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2173.報道比較2015.4.6

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沖縄の会談を取り上げた新聞は朝日と産経のみ。また明日だろうか?もし、この無関心がメディアや国民の意識なら、沖縄は次の決断を考えてもいい時期だろう。この国との関係は沖縄にとって不条理だ。

朝日新聞・社説
菅・翁長会談―「粛々と」ではすまない

積もり積もったものをはき出さずにはいられない。これまでの政府の対応を「政治の堕落」とまで言い切った翁長雄志沖縄県知事には、そんな強い思いがあったのだろう。菅義偉官房長官との初の会談に臨んだ翁長氏の言葉を、国民全体で受け止めたい。翁長氏は米軍の「銃剣とブルドーザー」による強制的な基地建設の歴史を振り返り、「県民に対して大変な苦しみを今日まで与えて、普天間の危険性除去のために沖縄が負担しろと。それは日本の国の政治の堕落ではないか」と追及した。会談は、菅氏が米軍キャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区の返還式典に出席するタイミングで設定された。政権には基地負担軽減に取り組む姿勢をアピールする狙いがあった。自民党内からも丁寧な対応を求める批判が出始め、統一地方選を前に政権のイメージ悪化を食い止めたいという思惑も働いたのだろう。菅氏は「これから国と沖縄県が話し合いを進めていく第一歩になった」と語った。翁長氏も応じる意向だ。これまで「聞く耳持たぬ」という対応を続けてきた政府は、沖縄からの苦言にとことん耳を傾けるところからやり直すべきだろう。そのためにまず、辺野古で進める作業を中止すること。それが話し合いに臨む最低限のルールではないか。もはや「粛々と」ではすまない、としている。

産経新聞・社説
菅−翁長会談 対話継続で一致点を探れ

パイプが途絶えていた菅義偉官房長官と沖縄県の翁長雄志知事の会談がようやく実現した。焦点である米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる主張はすれ違いに終わった。それでも、遠く離れて批判しあうのではなく、顔を見ながら言葉を交わした意味は小さくないはずである。翁長氏は、「危険除去のために(沖縄に)負担しろという話をすること自体が政治の堕落だ」と語り、辺野古を含む県内移設に反対した。立場の開きは大きいが、両氏はともに話し合いを続ける考えは示した。対話を重ね、打開の道を探る政治家としての務めを果たしてもらいたい。双方の主張が直ちに変わることはないだろう。特に、移設阻止を掲げて当選した翁長氏にとって、方針転換は難しい。しかし、対話を通じて一致点を見いだす努力をあきらめるべきでない。米側も「世界一危険な基地」と認める普天間の早期返還の実現には、国にも沖縄にも責任がある。代案を示さないまま辺野古移設を阻めば、普天間の危険性が固定化される。翁長氏には、その点をどう考えるのか、さらに詳しく語ってもらいたい。辺野古問題と併せ、基地負担の軽減策や経済振興策を円滑に話し合える環境の構築も急がれる、としている。

産経が沖縄にたじろいでいる。3/24の勢いは産経の主張にはまったく感じられない。菅氏もそう感じただろう。沖縄は本気で怒っている。沖縄にしてみれば、何をいまさら…だが、「粛々と」などとはもう言えないことは通じたようだ。1000人を超える人が会談場所に現れ、県民全体から敵意を感じたことだろう。この恐怖を、次は総理大臣が感じることになる。すでにアメリカには、現場からこの印象は伝わっているはずだ。アメリカの軍、行政の誰かがこれを理解するのと、安倍氏が感じるのと、どちらが早いだろうか?
沖縄には、やはり戦略を持って欲しい。一筋縄でいかない困難も、最初の一歩は信念からだ。だが、思いだけでは動かない。妙な作為はいらないが、利害の調整はいる。まさに政。基地ではない、地の利を活かした戦略が描ければ、道は開ける。期待している。

毎日新聞・社説
年金の減額 将来の備えこそ重要だ

現役人口の減少や平均寿命の伸びに合わせて年金の支給水準を自動的に下げる「マクロ経済スライド」が初めて4月から適用されている。少子高齢化が進む中で年金制度を持続させるための仕組みだが、このまま適用され続けると、受給額は大幅に目減りしていく。今のうちに有効な対策を立てる必要がある。年金は賃金や物価に連動して毎年支給額が改定される。厚生年金を受給する夫婦2人のモデル世帯で見ると、2014年度は月21万9066円だったが、2015年度は賃金上昇分2.3%を反映して約22万4000円になるはずだった。ところが、マクロ経済スライドで約2000円減り、さらに過去の物価下落時に政府が減額を見送ったことを解消するため0.5%減額され、結局は22万1507円にとどまった。基礎年金・厚生年金に加えて「3階部分」となる企業年金の強化や、自己責任で運用する確定拠出年金などによる自衛策も求められる。政府は対象者を広げる確定拠出年金法改正案を閣議決定した。だが、こうした年金に加入できず、経済的に余裕のない人の救済は政府が責任を持って行わなければならない。マクロ経済スライドで年金制度自体は維持できたとしても、受給水準が極端に下がって信頼されなくなったら元も子もないだろう、としている。

読売新聞・社説
少子化対策大綱 男性の育児参加を促進しよう

新たに決定した「少子化社会対策大綱」で、今後5年間を集中取り組み期間と位置付けた。着実に実行せねばならない。1人の女性が生涯に産む子供の平均数を示す合計特殊出生率は、2013年時点で1.43だ。やや改善傾向にあるが、人口を維持できる2.07にはほど遠い。大綱が指摘する通り、「社会経済の根幹を揺るがしかねない危機的状況」と言えよう。注目されるのは、男性も育児や家事を担うよう大綱が促した点だ。「男性の参画が少ないことが、少子化の原因の一つ」と強調し、長時間労働の是正など「働き方改革」を重点課題に掲げた。共働きが増える中、家事・育児を女性任せにしていては、出生率の回復は望めない。短時間で効率よく働き、仕事と生活の調和を図る。政府が掲げる「女性の活躍推進」の上でも重要な視点だ。企業の意識改革が求められる。子育てにかかる経済的負担の軽減策として、奨学金の拡充などを検討すべきだ。特に、子供の多い世帯への配慮が大切である、としている。

年金と少子高齢化。この2つの問題は、当然だがリンクしている。保育所をつくるのに騒音でクレームが出る時代に、こどもを増やすのは至難の技になるだろう。すでに社会がこどもの存在に適応できる能力を失っている。突然、これを巻き戻すと高齢者にストレスがかかる。社会全体が老いてしまった。この老いから脱するには、2つのアプローチが考えられる。突然変異のような若年を外部から受け入れるか、長期的計画で人口ピラミッドを是正するか。政治は後者を望んでいるようだ。その場合、今の無理がある計画では、絶対に成立しない。総人口を減らして人口ピラミッドを是正しなければならないはずだ。合わせて、その是正期間の社会保障が、どのレベルならコミットできるのかが算出できるはずだ。この程度の計算は、行政ならしているだろう。当然、新たな不都合を受け入れざるを得なくなる。それを行政は受け入れられないのだろう。それは、公務員の削減。地方自治体のさらなる削減。痛みを感じずに、次の時代への移行を促すなら不可能だ。すでに詰んでいる。詰んだ状態から移行するには痛みが伴うのは必然だ。そのやり直しが宣告される日は、私は2020年よりは近いと思っている。まだ先だと思っているのなら、早々に動いた方がいいと思うのだが。いま働いている人の大多数は、その混乱に巻き込まれる側だ。

日本経済新聞・社説
本社機能の海外移転とどう向き合うか

グローバル化を加速するために、本社機能の一部を海外に移す日本企業が珍しくなくなった。パナソニックは映像機器や通信機器を担当する社内カンパニーの「AVCネットワークス社」の榎戸康二社長を今月から米東海岸に常駐させ、買収や投資の意思決定を含めて米国を中心に事業を進める体制を整える。日立製作所も昨年、世界全体の鉄道事業を束ねる本社機能をロンドンに移した。企業経営の立場からすれば、こうした海外展開は理にかなったものだ。パナソニックのAVC社は個別の消費者に売り込む従来のビジネスを改め、法人ユーザーからの大型受注獲得をめざす事業モデルへの転換を急いでいる。海外に出れば、日本では聞こえてこない情報も耳に入ってくるだろう。海外拠点を出先扱いせず、自由裁量を与えて魅力あるポストを用意すれば、能力の高い外国人の採用も容易になる。日本経済の視点から考えると、工場などに続いて、本社部門まで外に出て行くとなると、国内の空洞化が懸念される。それを防ぎ、良質な雇用を国内に確保する環境をつくるのは政府の役割だ。法人税などのビジネスコストを引き下げ、優れた人材を輩出する教育体制を整え、「日本で事業をしたい」という企業を外資を含めて増やしたい。外に出て行くのも内に入るのも、ともに活発。それが目指すべき姿である、としている。

いよいよ日本の根幹を担ってきた企業も本社機能や儲かる事業を海外に移転させはじめた。英語どころの問題ではない。会社も、個人も、世界を考える時代になった。すばらしいことだと思う。雇用も、法人税も、さらに流出する。本当のプロフェッショナルでなければ仕事がない。自分ができることを伝えられなければ仕事がない。そんな時代になったようだ。今のうちに、この勝負での戦いで腕を磨くべきだろう。次はマシンとの戦いになる。世界で通用しない人が、マシンと戦って勝てることはない。成長とは、こういう戦いにひとつずつ適応することでもある。戦いは終わらない。

Wall Street Journal
米太平洋軍司令官、中国を厳しく批判―南シナ海「砂の長城」建設で (2015.4.1)

中国が南シナ海の海域で埋め立てと人工島の建設を進めている問題で、米太平洋軍のハリー・ハリス司令官(海軍大将)は、中国が周辺諸国との対立を望んでいるのか、それとも協力を望んでいるのか、深刻な疑問を提起していると指摘した。ハリス司令官は、オーストラリアで開催された海洋安全保障会議で、複数の国が領有権を主張する南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が「砂の長城」を建設しているとして、公の発言としてはこれまでで最も厳しい口調で批判した。ハリス司令官によると、中国が建設した人工島はすでに4平方キロメートルに達しており、建設は現在も続いている。米国の同盟国であるオーストラリアは昨年、安全保障・防衛分野での協力強化と、中国の急速な軍拡に対抗する防衛策としての役割を果たすことで日本と合意し、防衛装備品や技術の移転に関する協定に署名した。中国の当局者とは連絡がとれなかった。中国は南シナ海の大部分について領有権を主張しており、自国が領海とみなす海域での人工島建設には正当性があり、理にかなっているとしている、としている。

オーストラリアが中国にネガティブな発言をするのは珍しいのではないだろうか。中国に依存度の高い産業が多く、移民規制するほど流入にも一時は寛容だった国の、しかも軍の司令官が。民意の中では複雑な思いがあったとしても、経済的な理由で許容してきたのがオーストラリアの中国に対する姿勢だと思っていた。それが、アジアインフラ投資銀行への参加も決めた翌日に、この報道。これもバランスを取るためのアメとムチだろうか?

Economist
都市の土地問題:成長のために空間を活かせ (2015.4.4)

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の研究者が先ごろ行った分析によると、ロンドンのウエスト・エンド地区では、土地活用の規制がオフィス物件の価格を約800%膨らませている。ミラノやパリでも、こうした規制が約300%も価格を押し上げているという。土地の所有者は莫大な価値を手にしているが、その大部分は、競争によってこれらの利益を吹き飛ばすような新しいオフィスの建設がほぼ不可能なことにより生じているものだ。公私の利益の間の健全なバランスを取り戻すことに向けてささやかな手順を踏むだけでも、その見返りはかなりのものになる。政策立案者は、以下に挙げる2つの点に注力すべきだ。第1に、都市計画に関する決定は、必ずトップダウンで行うようにしなければならない。地区レベルで決定が下される場合、土地利用の規則は厳しくなりがちだ。都市圏全体の人口が増えたとしても、個々の地区が受ける利益(雇用や税収の増加)は、不利益(眺望の阻害や道路渋滞)を下回る。住宅供給に関する決定権を市のレベルに引き上げることで、成長のメリットに重きが置かれるはずだ。第2に、政府は地価に対する課税を強化すべきだ。大部分の先進国において、地価にかかる税金が税収全体に占める割合は小さい。地価税は効率の良い税だ。地価税は脱税が難しい。土地をルクセンブルクの銀行の金庫にしまっておくことはできないからだ。財産に高率の税を課せば投資が減退する恐れがあるが、土地に高い税をかければ、未利用の地所を開発する動機付けになる、としている。

興味深い記事だった。ビジネスをしている人には、ぜひ読むことをお勧めしたい。都市への一極集中は、そろそろ終わりに向かうのでは?と思っていたが、この記事は、一極集中の歪みの解消を提言している。集中によって生じている不利益が、この記事が指摘する手法で解消するか、増税で自治体が潤うのなら歓迎すべき提言だろう。ところで日本の都市はどうなっているのだろうか?

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