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2506.報道比較2016.2.3

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主体性。アメリカを見るたびに、その言葉の強さと重さを痛感する。私たちは、いつ、自らで生きようとするのだろう。

Wall Street Journal
アイオワ党員集会は本命出遅れ、対抗馬が存在感 (2016.2.2)

米大統領選の初戦となるアイオワ州党員集会が1日に行われた。共和党のテッド・クルーズ上院議員はやるべきことをやった。ドナルド・トランプ氏は、全米に衝撃を巻き起こすべく「衝撃と畏怖」をもたらすには遠く及ばなかった。マルコ・ルビオ上院議員は善戦した。一方、民主党はヒラリー・クリントン氏が一晩中、崖っぷちに立たされていた。今回の結果が示すのは、民主党側には今後も戦いが待ち受けているということだ。そして共和党側には、それよりずっと大きく、かつ長期にわたる戦いが待っているということだ。クルーズ氏がキリスト教福音派の保守派から強い支持を受けていることは明白になった。長期にわたって候補者として生き残るには同氏にはそれが必要だった。トランプ氏の計算は、アイオワ州で終盤に躍進してクルーズ氏に競り勝ち、ニューハンプシャー州の予備選での大勝につなげ、指名争いを制し始めるというものだった。しかし、それは実現しなかった。一方の民主党側は、ヒラリー・クリントン氏がバーニー・サンダース上院議員に対し、終始、僅差でのリードを維持した。党員集会と予備選は違いを浮き彫りにするものだが、異例の大統領選となっているなかで、今回示されたのは驚くべき違いである。そうした差は近いうちには縮まらない可能性がある、としている。

朝日新聞・社説
米国大統領選 世界の難題、論戦を

ポピュリズム的な人物に話題をさらわれ、具体的な政策論議に乏しく、中傷合戦がめだつ。中西部アイオワ州であった全米最初の党員集会でも、そんな人物が一定の支持を集めた。世界にとっても米国にとっても憂慮すべき事態だ。米国の動向は米国だけのものではない。米国の有権者は、国際社会に重責をもつ国としての意識を忘れず、選挙に臨んでほしい。最初の州アイオワでは、共和党で保守強硬派のテッド・クルーズ上院議員がドナルド・トランプ氏を抑えて勝利した。民主党では、ヒラリー・クリントン前国務長官とバーニー・サンダース上院議員が接戦を演じた。だれが次の大統領になっても米政治は引き続き、保守とリベラルとの深い分断に悩まされ続けることは確実だ。だが、米国抜きには21世紀の世界秩序は語れない。国内の対立を超えて、いかに世界とかかわるか。米国の自覚が問われている、としている。

日本経済新聞・社説
誰が米大統領でも困らぬパイプづくりを

米大統領選の予備選が始まった。米政治は保守とリベラルの二極分化が進み、11月の本選挙で二大政党のいずれが勝つかは予断を許さない。日本としては途中経過に一喜一憂することなく、誰が次期大統領になっても困らないパイプづくりをする必要がある。安倍政権は米国のアジア専門家らを通じて日本の立場をきちんと伝える努力をこれまで以上にしなくてはならない。日本への影響が大きいのは環太平洋経済連携協定(TPP)への態度だ。クリントン氏は「賛成できない」と語る。「現時点では」との留保付きなので、いずれ賛成するとの見方が多いが、苦戦が続けば「絶対反対」と言わざるを得なくなる可能性がある。国際政治学者のイアン・ブレマー氏は今回の米大統領選を「誰が勝とうと市場への影響は小さい」と分析する。米国は日本にとって重要な同盟国とはいえ、振り回されても仕方ない、としている。

大統領選挙がいよいよはじまった。今回もまた痛感したのは、アメリカは広い。大統領選挙は最後まで判らない。メディアがいくら騒いでも、選ぶのは国民。予想に反する結果に何度も驚かされる。年齢、地域、所得、人種、宗教…数々の価値観が、それぞれの思いでリーダーを選ぶ。
主体性。アメリカを見るたびに、その言葉の強さと重さを痛感する。私たちは、いつ、自らで生きようとするのだろう。

毎日新聞・社説
同一労働・賃金 非正規の底上げ前提に

安倍晋三首相が1億総活躍社会を進めるために「同一労働同一賃金の実現に踏み込む」と意欲を示している。パートや派遣など非正規であっても正社員と同じ内容の仕事をしている場合は同じ賃金にするのが、同一労働同一賃金だ。具体的な内容や方策について首相は説明していないが、正社員との格差が著しい非正規の賃金底上げが前提でなければならない。昨年、同一労働同一賃金法が国会で成立し施行された。当初は「待遇の均等の実現」となっていたが、与党側の要請で「均等および均衡の実現」に修正された。「均衡」は正規と非正規間の格差の存在を前提にするため、実効性が薄まったと批判が起きている。経済協力開発機構(OECD)から正規社員との賃金・待遇格差を是正するよう日本政府が勧告を受けたのは2008年だが、格差はますます広がっている。働いても貧困から抜け出せないワーキングプアの解消は待ったなしだ、としている。

一昨日、私が一言で提案した感覚では、非正規の賃金は、同一ではまったく足らない。そこには、退職金も、賞与も、雇用保険もない。それだけの対価なら、非正規は正社員の倍額もらってちょうどいいくらいだろう。この主張に無理がないことは、プロフェッショナルやフリーランスなら知っている。フリーの報酬は、給与の3倍くらいがちょうど良いと言われる。それくらい保証がない世界に生きていながら、非正規派遣労働だと低賃金に甘んじるのは問題だ。
つまり、安倍政権の主張には相当な欺瞞がある。同一賃金では、まったく足らない。むしろ、同一と呼んで一般社員の給与水準を下げようというのが魂胆ではないか。経団連がやけに理解を示している理由も、そんな背景ではないだろうか。

産経新聞・社説
中国で邦人逮捕 釈放と帰国を強く求めよ

中国当局に身柄を拘束されていた札幌市の男性が「国家安全危害」の疑いで1月に逮捕されたことが明らかになった。これで日本人の男女4人が中国当局に「スパイ容疑」で逮捕されていることになる。菅長官はまた「邦人保護の観点から在外公館を通じ、適切に支援活動を行っている」と従来の説明を繰り返したが、邦人4人の拘束期間はすでに長期に及んでいる。もっと強く、釈放と帰国を求めるべきではないか。中国は一昨年に「反スパイ法」、昨年「国家安全法」、今年1月には「反テロ法」を施行した。いずれも治安当局が幅広く定義を解釈できることから、恣意(しい)的な運用が懸念されていた。外国人の人権活動などを規制する「外国非政府組織(NGO)管理法」の制定準備も進められている。外国人の拘束が相次ぐ一方で、国内に向けた締め付けは、さらに苛烈だ。甘粛省では地元当局の訓練の不手際による火災を取材した記者が行方不明になり、地元警察が家族に「買春容疑で逮捕した」と連絡したが、1週間後に容疑は「政府を恐喝」となった。身柄拘束や逮捕の初期情報はあいまいである。中国から発信される内容をうのみにするわけにはいかない、としている。

読売新聞・社説
空自航空団新設 南西諸島防衛の着実な強化を

防衛省が、航空自衛隊那覇基地に第9航空団を新たに編成した。航空団新設は51年ぶりだ。福岡県の築城基地から1飛行隊を移し、主力戦闘機F15を20機から40機に倍増した。南西諸島周辺の領空に接近する中国軍機に対する、自衛隊機の緊急発進(スクランブル)が急増していることに対応するのが目的だ。南西地域で、2014年度は468回に上った。08年度の約10倍で、大半が中国軍機である。尖閣諸島周辺では、中国軍艦船の接近が相次いでいる。海警局公船の領海侵入も後を絶たない。昨年12月には、「機関砲」の搭載が確認された。1万トン級の大型船も建造されているという。気がかりなのは、自衛隊と中国軍の衝突を回避する「海上連絡メカニズム」の創設に関する日中協議が遅れていることだ。双方が知恵を絞り、早期に合意したい、としている。

中国脅威論を醸成したい理由は何だろか?いまの政権への逆風をかわしたい意図なら、中国が困ると反日感情を煽るのとやっていることは変わらない。無意味な用途に社説を使わないで欲しい。他に語るべきことはいくらでもある。少なくとも、甘利氏の問題追及か、新たな石原氏の方針の方が、社会のニーズは高いはずだ。

人民網日本語版
日本のマイナス金利、中国への影響は?

デフレリスクに対応し、軟調な経済を刺激するため、日本銀行(中央銀行)はこのほどの金融政策決定会合で、金利をマイナス0.1%に引き下げ、マネタリーベースの年間80兆円増額という計画を維持するとの予想外の措置を発表した。日銀がマイナス金利政策を打ち出すのは初めてで、世界のメディアの幅広い注目を集めた。日本の予想外の動きに対しては、通貨戦争の影が再び世界を覆うことにつながりかねないとの世論が広がっている。また日本のマイナス金利は人民元の引き下げ圧力を高めるもので、中国が金利を下げる確率が高まったとの見方もある。一方では、日本のこの措置が中国に対する影響はそれほど大きくないだろうとするメディアもある。香港紙「南華早報」は、日本銀行はマイナス金利という予想外の政策で消費と投資を刺激しようとしているが、中国に対しては大きな影響は与えないだろうと報じている。同紙に引用された関係専門家の見方によると、欧州と同様、マイナス金利実施ですぐに日本経済が立ち直る可能性は低い。中国にとっては、日本のやり方を真似て大規模な金融緩和策を取るのは最悪の選択であり、人民元を空売りすることで利益を得ようとする投機家に利するばかりだとなる。そのため中国が日本とともに通貨価値引き下げのゲームに参加することはない、としている。

日本の政策に注目してくれるのはありがたい。今回、日銀がもっとも期待したのは「サプライズ」のはず。その意味で、こうして世界が日本の経済への取り組みを論じてくれるのはうれしい。
それにしても、政府が仕事をしていない。動いているのは中央銀行ばかりだ。そのあたり、安倍政権を批判するには極めてやりやすい環境だが、人民網がそれをしないのは、自国の金融政策があまりに後手だからだろうか?

Financial Times
ミレニアル世代は住宅取得の夢をあきらめたのか (2016.2.2)

米国の18~34歳――同国では最も人口が多い年齢層――の持ち家比率は現在、1982年以来の低水準にとどまっている。いわゆる「ミレニアル世代」の3分の1近くは両親と同居している。これは景気後退の最悪期に当たる7年前よりも高い値で、米国の国勢調査でデータ収集が始まった1968年以降で見ても最も高い。ミレニアル世代に住宅の買い手が少ないことに、エコノミストたちは首をひねっている。確かに、景気後退期に失業して最大級の打撃を受けた世代ではあるものの、景気はその後、急回復している。米国のミレニアル世代の失業率は昨年、7.7%にまで低下した。最悪期からの低下幅は5ポイント近くで、国民全体のそれとほぼ同じだ。住宅を買う余力のあるミレニアル世代でさえ、金融危機後の大不況を経験したせいで慎重になったり関心をなくしたりしている。ピュー・リサーチ・センターによれば、この世代は転職についてもベビーブーマーの世代より消極的だ。不動産業界は引き続き、ミレニアル世代がいずれ住宅市場を席巻すると確信しているという。業界幹部らは、若年成人の過半数が向こう数年で家を買うつもりだと答え、「アメリカンドリーム」をあきらめたわけでないことを示唆する調査を引き合いに出す。もっとも、この夢が実現するかどうかは、まだ分からない、としている。

日本にそっくりとは言わないが、世界で最も経済的に成功しているはずのアメリカでも、将来に不安を抱え、浪費家、楽天家と言われる国民性に反して貯蓄、抑制が進んでいる。私には、イノベーションのスパイラルへの挑戦と、チャレンジへの寛容さがあれば、アメリカは確実に成長を維持できるとは思うが…それ以上に、インフレのスピードが早いのだろう。彼らの語る家賃や生活費が、日本では想像を越える金額になりつつある。デフレになった方がいいとは思わないが、アメリカのインフレのペースが弱まったようには、私は感じられない。
やがて、アメリカにはクラッシュが来る。その時をしたたかに狙っているのは、バフェット氏のような賢者だけではないだろう。高すぎる時に手を出す必要などない。私もそのひとりだ。

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