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2500.報道比較2016.1.28

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100万円のスキャンダルで大臣が辞める国と、380億ドルの資産家が出馬するかを市場調査までして決める国。どちらも今年の後半、選挙らしい。騒がしくなってきた。

Wall Street Journal
FRB、経済見通しに懸念示すも3月利上げの可能性残す (2016.1.28)

米連邦準備制度理事会(FRB)は27日、金融市場の混乱と海外の経済成長が遅いことに新たな懸念を示したが、3月に追加利上げする可能性は残した。FRBは声明で、政策金利であるオーバーナイト物(翌日物)フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%~0.50%に据え置き、世界の経済と市場の動向を「注視する」と述べた。FRBのイエレン議長は、今後の予定が詰まっている。2月には議会報告証言を行う予定で、3月15・16日に次回の重要なFOMCを開催する。ここで当局は利上げの是非をまた判断することになる。FRBは3月に経済成長率やインフレ、失業率、そして金利経路についての見通しを更新する。当局者らは、金利経路に関してどのようなシグナルを発するか決める前に、今後それまでに発表される経済統計や市場動向の傾向を評価したいところだろう、としている。

見込みどおりだったからか、マーケットの反応はゼロに近かった。この程度の振幅ではFRBは止まらない。今年に入ってからの世界経済の微震の原因がFRBにあると言われても。次は春の利上げにむけて、徐々に地ならしのコミュニケーションをしていくだろう。ヨーロッパと日本は緩和に、が大方の予想のようだ。夏以降、また今のような不安が訪れそうだ。

日本経済新聞・社説
官製ファンド頼みの企業再生でいいのか

経営不振の続くシャープの再建策とりまとめが大詰めを迎えた。現時点で有力視されるのが、経済産業省の主導で設立した官製ファンドの産業革新機構が同社に約3千億円を出資し、液晶とその他の事業を分離したうえで液晶事業については他社と統合する案だ。だが、官主導の再建には様々な疑問がつきまとう。シャープをめぐる現状は日本の企業再生環境の貧弱さを浮き彫りにするものだ。官主導の企業再生には弊害がつきまとう。業績が悪化しても政府が助けてくれるとなれば、深刻なモラルハザードが発生し、経営努力がおろそかになる。公的支援を受けた企業が自力で頑張る企業と同じ土俵で戦うのは、公正競争のゆがみをもたらす。存続の難しい事業の延命に官製ファンドが手を貸すことがあれば、産業の新陳代謝を阻害し、日本経済の停滞を招くだろう、としている。

日経の主張に賛成する。シャープを欲しがっているのがアメリカの企業なら国が関与してでも助けるべき未来の技術だ。台湾が悪いという意味ではない。鴻海精密工業が見ているシャープの技術の賞味期限は?おそらく3年以内。たった6000億円。ビール会社や製薬会社が買収で言う金額と比べてみて欲しい。では、日本の官製ファンドのスピードにとっての3年とは?資本政策、事業計画が終わって、ようやく始動という時間軸ではないだろうか?鴻海がやれば、償却が終わっている3年と、ノロマがようやく重い腰を上げる3年。従業員にとってどちらがしあわせか、マーケットがどちらを望むか、業界のトレンドのスピードを考えれば、結果は見えている。これがアベノミクスの成長戦略だろうか。80年代と同じことをしている。アメリカがもっとも世界で非生産的だった、日本がもっとも世界で輝いて見えた時代と同じやり方を。まだそこから発想が進歩していないことに唖然とする。

朝日新聞・社説
関電高浜原発 なし崩し再稼働に反対だ

関西電力高浜原発3号機(福井県高浜町)が29日にも再稼働する。新規制基準の下では、昨年の九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に続く。事故の教訓がなおざりにされたまま、原発がなし崩しに動き出していく現状に強い危機感を抱く。高浜原発の再稼働に改めて反対を表明する。福島で私たちは「想定を超える事故は起きうる」という重い教訓を学んだ。福井県の若狭湾周辺には、廃炉中を含めて15基の原子炉がある。世界屈指の集中立地地域だ。災害などで複数の原発が同時に事故を起こせばどうなるのか。福島の事故が突き付けたこの疑問に、答えは示されていない。規制委の審査でも、ほとんど検討されなかった。原発を長年引き受けてきた地域の理解なしに、脱原発社会への展望は開けない。国はもちろん、消費地も協力し、ともに未来図を考えていく必要がある、としている。

今日の社説は、全紙が甘利氏を書くだろう。安倍政権に抗ってきた朝日には、やりやすい環境になった。反原発もそのひとつだろうが、どうも主張が「危険だから動かすな」で思考が止まっている。何かにつけて再稼働を唱える産経や読売よりは論理的だが、やはり未来が見えない。
我慢する、今までより苦悩が増える未来には、人は進まない。原発は、苦悩になっていたはずが、痛みを忘れた。そこは正しいのだが、苦悩を捨てるだけのエネルギーへの代替案が浮かび上がってこない。アメリカで言えばシェールという発想の転換、エタノールという壮大な実験。彼らは時代を見据えながら、失敗を恐れずに壮大な実験を行う。原油安のいま、それをするにはやりやすい環境が整っている。経済産業省がここまで推してきた原発を否定できるほどのアイディアが欲しい。日本ならではなら地熱だろうか。

産経新聞・社説
安倍首相 まず自らの憲法観を語れ

代表質問で本格論戦が始まった今国会は、参院選前に憲法改正を論じる絶好の舞台だ。改正論議を主導する首相の姿を見たい。参院選の結果次第では、憲法改正に前向きな勢力が衆参両院で3分の2以上を占める可能性もある。これは憲政史上初めてだ。首相は先の参院決算委員会で、「いよいよどの条項について改正すべきか、新たな現実的な段階に移ってきた」と強調した。改正項目の絞り込みを論ずる段階に入ったという認識は正しい。だが、民主党の岡田克也代表が代表質問で改正項目の明示を求めても、首相は応じなかった。国民が聞きたいのはスローガンや段取りではない。なぜ今、どのような改正が必要なのか、という真剣な問いかけである、としている。

読売新聞・社説
18歳選挙権 参院選の投票機会を広げたい

新たに有権者に加わる若者が適正に選挙権を行使する。政府や自治体、政党が連携し、その環境整備を図りたい。今春転居する予定の若者が夏の参院選で投票できない事態を解消する議員立法の公職選挙法改正案が、参院の特別委員会で全会一致で可決された。近く成立することが確実になった。選挙権年齢の「18歳以上」への引き下げは、若い世代の政治参加を促し、民主主義の裾野を広げる重要な契機となり得る。法律の不備を解消し、投票機会を確保するのは、適切な措置である。各選挙管理委員会は、選挙人名簿のシステム改修などを急ぎ、円滑な執行に努めねばならない。教育現場では、選管職員らを招いて、公選法や投票方法の学習、架空の候補者を設定した模擬選挙などが始まっている。地方議会などの協力を得て、議員との対話の機会なども増やすべきだろう。政治的中立性を担保しながら、より実践的な主権者教育を進めることが大切である、としている。

甘利氏の件で、政権が揺らぎはじめた。次のスキャンダルは安倍氏本人と言われるほど追いつめられている。日本がなぜ、憲法改正をここまでできないかの理由のひとつが、これで明らかになった。政治家の資質がそれを満たしていない。そんな人格者が永田町に座っている。だから、過半数でさえ揺れる。3分の2の民意を集められる人格者が、70年の間にリーダーになることはなかった。それが日本の悲劇だろう。本気で日本を再生したい、自らの足で立ちたいと言う人は、見知らぬカネなど受け取らない。そんな人がまったく存在しない闇のような国か、そんな人がリーダーになりたがらない国なのだ。安倍氏が憲法を語るなら聞いてみたかったが、今は無理だろう。18歳が選挙権を持つこの夏、与党は忘れさせることができるだろうか?

毎日新聞・社説
日本の寄付文化 広める方法工夫したい

個人で寄付する日本人が増えている。東日本大震災をきっかけに寄付が広がったが、欧米などに比べればまだ少ない。災害や高齢化、貧困問題などに税金だけでは対応できない今、寄付の文化を広めたい。日本ファンドレイジング協会の調査によると、日本人が寄付する団体を選ぶ時に最も重視するのは「寄付の使い道が明確で、有効に使ってもらえること」や「活動の趣旨や目的に賛同できること」という。ふるさと納税制度を使った災害被災地への寄付も増やしたい。豪雨の被害を受けた茨城県常総市へのふるさと納税は特産品などの「見返り」がなくても、発生時から現在まで約2億円に上っている。もちろん、寄付は金額の多寡だけが大事ではない。少額でも寄付をする人が増えていく社会が望ましい、としている。

主張の趣旨が見えない。宗教観も持たない、稼ぐことを一方で悪のように見下す背景をどう考えているのだろうか?欧米と比較するなら、文化背景の前提なしには叶わない。ふるさと納税も、度を越した競争になり、納税者側も打算で選んでいる。寄付の文化で話をリンクさせるにはほど遠い。
私は、世界の格差が、特にアメリカでは、この寄付によって危機回避していくと予想している。表面的ではない理解があれば、日本にも適用できるだろう。自衛、公共性、名声、宗教観…数々の感覚があるから、彼らは寄付を選ぶ。少なくとも経済合理性だけではない。だが、経済合理性にも辻褄が合わなければ、寄付は動かない。もう少し、本質的な提案が欲しい。

人民網日本語版
習主席の中東訪問がこれほど成功した理由 (2016.1.26)

中国の習近平国家主席は新年早々中東を訪問し、今年初の重大な外交活動を繰り広げた。中国は国際社会で一挙手一投足が決定的影響を及ぼす大国であり、中国の指導者が訪問したサウジアラビア、エジプト、イランはいずれも中東地域で重要な影響力を持つ国だ。したがって、今回の訪問はことのほか注目されている。今回の訪問は中国にとって今年の外交活動の成功の始まりであり、中国外交の理念革新の成果でもある。習主席の中東訪問は、協力・ウィンウィンを核心とする新型の国際関係を構築することの科学性を十分に証明した。中国が提唱するこの理念は、各国が対立ではなく協力し、独占ではなくウィンウィンを図り、ゼロサムゲームと勝者が全てを得る考えを放棄するよう主張している。習主席の訪問は、人類運命共同体建設という理念が終始貫かれていた。中国と中東諸国の協力は、パートナーシップの構築、安全保障構造の構築、発展の将来性の追求、文明交流の促進、エコシステムの構築を含む。人類運命共同体「五位一体」は、中国と中東諸国の関係発展に新たな理念を提供し、新たなビジョンを切り開き、建設的でフィージビリティを備える。「新型の国際関係」と「運命共同体」の二大理念に導かれ、「一帯一路(1ベルト、1ロード)」は双方協力の主軸となっている。中国の新たな指導層が発足して以来、中国外交は一層進取の精神に富み、堅実で力強い手法になっている。習主席の中東訪問の成功に伴い、中国外交が新たな豊作の年を迎えることは間違いない、としている。

どうやら昨年から見かける中国の中東への平和への貢献というのは、今回の内容と同じレベルの自画自賛のようだ。中国と中東にとっては成果があったのかもしれないが、世界が期待する平和や緊張緩和はどこにもない。今後は期待するのをやめることにする。
なぜ中国が歓迎されたかと、なぜいま中国が中東に行ったかの理由は似通っている。オイルを売りたい、最安値で買いたいの利害が一致した。それだけのことだ。産油国になり、外交の利害どころか過去の怨念さえあるアメリカが、抜け穴だらけと言われながらも核放棄を認めさせ、経済制裁を解除したイランとの関係とは比べ物にならない。大国としての責任感はまったくない。まだまだ中国がアメリカと肩を並べるには時間が必要だ。このあたりは日本にも通じる批判だ。自戒を込めて。

Financial Times
ブルームバーグ氏が出馬したら、米大統領選はどうなる? (2016.1.25)

マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が米国大統領選挙に出馬するとの憶測は、4年に1度流れてくる。この憶測通りになることは決してない。なぜか。ブルームバーグ氏はちゃんと計算ができる人だからだ。ニューヨーク市長を3期務めた同氏は、ドナルド・トランプ氏、ヒラリー・クリントン氏と三つどもえの戦いになったらどうなるかを予想するために世論調査を委託した。もし民主党の候補がバーニー・サンダース氏になったら、出馬したいというブルームバーグ氏の気持ちは強まるだろう。もし大統領選挙に出馬したら、1つの大きな障害に立ち向かうことになるだろう。共和党の候補者でも民主党の候補者でもないブルームバーグ氏がホワイトハウスに入る可能性はほとんどない。ブルームバーグ氏が出馬すると票が割れてしまい、僅差でトランプ氏が当選する可能性があるのだ。そんな事態を想像してみてほしい。ブルームバーグ氏は、自分の勝算を推し量る際に、1950年代の民主党を率いたアドレー・スティーブンソンの言葉を思い出すべきだろう。大統領選挙に出たスティーブンソンは、「米国のすべての知的な人たちから」支持を得られるでしょうと言われてこう答えたという。「確かに。だが、私には過半数の人の支持が必要なんだ」としている。

数日前のWall Street Journalよりは、少し下世話だが、リアリティのある意見。割って入る方がアメリカにとっての不利益になる可能性は高い。ブルームバーグ氏の決断は、誰もが納得できる理性的なものになっていると期待して待ちたい。やはりアメリカの選挙は盛り上がる。真面目に未来を考えながらも、退屈しない。すべての生活がアメリカはこうだ。

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