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2323.報道比較2015.8.18

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GDP速報値をネガティブに捉える社説が多いが、マーケットは意に介さなかった。政治、経済、メディア…あらゆるものが日本は高齢化しているのが原因のようだ。

朝日新聞・社説
マイナス成長―危うい政策目標と想定

内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は3四半期ぶりにマイナス成長となった。物価変動の影響を除いた実質成長率は前期比0.4%減。このペースが1年間続くと想定した年率換算では1.6%減だった。このマイナス成長は何か大きなショックによって引き起こされたものではない。むしろこの間、経済環境は比較的良好だった。企業業績は改善し株価は回復。雇用増の動きも活発だ。訪日観光客の急増で関連産業は潤った。日本銀行は金融緩和を続け、公共事業も高水準だ。世界経済には不安定な動きも確かにあった。欧州ではギリシャ債務問題による混乱があり、中国経済は減速傾向が次第にはっきりしてきた。とはいえ、こうした海外要因は一時的なものではない。しばらくこの不安定な状況が続くと見たほうがいい。ならば、今後輸出が劇的に増えたり、日本を訪れる外国人観光客の需要がさらに飛躍的に盛り上がったりすることは想定しにくく、外需に過大な期待はできない。政府も日銀も、現実を出発点にして、想定する成長率やインフレ率を修正し、経済戦略や金融政策を組み立て直す。そんな必要があることを、今回のマイナス成長は示唆している、としている。

産経新聞・社説
GDPマイナス 消費喚起へ「民」の底力を

4~6月期の実質国内総生産(GDP)が年率換算で1.6%減に落ち込み、3四半期ぶりのマイナス成長となった。消費や輸出、設備投資が振るわなかったためだ。昨年の消費税増税から1年以上がたつのに、景気は期待された力強い回復に向かわず、むしろ停滞感が漂っている。厳しく受け止めるべき現実である。問題は、円安や原油安を追い風とした企業業績の好転とは裏腹に、消費者心理が一向に盛り上がらないことだ。このギャップの解消を急がねばならない。背景には長期デフレで強まった倹約志向がある。非正規雇用の増加や、賃上げの恩恵が及ばない高齢者が増えたのも見逃せない。人口減少時代が本格化すると、国内需要は縮小傾向に向かう。企業には、こうした消費構造の変化を見据えた製品開発や販売戦略の見直し、新規分野への投資などを改めて求めたい。政府は、そのための税制改正や規制緩和などの環境整備に取り組むべきだ。言うまでもなく、円安や原油安などがこのまま続くとは限らない。その前に消費主導の成長軌道を実現させたい。マイナス成長を一時的なものにできなければ、経済再生はおぼつかない、としている。

日本経済新聞・社説
踊り場経済には景気対策でなく改革を

4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%減、年率換算で1.6%減となった。3四半期ぶりのマイナス成長は、日本経済が一時的に停滞する「踊り場」の局面に入ったことを示唆するものだ。マイナス成長の主因は、輸出から輸入を差し引いた外需と、個人消費が落ち込んだことだ。輸出は中国を含むアジア向け、米国向けが振るわず、品目ではスマートフォン向けを含む電子通信機器、建設機械、半導体製造装置などで減少した。問われるべきは、マイナス成長に陥りやすい日本経済の体質だ。今のところ4~6月期の成長率は主要先進国で最低だ。日本経済の実力である潜在成長率は1%にも満たないとされる。成長の天井が低いため、国内外で起きた一時的なショックをうまく吸収できず、GDPが減りやすくなるというもろさを抱える。規制改革で経済の新陳代謝を高めたり、法人実効税率を引き下げる道筋を早期に固めて日本の立地競争力を高めたりする。そんな改革を通じて潜在成長率を高めるのが王道だ。カンフル剤となる景気対策を打つことが答えではない、としている。

毎日新聞・社説
マイナス成長 好循環が見えてこない

4~6月期の実質国内総生産(GDP)が昨年7~9月期以来のマイナス成長に陥った。昨年4月の消費増税の影響が一巡し、景気が回復軌道に乗ってもおかしくないはずだが、足取りは重い。アベノミクスの手詰まり感が強まっている。中国経済の不振による輸出の減少とともに、GDPの6割を占める個人消費の停滞が大きい。4~6月期の個人消費は増税直後の昨年4~6月期以来のマイナスだった。アベノミクスは法人減税など企業重視の成長戦略を優先し、低所得者対策など家計の底上げは後回しにされてきた。そのツケが回っていると言えるのではないか。成長戦略は、日本経済を民間主導の本格的な回復軌道に乗せる狙いのはずだ。だが、企業の好業績が家計に十分還元されなければ、裾野が広く、息の長い成長は望めない。マイナス成長を受けて、与党からは、来年の参院選をにらんだ補正予算の編成圧力が強まりかねない。だが、ばらまきにつながる補正予算は避けるべきだ、としている。

読売新聞・社説
GDPマイナス 景気の停滞を長引かせるな

4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報は、前期比0.4%減、年率1.6%減となった。3四半期ぶりのマイナス成長だ。個人消費と輸出の不振が、主な要因である。本格的な成長実現のカギとなる設備投資も、小幅ながら3期ぶりに減少した。景気は回復が足踏みする「踊り場」に入ったとする見方も出ている。大切なのは、停滞を長引かせないことだ。政府・日銀はリスクを入念に点検し、景気失速の回避に万全を期さねばならない。円安による原材料高で食品などの値上げが続き、賃上げの恩恵は相殺されている。家計が節約志向を強めているのは確かだ。デフレで染みついた弱気から、脱し切れていない面もあろう。過度な悲観は無用だが、政府は消費不振の要因を多角的に分析し、改善策を練る必要がある。企業利益を賃上げに還元し、消費拡大につなげる「好循環経済」を目指す方向は正しい。その実現を確かなものとするため、政府はアベノミクスを深化させる手を間断なく打っていくべきだ、としている。

過去に国内紙の経済アドバイスが相応しかったと思うことは少ない。それを思い出せば、今回の悲観的な社説もマーケットが意に介さないのなら気にしなくていいレベルだ。まだ離陸はしていない。成長軌道にも入っていない。何もしなければ失速するのが日本経済だと認識を新たにすれば、それで良さそうだ。
個人消費を伸ばそうとした場合、人口がすでに高齢化しているのを私たちは認識して対策を考えているだろうか?消費性向は高齢者のニーズに偏る。健康や医療、福祉のニーズが増えるのだろう。住宅が売れることも、育児や若年向けの、本来、経済を牽引すべき消費は全体のパイが減っている。旅行やレジャーの嗜好も高齢化していく。すでにメディアも高齢化している。
世界経済の価値観は、この高齢化とはギャップがあるだろう。消費や成長は、若年にフォーカスする。日本のマーケットや経済策は、このギャップを常に意識した方が良さそうだ。日本の経済成長は必須だが、今までのやり方で伸びることはないだろうし、規模は徐々に小さくなっていることを、改めて認識すべきだろう。このギャップを外需で稼ぐと言うのなら、私たちはもっと学ぶこと、挑戦することがある。

Financial Times
通貨問題にとどまらない中国の経済運営の試練 (2015.8.17)

中国が先週、人民元を突然切り下げたことで活発になった議論がある。3%の人民元安は輸出業者の支援を目指したものだと考える人々でさえ、中国経済の試練を克服するなら人民元レートの下落だけではまったく不十分だという見方は受け入れている。また、中国の輸出は今年減少しているものの、「アジア全域の輸出業者が同じ試練に直面しており、根底にある問題は先進国市場の需要不振だということを示唆している」と指摘している。先週の発表によれば、2015年1~7月期の固定資産投資は不動産投資の落ち込みが響き、2000年以来の低い伸びに終わった。中国の指導者層は、仕事にあぶれた労働者の急増によって社会が不安定になるリスクに神経を尖らせているが、今のところ、4年連続の経済成長率低下を甘受する姿勢を見せている。これまでは失業率が低位に保たれてきたためだ。今後はこうはいかないかもしれない。ここでカギを握るのがデフレだ。中国の卸売物価指数は40カ月連続で下落しており、7月には下落のペースが加速した。UBSの中国担当チーフエコノミスト、王涛(ワン・タオ)氏はこう語る。「明らかに、中国が抱える圧倒的に大きな問題は、デフレ圧力が高まっていることだ」、としている。

中国は経済運営で、他国の対応をかなり勉強しているように見える。その姿勢をIMFや他国は評価しているようだが、もっとも信じるべき中国国民自身が、政治の対応を信頼するか、貢献や協力の姿勢を持てるかがポイントだろう。日本は、どこかでこの結束力を失った。いまの中国を見ると、この結束力は、日本より低い。

Wall Street Journal
安倍氏の真摯とは言えない謝罪 戦争犯罪のごまかしなぜ今なお問題か (2015.8.17)

アジア諸国は、安倍晋三首相が14日に発表した第2次世界大戦終了70年談話を固唾をのんで見守っていた。安倍氏が、村山富市首相(1995年)と小泉純一郎首相(2005年)が使ったのと同じ正式な言葉である「owabi(お詫び)」を使って過去の謝罪を繰り返したのは一安心だ。安倍氏は「日本会議(国会議員懇談会)」の「特別顧問」だ。この会議は日本の帝国建設が西側の植民地主義を放逐しようとしたとして正当化されると信じている。安倍内閣の半数以上も同会議のメンバーだ。安倍氏は談話で、この世界観に歩み寄った。西側の植民地主義列強が日本を孤立させたのを受けて、日本は軍国主義という誤った道をたどっていった、と安倍氏が述べた時だ。日本が戦後、平和的な道を追求してきたのは事実だ。しかしながら、安倍氏が日本の過去の行動について言い訳するとき、その意図をめぐる新たな疑問が提起される。日本の戦前の孤立は、狂信的なレジーム(体制)によって開始された紛争によって引き起こされた結果であって、原因ではなかった。それは人種的な純粋性と優越性に献身する体制だった。われわれ、そして日本のその他の友人たちは、日本が過去に束縛されない普通の国になるとの安倍氏の願望を共有している。それはとりわけ、中国の潜在的な侵略行動に対抗する他の民主主義国とともに日本が立っていると信頼されるようになるためだ。安倍氏は、もし自らのアドバイスを自身で引き受け、歴史に真っ直ぐ向き合うならば、そのような目標に近づけるだろう、としている。

Wall Street Journalには珍しく歯切れが悪く、主旨が見えない社説だった。これがアメリカ人の感覚だろう。利害では日本の姿勢を歓迎したいが、余計な心配は増やさないで欲しい。過去に敵対しながら、いまは友好的になった珍しい関係の両国の関係が表れている。
アメリカを基準に考える時に、注意が必要だろう。圧倒的ナンバーワンの世界の大国で、同盟国で友好な関係の国。もっとも尊重すべき相手だ。だが、アメリカが世界の基準ではないし、他にも多くの価値観がある。特に、大きくなっている中国の価値観に、私たちはまったく対応できていない。今回のWall Street Journalを見ると、アメリカは適応していると見るべきではないだろうか?

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