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2472.報道比較2015.12.31

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Public Domain, Photo by Marc Cooper via flickr

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産経と読売は、大晦日の雰囲気さえ感じさせない現実的な社説。朝日と毎日はあきらめたかのような叙情的な社説。どちらも心に響かない。奇妙な大晦日だ。

朝日新聞・社説
2015―2016 深くねむるために

2015年が終わる。眠りの浅い、1年だった。8月に閣議決定された、戦後70年の安倍首相談話は、とても巧く書かれていた。「植民地支配」「侵略」「痛切な反省」「心からのおわび」。焦点だったキーワードはすべて盛り込み、結果、中国や韓国の反応は抑制的だった。あれから4カ月。いま、あの談話から最も強く伝わってきたことは何かと問われたら、どう答える人が多いだろう。言葉とは不思議なものだ。思いに裏打ちされていなければ、ほどなく雲散霧消する。
深くねむるために 世界は あり/ねむりの深さが 世界の意味だ(「かたつむり」)7月に没した哲学者の鶴見俊輔さんは、こんな詩を残した。
 あなたが、私たちが、深く眠るために。世界がそうあるためには――。答えは出ないかもしれない。それでも、考え続けるしかない。私たちはこの世界に関わっているから。いや応もなく、どうしようもなく、としている。

大晦日にスルーは失礼かと思うが、これではコメントしようがない。朝日は報道から芸術に転身だろうか?本質を完全に見失っている。報道がすべきことは取材であり、飾りなく事実を、迅速に伝えることだ。自らの言葉を使わず、他人の哲学者の言葉を借りて何を言いたいのか。まったく伝わってこない。ひとつでも多く取材に走るべきだ。これで政府に対抗しようとは、無理にも程がある。

毎日新聞・社説
戦後70年が終わる 過去と穏やかな対話を

惨禍を極めた大戦の終結から70年という節目の年が間もなく暮れる。日中韓では摩擦が絶えなかった。それでも年末に日韓がたどり着いた合意は、対立を乗り越えようとする両国の強い意思を示した。負の連鎖を防ぐ上で重要な一歩だ。節目の年を過ぎても歴史問題はくすぶり続けるだろう。中国が対日政策を修正したとしても、歴史カードを手放すとは考えられない。日本の外交当局は中国が旧日本軍731部隊の世界遺産登録を目指すのではないかと警戒している。日本が過去の過ちに謙虚であることは「自虐」でも何でもない。むしろ、勇気を持って直視する姿勢こそが日本の道義性を高め、国際社会での立場を強くする。その先に東アジアの和解があると確信する、としている。

毎日も朝日に似て、どこか後ろ向きだ。難しい言葉を使って、言いたいことをごまかし、隠しているかのようだ。シンプルに言いたいことを言ったらどうだろう?それほど、いまの政権に対抗する意見が言いにくいのだろうか?

読売新聞・社説
中国大気汚染 環境改善を遅らせる強権統治

中国各地が深刻な大気汚染に見舞われている。北京市当局は今月、2度にわたって、最悪レベルの汚染を示す「赤色警報」を発令した。北京の一部地域では、直径2・5マイクロ・メートル以下の微小粒子状物質(PM2・5)の濃度が1立方メートルあたり日本の環境基準の20倍に相当する700マイクロ・グラムを超えた。大気汚染悪化の原因は、石炭を燃やす際に生じる煤煙や低品質のガソリンを使った自動車の排ガスなどだ。改善には、長期的で粘り強い取り組みが欠かせない。習政権は2020年までに、いくらかゆとりのある「小康社会」の構築を目標に掲げている。実現には、国民の生活水準の向上は無論、環境対策の徹底が急務だ。中国の大気汚染は日本にとってもひとごとではない。PM2・5などが偏西風に乗って飛来している。日本は環境協力を進める一方、中国が対応に本腰を入れるよう促し続けねばならない、としている。

大晦日に言う話なのだろうか?今年の総括はまったくしないようだ。読売は、ひきつづき中国へは対抗意識で挑むつもりのようだ。時代錯誤と気づくのはいつだろうか?季節感、時世、世界観…どこをとっても感覚がずれている気がする。これが世界最大の部数の新聞の姿とは哀しい。

産経新聞・社説
共産党と開会式 打算的な擬態に過ぎない

天皇陛下をお迎えして行う国会の開会式への出席を拒否してきた共産党が、新年の通常国会から出席に転じるという。志位和夫委員長は、党綱領で掲げる日米安全保障条約の廃棄や自衛隊解消といった従来の政策を凍結する考えもこれまでに示している。他の野党との「国民連合政府」への呼び水とするためだ。だが、これは党への拒否反応を薄める擬態としか思えない。志位氏は「特別に高い玉座が設けられ『お言葉』を賜る形式は、憲法の主権在民の原則と精神に反する」と、開会式の変更を求めていく考えも示している。とても納得できるものではない。共産党は、防衛力の整備や米軍基地に反対する非現実的な政策を掲げてきた。反省の色もない。野党連携の決め手が他にないからといって、民主党などは本気で、実質的な政策の転換を示さない共産党と手を組むのか、としている。

この様子だと、共産党がうまく社会のニーズをくみ取って変われれば、私は共産党に傾けることも可能に見える。産経のような古い価値観の組織は変異についていけそうもない。むしろそれは共産党にとって都合がいいはずだ。若い世代は、共産党の過去など関係ない。見えない未来の方がよほど問題だ。共産党がアメリカのトランプ氏ほどの冒険も無謀さも持っていないことを考えれば、安全な変容だ。変化に拒絶感を持つ産経の態度こそ、むしろ古いと感じられる。志位氏はこのチャンスをうまく利用できるだろうか。

日本経済新聞・社説
株価が映す世界経済のリスクに備えよ

東京証券取引所で2015年の最後の株式取引が30日に行われた。日本経済の体温計といえる日経平均株価は1万9033円71銭で取引を終了した。14年末に比べ1582円94銭高い水準だ。日経平均の暦年ベースでの上昇は4年続けてのことだ。これはバブル崩壊後では03~06年に並ぶ最長の期間だ。株価が示唆する日本経済の先行きは決して悲観すべきものではない。とはいえ、今年は世界経済の様々なリスクを映し、日経平均が乱高下をくり返す場面も多かった。日本の政府と企業が警戒を怠るわけにはいかない。世界経済は不透明感を増しながら越年する。12月に米連邦準備理事会(FRB)が実施した利上げが新興国の経済や投資資金の流れにどんな影響を与えるか、まだ見通しにくい部分が多い。さらに、パリなどで発生したテロや欧州の難民危機は世界各地で政治的な緊張を生み、グローバルな金融市場に深い影を落としている。政府は規制改革で起業しやすい環境を整えるなど、経済の新陳代謝や潜在成長率の引き上げにつながる施策を急ぐべきだ。安倍晋三首相にはいま一度、経済最優先の姿勢を示してほしい。業績が過去最高の水準にある企業は、豊富な資金を抱え込むことなく投資の機会を探る必要がある。持続的な成長を可能とする基盤固めを進めるべきだ、としている。

いま上昇した株価の理由を明確に説明できるだろうか?円安。金融緩和。それだけだ。イノベーションを起こした企業は?新たに生まれた産業は?成長した業界は?すべてに答えがない。円の価値が下がった分だけ、株価が上がったように見えるだけ。何ひとつ経済は成長していない。すでに海外投資家も気づいている。本質的な成長を、日本経済は全体に忘れてしまっている気がする。地道さを追求したい。

人民網日本語版
日韓が慰安婦問題で合意 歴史問題を避けては通れない日本 (2015.12.30)

日韓両国は12月28日、慰安婦問題で合意に達したことを発表した。これは、両国の慰安婦問題の外交上の解決が重大な進展を得たことを意味し、日韓関係ないしは北東アジアの情勢発展に重要な影響をもたらす可能性がある。日韓両国の慰安婦問題解決に向けた合意は「包括的解決」であり、以下の4つの内容が含まれる。
(1)安倍氏が首相として謝罪と反省を表明する。
(2)元慰安婦支援のため、韓国政府が設立する財団に日本政府が10億円の資金を拠出する。
(3)両国は国連を含む国際社会で互いへの批判、非難を控える。
(4)韓国は民間組織が在ソウル日本大使館前に設置した慰安婦問題を象徴する少女像を撤去する。
現在、中日・日韓関係はいずれも改善に向けて進んでおり、中日韓3か国協力も全面的に回復した。再び事実で証明されたように、日本が歴史問題で積極的な態度と歩みを見せさえすれば、国際関係にプラスの影響が生じる。北東アジア地域の平和と安定のため、日本が歴史問題において一歩進んでは二歩後退を繰り返さないことを望む、としている。

日韓関係では、中国、韓国はうまく立ち回ったということだろうか?中国は後ろで糸を引いていなければ、無関係。遠くから好きなように振る舞える。横綱相撲の振る舞いだ。大国らしさが漂ってきた。日本は本気で対処を考えなければ、韓国のようにはあしらえないだろう。
韓国は?この件を主導したのは韓国と見えているだけでも、十分に価値があるのではないだろうか。日本も失ったものは10億だけ。安倍氏のシンパには弱腰との批判もあるようだが、支持率は上がるのではないだろうか。仲直りして失うものもないなら、怒る理由はないように思える。だが、何か意図があったようには見えない。短絡的に、追い込まれて動いたよう見えるのは気のせいではないだろう。日本が助け船を出したのでも、追いつめて動かしたのでもない。薄っぺらで、行き当たりばったりだなあ…という印象が、間違っていることを願っている。安倍政権になったら、民主党の素人集団よりはましかと思っていたが、なんのことはない。大差ない。もし支持率が下がったら、その失望感ゆえだろう。

Wall Street Journal
ドローンが変える米空軍の文化、下士官も操縦士に (2015.12.29)

ここ数年、米空軍ではドローン(無人機)需要の高まりを受け、「パイロット文化」が変化を余儀なくされている。航空機のコックピットではなく、砂漠に配備されたハイテクトレーラーの中から遠隔操作でドローンを操縦するパイロットが増えている。中東の過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭をはじめとする様々な脅威を背景に、ドローンとそのISR(情報、監視、偵察)活動への必要性が一貫して増すなかで、米空軍はさらなる文化的変革に乗り出した。一部のドローンを対象に、将校(士官)だけでなく、下士官にも操縦を初めて認めることにしたのだ。士官たちの多くはF-15 やF-16、もしくはより新しい戦闘機の操縦を夢に描いて空軍に入隊する。だが、イラクやアフガニスタンの戦争に加え、北アフリカやさらに遠くの東南アジアでの作戦により、ドローン操縦員の需要が大幅に高まった。こうした土地への地上部隊の派遣があったとしても非常に少なくなるなか、ドローンの必要性は高まるばかりだった。今や軍の司令官のほぼ全員が、ドローンの能力向上が不可欠だと口をそろえる、としている。

戦争もITとともに様相を変えつつある。年末にFin Techと、また新しい言葉で騒ぎはじめたが、ようやくITの変化が、日常に直接インパクトを与えやすくなったようだ。リアルの中に虚構が増え、バーチャルとの境界がエンジニアリングにとって最も挑戦しがいのある場所になる。そこに世の仕事の大半が集約されていくだろう。次はどのフィールドをITが覆っていくだろう?

Financial Times
日本のイノベーションに光を当てたパイオニア (2015.12.29)

今から20年以上前、青色発光ダイオード(LED)の試作品ができあがったその瞬間から、中村修二氏はこの発明が世界を変えることになると分かっていた。2014年にはこの発明によりノーベル賞を受賞したが、青色LEDが日本の産業界に強烈なインパクトを与えることや、今日でも語り草になる訴訟が行われることまでは予想していなかった。強くてエネルギー効率も高い種類の光を完璧に作り上げたものの、それを産み落とした日本の産業システムに激しく跳ね返ることになるとは思いもしなかったのだ。
 青色LEDの特徴は、長年追い求められてきた青・赤・緑の3色がそろい、従来型の白熱灯の数分の一の電力で白色光を作り出せるところにある。中村教授は日本企業における英語力不足を指摘する。世界がLiFiと青色LEDの次の、もしかしたら最も重要な役割に関する世界標準の制定に着手する中、半導体、テレビ、携帯電話についてグローバルに考えられなかった過去の失敗が間もなく繰り返されようとしているという。「日本企業の経営者はそこに座って、自分たちは最高の製品を作れると言うが、我々は標準化の交渉に参加できない。そうした議論にはネイティブの英語が必要で、友人を作らないといけない。それが標準化の最も基本的な部分だ」と中村氏は言う。「そのせいで、彼らはLiFiとLED照明市場を失うだろう」としている。

年末年始に学ぶには、もっともよいトピックをFinancial Timesが届けてくれた。私が普段に日本の経済界に感じる不満と、ほぼ一致する。もちろん私は中村氏ほどの才能も持っていないが、アスリートも、アーティストも、ITのエンジニアやホテルのサービスマンでさえ、日本を捨てて海外を目指す。理由はすべて、中村氏と同様のストレスだ。強欲なのではなく、うまくいった時はしっかり分け前と名声をシェアしたいと思っているだけだ。なぜか?失敗した時のリスクを企業が守ってくれるならいい。その意志はないだろう?終身雇用の時代なら、そのトレード・オフが成立していたのかもしれないが、いまや執拗な手を使って敗北者を追い出す。それはフェアではない。
日本の企業に警告しておきたいのは、これはアメリカだけの話ではないということだ。日本だけがおかしい。中国も、韓国も、アジアでさえこのルールは通用する。なぜ韓国や中国の企業が日本人をヘッドハンティングできたのか考えた方がいい。カネに目がくらむと表現するのは自由だ。だが、どうあがいても人材は流出する。もはや活躍のための場さえ提供する能力さえない。なぜ国家や企業という組織体になると、日本はここまで横暴になれるのだろう?
いま、どこにマネーが滞留しているだろう?すべて企業だ。国家が傾いた時、接収のような税でこのマネーを国は収奪するだろう。おそらく無抵抗に提供する。もし、才能ある人たちがこの資産を手にしていたら、どれだけの未来があっただろう?少なくとも、中村氏のような人材には効果があったはずだ。無名の、数々の人たちが、そうして活躍していれば、日本にどれだけの雇用やイノベーションが生まれただろう。日本の問題は、ここにある。マネジメントがない。ストラテジーがない。プランがない。未来を観る人は、やはりこの国を捨てた方がいいと思う。それは才能の問題ではない。無能なマネジメントに未来を託せば、船は沈む。

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