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2238.報道比較2015.5.26

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爆買の賞味期限も、あとわずかだろうか?中国経済、南シナ海、どの要因を見ても、未来永劫つづくニーズではない。ブームだ。それより長い関係をつくりたい。

産経新聞・社説
習氏の「対日改善」 言葉より行動見極めたい

自民党の二階俊博総務会長ら約3000人の訪中団への歓迎会で、習近平国家主席が「中日関係の発展を重視する基本方針は変わらない。善隣友好協力を絶えず推進したい」と強調した。中国共産党機関紙の人民日報は1面トップでこれを報じ、国営通信・新華社は「中日友好に努力する明確なサインを送った」と解説した。反日暴動などが原因で日本の対中投資は大きく減っている。経済は減速し、共産党の政権運営が厳しさを増すなかで日本との経済協力は重要になっている。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に向けて、日本の参加を何度も求めているのも、高い「格付け」がほしいのだろう。長年の軍拡を背景に、中国海空軍は東シナ海や西太平洋で行動を活発化させ、南シナ海では国際ルールを無視して岩礁を埋め立て、飛行場など軍事拠点の建設を急ピッチで進めている。国際社会からの批判は強まるばかりだ。そうした自らの振る舞いは棚に上げ、歴史問題を持ち出して日本の主張を牽制する。習氏の演説も「軍国主義による侵略の歴史の歪曲、美化」の動きが日本にあるとの一方的批判を忘れなかった。こうした言動を改めてこそ、日本人は懸念を拭い、関係改善の言葉に応えられることを、中国指導部は改めて考えてもらいたい、としている。

読売新聞・社説
二階氏訪中 習氏の対日改善姿勢は本物か

自民党の二階総務会長が、観光業界関係者ら約3000人を率いて訪中した。習近平国家主席は歓迎行事で演説し「中日関係の発展を重視しており、この基本方針は変わらない」と強調した。二階氏が安倍首相の親書を手渡すと、習氏は「互いに戦略的互恵関係を推し進めれば、良い結果になる」と応じたという。歴史問題に関して、習氏は同じ演説で、「日本軍国主義の侵略の歴史を歪曲、美化しようとする、いかなる言行も許さない」と述べた。今夏に戦後70年談話を出す安倍首相を牽制したものだ。9月3日には「抗日戦争勝利70年」記念式典が予定される。習政権が歴史問題に絡めた反日カードを手放すことはあり得まい。日本は、中国の反日宣伝や海洋進出には的確な対抗措置を取りつつ、日中関係全体の改善の流れを定着させることが欠かせない、としている。

協調の兆しは歓迎したい。旅行関係者は日本への訪問者の増加を感謝しに行ったのかもしれないが、中国に経済危機が起きれば、今のような爆買ブームはすぐに沈静化するだろう。それより長期の関係を築ける努力が欲しい。これからも日本は観光立国を目指せば、隣国の中国からの旅行者は減ることはない。緊張が高まる前こそ、温和な関係は意識される。中国は大きな緊張を想定しているのかもしれない。もちろんそれは、南シナ海、日米同盟だ。

Wall Street Journal
中国の海洋進出阻む米国の「ポセイドン」 (2015.5.25)

米海軍は先日、南シナ海のスプラトリー諸島(南沙諸島)に対潜哨戒機「P-8ポセイドン」を派遣した。ここは中国政府が岩礁を埋め立てて軍事基地を建設している場所で、複数の周辺国・地域が領有権を主張している。ポセイドン(ギリシャ神話で海を司る神とされる)に同乗した米CNNテレビの取材班によると、中国軍は米軍機を追い払おうと繰り返し警告を発した。中国軍は英語で「こちらは中国海軍だ」と発信し、「誤解を避けるため(中略)退去してほしい」と告げた。米軍は中国側の警告にすべて応答し、自分たちは公海上空を飛行していると応じた。中国政府は同国沿岸1000キロメートル近くに広がるスプラトリー諸島の領有権を主張しているが、米国はこの上空を飛行することで中国側の主張にこれまでで最も強い態度で抵抗した。また、これは米政府が同海域における公海の自由を守り、同盟国の海洋権益を保護する姿勢を示したことにもなる。これは正しい動きだ。南シナ海における中国の主張に対抗するのが遅すぎれば、中国はより声高にこうした主張を掲げるようになり、主権を守るため戦う意志を一段と強めるかもしれない。今こそ中国の海洋権益主張に対峙すべき時だ、としている。

アメリカが実力行使をはじめた。Wall Street Journalは「遅い」と言っているが、南シナ海の緊張は高まるだろう。中東、特にイランの問題は安定できる、ロシアも今年は動かない、との前提だろうか。この緊張が、外交でも、新しくなる安全保障にも判断を求めるだろう。場合によっては、経済が冷える。夏にまたイヤな緊張が生まれそうだ。

Financial Times
米国の期待外れの景気回復 (2015.5.25)

来るべき米国の金利の転換点は、幾多の金利サイクルでも最も情報が発信されているものかもしれない。だが、考えを明確にしようとするジャネット・イエレン米連邦準備理事会(FRB)の懸命の努力にもかかわらず、米国経済の見通しは視界不良で曇ったままだ。米国の消費者が最近のガソリン価格下落から得た利益を懐に仕舞い込むことを選び、支出を増やさなかったことは特筆に値する。依然、期待外れなほど弱い企業の投資にも同じことが当てはまる。米国経済の主な成長のドライバーは、それぞれ、他のドライバーが最初に動くのを待っているように見える。投資家は投資するのに消極的で、消費者はお金を使うのをためらっている。彼らのアニマルスピリッツを呼び覚ますためには何が必要なのだろうか。米国の金利サイクルの転換は浅く、小幅なものになる可能性が高い。トレンド金利に戻るまでには何年もかかるかもしれない。モハメド・エラリアン氏が指摘するように、米国は「中央銀行の近代史において最も緩やかな引き締め」に向けて準備しているところだ。暫定的な予測の時代にあっては、恐らくこれが限りなく確実性に近いものなのだろう、としている。

アメリカ人のアニマル・スピリッツを呼び起こすには、格差を是正する必要があるだろう。ウォーレン・バフェット氏もアイディアをWall Street Journalに寄稿している。

【寄稿】最低賃金引き上げより税額控除を=バフェット氏

日本も同様だが、富むものがさらに富んでいる。マーケットの膨張がさらに加速させ、労働機会の格差は、知識と社会の複雑さが深刻さを助長している。アイディアもしっかり提示してくれているのが、バフェット氏のありがたいところだ。
米国の景気回復のレベルで「期待外れ」と言われると、他の国はどうしたらいいのだろう?まさか中国のような発展は望めない。ヨーロッパも日本も、回復と呼べるにはほど遠い薄日しか差していない。アメリカにしてみれば、他の国に頑張って欲しいというのが本音だろう。

日本経済新聞・社説
現実を直視して安保法制の論議進めよ

日本のこれからの安全保障のあり方を定める法律をめぐる国会の審議がいよいよはじまる。安保法制の転機となる内容で、1960年の日米安全保障条約改定の際に匹敵するような意味を持つ安保国会となることを、与野党とも肝に銘じるべきだ。今回の法制の整備は、冷戦が終わったあとでは(1)1990年の湾岸危機後の対応(2)90年代半ばの朝鮮半島危機への対応(3)2001年の9.11後のテロ対応――に次ぐ第4ステージといえる。中国が台頭する一方で米国の影響力が低下し力の均衡が変化する中、尖閣諸島をめぐる摩擦など日本を取りまく環境が大きく変化してきたのに対応するものだ。集団的自衛権発動の新3要件のひとつである「存立危機事態」に関し、憲法解釈の歴史的な転換であることを踏まえ、しっかりした議論を通じて有権者の理解を得るよう努めてほしい。本社の世論調査をみると法案の今国会成立への反対論が目立つのが気になる。国会での議論を踏まえ、必要があれば修正に応じる柔軟な姿勢を政府・与党は示してほしい。今回の法制は向こう10年から20年の日本の安保体制を決めるものだ。改正点についての丁寧な審議が大事なのは言うまでもないが、現実を直視し国家の針路にも思いをはせた骨太の議論を望みたい、としている。

毎日新聞・社説
安保転換を問う 首相の姿勢

安全保障関連法案の国会審議がきょうから始まる。自衛隊の海外での活動が飛躍的に拡大し、戦後日本の安保政策の大転換となる法案である。徹底した議論が必要だ。そこで注文したい。異論や慎重論に耳を傾けようとしない安倍晋三首相の姿勢をまず改めよ、ということだ。異論を口にするのは「敵」だとばかりに切り捨て、自分の発言は「言論の自由だ」といったような独善的な姿勢のままでは論議が深まるはずがないからだ。先の党首討論では民主党の岡田克也代表が自衛隊の危険はこれで増すのかどうか、再三ただしたが、首相は明確に答えようとせず、後に中谷元防衛相は「自衛隊員のリスクが増大することはない」と語った。「今度の法整備で確かに危険は増すが、それを上回る国益がある」と言うのならまだ分かる。都合よくプラス面ばかりを語るのではなく、リスクもきちんと説明し理解を求めるのが首相の責務のはずだ。にもかかわらず「抑止力が高まるから安全だ」と言うだけではあまりにも説得力に欠ける。その一方で「夏までに成立させる」と結論のみを急ぐ。これでは到底賛成できない。国連平和維持活動(PKO)協力法も3国会にわたる長い審議を経て成立した。かつての自民党には異論に耳を澄ます慎重さと度量の広さがあった。安保政策は国民の十分な理解と納得のうえに成り立つものだ、としている。

日経の世論調査の結果は気になる。今国会での成立反対が目立つようだ。その原因の大半は、毎日新聞が指摘するような、安倍氏、政府、与党の横柄で議論を進めない姿勢だろう。強硬な採決を前提にしている気がする。冷静に議論して結論を出すべき重要な法案を、アメリカに事前に約束し、国会軽視と言われる中、論理武装してまともに議論するなら許されるが、今のやり方は批判が高まるだろう。一気に支持率が低下するだろう。落ち着いて議論をしないのなら、この法案が可決されるのはおかしい。時間をかけるべきだが…強行突破を止めるには、スキャンダルか外圧くらいしか思いつかない。

朝日新聞・社説
原発ごみ処分―「増やさない」が前提だ

原発の使用済み核燃料を処理する際に出る「原発のごみ」の処分について、国が7年ぶりに基本方針を改めた。最終処分場が未定の日本の原発は「トイレなきマンション」とも言われていた。国が前面に出て決めるのは、当然である。しかし、政府は今後も一定量の原発を見込み、再稼働に積極的だ。原発が動き続ければ、ごみもまた増え続けることになる。政府は廃液を固めたガラス固化体を4万本以上埋められる広さを確保する方針だが、ごみを増やさない、処分地を拡張しないために、原発をゼロにする前提が必要ではないか。事実上破綻した核燃サイクル事業を前提にしていることにも問題が残る。「原発ありき」での取り組みにとどまる限り、問題の解決にはつながらないだろう。廃棄物は、地下300メートルより深いところに埋めるが、トラブルがあったり、将来もっと安全な技術が開発されたりした場合にそなえて、後から取り出せるようにもする。押しつけにならないよう、議論の仕方にも従来と異なる発想がいる。処分地の必要性だけを訴えても、同意は得られまい。課題も包み隠さず示し、問題解決型の対話へと進めることが不可欠だ、としている。

私の住んでいる千葉は、原発のごみ置き場に適しているらしい。ひっそりと持ち込まれ、置かれているという情報が見つかる。公式にも、千葉市の東京電力の敷地に、新たに置く検討がはじまっている。個人的には…まあしょうがないだろう。日本全国、やがて受け止めなければならない日が来るはずだ。再稼働を許すとはそういうことであり、3.11以前の負の遺産でさえ、置き場も決めずに無責任にやってきた尻拭いは誰もがすることになる。「誰かが」ではない。「誰もが」だ。その物量の核のゴミが、これから増殖する。火山、断層、生活用地、水源…様々な分析をした結果を見れば、候補地はやがて日本人すべてに関連するくらい分布することになるだろう。自分の生活に、原発のネガティブな部分が関連してくる。その現実を受け止める時期だろう。
こういう議論にはあまり積極的にならないのが、原発推進派の産経、読売の不誠実なところだ。都合の悪い議論からは逃げていては前に進まないのは当然だ。政府以上に信頼できない。

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