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2389.報道比較2015.10.14

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沖縄の心を理解した社説を書いたのは日経のみ。この理解のなさが、沖縄が抱く哀しさの核心だろう。

朝日新聞・社説
辺野古移設 沖縄の苦悩に向き合え

沖縄県の翁長雄志知事がきのう、米軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した。これに対し、政府は直ちに行政不服審査請求などを行う方針だ。政府と県が行政手続き上、司法上の対抗策を打ち合うなかで、民意に反した基地建設が進む。そんな異常事態は、何としても避けなければならない。政府は埋め立ての法的根拠を失った以上、計画は白紙に戻し改めて県と話し合うべきだ。翁長知事は先月、ジュネーブでの国連人権理事会の演説で、「沖縄の人々は自己決定権や人権がないがしろにされている」と訴えた。基地問題を人権問題ととらえての主張である。政府に求められるのは、沖縄の苦悩を理解し、人権や自己決定権に十分配慮する姿勢だ。まず計画を白紙に戻すことが、そのための第一歩になる、としている。

産経新聞・社説
承認取り消し 知事の職責放棄するのか

米軍普天間飛行場の移設をめぐり、沖縄県の翁長雄志知事は、前知事による名護市辺野古沖の埋め立て承認に「瑕疵がある」として、正式に承認を取り消した。翁長氏には知事の職責として国益を十分に認識し、県民の平和と安全を守る義務がある。現実的な判断を求めたい。翁長氏は9月、国連人権理事会で演説し、沖縄の「人権」や「自己決定権」を訴え、辺野古移設反対を唱えた。日本の防衛にかかわるテーマだけに、国内の混乱を対外的に印象づけるような手法は国益を損なう行為といえた。翁長氏は13日の会見でも、「広く米国や国際社会に訴える中で解決できればよい」とし、「地方自治や民主主義のあり方を議論する機会を提示できればと思う」とも述べた。首長として、手段や目的をはき違えてはいないか、としている。

日本経済新聞・社説
沖縄の基地のあり方にもっと目を向けよ

普天間基地は沖縄県宜野湾市の市街地にある。11年前、米軍のヘリコプターが大学キャンパスに墜落する事故があった。住民は常に危険と隣り合わせで暮らす。同基地を人口が比較的少ない同県名護市辺野古に移すという政府の方針は妥当である。他方、沖縄県の翁長雄志知事は県外移設を求め、前知事が下した移設先の埋め立て許可を取り消した。「沖縄に集中する基地負担が固定化する」との判断だ。米軍基地を全廃すべきだと考える沖縄県民はさほど多くない。県民の怒りの矛先は、基地が沖縄に偏りすぎているといくら言っても、全く振り向かない本土の無関心に向いている。沖縄にある米軍基地の中には本土にあって差し支えのない施設が少なくない。だが、本土に移すとなると相当な反対運動を覚悟せざるを得ないため、米統治時代のままの体制がおおむね維持されてきた。政府は沖縄の基地負担の軽減にもっと努める必要がある。本土のわがままで沖縄がひどい目にあっている。県民がそう思っている限り、たとえ最高裁が名護市への移設にお墨付きを与えても摩擦はなくならない。移設を円滑に進めるのに必要なのは、本土側の真摯な取り組みである、としている。

毎日新聞・社説
辺野古取り消し やむを得ない知事判断

沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設計画をめぐり、翁長雄志知事が移設先の名護市辺野古の埋め立て承認を取り消した。国と県の対立は決定的となり、最終的に法廷闘争に持ち込まれる可能性が高まった。異常な事態であり、残念だ。翁長氏は、記者会見で、今夏の1カ月間の政府と県の集中協議などを振り返って「内閣の姿勢として、沖縄県民に寄り添って問題を解決していきたいというものが薄い」と政府への不満を語った。政府は対抗措置として、行政不服審査法に基づき国土交通相に対し不服審査請求をする予定だ。あわせて取り消し処分の一時執行停止も申し立てる。執行停止が認められれば、政府はボーリング調査を再開し、来月にも本格工事に着手する構えだ。翁長氏が知事に就任して10カ月。この間、安倍政権は辺野古移設計画を進めるにあたり、県の意向をくみ取ろうとする姿勢に乏しかった。一時期は、翁長氏と会おうともしなかった。政府が今すべきは、強引に辺野古移設を進めることではなく、移設作業を中止し、これらの疑問にきちんと答えることではないだろうか、としている。

読売新聞・社説
辺野古取り消し 翁長氏は政府との対立煽るな

米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、沖縄県の翁長雄志知事が、仲井真弘多前知事の埋め立て承認について「法的瑕疵がある」と強弁し、取り消しを決めた。辺野古移設は、日米両政府と地元自治体が長年の検討の末、唯一の現実的な選択肢と結論づけられたものだ。翁長氏は、代案を一切示さない頑なな姿勢でいる。菅官房長官が「関係者が重ねてきた、普天間飛行場の危険性除去に向けた努力を無視するもの」と翁長氏を批判したのは当然だ。疑問なのは、翁長氏が先月下旬、国連人権理事会で「沖縄の自己決定権や人権がないがしろにされている」などと訴えたことだ。違和感を禁じ得ない。沖縄の「先住民性」や、独裁国家の人権抑圧を連想させ、国際社会に誤ったメッセージを送る恐れがある。沖縄は「辺野古反対」で一色ではない。翁長氏が政府との対立を煽るだけでは、普天間飛行場の移設が遠のくうえ、米海兵隊グアム移転なども頓挫しかねない、としている。

日経が冷静で適切な社説を書いている。なぜ沖縄が辺野古取り消しに一枚板になれないか。今ある基地が普天間だからだ。その移設先を内地にして欲しいと思いながらも、そう主張するのに遠慮があるからだ。そういう配慮が、政府と本土にはない。このギャップを人権というなら、翁長氏の主張は世界各国で受け止められるだろう。世界中に軍事施設はある。その受け入れは常に反対運動が起きやすい。ただ、戦略的な理由で偏るなら判るが、過去の遺物として偏りがあるのは日本くらいではないだろうか。日経はそこを適切に指摘している。他の新聞は、政治闘争と是非論に終始。いつもの日本の議論できない体質が鮮明になっている。情けない。
この状況を、アメリカと中国が見ていると認識すべきだ。どちらも、利害によっては沖縄に手を差し伸べるだろう。いまの日本政府に、それを止められるだけの価値も力も感じられない。

人民網日本語版
安倍内閣の改造、大きな効果は期待できず (2015.10.13)

日本の安倍晋三首相は7日、新たな内閣改造を行ったが、今回の改造は「見どころ」を欠いたものなった。要職である内閣官房長官や外相、財務相、防衛相などはいずれも留任され、あまり重要でないポストだけが入れ替えられた。日本メディアの論評にもある通り、今回の安倍内閣改造は、来年夏の参議院選挙に向けた政権安定化に重点を置いたものと考えられる。安倍政権が内閣改造を行ったのは、9月の国会における安保関連法案の強行採決で民意が深刻に損なわれ、庶民の間で安保法案に反対する風潮が拡大していたためと考える。安倍内閣の支持率は低下し、長期政権をねらう安倍首相に打撃を与え、安倍内閣はこれに対する警戒を高めていた。安保法案が採択されまもなく実施される状況で、安倍首相は右傾化した保守的な間違った歴史認識を掲げ続け、日本を軍事大国にするという理想の実現を進めている。改造後の安倍内閣は、一部の根強い右翼思想を持った政治家を留任・重用している。このような右翼の大臣が集まって運営する内閣に、日本外交に良い結果をもたらすことが期待できるだろうか、としている。

昨日に引きつづき、的を得た内容。文中に日本の新聞を分析したことも書かれており、誠実さも見える。日本の社説担当者は、果たして中国の新聞に目を通しているだろうか?
安倍氏の今後には、私は人民網と同意見だ。何度も書いているが、民主党政権末期と同様の感覚だ。もう懲り懲り。すぐにでも消えて欲しい。これならねじれて前に進まない方がいいと思えるほど、安倍氏が付けた道筋に私は違和感を覚える。

Wall Street Journal
米二大政党、「異常性」は変貌の証し 25年で支持層が一変 (2015.10.13)

米国の民主・共和両党はなぜ、本来の各党らしい振る舞いができないのだろうか。秩序立った継承を標榜しているはずの共和党は、来年の大統領選挙に向けた指名候補選びでは不動産王ドナルド・トランプ氏と元脳神経外科のベン・カーソン氏に入れ込んでいる上、下院議長の後継者選びでは論理的な選択肢を選ぼうとしない。一方の民主党はヒラリー・クリントン前国務長官を計画通り「王位」に就かせることを拒否し、代わりに無所属で同党の指名を目指しているバーニー・サンダース上院議員の選挙活動に群がっている。だが実は、こうした常軌を逸した行動には説明がつく。民主・共和両党ともかつての面影はなく、私たちの多くが依然として思い描くような党ではなくなっているのだ。各党の支持層は人口統計学的、地理的、イデオロギー的に、ひと世代の間に大きく変化した。この観点から見ると、私たちが今見ている各党の行動は常軌を逸しているわけでは全くない。共和党は以前より保守化、低所得化、高齢化し、南部色が強くなってきている。それを考えると、ウォール街との関係が深いエスタブリッシュメント(主流派・支配層)とみなされるものや、ジェラルド・フォード元大統領に体現されるような礼儀正しい穏健的な保守主義に背を向けるのはごく自然なことだ。一方の民主党は以前よりリベラル化、低年齢化し、より都会的で人口統計学的に多様化し、東西両海岸の裕福なアクティビスト層が以前よりも増えている。かつてビル・クリントン氏をホワイトハウスに送る後押しをした南部州の中道から保守寄りの民主党支持者に、ヒラリー氏はもう頼ることはできない。このようなレンズを通して見ると、バーニー・サンダース氏の演説を聞きに大学生が大挙して集まる構図にもより納得がいく、としている。

大統領選挙が徐々に盛り上がりを見せはじめたようだ。政党を選べば価値観が判る時代は、世界中で時代遅れになりはじめている。日本でも共産党さえその所長の根幹に変化が見られ、野党で一大勢力になりつつある。アメリカも民主党だから、共和党だから、という固定観念は捨てた方が良さそうだ。この状況が世界に広まることも大いに予想できる。そうなると、政党の意味が薄らぎ、必要性さえ揺らぐだろう。大事なのは政策であり、そのためのタスクフォース、プロジェクトという発想で政治が動く時代も来るのではないだろうか?その先には、国家自体が意味をなさず、流動化する時代が来るのかもしれない。すでに経済は国家以上に重要で、国家が制御できる域を超えた。人が生きて行く上で、国に求める役割や価値がますます見えなくなっている。

Financial Times
デルがEMC買収、「裏口IPO」で再上場へ (2015.10.14)

ストレージ(外部記憶装置)大手EMCを637億ドルで買収するという提案がもし成功すれば、デル氏はハイテク業界史上最も大胆な部類に入るフィナンシャルエンジニアリングを見事にやってのけたことになる。デル氏はこれで、多額の債務と、少なくとも上場企業3社の経営権を手にすることになる。そして、1つ、意外な展開がある。デル氏は業界史上最大の買収案件を成功させるために、この計画に詳しい人物が「裏口IPO(新規株式公開)」と呼ぶ手法を通じて自分の会社全体を再上場することを提案しているのだ。デル氏は12日、公開市場の外で非常に大きなIT企業を構築する自身の計画を後押しする今回の買収を発表した際、ウォール街に対して以前ほど対立的な発言をしなかった。「上場企業であること、あるいは非上場企業であることに何も問題はないが、我々は非上場でいるだけの経営資源を持っている」。デル氏はこう語り、非上場でいる方がずっと柔軟性が高いと付け加えた。デル氏が計画している新しいハイブリッド型の企業構造を考えると、彼はウォール街に完全に背を向けるわけではなさそうだ、としている。

マイケル・デル氏の経営を見るたびに、スティーブ・ジョブズ氏を思い出す。瀕死のAppleにジョブズ氏が戻った時、Appleの復活を否定したのがデル氏だった。Appleとジョブズ氏は、あまりにドラマティック過ぎるかもしれないが、デル氏のような経営では、世界がここまで変わることも、楽しくなることもなかっただろう。さて…日本の経営者はどちらに近いだろうか?あなたの発想はどちらに近いだろうか?どちらが正しい、間違いではない。ただ、マネーよりハッピーを。打算より信念を。そうすることが困難だとしても、その方がすてきだと思わないだろうか?

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