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2169.報道比較2015.4.3

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イランが核協議で合意したニュースは、まだ社説にはない。いまの国が考える安全保障論なら、こういう事態にも巻き込まれるだろう。政治も、メディアも、国民も、誰も準備できているようには見えない。

Wall Street Journal
イラン核協議で枠組み合意が成立 (2015.4.3)

イランと欧米など主要6カ国は2日、核協議で枠組み合意に達した。イランの核兵器開発の阻止に向け取り組むことや、合意内容の履行を条件にイランへの経済制裁を解除することなどが盛り込まれた。8日目の協議終了後の記者会見で発表された共同声明によると、長期化していた協議で今回「決然とした措置」が取られた。枠組み合意によると、イランの核開発プログラムには今後最大25年にわたり制限・管理され、最初の10年間には特に厳しい制限がかかる。イランへの経済制裁は、国連の核開発監視機関がイランの公約履行を確認した後で緩和されるとしている。協議の終盤では、制裁解除の時期と、最初の10年間を過ぎた後どれほど早期にイランが核開発プログラムの規模を拡大できるかが最大の争点となっていた。今回、これらの点で合意があったかどうかはまだ明らかになっていない。各国の高官らによると、合意文書の作成作業はただちに開始し、6月30日までの最終合意を目指す、としている。

これでまた、中東のパワー・バランスを変える決断が下された。一時的には、さらに緊張が高まるだろう。アメリカをはじめ、欧米はイランの核開発が恐れるレベルを超えているのを非常に気にしていた。なぜ?中東の国境が意味をなさなくなっているのだろう。技術や原材料が集まり、今でさえ見えにくいイランがさらに混乱した時、イスラム国のような集団や、シリアのような内戦状態の不安定な地域に核の恐怖が渡る。それを制するのが目的のはずだ。イランは解けない経済制裁が国家を圧迫しつづけている。原油安でさらに苦しい。イスラム国と戦える準備さえままならなないのだから。コンセプトから言えば、この合意はネガティブになる要素は少ない。だが、イスラエルやサウジアラビアが合意前から拒絶するほど、イランと欧米のリレーションが高まることで生じるパワー・バランスの変化は、中東に何をもたらすだろうか?イラクとアメリカの対立、近隣アフガニスタンでの戦闘、アラブに訪れた春という名の民主化運動。パワー・バランスの変化は、イスラム国やトルコ、ロシアまで巻き込んだ紛争さえ予感させる。平和を目指したせいで、平和が乱れることは良くあることだ。少なくとも、お互い、自体を前に進めようと決めた。それを前向きに評価できるだけの安定が中東にないのが心配だ。

朝日新聞・社説
憲法と国会―「緊急事態」論の危うさ

衆参両院の憲法審査会は、憲法に関する様々な議論の舞台となる。自民党はここで憲法改正に向けた議論を進め、来夏から遅くとも再来年の前半までに改正案を発議し、国民投票を実施したい考えだ。改正内容としては、「緊急事態条項」「環境権」「財政規律条項」を新たに加えることを念頭に置いている。自民党が最も「有力視」している緊急事態条項は、外国からの武力攻撃や大規模な自然災害に対処するため、首相や内閣に一時的に権限を集中させ、国民の権利を制限することなどを明文化するものだ。憲法を改正しなくとも、緊急時の対応はすでに災害対策基本法や国民保護法などに定められている。災害対応で大切なのは憲法ではなく、入念な被害想定や準備であると閣僚経験者や専門家は指摘する。緊急事態条項の新設は、災害に備えるために「あれば安心」といったレベルの問題では決してない。憲法に縛られる側がその縛りを解くよう求めることの意味は、よくよく考えてみる必要がある。安易な議論は、きわめて危うい、としている。

日本経済新聞・社説
改憲論議は論点を絞り込まず幅広く

憲法改正を巡っては、15年前に衆参両院に憲法調査会を設けて以来、有識者からのヒアリングなどがなされてきた。昨年は改憲のための国民投票法の投票年齢を18歳にする改正も実現した。そろそろ本筋の議論に入るときである。自民党は災害時の緊急事態条項の創設など国民の合意を得やすいとされる課題から論議し、早ければ来年夏の参院選後に国会での改憲発議にたどり着きたい考えだ。衆参それぞれの総議員の3分の2以上の賛成がなければ発議できないので、国民投票にかける最初の案件が緊急事態条項や新しい人権の創設になる可能性は高い。ただ、自民党が自衛隊を国防軍に改めたがっていることは周知の事実だ。9条改正を故意に封印して有権者の目先をそらそうとしている。そう受け止められれば、自民党にはかえってマイナスだ。論点を無理に絞り込まなくてもよいのではないか。改憲派こそ護憲派以上になぜ変えたいのかを積極的に訴える責任がある。どういう憲法にしたいのか。回り道でも、全体像をじっくりと説明し、国民的な合意をつくり出すべきだ、としている。

政府が目指しているのは改憲したという既成事実をつくることのような気がする。名誉ではなく、一度変えられる事実をつくれば、その後に何度でも改正できると読んでいるのではないだろうか。いつものなし崩しを意図して狙っている。この憲法改正論は、中国ばかりではなく、アメリカでも、アジア各国でも意図を読もうとしている。なんのために?と。国民でさえわからないのだから海外はさらに構えるだろう。そこまでの脅威を中国に感じるべきだろうか?他の国は、いま中国に感じるような脅威を日本から感じるようになるのではないだろうか?誰もが感じるシンプルな疑問は、財政危機の衰退国が、急いですることだろうか?だと思う。

産経新聞・社説
南海トラフ地震 柔軟な対策で被害抑えよ

最悪で32万人もの死者が想定される南海トラフ巨大地震に備え、政府は救援部隊派遣や物資輸送などの方針を定めた「応急対策活動計画」をまとめた。日本の大動脈である太平洋ベルト地帯を襲う南海トラフ地震は、国の存亡にかかわる巨大災害になりかねない。東日本大震災を教訓に、国の総力を挙げて人命救助、被害の最小化に取り組む姿勢を示したことを評価したい。計画は、輸送ルート、救助・消火活動、医療、物資、燃料の5分野で政府や関係機関が取り組むべき行動を時系列で示した。各分野で拠点施設を定めるなど、応急活動の骨格となるものだ。この計画を実際の災害時に生かすためには骨格に肉付けをし、実効性と柔軟性を持たせなければならない。南海トラフで大規模地震が発生した場合、被災地と日本を支えるのは関東以北と日本海側の地域である。東北の復興と地方創生によって、「国難」を乗り切れるだけの体力を養っておかなければならない、としている。

戦時中の社説かと思った。国難を乗り切れる体力も知力も尽きかけている。どうすれば稼げるか、無駄遣いが減るかより、安全保障の話ばかりしているのだから。課題に対して対策を講じた部分は評価する。その内容を政府でクローズしないで国民まで反映させる発想に変えられないだろうか?

Financial Times
旅客機墜落後のルフトハンザの苦しい戦い (2015.4.2)

ルフトハンザ航空の最高経営責任者(CEO)、カルステン・シュポア氏は先週、ケルンで報道陣を前にした時、疲労困憊しているように見えた。旅客機のパイロット免許を持ち、普段は自信に満ちているシュポア氏は、子会社ジャーマンウイングスの従業員が故意に飛行機をフランスの山腹に墜落させた模様だというニュースを理解し始めていた。シュポア氏は公の場に姿を現した場面で概ね確かな対応を見せ、今回の悲劇をどの航空会社でも起こり得た異常事態として描こうとしてきた。同氏は先週、「私は当社のパイロットに全幅の信頼を寄せている・・・彼らは今も世界最高だ」と述べた。売上高が伸び悩んでいるため、ルフトハンザは世界の航空市場が拡大し続けているにもかかわらず、保有機の規模を凍結してきた。シュポア氏は先月、墜落事故の前に株主に向かって、「我々にとって最も重要な優先事項は、安全性を別にすると、会社の将来の発展性だ」と語っていた。今のところ、経営陣とパイロットの労働組合は、今は戦略について語る時ではないということで意見が一致している。ルフトハンザが共同戦線を張ろうとし、犠牲者の家族にできることをすべてやる中、短期的には追加のストはなさそうだ。グロスボンガルト氏は、危機が最終的に、ルフトハンザが問題を解決する助けになる可能性があると考えている。「従業員はルフトハンザに対する強い帰属意識を持っている。こうした社内対立の扱い方、特に話し合いの形が今後きっと変わるだろう」、としている。

次の発展が切望され、労使が対立していた会社にとって、この危機が団結のスタートになる可能性はある。そうなれば悲劇の結末としては、少し前向きになれる。まだまだ解明すべきことは多いだろうし、事故と会社の現状に直接の関係はないだろう。雰囲気の悪い会社に、追い詰められた人材が一線を越えた。それは関連とは言えないだろう。平静とは、こんなにも重要なものだ。雰囲気の悪い場所には、さらなる悪夢が宿ってしまう。幸運は幸運を呼ぶ。不幸は不幸を引き寄せる。だから、ちいさなしあわせを積み重ねることが大切だ。

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