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2115.報道比較2015.2.19

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農業改革の第一歩を踏み出すことに成功した安部政権。少しだけ第二次安部内閣組閣時の緩みが心配だ。

Wall Street Journal
安倍首相の歴史観で日米関係にかげり 訪日米議員が漏らす (2015.2.18)

今週東京を訪れている米国の議員らによると、安倍晋三首相の歴史観が日米関係の将来にとって最大の懸念材料になっているという。ダイアナ・デゲット下院議員(民主)は16日、一部の記者団との会見で、「第2次世界大戦終戦70周年に関連したこれらの問題の一部が両国関係にひびをもたらす可能性がある」と述べた。デゲット議員は「米国で圧倒的に語られているのは相互防衛と安全保障、アベノミクスの成功への期待、条約交渉などについてだ」とし、「だから、なぜ第2次大戦のころの問題がまだ現れてきているのか困惑させられる」と話した。同議員は特に、安倍首相の言葉が4月末か5月初めに予定されている首相の訪米に暗影を投げかける可能性があるとしている。同議員は「この訪米にわれわれは懸念している」とし、「首相はこれらのネガティブなセンチメントを引き起こすようなことはしてはならない」と語った。日系のマーク・タカノ議員(民主)は、ひどく2極化された米国の政治環境の中でさえ、安倍氏の歴史観は超党派の反発を引き起こしかねないと警告した。同議員の両親と祖父母は戦中に拘束されていた。同議員は「これは党を問わず反発を呼ぶ」としている。同議員は「日本が慰安婦問題やその他の終戦時期あたりのいくつかの問題で逆戻りをしていると見なされないことが本当に重要だ」とし、慰安婦問題に関する米国歴史学者と日本政府の間の論争に言及した、としている。

読売新聞・社説
戦後70年談話 平和貢献の決意を発信したい

安倍首相が、今夏に発表する予定の戦後70年の首相談話に関して月内に有識者会議を設置し、談話の内容や表現方法を議論してもらう意向を表明している。談話には、大戦への反省、戦後の平和国家の歩み、今後の国際貢献などを盛り込む考えだ。戦前・戦中に関する歴史認識だけでなく、戦後日本を総括したうえで、将来の針路や政策の方向性について、国際社会に明示することは重要な意義を持つ。国際社会は今、地域紛争や、国際テロと大量破壊兵器の拡散、貧困、環境破壊など、様々な脅威に直面する。日本が今後、「積極的平和主義」に基づき、こうした課題に、より能動的に取り組む姿勢を明確に打ち出すべきだろう。今夏の70年談話は、中国、韓国など多くの国が注目し、政治的な影響もあろう。その前に共同文書により、日米両国の認識を調整しておくことは重要である、としている。

朝日新聞・社説
西川農水相―やましさはないのか

西川農水相が代表を務める自民党支部への寄付が、疑惑を招いている。寄付をしたのは、環太平洋経済連携協定(TPP)で焦点になっている砂糖の業界団体の関連企業だ。西川氏は「違法性はないが、農水大臣の職責に鑑み、いささかも疑問を持たれないよう返金した」という。問題になっているのは、「精糖工業会」の関連会社「精糖工業会館」から自民党栃木県第2選挙区支部への100万円の寄付。政府がTPP交渉に初めて参加する直前の、2013年7月のことだ。当時、自民党のTPP対策委員長だった西川氏は農業団体などに「聖域は守る」と訴え、政府交渉団の「監視役」として海外にも同行していた。こうした立場の政治家への寄付である。交渉に圧力をかける意図を疑われても仕方がない。腐敗を招きやすい企業・団体献金をなくしていこうとの狙いで設けられたのが年間約320億円の政党助成制度だ。だが、20年たっても企業・団体献金の見直しは進んでいない。問題が発覚するたびに政治家が理屈にあわぬ釈明を繰り返す。こんなことを続けていては、政治は信頼を失うばかりだ。「改革」を志向する政権ならば、こちらにも本腰を入れてみたらどうか、としている。

安部氏にまた緩みが見えはじめた。農業改革の先鞭をつけたからだろうか?第二次安部内閣組閣時の失敗と同じ慢心が見える。有識者会議と安部氏が言う時、それは論理武装のための賛成意見者中心の第三者組織だ。秘密法でも、集団的自衛権でも、エネルギーや原発について議論する時の過去がそれを示している。せっかくの前向きな雰囲気を自らの慢心で壊すことにならないか。特にTPP関連議員への寄付絡みは気がかりだ。前回の組閣で懲りたはずが、また同じことが起きている。人選時に綿密な調査をやった認識でこの結果ということは…探せばまだいくらでもあるということだろう。野党に突っ込めるところはいくらでもある。安定政権にまた危うさが見える。

毎日新聞・社説
雇用ルール変更 働く人のためになるか

労働時間ではなく成果に応じて賃金を支払う「高度プロフェッショナル制度」の導入などを柱とする労働基準法改正案の骨格がまとまった。深夜まで会社で残業するよりも、効率よく働き、充実した余暇を過ごせるようにするのは大事だ。だが、この雇用ルールの変更は働く人のためになるのか。企業の経営もよくなるのだろうか。安倍政権の労働規制緩和には懸念される点も多い。欧州連合(EU)諸国では法令で同一職務の時間あたりの賃金が決まっており、企業規模や雇用形態を問わず産業横断的に統一されている。仕事の難易度や量という客観的な基準で賃金が決まるので、働く人は成果に応じた賃金が保障され、不満なら転職することも容易だ。一方、日本では経営者の裁量で勤務場所・時間、業務内容の変更が認められており、賃金は年齢や勤続年数などで決められる。「成果」をはかる基準があいまいで、転職などの流動性も乏しい。そのため、1990年代に各企業で成果主義賃金の導入が図られたが、従業員の不満や意欲低下が多く見られ、思われていたほど広まらなかった。時間労働による過労死や労災認定は過去最高水準にある。労基法は「労働者が人たるに値する生活を営むため」(第1条)にあることを忘れてはならない、としている。

私の感覚は、昨日も書いた。毎日の働く人のためになるのか?の問いは、ずいぶん散漫だ。報酬の話、勤務時間の話、余暇やライフスタイル…何を軸に話したいのかが明確になっていない。批判したいための社説に見える。
今までの法規制で、成果に合わせた報酬を得られなかった人は確実にいるだろう。経営側が成果で報酬を与えようとするのは、リスクの共有を求めている。法が理由でそのリスクは経営が負えと言われれば、報酬は下げざるを得ない。経営側が取るべきリスクを過度に負わせている例や、意図的に報酬が下がるように仕組んでいる経営者もいるだろうが、本気でリスク共有に合わせた対価を考えている経営者もいるだろう。ベンチャーや経営を目指す人材を増やすにもいい体験になるはずだ。ポイントは、この制度ではなく最低で準備すべきセーフティネットや条件の方だ。必ず休ませるバランス、生活のために必ず必要となる賃金は決められれば、あとは自由なのが理想だろう。その理想が生まれなかった理由は法を悪用した経営者の存在が問題だ。罰則が必要かもしれない。

日本経済新聞・社説
「18歳投票」に備えた有権者教育が急務だ

早ければ来年の参院選から現在は20歳以上の投票年齢が18歳以上に引き下げられる。戦後初の選挙で25歳から20歳にし、女性参政権を認めて以来の約70年ぶりの大改革だ。変えてよかったと誰もが思う選挙にするにはどうすればよいか。早めの備えをしておきたい。憲法改正のための国民投票の投票権は18歳以上にした。一般の選挙も同じにするのが当然だ。国会図書館によると、調査した189カ国・地域のうち投票年齢が18歳なのは170もある。遅ればせながら、世界標準の仲間入りすることを歓迎したい。中学や高校で民主主義の大切さは教えているだろうが、選挙に関心を持たせる工夫がいる。近年、政党の選挙公約を読み比べて品評させ、国政選の模擬投票をする学校が増えているのはよい傾向だ。18歳投票が実現すると、実際に有権者がいる高3では、こうした試みがやりにくくなることが予想される。特定の政党を利することのないように配慮しつつ、必要以上に政治を教育から遠ざけることのないようにしてもらいたい。今回の法改正で若い有権者が240万人増える。社会保障などの世代間の負担が公平かどうかを改めて考えるきっかけにしたい、としている。

この社説が、おそらく未来を示している。大人が勝手に決めること。海外がそうだからとう理由で決められることのようだ。本質的ではない。結果は「鳴かず飛ばず」になるだろう。こういう残念な取り組みが、本当に多い。求められているのでないなら、議論している時間さえ無駄だというのに。もし、本気で18歳から社会に参加してほしいなら、まずは教育してから、そういう教育を数年経てから実施すべきだろう。今回の農業改革もいっしょだ。突然、全中に反省を促すのではなく、徐々に変化させるための教育や挑戦を農家や農協とすべきだった。いつも「あるべき論」「是非論」に終始して、決まった時には大騒ぎだが、何をしていいのか現場は判らない事態に陥っている。やるのなら準備が先だ。準備の前に実験が先だ。その実験さえ、うまくやれば経済効果が出るというのに…進め方が完全に間違っている。

Financial Times
ハンガリー首相、EUの取り決めを無視してプーチン氏と会談 (2015.2.18)

ビクトル・オルバン氏はハンガリー首相の座に上り詰めて以来、自由民主主義をさげすむ発言を行っており、17日にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領との2国間首脳会談を禁じた欧州連合(EU)の取り決めを無視し、プーチン氏のハンガリー公式訪問を歓迎した。プーチン氏にとって、今回のハンガリー訪問は、停戦合意がなされても暴力が振るわれている東ウクライナにロシアの軍隊が進出しているにもかかわらず、同氏を首都に迎え入れる国が欧州にまだあることを示すものだった。オルバン氏によれば、首脳会談では柔軟かつ長期の新しいガス供給契約のことがもっぱら話し合われた。ただ、どのような約束が交わされたかは明らかにされなかった。欧州の過激主義運動の間でのプーチン氏の人気を表す兆候として、ハンガリーの第2党である極右政党ヨッビクはプーチン氏の訪問を歓迎した。「ハンガリーとロシアの指導者のサミットは重要であり、有益だ」。ヨッビク副代表のマルトン・ギョンギョシ氏は先月こう語っている。「対ロ制裁の解除は、欧州諸国とハンガリーの共通の利益であるべきだ」、としている。

産経新聞・社説
ギリシャ支援 EUの理解得る現実策を

2月末で期限が切れる支援策の延長をEUが求めているのに対し、厳しい緊縮財政を課す支援に反発してきたギリシャが新たな支援の枠組みを要求しているためだ。交渉が決裂して支援が打ち切られた場合、3月にもギリシャの資金繰りが行き詰まる恐れがある。ギリシャの債務不履行やユーロ離脱という最悪のシナリオを回避するため、ぎりぎりまで交渉を重ねてもらいたい。EU側の歩み寄りも必要だが、それ以上に問われるのはギリシャ側の姿勢である。ギリシャは19日に延長を申請するが、各国の理解が得られる現実的な策を示す必要がある。欧州危機の再発は起こさない、という自覚を求めたい。ユーロ圏が加盟国に財政規律を求めるのは、共通通貨を持ちながら国ごとに財政が異なる構造問題を乗り越える知恵だ。一国の国内事情で結束が揺らぎ、ユーロの信認に疑義が生じるようでは、統合の推進力も失われよう。欧州の混乱は、世界経済の大きなリスクとなることを忘れてはならない、としている。

ユーロの不安定さにロシアがつけ込む。さらにその様相が悪い方に進みつつある。プーチン氏はユーロ分裂を本気で狙っている。勝ち組のドイツとアメリカだけの価値観ではまとまらないヨーロッパの現実が見える。突然、リスクが増すこともまだ十分あり得る。マーケットはずいぶん不感症になっている。何も進んでいない。何も解決していない。むしろ混乱は増すばかりだ。

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