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2477.報道比較2016.1.5

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中東の緊張を社説で取り上げたのは日経のみ。日本の新聞の価値観はますます内向きになっている。情報は、ぜひ世界から得ることを奨めたい。

Wall Street Journal
中国ハイテク業界、今年はさらに厳しい状況に (2016.1.4)

昨年、中国のハイテク企業に多額の資金を振り向けた投資家は大きな成果を得た。ただ有望な投資対象はすでに物色されたこともあり、今年の中国ハイテク企業は、投資家から高い期待を寄せられ、より厳しい状況に直面する公算が大きい。中国の多くの非公開新興企業は昨年、バリュエーションが2倍余りになり、投資家に高リターンをもたらした。ミューチュアルファンド「フィデリティ・ブルーチップ・グロース・ファンド」では、一部のシリコンバレーの新興企業の評価を引き下げたものの、1月に投資した150億ドルの中国の共同購入サイト、美団網(Meituan.com)の評価を11月末までに20%強引き上げた。また、中国の配車サービス会社、滴滴快的の評価額は2月の60億ドルから9月の160億ドルへと3倍近くに膨らんだ。こうした評価額の上昇や多くの新興企業が現金を燃焼する状況をにらんで慎重になった投資家もいる。ここ数カ月で一部の投資家は規模の大きな新興企業に新たな資金を投入することをちゅうちょするようになった。中国では株式市場が不安定なことから新規株式公開(IPO)を凍結していたことが背景にある。投資家は中国のハイテク新興企業に対し、顧客獲得のための終わりのない競争に現金を燃焼し続ける代わりに統合するよう促している。15年の最大級のM&Aでは、配車サービス会社同士が合併して滴滴快的が発足したほか、美団網と大衆点評網との合併による150億ドルの新会社が誕生した。投資家は、統合の規模は昨年より縮小するものの、こうした統合のトレンドは今年も続く公算が大きいとみている、としている。

人民網日本語版
中国のロボット産業 発展の潜在力は大きいが、重要部品を輸入に依存 (2016.1.4)

中央経済政策会議で、企業の技術改造と設備更新を支援する方針が打ち出された。産業用ロボットは企業が技術改造を実現するうえで便利な道具となるが、中国の同産業の発展の現状はどうなっているのだろう?将来的にどの方面に力を入れるべきなのだろう?中国科学院瀋陽自動化研究所研究員の王天然氏(中国工程院院士)は「中国におけるロボットのニーズは急激に増加している。主な原因は人件費の上昇だ。ロボットの導入により生産効率を高め、長期的にはコストも節約できる」と語る。ここ数年、中国のロボットニーズは大きく伸びている。中国は2013年には世界最大のロボット市場となり、2014年には中国での販売台数が世界全体の約4分の1を占めた。市場ニーズに後押しされ、中国のロボット産業も急成長を遂げている。中国ロボット産業連盟(CRIA)理事長の曲道奎氏は「現在中国にある比較的大規模なロボット開発区・産業パークは30以上に上る。ロボット関連の上場企業は100社を、ロボット関連の企業は1千社をそれぞれ上回る」と指摘する。現時点では、中国国産ロボットの市場シェアはわずか30%前後にとどまっており、しかもほとんどが業界の低いレベルにとどまり、先端ロボットはほぼ輸入に依存している。専門家によれば、中国の産業用ロボットの先進国との差は主に、コア技術と重要部品にあるという。専門家は、「伝統的な産業用ロボットの分野では、中国と国外との格差が比較的大きい。追いつき、追い越すためには、知能化の分野で取り組みを加速し、ロボットとIT技術、ビッグデータ、ネットワーク、人工知能などを融合させ、次世代ロボットの開発で主導権を握るべきだ」との見方を示す、としている。

昨日、サーキット・ブレーカーが早速使われて取引が停止になった上海。中国経済を取り巻く環境はますます厳しさを増している。個人的には、日本の方が成長という意味では未来がないと思っているが、中国には時間がない。成長を急ぎ過ぎたせいで、成長の果実を手にできなかった人たちがまだ貧困に喘いでいる。彼らの空腹が満たされない限り、ブレーキを踏むわけにはいかない。この止まれない国家には、ソフトランディングの選択肢がないのかもしれない。
ハイテクやロボットという業界に中国が目を向け、競争に参加するのは応援したい。夢のような技術を、コモディティ化させていく部分は、中国の独壇場になりつつある。ここがもっとも利益率が高いが、競争は激しい。日本は過去にここで常勝だったが、いつしかマーケットが求める以上の付加価値、差別化という名の無駄に心を乱され、自滅した。今のまま、シンプルで、内製領域を徐々に広げていくだけでいいのなら、中国はすばらしいプレーヤーになるだろう。期待している。

産経新聞・社説
外交安保 脅威増す隣国を直視せよ 世界の安定に責任果たす時だ

アジア太平洋での覇権を追い求める中国は、年が替わってもその貪欲さを隠そうとさえしない。日本は外交、安全保障のあらゆる政策を用いながら、この地域の平和と安定を保つことに注力していく必要がある。それなしには、伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の議長国として指導力を発揮し、国際社会で十分な役割を果たすこともままならないからだ。スプラトリー(中国名・南沙)諸島で国際法を無視して人工島の軍事拠点化を進めている問題で、中国外務省は人工島の滑走路で航空機を離着陸させたことを今年に入り公表した。中国国防省は2隻目の航空母艦を建造中であることを、昨年末に発表した。3月下旬に安全保障関連法が施行され、自衛隊の法的な行動範囲が広がる。日米同盟の抑止力強化は、より幅の広い外交政策を進める土台にもなる。安倍首相は年頭会見で、安保関連法の成立で「子や孫の世代に平和な日本を引き渡していく基盤を築くことができた」と語った。国際テロ対策、地球温暖化問題、世界経済の行方など課題は山積しているが、日本の国益に資する課題への取り組みをこの機会に強く主張するのは当然である。オバマ米大統領の政治力の低下が見込まれるなか、外交、軍事面で影響力を増す中国やロシアにどのように対処していくのか。世界の平和と安定に直結するだけに、首相の手腕が厳しく問われる、としている。

日本経済新聞・社説
対立の沈静化へサウジとイランは自制を

サウジアラビアがイランとの外交関係を断絶した。サウジが同国内で活動してきたイスラム教シーア派の宗教指導者を処刑し、反発したイラン人が首都テヘランにあるサウジ大使館を襲撃したことを受けた措置である。サウジは国内にイスラム教の聖地メッカを擁するスンニ派国家の盟主だ。これに対し、イランは国民の多数をシーア派が占める。両国の関係悪化は宗派対立をあおり、イスラム世界全体が一層、不安定な状態に陥りかねない。シリア内戦への国際社会の対応の遅れがISの台頭を招いた。過激派の勢力伸長はサウジやイランにとっても脅威だ。国際社会の優先課題はイスラム過激派をどう抑え込むかだ。宗派間対立の拡大は状況を悪化させるだけだ。サウジは石油輸出国機構(OPEC)で最大、イランも有数の産油国だ。原油価格は下がっているとはいえ、サウジのほかに潤沢な生産余力を持つ産油国はない。サウジやイランからの原油輸出が途絶えれば世界経済も深刻な影響を受けることを忘れてはならない、としている。

産経と日経が国会から距離を置いて世界に目を向けている。相変わらず強硬な産経の姿勢には辟易する。安倍氏の国家主義をうまく利用して、この時期に強硬な価値観を根付かせたいようだが、冷静に考えてカネがつづかないとだけ警告しておこう。どうあがいても、今の中国やアメリカの感覚と同等の国防費は、借金漬けの日本からは出てこない。カネの計算をして、工面できてから騒いだ方がいいだろう。
サウジアラビアとイランの対立を取り上げたのが日経だけとは呆れた。いまの日本の新聞には、中東の混乱に触れることさえできないようだ。やはり、世界のメディアから情報を得た方が良さそうだ。ネットの情報の信憑性が問われるのも判るが、今の日本の新聞の方が偏っている。これで軽減税率対象?海外紙もその対象にして欲しいものだ。

朝日新聞・社説
通常国会開幕 「戦後の岐路」問う論戦を

通常国会がきのう開幕した。三が日が明けて早々、異例に早い召集となった。夏に参院選がある。安倍政権はその後、憲法改正の国会発議を視野に入れている。異例の早期召集は、そのための布石でもある。この時期の召集なら、衆参同日選も可能だ。実際に踏み切るかはさておき、同日選の選択肢を手にするだけで野党を分断しやすくなる。安倍首相はきのうの年頭会見で抱負を語り、1億総活躍社会づくりなどを強調した。だが、額面通りには受け取れない。選挙前は経済最優先と言いながら、選挙に勝てば、自らこだわる政策を数の力で押し通す――。選挙至上主義とも言えるそうした政治手法が、安倍政権では際立つからだ。2013年の参院選後の特定秘密保護法のときも、14年の総選挙後の安保法制のときも、そうだった。次は憲法改正を持ち出すだろう、というのが与野党一致した見方である。野党がバラバラなままでは、今の政治に危惧を抱く民意は行き場を見いだせない。そして何より、幅広い国民の思いや不安と共感しながら、連帯をはかることである。今回の参院選から18歳選挙権が認められる。今だけでなく、彼らが生きて行く未来を見すえた論戦をしなければならない、としている。

毎日新聞・社説
国会開会 「安倍政治」の総点検を

第190通常国会が開会した。論戦の推移は夏の参院選の対決構図に影響する。安全保障関連法が成立した国会が昨年9月に閉幕してから約3カ月ぶりの開会だけに、議論すべき課題が山積している。第2次安倍内閣の発足から3年を経た「安倍政治」を総点検する場として位置づけたい。首相はまた「国内総生産(GDP)600兆円」など「新三本の矢」について目標となる「的」だと説明した。ならば、強い経済などを実現する「矢」は何かを語るべきだ。消費税の軽減税率導入に伴う1兆円の財源対策や、政府が今国会で承認を目指すTPPの合意内容も一層の説明が求められる。東日本大震災の発生から5年となるのを控え、なお18万人以上が避難生活を強いられている。復興の進め方も集中的に議論すべきだ。参院選では憲法改正の発議を可能とする多数が参院で形成されるかが大きな焦点となる。首相は改憲について「これまで同様、参院選でもしっかり訴える」と語った。国会では党首討論などの機会を積極的に活用し、憲法観など骨太な議論を展開してもらいたい、としている。

読売新聞・社説
安倍政権4年目 安定基盤を課題克服に生かせ

政権復帰後の安倍政権が4年目に入った。最近では、約5年半続いた小泉政権に次ぐ長さだ。デフレ脱却と財政再建の両立、地方創生や「1億総活躍社会」の実現、地球儀俯瞰外交と積極的平和主義の具体化――。安定した長期政権の利点を生かし、こうした重要な政策課題を前進させるべきだ。「強い経済」の実現は、社会保障、教育、外交・防衛など、あらゆる政策展開の基盤となる。それには、両予算案やTPP関連法案の早期成立が欠かせない。安倍首相は、数の力に驕らず、謙虚な国会運営と国民への丁寧な説明を心掛けねばなるまい。首相は、憲法改正について「参院選でしっかりと訴える。同時に国民的議論を深めたい」と語った。大切なのは各論の議論である。改正には、衆参両院の3分の2以上の賛成による発議に加え、国民の過半数の賛成を要する。国の在り方にかかわる重要な問題だけに、与党は、民主党も含めた幅広い政党の合意を目指すべきだ、としている。

国会がいまはじまったのは、昨年に怠慢だったから。選挙を見込んだ党略を優先させたから。増税を目指す庄町と利害が一致したから。そんなところだ。18歳の方々には、この大人の不真面目な思考回路を伝えていきたい。政治家も、メディアも、自らの利益のためにしか行動していない。だから多数派の高齢者層の票を獲たいと目論んでいる。少数派の若い世代がすべきことはただひとつ。投票率を上げることだ。私なら、本当のことをいっている人を選ぶ。残念ながら、そういう人物は皆無に等しいが。
3紙が気にしている憲法改正は、なし崩しのはじまりという点では注目に値する。私は、秘密法、内閣の憲法解釈変更、安保法制強硬と3つつづいた安倍政権の横暴の中で、もっともひどいのは内閣の憲法解釈だと思う。それはなし崩しのはじまりであり、政治の暴走を許すきっかけになったからだ。他のふたつは、ひどいとはいえ、議員を選んだのは私たち自身。その人たちの多数決で決めた手続き自体は、どこにも問題はない。選んだ私たちがバカだったのだ。であれば、もう許せないと思うだけで与党を回避する投票も十分にあり得る選択肢だ。日本人らしい後ろ向きな手法だが、それでも私はねじれた方がいいと思う。せめて参議院は、いまの与党に勝たせたくない。
未だに、安倍氏は一度も経済最優先、成長戦略の具体的な策を語ったことはない。チャッチフレーズだけの政策、ラッキーで手にしたオリンピックと日銀の財政ファイナンス、経団連への圧力めいた要請…胎動さえ見えた気がしない。
野党には、政権批判よりは代案を期待する。それがもっとも選挙で勝てる策になるのではないだろうか?

Financial Times
欧州の多重危機は偶然の産物ではない (2016.1.4)

2010年代の後半に入った今、欧州連合(EU)が3本の断層線に沿って分裂しつつある。1本目は、裕福な北と債務を抱えた南を分けている。2本目は欧州統合に懐疑的な周縁国と欧州統合を支持する中心国を隔てている。3本目の断層線は社会的にリベラルな西と独裁色を強める東の間に走っている。これは分裂と崩壊の現場だ。EUには、ひどい妥協と、順境に向いた構造に傾く生得的な傾向があるのだ。この問題が従来よりずっと多くの人にとって明白になったことを除くと、昨年、根本的なことは何一つ変わっていない。大きな変化は、政治家と外交官よりも、英国で近く行われるような国民投票を通じて有権者から直接強いられる可能性の方が高い。EUのプロセスには、唐突な方向転換を避ける傾向がある。各国の首都からの圧力が強すぎるようになったときに初めて、物事が崩れるのだ。経済的な分断に加え、欧州は政治的に東西に割れている。ハンガリーとポーランドはともに、欧州統合に懐疑的な右派政権を選出した。両国とも、司法の独立性と報道の自由を抑制した。筆者はしばらく前から、EU拡大は謳われていたような大きな歴史的チャンスではなく、歴史的なミスだと考えている。拡大は欧州の分裂を増大させ、EUを機能不全に陥らせた。だから筆者は分断と断裂を、避けるべき脅威ではなく、つかむべきチャンスと見なしている。2016年に関する筆者の予想は、さらなる断裂が生じるということ。筆者の希望は、それが賢明に成し遂げられるということだ。

少し難解で、筆者自身がEU以前に分裂している気もするが…分裂はチャンス。ひとつの意見として興味深い。それくらい追いつめられてしまった、どこかひとつくらいは壊れてしまうほどの数々の困難の中にヨーロッパはいるということだろう。多重骨折の上に、精神も肉体も病んでしまったかのようなヨーロッパの困難は、破滅的な財政赤字に喘ぐ日本よりも悩ましいように見える。
それでも、私はひとつずつ解決していくのが近道だと思う。小さな解決、微かな成功が、次の成功を導くきっかけになる。小さな分断を、あきらめるように認めるくらいなら、わずかでも成功した問題解決の策を称賛して、次に進んだ方がいいのではないだろうか?

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