ORIZUME - オリズメ

2281.報道比較2015.7.7

2281.報道比較2015.7.7 はコメントを受け付けていません。


ギリシャ問題は一歩進んだ。消化したつもりになって慢心するのが一番恐い。どんどん状況は悪くなっているが、下がっているマーケットは中国だけ。本当にリスクは回避されたと言えるだろうか?

Financial Times
ギリシャの国民投票でイエス陣営が負けた理由 (2015.7.5)

最大の誤算は、救済案を拒否する「ノー」の投票結果はグレグジット(ギリシャのユーロ圏離脱)につながると言った数人のEUの大物政治家による明らかに申し合わされた介入だった。その1人がドイツの経済相でドイツ社会民主党(SPD)党首のジグマー・ガブリエル氏だ。同氏は国民投票の結果が出た直後にも、この脅しを繰り返してみせた。ギリシャ国民はいみじくも、こうした脅しを自国の民主的プロセスに介入しようとする試みとして解釈した。イエス陣営の2つ目のミスは、救済プログラムが経済的にどう機能し得るのかを説明できなかったことだ。3つ目の重大なミスは傲慢さだ。イエス陣営の支持者は、勝利は確実だと思っていた。前回の英国総選挙の前の労働党のように、結局ひどく不正確であることが分かった世論調査を当てにしていた。今、最も現実的な解決策は、ギリシャの銀行システムの債務の借り換えだけをカバーする合意かもしれない。ギリシャ政府は債権者に対してデフォルトし、債権者はギリシャに新規の資金を与えるのをやめる。そうすれば全員のコミットメントを最小限に抑えられるが、そのような取り決めも困難に満ちている。最後に、グレグジットのことを、ギリシャ政府が選ぶかもしれないし選ばないかもしれない選択肢とは見なさない方がいい。これはどんな人も選ばない選択肢だ。グレグジットは、他のすべての可能性が尽きた時に起きることだ、としている。

Wall Street Journal
未知の領域に入るギリシャとユーロ圏、圧倒的「反対」で (2015.7.6)

5日に行われたギリシャの国民投票がどんな結果だったとしても、混乱期の到来を告げるものとなったことは間違いない。だが結果が「反対」派の圧勝だったことで、いまギリシャとユーロ圏は未知の領域に踏み込みつつある。ユーロ加盟各国は勝利を収めたチプラス首相率いる左派政権に対し、早急に甘い措置を打ち出すことには慎重だ。そうした対応はユーロ圏の他の国にも、ギリシャの先例に倣って反旗を翻そうとする動機を与えるリスクを伴う。欧州各国の高官らは先週、国民投票で「反対」多数となった場合に大幅な債務救済があるとみるギリシャ国民の期待は間違いだと非公式に指摘した。ただ国民投票で「反対」票が圧倒的多数を占めたことで、チプラス首相の要求をすべてはねつけることは、より難しくなるだろう。ユーロ不足が長引けば、ギリシャ政府は国外の債権者への返済が不可能になる公算が大きい。一般国民は手持ちのユーロを手放そうとせず、税金や家賃、クレジットカードの負債を支払わないだろう。政府は国内債務について代用紙幣での支払いを余儀なくされるだろう。例えば、ユーロでの将来の支払いを約束する小切手などだ。今後の先行き不透明感がギリシャのすでに疲弊した経済を、さらにどこまで荒廃させるかに左右される。欧州各国の政府関係者は、悪化しつつあるこの人道主義の危機を和らげるために何をなすべきか、すでに検討にかかっている、としている。

朝日新聞・社説
ギリシャ問題―ドイツの責務は大きい

欧州連合(EU)などが求める緊縮財政を強める改革案の賛否を問われた国民投票で、ギリシャ国民の多くが「反対」の意思を示した。ギリシャのチプラス政権は国民世論の後押しを支えに、再びEU側に改革案の見直しを求め支援交渉を有利に進めようと考えている。だが、それは甘い考えだろう。ギリシャに年金削減や増税などの厳しい改革を求めるEU側の姿勢は基本的には変わらないと見られる。ギリシャ国民の多くはユーロ離脱まで望んでいない。一方、他のユーロ圏諸国も問題の重大性を十分認識している。ならばやや急進的にすぎたギリシャの緊縮策の見直しに配慮しつつ、両者は早急に支援交渉をまとめるよう努めるべきだ。カギを握るのはユーロ圈の中核ドイツである。ドイツはもともと強かった輸出力を、ユーロ安でさらに強め、通貨統合の恩恵を最大限に享受してきた。その意味からも、経済の弱いギリシャのような国への支援で最も負担しなければならない責務がある、としている。

日本経済新聞・社説
ギリシャはユーロ離脱への道を歩むのか

欧州連合(EU)が支援の見返りに求める財政緊縮措置にギリシャ国民が投票で「ノー」という答えを突きつけた。ただ、これを受けてEU側が大きく譲歩をする気配はない。膠着状態が続けばギリシャの国庫は底をつき、ユーロ圏離脱の可能性も高まってくる。このままでは、ギリシャの混乱だけでなく欧州統合への疑念も生じかねない。財政危機を招いたギリシャと欧州の将来に責務を負う独仏など主要国が頭を冷やして歩み寄りの道を探るしかなかろう。最大の問題は、同国のチプラス首相がそうした国民感情を利用し、EU側の要求を受け入れるかどうかの判断を国民に丸投げしたことだ。自らの失政についての責任を逃れるための手段に使ったといわれても仕方がなかろう。まずはギリシャが誠意ある姿勢をみせるべきだ。国民投票の結果にかかわらず、身の丈に合わない歳出を減らし、硬直的な労働市場の改革などを進めない限り、経済・財政の再生はない。EU側もギリシャの改革の実行に合わせて財政再建の速度や債務の再編で柔軟な姿勢を見せる必要がある、としている。

毎日新聞・社説
ギリシャの「ノー」 独仏は指導力の発揮を

ギリシャの国民が、欧州連合(EU)などによる財政緊縮策に「ノー」を突きつけた。5日行われた国民投票の結果は、「賛成」39%、「反対」61%と予想外の大差だった。国民に反対を呼びかけていたチプラス政権は「民主主義の勝利」などと自信を深めているようだ。だが、ギリシャ支援交渉が再開しても、もはや時間的余裕はない。これまでのような交渉の進め方では、早晩、ギリシャの銀行の現金が底をつき、政府が借用証書など事実上の国内通貨を発行せざるを得なくなる。ユーロ離脱が現実のものとなる。そうなる前に、大胆で新しい解決策が必要だが、それを提示できるのは、欧州統合を主導してきた独仏両国をおいてほかにない。金融市場が大混乱に陥っていないから、もうギリシャのユーロ離脱を認めても構わないのではないか。そんな声も広がってきたようだ。確かに、経済規模がユーロ圏全体の2%に満たないギリシャである。7日にはユーロ加盟国首脳らによる会議が予定されている。歴史的視野に立った独仏の英断と指導力に希望をつなぎたい、としている。

読売新聞・社説
ギリシャ危機 国民投票は悲劇の幕開けか

欧州連合(EU)などが示した構造改革案の受け入れを巡るギリシャの国民投票で、反対が6割を超え、賛成を大差で上回った。金融支援再開の条件であるEU案が退けられ、合意は一段と難しくなった。そもそも、複雑な外交交渉の決断を、国民投票に丸投げした手法に大きな問題がある。反対票が多数を占めれば、EU側に譲歩を迫る強い交渉力が得られると唱え、国民に誤った期待を抱かせたことも看過できない。独自の通貨を発行し、資金不足をしのぐ選択肢もあるが、ユーロ圏離脱への第一歩を踏み出すことにつながる。信用力のない通貨が暴落し、生活必需品の多くを輸入に頼るギリシャが、深刻なインフレに見舞われる恐れもある。国民をさらなる苦境に追い込んではなるまい。チプラス政権は反緊縮に拘泥せず、35億ユーロに上る国債の償還期限が来る7月20日までに現実的な妥協を図るべきだ。欧州発の危機を再燃させ、経済や政治の安定に深刻な打撃を与えないよう、EU側も事態打開に最善を尽くさねばならない、としている。

Wall Street Journalの言う「未知の領域」という言葉が正しいだろう。それでも株価が上がるアメリカ、日本が不安だ。いま目にしているのは、ヨーロッパ経済のルールが破綻しかかっている現状だ。しかも、それが政治問題になりつつある。危機を煽るわけではないが、2%の経済規模という言葉に過信していると、リーマン・ショックと同じ事態に陥ることになる。特に…恐ろしいのはリスク・オフに傾くことより、国債のリスクが高いと金融マーケットが認識することではないだろうか?黒田氏が最も脅えるリスクだ。今のところ、まだ逃げる時間は残されているようだ。
国民投票が「ノー」になった方が問題は早く解決すると言うエコノミストも多かった。チプラス氏が崩れて、また選挙になって、ギリシャは誰を選ぶのか。その先また見知らぬ人と債権団は交渉して円滑に進むのか。さらにカオスになるのを避けられたと前向きに考える方がいいだろう。ヨーロッパで、痛みをもっとも味わうのはドイツなのは間違いない。国民は拒絶感を示しているようだが、怠け者は去れと言っていると、ひとりぼっちになってしまう。どこかで手を差し伸べないとデフォルト、借金はすべて不履行になる。これ以上、無駄なカネをつぎ込むよりは…と、冷徹なゲルマン人は思うかもしれないが、ドイツだけが強者になるユーロは、やがてマルクと同じ結末を迎える。そうなれば築いたユーロの魔法がはがれ、ユーロ高が止まらなくなる。ドイツも失業に喘ぐかもしれない。政治問題になれば、やがてアメリカも口を出す。メルケル氏の知性に期待するしかない。
日本が同じ事態に陥った時、海外も含めた政治問題になることはないだろう。国債の債権者は国民だから迷惑はかけない、という意味不明な論理で1000兆円の借金が積み上がっている。目に浮かぶのは、チプラス氏やバルファキス氏以上に意味不明な論理で、国民を煙に巻き、リーダーとは言えないような政治で時間ばかり浪費するだろう。ギリシャの銀行が何日で営業再開するかを注視したい。日本が必要とする時間を、その時に考えてみたい。その間を乗り切る資金を、日本円とUSDで準備するのが得策だろう。

Comments are closed.