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2284.報道比較2015.7.10

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中国株暴落にメディアがこぞって政府を批判。これが良い薬になるといいが、市場を自由にさせたら中国バブルはさらに下落するだろう。批判できる立場にもないような政策ばかりの日本はこれからどう対処するつもりだろう?

Wall Street Journal
中国株急落の教訓、相場下支えは再考を (2015.7.9)

中国政府は、株式市場への介入がパニックを悪化させる可能性があることを思い知らされている。ここ2週間、中国政府は株価を下支えするための複数の措置を打ち出し、国営企業に株式購入を強要さえしている。しかし、主要株価指数は下げ止まっておらず(訳注:この社説は8日付)、政府の措置が失敗するたびに市場は自然な底を見つけるのがますます難しくなっている。個人投資家は現在、中国共産党の市場を操作する能力に疑問を感じているが、それはもっともなことだ。厄介なのは、株価の急落で政府の経済政策当局への信頼が損なわれているという事実だ。共産党の独裁主義的支配が自由市場の原理と相いれず、引き続き中国の発展を抑えていることを思い出すべきだ。相場の急落と中国共産党の市場を下支えする努力の失敗は、これからを考え直す機会となるべきだ。習主席の改革の青写真が示す通り、株式市場が景気拡大を支えることを望むのであれば、習氏は相場の動きよりも市場のルール作りに焦点を絞る必要がある。中国の政治家や投資家は、株価が上がりもすれば下がりもすることを学ぶ必要がある、としている。

Financial Times
市場に強敵を見つけた中国共産党 (2015.7.9)

中国当局は、株式は上昇することしかできないと定めた法律を可決することを除いて、あらゆる手を尽くした。対策が打ち出されるたびに、当局の措置は窮余の策のような趣が強まっていった。対策はうまくいっていない。1年半で価値が2倍以上になった後に市場が6月半ばにピークをつけて以来、市場価値が3割失われた。これで中国株の価値から3兆2000億ドルが吹き飛んだ。フランスとスペインの株式市場を合計した時価総額を優に上回る金額である。そもそもバブルが膨らむのを許した責任の多くを負わなければならない。中国の指導者たちは2008年、根拠なき熱狂を助長した西側の規制当局と中央銀行の共謀行為と彼らが正しく判断したものを見て、ほくそ笑んだ。今、自国の当局者たちが同じ罪に問われている。中国の当局者は意図的に市場を上昇させることで、弾ける運命にあるバブルを膨らませることに手を貸したのだ。遅かれ早かれ市場は大底をつけるだろう。だが、その頃には何かが失われている。市場がより大きな役割を担うのを認めるといった話にもかかわらず、状況が困難になると、介入しようとするのが政府の本能だ。それは無理からぬことだ。しかし、中国はうまく機能している資本市場を持っている状況とはほど遠い、としている。

産経新聞・社説
中国株の乱高下 政権の市場支配を改めよ

上海株式市場の株価が急落し、直近の高値より3割も安い水準まで値を下げた。9日には上昇したが、その値動きは荒い。東京市場の日経平均株価も2日連続の2万円割れである。この動きが中国の実体経済の失速につながるのかを冷静に見極めなければならないが、習近平政権は、政府の意向で株価を動かす路線が限界に来ていると認識すべきだ。経済大国にふさわしい市場の構築に本気で取り組まねば、投資家からの信頼は得られまい。中国政府は外国人の株式取引を制限しており、市場の8割は個人投資家が占める。多くは売買経験が少なく、政権の意向でその投資動向が左右されやすい。だが、今回は、政権がいくら対策を取っても、売りが売りを呼ぶ流れはなかなか収まらなかった。これは、政権が支える市場に対し、投資家の信用が低下している証左とみるべきだろう。習政権は、株式市場の混乱が政権への批判や社会不安につながるのを避けたいのだろう。だが、それには市場の透明性を高め、国際ルールにのっとって自由化を加速させるほかない。市場機能の強化は、習政権が約束した路線であるはずだ。それを確実に果たすのは、世界2位の経済大国として最低限の責務である、としている。

自由と市場の洗礼に、中国共産党は慌てているだろうか?自由という人間の根源の欲求には、誰も抗えないというのが世界のメッセージだが、これが薬として効果を発揮するとは思えない。昨年の香港デモ同様、だから自由は与えられないと自己顕示がはじまるのではないだろうか。私は、さらに泥沼にはまっていくと予想する。手に負えないところまで介入をつづけるだろう。手を放せばさらに暴れるというのが共産党の予測だろうし、実際にそうなるだろう。自由とはそういうものだ。解き放てば、誰にも手に負えない。ただ、収束は介入するより早い。そして、自然に収束する。その「自然に」が、共産党にとっては不都合な事実なのだから仕方ない。
産経は中国をあざ笑うような社説だが、日本が言えた立場ではない。日銀と政府、経団連までがタッグを組んで必死に株価を上げているどころか、財政ファイナンスにまで手を出しているのだから。それで上がった株価は僅か。どうするつもりかを訊きたいのは中国ではなく日本の政府だ。

日本経済新聞・社説
この新国立競技場を未来へ引き渡せるか

これほど無謀な国家プロジェクトがいっさいの見直しもなく進行する事態に、あぜんとするばかりだ。2020年東京五輪・パラリンピックに向けた新国立競技場建設計画の暴走である。巨額の整備費をどう捻出するのか。将来は赤字を垂れ流すだけではないのか。批判は高まるばかりなのに、日本スポーツ振興センター(JSC)はきのう、施工業者との契約に入った。今回の新競技場整備費は、世界のスタジアム建設事業のなかでも突出して高い2520億円にのぼる。五輪後に開閉式の屋根を設けるなど追加整備をした場合は3000億円にも達するという。成熟国家で開く五輪には、国威発揚型や高度成長型の施設はいらない。それよりも未来へきちんと引き渡せるかどうかが肝要だ。このプロジェクトに関係する人たちに、そんな世論は聞こえないのだろうか。危惧すべきは新競技場そのものの問題だけではない。こういう感覚でものごとを進めていく無責任体質が、いま日本をむしばんでいることが恐ろしい、としている。

日経にひとつ言うとすれば、遅い。決まってから言うのはメディア失格だ。決まる前に報道し、民意を醸成していく役割を担うはずが、後手に回っては意味がない。仕事になっていない。
JSCとは何者?と調べたが、文部科学省系の独立行政法人のようだ。やっちまったな。こどもを私学に入れて破産する家族と一緒だ。スポーツや教育のためなら何をしても許されるつもりかもしれないが、身の丈というものがある。それに、JSCが求めている身の丈は本来のスポーツや教育の意味さえない。ただの見栄っ張りだ。この競技場のおかげでスポーツが進展するとも思えないし、日本が尊敬されることもないだろう。むしろ嘲笑の象徴になるのではないだろうか。
この時代錯誤の価値観を許容したことが、日本破綻のはじまりになるだろう。2020年までに重大な危機に陥ると思う。

朝日新聞・社説
参院選挙改革―自民案は生ぬる過ぎる

参院の「一票の格差」を正す選挙制度改革について、自民党はきのう、鳥取と島根、徳島と高知をそれぞれ「合区」し、これまで主張してきた「6増6減」とあわせ、最終的に「10増10減」とする案を決め、維新の党など野党4党と合意した。自民党は今回、維新など野党4党の案に乗る形で、ようやく「合区」に踏み出した。人口の少ない県を一つにまとめ、新たな選挙区をつくるのは憲政史上初めてだ。ただ、自民党案だと最大格差は2.974倍にもなる。その点で、民主、公明両党が合意した「10合区」案は、最大格差を1.953倍と、2倍以内に抑えられる。選挙制度は党派を超えた合意の下に決めることが望ましい。数の力で「より劣る」案を押し通せば、国民の代表たる参院議員の正統性に傷がつく。自らに甘く、合意形成の手間を惜しむ政治の姿勢がどれほどの政治不信を招いているか、厳に自覚すべきである、としている。

毎日新聞・社説
参院選挙改革 自民の決定は遅すぎた

参院選挙区の「1票の格差」問題について、参院自民党がようやく、その是正方針を決定した。民主、公明両党の案と隔たりは大きいが、これで何ら是正をすることなく来夏の参院選を迎える最悪の事態だけは避けられる可能性が強まった。参院自民党が決めた方針は、人口が少ない「鳥取・島根」と「徳島・高知」の選挙区を合区する一方、北海道、東京、愛知、兵庫、福岡の各選挙区の定数を2増やし、宮城、新潟、長野を2減らす「10増10減」案で、総定数は変わらない。維新など参院の野党4会派が出していた案を受け入れた形で、試算では2013年参院選で4.77倍あった最大格差は2.974倍に縮小するという。これに対し、民主、公明両党は20選挙区を10に合区するなどの案で合意している。この場合、最大格差は1.945倍となり、2倍未満に収まるという。より「投票価値の平等」に応えた案といっていい。それにしても合区以外に妙案がないのを当初から分かっていながら、自民党の対応は遅すぎた。参院自民党に所属する個々の議員の利害調整に追われ、あるべき参院の姿を考える議論がされたとは言い難い。その責任の多くは自民党にある。憲法改正を言う前に猛省すべきだろう、としている。

読売新聞・社説
参院選制度改革 「合区」の導入もやむを得ない

自民党は、人口の少ない県と隣接県を1選挙区に統合する「合区」の導入を柱とする参院選挙制度改革案を決めた。今国会に公職選挙法改正案を提出し、成立を図る。来夏の参院選からの適用を目指す。改革案は、維新の党など野党4党が主張していたもので、鳥取と島根、徳島と高知を「合区」とする。選挙区定数の配分も変更し、全体では「10増10減」となる。定数242は維持する。これにより「1票の格差」は2013年参院選の最大4.77倍から2.97倍に縮まるという。合区により、固有の歴史や文化を持つ各都道府県の行政単位が揺らげば、選挙区選出議員の地域代表としての側面が弱まろう。都市部と地方の人口格差が広がる中、投票価値の平等に固執し過ぎると、地方の声が国政に反映しにくくなるという懸念がある。選挙制度改革では、長期的な視点に立った議論も進めたい、としている。

どこも並んだような社説しか書けないところに、いまの新聞の限界を感じる。参議院議員を減らすべき、と書いたところはひとつもない。自治体再編への示唆もない。電卓を叩いているだけのような社説で自民党を批判しても、世の中へのインパクトはゼロ。自民党がしていることよりレベルが低い。
何とか間に合わせ、これで来年の夏を迎えるつもりのようだ。ここから支持率、好感度をどう上げていくかが各政党の思惑になっていくだろう。株価とともに自民党の支持率も下がるだろう。戦後談話で評価を上げるとも思えない。またねじれるほど、野党に対案がないのもまた残念だ。選ぶことができない時、私たちはどうすればいいのか。違うやり方で社会に参加するしかない。マスメディアにも期待できな現在、政治を壊すためには、そのアプローチがもっとも近道のような気がしている。

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