在した。原爆に苦しんだ広島と長崎、水俣病など公害に侵された町、過大な米軍基地を押しつけられた沖縄――。住む場所も考える問題も違う人間同士が「つながる」ためには、「互いにわからない」ことから出発し、対話を重ねていくしかない。被災地からの発信を一人ひとりが受け止め、返していくことから、もう一度始めたい、としている。

産経新聞・社説
3.11 被災地の自立導く支援を 課題克服を社会の手本に

東日本を襲った大地震と大津波による死者は1万5894人、行方不明者は2561人(いずれも3月10日現在)にのぼる。いつ来てもおかしくない震災への備えを再確認し、命の重さを胸に刻む「鎮魂の日」としたい。「集中復興期間」が3月末で終わり、政府は平成28年度からの5年間を総仕上げの「復興・創生期間」と位置づける。いまなお原発事故の影響を受ける福島などは例外としても、これからの支援は被災地の自立を導くものでなければならない。人口減少と高齢化に悩む地方では、産業構造の転換が避けられない。釜石のように、1次から3次産業までを一つの地域でまかなう仕組みがあれば、アイデアを持った若者らが外部から参加する余地を生み、雇用も生まれる。地域の資源をてこに経済的に自立できるモデルケースとなるはずだ。震災で浮かび上がったのは、日本社会のひずみである。被災地がその解決策を模索することにも、復興プロセスの意義はある。先進的な取り組みを、日本の社会全体が後追いする日もいずれ来るだろう。被災地がそのモデルを内外に示し、本当の「復興」に胸を張れる日が来ると信じたい、としている。

日本経済新聞・社説
原発事故に向き合う姿を世界に

東日本大震災がもたらした東京電力・福島第1原子力発電所の事故の影響で、なお10万人近い住民が避難を余儀なくされている。この事故に国民全員が向き合い続け、教訓をくみ取らなければならない。国際社会に対しては、放射能汚染の実態や廃炉の状況を包み隠さず伝える責務を負う。原発をどう利用していくか、事故を踏まえた展望を示すべきだ。日本がエネルギー政策のなかで原発を長期的にどう位置づけていくか、世界が注視している。福島の事故を受けドイツやイタリアは脱原発を決めた。一方で中国やインドなどは原発を増やしつつ、福島事故の教訓から学ぼうとする姿勢もみせている。日本政府は原発への依存度を下げ、震災前に3割だった発電比率を30年に2割強にする目標を掲げた。だが古い原発の更新(リプレース)をどうするかなど、長期的にどう利用するかは曖昧だ。ほかにも答えが出たとはいいがたい問題は少なくない。高速増殖炉もんじゅや核燃料サイクルの計画を維持するのか。使用済み核燃料から出る核のごみの処分地をどこにするのか。福島の事故を絶えず問い直し、原発の安全性を高めると同時に、原発のありようも含めたエネルギー利用の長期展望を日本は示していかなくてはならない、としている。

毎日新聞・社説
大震災から5年 福島の現実 向き合い、そして前へ

日本中が震えたあの日から5年を迎えた。地震と津波による死者・行方不明者は1万8000人を超える。今も約17万4000人が避難生活を余儀なくされている。復興はまだ途上である。国を挙げて被災地の支援を続けたい。とりわけ、原発事故に見舞われた福島の現状は厳しい。原子力災害からの復旧のめどは立たず、古里を追われた人は全都道府県に散り散りになっている。2000人を超える震災関連死は、被災各県の中で突出している。心と体への重い負担が現在進行形で続いているのが現状だ。国会事故調で委員長を務めた黒川清・政策研究大学院大客員教授が先週、日本記者クラブで会見し、こう述べた。「何をするにも誰が責任者かはっきりしない。リーダーの無責任という日本社会の現実が、ご都合主義のごまかしの対応を生み、国際社会の信頼を失っている」この国の根幹にかかわる指摘だ。今後の5年を、これまでと同じスタンスで歩んではならない。地に足をつけた政策が求められる。その礎とするために、原子力災害による被害を真っ正面から見据えた年次の「福島白書」の作成に国を挙げて取り組むべき時ではないか、としている。

読売新聞・社説
復興総仕上げへ 再生への歩みを確かなものに

政府は、今月末までの5年間を「集中復興期間」と位置づけ、被災地のインフラ復旧や住宅再建を進めてきた。だが、復興への歩みは順調とは言えない。今も約17万人が避難生活を送る。新年度からは、5年間の「復興・創生期間」に移行する。政府の復興推進会議は10日、その基本方針を決定した。被災地の現状を見ると、その実現には程遠い。復興が停滞する中、地元での生活再建を断念した住民が、次々と流出し、震災前からの過疎化や高齢化に、むしろ拍車がかかっている。被災地が共有する深刻な問題である。原発事故の影響が残る福島県の復興のゴールは見通せない。2020年度までの復興・創生期間が過ぎても、「継続して国が前面に立つ」。福島の復興に関し、政府は今回の基本方針にそう明記している。原発事故の爪痕が消えるまで、国を挙げて福島の人々を支えることを再確認したい、としている。

昨日、日本国内の分裂を大津地裁の判決から認識した。産経と読売、朝日と毎日と、大ざっぱに思想は2つに分かれやすかったが、両者の断絶が顕著だ。いつも中立の日経は、震災に関しては朝日・毎日に近い。産経・読売の国家主義、自立促進の発想には、かなりの違和感がある。まだ総仕上げと言うには、置き去りにされたものが多く、国がやると言って5年経っても進まないなら、そのやり方さえ間違っていると疑う時期に来ている。5年を思えば、リーダーシップがない中で混乱、その後もバラバラ、いつしかなし崩し、さらに分裂…結束は見えない。昨日の判決も、原発への意識も、何もかもが分裂してしまった。原発事故に巻き込まれた人も不幸だし、関係ないのに被災した人たちは、原発を思って言葉を伏せる人もいる。とにかくタブーが増え、言いにくいことが増え、気遣いに疲れる。雰囲気の悪い復興にしてしまったことが悔やまれる。どこからやり直したらいいだろうか?

人民網日本語版
南中国海をかき乱す企てが思い通りになることはない (2016.3.10)

両会期間、一部の国外メディアは依然として南中国海問題に視線を向けている。「中国は南沙(英語名スプラトリー)諸島に最も早く武器を配備した国ではなく、最も多く武器を配備している国でもなく、ましてや軍事活動が最も頻繁な国でもない。『軍事化』のレッテルは中国に貼ることはできず、もっとそれにふさわしい国がある」。中国は国際法によって与えられた権利に基づき自国の島・礁上に必要な防御施設をいくつか建設した。それより多く建設しているのが民生用施設であり、国際社会に提供する公共財だ。南中国海の航行の自由は中国側の行動によって影響を被ることはなく、反対により良く維持される。フィリピンが提訴したいわゆる南中国海仲裁案件については、中国はとうに国際法の規定に厳格に基づき強制的仲裁を排除する政府声明を出している。南中国海問題は中米間の問題ではない。米国の一部が南中国海問題でしきりにもめ事を引き起こす根本的原因は、やはり中国に対して戦略面の疑念や懸念を抱き、いつか中国が米国に取って代わることを常に懸念しているからだ。中国は一貫して南中国海の平和・安定のために様々な努力をしてきた。中国にはASEAN諸国と共に南中国海の平和的発展の大局を確保する自信と能力がある。もし執拗に南中国海をかき乱し、アジアを混乱させようとする者がいるのなら、中国は承知しないし、この地域の圧倒的多数の国々も認めることはない、としている。

南シナ海の問題に、中国はひきつづき紙面を割いている。堂々と国際法廷に出る意志はなさそうだが、反日感情を利用するのと同様、アメリカへの反発の意識を利用しているようだ。日本へ主張する必要性は、今は感じられない。対中投資が退くほど苦しくなる時期に、アメリカへの反発を煽るのは得策とは思えない。ということは、中国国内に、それだけアメリカへの反発心があるのだろうか?
アメリカは北朝鮮から南シナ海までのエリアの紛争では、真正面から中国と争うつもりだ。受けて立つ自信はないが、戦えると国内には言いたい。そんな心情が見える。苦しい分だけ、声が大きくなっているようだ。

Wall Street Journal
FRB利上げ、6月まで先送りの予想増加=WSJ調査 (2016.3.11)

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の最新調査では、大半のエコノミストが今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利据え置きと6月の追加利上げを予想していることが明らかになった。調査に回答した企業のエコノミストや経済学者のうち約76%は、連邦準備制度理事会(FRB)が6月14・15日のFOMCで追加利上げに踏み切るとみている。2月の調査では60%が6月の追加利上げを予想していた。調査回答の平均では16年末時点の政策金利は0.92%への上昇が見込まれ、先月と同水準となった。これは、民間エコノミストが引き続き、年内に0.25%の利上げが2回程度実施されると予想していることを意味する。アメリプライズ・ファイナンシャルのシニアエコノミスト、ラッセル・プライス氏は「こうした緩やかな予想さえ、楽観的すぎる可能性が高い」と指摘した。同氏は年末までにFF金利が0.88%、17年末に2.13%に達するとみている、としている。

FRBを見て、また新興国市場がリスクを取りはじめている。この過剰さがイエレン氏がもっとも気に入らない動きだろう。ヨーロッパは昨日、緩和の限界を露呈した。年明けの恐怖指数が上がっている頃、イエレン氏の救いは、ドラギ氏の「躊躇なく、際限なくやる」との強気さだったのだが…安定をつくるための中央銀行が、サプライズを狙う奇妙な状況も、いよいよ末期症状だ。

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