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2167.報道比較2015.4.2

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イランの協議はまだつづいているようだ。安倍氏は議会と大統領が対立している状況で演説に立つことになりそうだ。名誉。それだけのためではないことを願っているが、目的はなんだろう?

Wall Street Journal
日本が主導するアジアの新秩序 (2015.4.1)

安倍晋三首相は4月29日、米議会の上下両院合同会議で演説する。外国の首脳にとって米国最高の舞台で日本の首相が演説するのは初めてのことだ。日本政府はここ数年、近隣諸国との安全保障協力で前例のないパターンを確立している。その背景にあるのは、中国が自己主張や防衛力を高めていること、日本国内でより「普通の」国際的立場を求める声が高まっていること、そして軍事行動に関する戦後の制約が薄れていることだ。日本はアジアでの米国の存在がいつまで続くかという懸念を抱いているほか、中国との深い経済統合とより自立的な安全保障政策との間でバランスを取ろうとする衝動にも駆られている。これがアジアで防衛協力の深化と多様化を求めることにつながっている。日本が焦点を当てているのは海洋だ。例えばフィリピン、ベトナムとはそれぞれ巡視船の供与で合意した。こうした取り組みの多くは、日本がインド洋・太平洋諸国と相次いで結んでいる戦略的パートナーシップ合意に基づいている。安倍首相とインドのモディ首相は昨年9月、両国関係を「特別な戦略的グローバル・パートナーシップ」に引き上げた。日本は最近、フィリピンと2011年に結んだ戦略的パートナーシップに基づき、フィリピン軍との人道的支援プロジェクトへの支援を発表。ラオスとは2014年の安全保障対話を拡大する新たな戦略的パートナーシップで合意した。日本とオーストラリアは既存の合意の下、幅広い軍事協議や軍事交流を行っているほか、機密情報を共有している。韓国と日本は戦略的パートナーシップには程遠いものの、昨年末、日米韓3カ国による軍事情報を共有する覚書に調印した。安倍首相の米議会演説は、アジアの安全保障問題での日本の指導力に関するビジョンを示すまたとない機会だ。安倍首相は、気をそらす問題を減らし、日本と近隣諸国が共に果たせる積極的な役割を強調することにより、日米同盟や日本の地域連携についての重要課題を設定することができる。歴史に言及するだけでなく、歴史を作るチャンスでもある、としている。

アメリカも、この演説の目的を安全保障と捉えているようだ。ならば、ますます沖縄にはチャンスがある。慰安婦は歴史の問題だが、普天間は現実の問題だ。ところで、本当に安倍氏は何のために議会演説を望んだのだろう?

読売新聞・社説
辺野古移設作業 建設的立場で接点を模索せよ

沖縄県知事が、米軍普天間飛行場の移設作業を停止させようとするのは無理筋ではないか。移設を前提に、政府と県は、接点を探るべきだ。名護市辺野古における防衛省の移設作業の停止を翁長雄志知事が指示した問題で、林農相が指示の執行停止を決定した。作業停止で工事が遅れれば、飛行場周辺住民や日米関係に「重大な損害」が生じるとする防衛省の主張を認めた。妥当な判断だ。翁長知事は、県の岩礁破砕許可の取り消しを検討していたが、農相の執行停止決定により、先送りを余儀なくされた。別の理由を探して、あくまで許可取り消しを目指す道もあろう。だが、いたずらに政府との対立を激化させることが、果たして多くの県民の利益になるのか。菅官房長官は4日に沖縄を訪問し、翁長知事と会談する方向で調整している。政府は、県側と建設的な対話を重ね、移設実現への関係者の理解と協力を広げる努力を続けることが欠かせない、としている。

ようやく対話の場がセットされるようだ。ということは…残念ながら私は翁長知事を戦略家と買いかぶり過ぎていたようだ。ただの抵抗か、統一地方選への妨害程度の発想だろうか?残念だ。
地方がすべきことがわかってきた。会社でいえば、国は親ではない。たとえ補助金や交付税の関係があったとしても、利害関係者ではあるが、絶対服従の相手ではない。堂々と争うためには、小さい側には小さいなりの戦略がいる。常に大きいものが勝つとは限らないのは、どんな世界でも一緒だ。そういう戦略もなしに抵抗しているのなら、読売のいう主張の方が優勢になるだろう。大きな絵を描ける国会議員もいないなら、飛び越えようとする知事もいない。ゴネたり争ったりという手法しか知らないのなら、議員失格だろう。

日本経済新聞・社説
TPPで透明なルールを築く日米の責任

中国が主導して設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、約50カ国・地域が参加する見通しとなった。事業の公平性や意思決定の透明性が確保されるかどうかなど課題は多いが、中国がアジア経済圏で影響力を一段と高めるのは間違いない。アジアは世界の経済成長の中心となったが、「法の支配」の理念の浸透や共通のルールに基づく経済の秩序づくりは、まだ道半ばである。だからこそ、日米が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)を早く実現しなければならない。貿易や投資、金融サービスなど幅広い分野で明文化したルールをつくり、力が強い国や声が大きい国の独善的な判断が入り込まない枠組みを築くべきだ。AIIBは金融機関であり、TPPは通商協定である。とはいえ全く別の領域の話だと考えるのは誤りである。2つの構想はどちらも、明日のアジア経済秩序のあり方を大きく左右する可能性を秘めながら、現時点では全く異なる道筋を示している。参加国が対等な立場で共通のルールをつくるTPPは公平性と透明性が高い枠組みになるはずだ。国際標準となりうるそのルールを先んじて固める必要がある。こうしたスピード競争の側面を日米両国の政権は肝に銘じるべきだ。AIIBへの参加を見送った日本は、国際標準のルールを重視するよう中国に外部から促していかねばならない。そのためにもTPPの枠組み完成は欠かせない、としている。

良い社説だ。AIIBに透明性で注文をつけたのなら、日米は誰からも認められる透明性を証明しなければならなくなった。アメリカにそれができるか?ナンバーワンの驕りと、中国への対抗意識がなければ、能力としては可能だろう。日本には、戦略と透明性を意識する能力がない。なあなあ、袖の下が政治だと思っている。AIIBへの対抗心でTPPのリーダーシップを日米が改心して取り組んでくれるといいが…期待はできない。日経の今後の主張に期待していいだろうか?

毎日新聞・社説
消費増税1年 低所得者対策が必要だ

消費税率が5%から8%に引き上げられて1年がたった。景気は政府の想定以上に悪化し、安倍晋三首相は10%への再増税を1年半延期した。だが、日本の財政赤字は先進国で最悪の水準だ。政府は、増税が重荷となっている低所得者への対策を講じると同時に財政規律を引き締めて、再増税の環境整備を急ぐべきだ。昨年10~12月期の成長率はプラスに戻ったが、消費の回復は鈍い。増税と円安による物価上昇で実質賃金が目減りしているためだ。日銀が発表した今年3月の企業短期経済観測調査(短観)でも、大企業・製造業の景況感は横ばいにとどまった。とりわけしわ寄せが及んだのは低所得者だ。消費税は所得が低い層ほど負担が重くなる「逆進性」の問題を抱える。その対策として、食品など生活必需品の税率を低くする軽減税率の導入が不可欠だ。首相は、国と地方の基礎的財政収支を2020年度までに黒字化する目標を堅持し、今年夏までに具体的な計画を策定すると表明している。だが、政府・与党内で大胆な歳出削減に踏み込む機運は乏しく、夏から始まる2016年度予算案の編成でも財政規律がおろそかにされる恐れがある。日銀の金融緩和政策で国債の金利が低水準で推移しているため、巨額の借金への危機感が薄くなっているのではないか。財政規律を緩んだままにしておいてはいけない、としている。

否定的になって申し訳ないが、既視感のある主張だ。これを安全保障の議論より先に実現するのが安倍政権の最重要課題だったはずが、新聞含めて、経済を忘れて安全保障ばかりを議論している。これは昨年も同じだ。何の反省もなかったことになる。戦前の軍国主義と大して変わらないほど、稼ぐことより攻められたら恐い、戦わなければならないと主張している気がする。呑まれない新聞が1紙くらいあってもいいと思うのだが、どこもそんな様子は見せない。安全保障を語った方が部数が伸びるなら、少年犯罪と同様に不愉快でも理由はわかるのだが…首相の好みに合わせて、公務員もメディアも動いている。思い出したようにこんな主張をされても本気度は伝わらない。個々人で防衛しないと、メディアはまったく役に立たなくなっている。

朝日新聞・社説
電力広域機関―自由化促す役割を

電力大手各社ごとだった電力需給の調整を、全国規模で行う新組織「電力広域的運営推進機関」が1日、発足した。各地の状況を日々、監視し、電力が足りなくなる地域に余裕のある地域から送電するよう指示したり、長期的な電力の供給計画や送電網の増強を決めたりする。政府が進める電力自由化の柱の一つに、電力大手による地域独占の廃止がある。広域機関はその一翼を担う。広域機関は、全事業者と連絡をとりながら、いざという時には発電所の出力アップや需要を抑える対策の発動も含めた調整を各社に指示・勧告し、制裁も課せる強い権限をもつ。この仕組みは、再エネの導入量を増やすことにつながる。受け皿が大きくなれば、適地が偏り天候などで出力が変動しやすい太陽光や風力による発電を吸収しやすくなるからだ。電力は、発電量と消費量を常に一致させる必要がある。これをクリアすることが、すべての前提になる。広域機関は、利用者の選択肢や事業参入の機会を増やすインフラだ。新たな司令塔として重責を果たすことが、電力自由化の成否に直結している、としている。

ネットには少ししか情報が見つからない。準備のための組合が錚々たるメンバーで構成されていたこと。この組織が経済産業省資源エネルギー庁管轄で、まだPDFが掲載されている程度だということ。それくらいだ。この組織が電力自由化の成否に直結しているなら、もう少し情報を提供してくれてもいいと思うが、公開意識は期待できそうもない。密室型の運営だけは避けてほしいが、準備組合とやらでさえ、前時代的な組織運営のようだ。期待はしにくい。透明でない状態で、どうやって広域に事業者に指示、勧告するのだろう?組織運営の仕方から、日本は学んだ方がいいのではないだろうか?

産経新聞・社説
同性カップル条例 家族のありよう考えたい

東京都渋谷区で「男女平等と多様性を尊重する社会」の推進をうたった条例が制定された。同性カップルを結婚に相当する関係と認めて証明書を発行する制度が盛り込まれている。同性愛など性的少数者への偏見や差別をなくす取り組みは重要だ。しかし区が「婚姻とは全く別の制度」と説明するように、法律では同性の婚姻は認めていない。憲法は「婚姻は両性の合意」(第24条)と定めている。渋谷区の条例で注目された規定は、区内在住の20歳以上の同性カップルが互いに後見人になる公正証書を作成していることなどを条件に、「パートナーシップ証明書」を発行し、家族と同等に扱うよう区内事業者に協力を求めたものだ。条例をめぐっては法律による婚姻制度を損なうのではないかと心配する意見も少なくない。産経新聞とFNNの合同世論調査では条例に全体で6割が賛成したものの、60代以上の男性では反対が多かった。区議会でも賛否があった。条例の趣旨に反する行為があった場合、事業者名を公表する規定の適用回避を求める付帯決議がつけられている。差別や偏見をなくす啓発などを優先し、かえって反発を招くような条例運用は避けてほしい、としている。

古い。産経らしい。不利益を是正するためにとった渋谷区の英断を、マスメディアがこの程度の理解しか示せないとは残念だ。前提が人権の問題だ。日本の法律が古いと言われる時代がもう目の前に迫っている時に、60代男性の反対論に寄り添うのだから。書いている人も60代男性なのだろう。その価値観は、すでに時代から相当取り残されている。早めに引退していただきたい。

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