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2385.報道比較2015.10.10

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海外3紙の話題が南シナ海で一致した。日本は何回目の秋の連休だろう?また散漫だ。置いていかれている印象は否めない。

Financial Times
米海軍、南シナ海での中国の領有権主張に対抗へ (2015.10.9)

米国が南シナ海に軍艦を派遣し、中国の人工島の近くで航行させる態勢を整えている。この島の一帯を自国の領土・領海だとする中国の主張を米国は認めないというシグナルを送るためだ。南シナ海における中国の活動はここ数年、強引さを増している。米国は南シナ海での中国海軍の行動について、世界の貿易量の30%が通過する海域で航行の自由が脅かされていると主張している。中国は過去2年間で海洋活動を拡充しており、太平洋での戦力投射能力を強化するため、埋め立てによって数千エーカーの土地を滑走路などの軍事施設用に造成してきた。先月の習氏との共同記者会見でオバマ氏は、「係争区域の埋め立て、施設建設、および軍事化への重大な懸念」を表明したと述べ、米国は「国際法で許されるあらゆる地域での航行、飛行、および活動を継続する」と強調した。米太平洋艦隊司令官のスコット・スウィフト海軍大将は10月初旬、訪問先のオーストラリアで「公海航行の自由とは、争奪の対象であり・・・国内法や国際法の解釈変更で定義し直すことができるものだと思っている国がある」と発言し、中国を間接的に批判した。「この地域の一部の国々は、自分たちの排他的経済水域(EEZ)で過剰な警告を発したり公海航行の自由を制限したりし続けており、UNCLOS(国連海洋法条約)に沿っていない領海権を主張している」。スウィフト大将はこう述べた。「この傾向は、係争中の海域で特に甚だしい」、としている。

Wall Street Journal
中国の人工島12カイリ内哨戒で試される米国の本気度 (2015.10.9)

米高官が今週、南シナ海スプラトリー(南沙)諸島に中国が造成した人工島の12カイリ(約22キロ)以内で、米海軍が近く「航行の自由」作戦を実施するとの情報を漏らした。これが本当なら、米政権がようやく、中国の根拠のない遠洋での領有権主張に立ち向かう気になったということかもしれない。中国の人工島建設は少なくとも2013年から始まっており、フィリピンが昨年、ジョンソン南礁に中国が軍事施設を建設している証拠を公開した。中国は、航空機や船舶を警告で追い払い、人工島周辺の空と海の主権を違法に主張している。米国が近く艦隊を配備するのであれば、これを機に中国の主張に粘り強く対抗していくべきだ。米国は東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国が主導する「行動規範」に期待をかけすぎている。ASEANは常に中国に操られ、妨害されている。それよりも米国が取るべき手段は、日本やフィリピン、オーストラリア、シンガポール、ベトナムなどの意欲的なパートナーと合同で海上哨戒を開始することだ、としている。

人民網日本語版
南中国海問題、中米は建設的意思疎通を保つべき (2015.10.9)

中米両国首脳がワシントンで会談した。中国の習近平国家主席は共同記者会見で、中米双方は南中国海問題で多くの利益を共有すると指摘した。米軍の一部、例えば太平洋艦隊のスコット・スウィフト司令官はこのほどシドニーで行われた海軍会議で「中国による(南中国海)での島造成やアジアの海における脅迫行為が懲罰を受けないことはあり得ない」と非「建設的」に表明した。極めて強い憂患意識を持つ米国が将来に対して事前策を講じるのは理解できる。だが他国が米国の最盛期の覇権行為を模倣しないようにするためには、米国はまず覇権行為を止めるべきだ。米海軍は両国首脳会談の共通認識の精神に基づき、中国側と建設的な対話を真剣に行い、誤解を解消し、相互信頼を強化すべきであり、根拠のない発言をあちこちでまき散らすべきではない。中国は海上での正当な利益を断固として守るが、米国に学んで覇権を唱える意図はない。中国が「海上の脅威」となることはない。真の「海上の脅威」を防ぐ面で中米共に責任があることに鑑み、両大国は建設的な意思疎通を保ち、建設的な対話を行うべきだ、としている。

海外3紙が同じ話題を取り上げたのははじめてだ。それだけアメリカ軍が南シナ海に向かうとのリークは緊張を高めた。人民網から、日本が考えるのとは違う中国の価値観を読み解くのもまたはじめてだ。そこには、西側と呼ばれる国には受け入れがたいが、中国としては筋が通っているとも取れる論理ができ上がっている。ロシアがウクライナに攻め込んだのに比べれば十分通通用する。これを軍の暴走だとする人は、もはやいないだろう。習氏は、最初からこのロジックを持っていた。中国夢には、このロジックも組み込まれている。
東南アジア、日本、頼りにされているアメリカ、次は我が身と捉える豪州は、直接の利害関係者として非難するだろう。だが、縁のないヨーロッパ、中国の応援者になりやすく、安全保障としての利害は少ないアフリカ、南アメリカ、アメリカと対抗する意志の強いロシアや中東はどう思うだろう?人民網の論理をベースに「なぜアメリカが?」と世界が言った時、アメリカが打算で軍を退くことは十分にあり得る。
南シナ海の各国は、自力での対応を余儀なくされる。それは、東シナ海の日本も同様だ。世界をバックにすれば、アメリカをこの紛争から退かせることは可能。なぜなら、彼らは打算で動いているから。これが中国の描く戦略だろう。フィリピンが憂慮するのも判る。
防衛省、外務省という方々が、どんなアクションを政府から要請されているかは判らない。だが、見えてくる行動からは、後手どころか、後を追うことさえできていない現状が気になる。自国の海域に危機が訪れようとするなら、集団的自衛権という、余計な仕事を増やす法に労を費やす時ではなかった。本当の危機を考えるなら、対抗と対話の両方を率先しなければならなかったが、日本はどう見ても情報不足だ。中国の情報がまったく見えていない。意図を持って隠されているとさえ思える。未だ首脳会談を実現できない状況で、中国は周到な準備を整えつつある。アメリカを頼りにするというのが戦略だったというなら、あまりに他力本願で、代償の大き過ぎる安全保障になっているのではないだろうか?
アメリカ国内からでさえ、弱腰なオバマ氏批判は尽きない。シリアを見ても、習氏との会談を見ても、ロシアと中国は明らかにつけ込んでいる。来年までに、中国とロシアは欲しいものを手に入れようと焦るかもしれない。その先、アメリカが巻き戻そうと行動すると、世界がまた荒れる。やはり、日本は動き方を誤っている気がする。

日本経済新聞・社説
総合スーパーは抜本改革で再生めざせ

総合スーパーが経営不振にあえいでいる。大手各社の決算は赤字となり、大規模な店舗閉鎖の計画も相次ぎ表面化した。スーパーの閉店は、立地によっては、日用品の買い物に困る高齢者などの増加につながる。地域のニーズに合わせた再生策を工夫したい。総合スーパーは高度成長期、郊外に住宅地が拡大する中で、駅前などに出店し成長した。衣食住にわたる品ぞろえと安売りで子供のいる家庭を中心に支持された。こうした街でいま急速に高齢化が進む。店づくりも変化が必要だ。赤字を招いた原因のひとつは衣料品など食品以外の分野の不振だ。日用衣料チェーンやホームセンター、ドラッグストアなどが豊富な品ぞろえや手ごろな価格で攻勢をかけた結果といえる。コンビニエンスストアやミニスーパーなど、身近な小型店では飽き足らない消費者は多い。全国一律、安売り、自前主義などの成功体験を捨て、柔軟な売り場づくりで地域の魅力を高めたい、としている。

まず、日経のこの社説に価値を見出す人はゼロだろう。日本を代表する経済紙としてはレベルが低過ぎる。なぜビジネス・ジャーナルが上げるような数字を出せないのか。データはあるが情報になっていない、ということだろう。
ビジネス・ジャーナルの中には、セブンに対して問題の根源をすでに見出している。2009年にも「3年間で30店を閉める」と発表したが、実現したのは19店だけだった。この一文に尽きる。社内を引き締めるつもりの40店閉鎖の発表なら、もう効果はない。鈴木氏は、消費増税にむけて本気の改革をするだろうか?
日本全体も同様だろう。有言実行。できないことを大きく言うくらいなら、できることだけを語る方がいい。

読売新聞・社説
TPP総合対策 農業以外への目配りも大切だ

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意を踏まえ、政府は、全閣僚で構成するTPP総合対策本部を設置した。年内にも、農業強化などの政策大綱を策定する。TPPが発効すると、400を超える農林水産物の関税が順次、引き下げ・撤廃される。安い外国産品の輸入が増え、消費者は恩恵を受ける一方、国内農家に打撃が及ぶのは避けられない。肝心なのは、農業予算を大幅に増やすことではない。農家の生産性を高め、国際競争を勝ち抜く環境を創り出すことだ。農業以外の分野にも目配りが欠かせない。対策本部はTPPをテコに、技術革新の促進や新産業の創出に取り組む方針を掲げた。輸出先のニーズを踏まえた製品開発や、先端技術を応用した競争力の強化に力を入れることが重要だ、としている。

指摘は正しいのだが、具体的な視点はどこにもない。政府もこのレベルの情報でないことを願う。
恐怖を感じるべきは、農業ではなくホワイトカラーなのは事実だろう。保険、IT、サービス…あらゆる産業に障壁が無くなっていく。叡知やイノベーションはアメリカから、安く高度な労働力がアジアから。数年前なら、中間のマネジメント能力を日本が担うと言える余地もあっただろうが、今の現状を見れば期待できる能力は発揮できそうもない。農業が危機感を持っているなら成功の確率は高いだろう。なんの恐怖心もない事業領域には荒波とともにルールが変わる。海外に出ていくチャンスという声が聞こえない時点で、すでに負けている。危機感を持ちたい。

毎日新聞・社説
ノーベル平和賞 中東の和解への弾みに

中東の民主化要求運動「アラブの春」の先駆けとなった北アフリカのチュニジアで、政治対立を調停して解決に導いた4団体からなる国民対話組織に、今年のノーベル平和賞が授与されることになった。今回の授賞が中東各地で続く混乱の収束につながることを願いたい。独裁政権が倒れた後に政権を握ったイスラム政党と、野党の世俗勢力との対立が深刻化し、2013年夏に反政府デモが続いて政治危機に陥った。この時に調停役として尽力したのが今回の授賞対象となった「国民対話カルテット」だ。約70年の歴史を持つ同国最大の労働組合と、企業家組織、弁護士組織、人権組織の4団体が憲法制定や議会選へのロードマップを作成し、政治勢力間の対話による和解を導いた。ノーベル賞委員会は授賞理由で、イスラム勢力と世俗勢力が協力する成功例となったこと、市民組織が和解に重要な役割を果たしたことを挙げ、「中東・北アフリカで平和と民主主義の促進を追求するすべての勢力にとり励みになる」と称賛した。今回の授賞は、こうした問題の根本的な解決には国民が主体となる和解の努力が不可欠だということを改めて指摘した。それを支援する国際社会の努力もまた問われているのは言うまでもない、としている。

チュニジアの現地でもノーベル平和賞受賞を冷めた目で見る人たちが多いようだ。話題のためにやっているのではないだろうが、昨年のパキスタンとインドの活動家に与えた平和賞に比べると、世界の共鳴も少なかった。今回、社説で取り上げる新聞が少なかったことも、その状況を示している。理想より現実。今年ほどそれを感じる年もない。チュニジアからはじまったアフリカや中東の民主化運動の結果、理想に近づいた国の方が少ない。いまは道半ば。そう考えるには、あまりに哀しい状況に陥っている。

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