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2114.報道比較2015.2.18

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安全保障を語る時に、武器や軍の話ばかりしているのはなぜだろう?その前にできるアプローチはいくらでもある。

Wall Street Journal
ギリシャ、18日に金融支援の延長を要請へ=政府高官 (2015.2.18)

ギリシャは、現行の融資合意の延長をユーロ圏の同盟国に18日、要請する計画だ。同国の政府高官が明らかにした。ギリシャ政府と債権団との交渉行き詰まりが打開に向かうもようだ。政府高官は、「ギリシャは18日に融資合意の延長要請を提出する」と述べた。これに先立ち、事情を知る関係者はギリシャ政府が今月末に期限切れとなる融資合意の4〜6カ月延長を要請すると明らかにしていた。この関係者は、延長要請の条件は引き続き交渉中だとした上で、要請は「融資合意の延長に対するもので、救済措置に対するものではない」と説明した。ギリシャ政府高官らは、「救済」という言葉は前政府が合意した緊縮措置を受け入れなければならないことを示唆するが、「融資延長」は異なる条件で合意することになるとの考えを示していた。ギリシャの公的債権団は支援条件を一部変更する余地はあるものの、その前にギリシャ政府が延長を要請しなければならないとしていた、としている。

読売新聞・社説
ギリシャ支援 危機回避へ延長が不可欠だ

ギリシャ向け金融支援策の継続問題を協議していたユーロ圏19か国財務相会合が、物別れに終わった。欧州連合(EU)側は、緊縮財政を前提とした現行の枠組みを6か月延長するよう主張した。これに対し、ギリシャのバルファキス財務相は「現在の支援策はギリシャ経済の安定に失敗した」と述べ、支援延長を拒否した。ギリシャは、放漫財政のツケを他国の財政資金で穴埋めしてもらっている以上、緊縮財政の痛みを甘受すべきである。協議が完全に決裂した場合、ギリシャのユーロ圏離脱が現実味を帯びることである。ユーロ体制の信認が揺らぐ事態は避けなければならない。EUは、現行の枠組みを基本としつつ、返済条件の緩和などの妥協策も模索すべきだろう、としている。

この様子では、駆け引きはギリギリまでつづくようだ。今の様子では、追い込まれているのは強気を装うギリシャ政府だ。トロイカ側は何の譲歩もしていない。国民が疲弊していること、失業率が25%を超えていることを考えれば譲歩はあり得るが、借金を減らしてもらう条件が「今までのやり方のままではツラい」では、さすがに呆れる。交渉にならない。ロシアが近づいているのが気になるが、世界でいま、ギリシャに言い寄るのは弱目を利用したい悪意を持った相手ばかりだろう。政党に借金の猶予を得られるロードマップはできあがるだろうか?いまの政権にその能力が無さそうなのが心配だ。

日本経済新聞・社説
健康確保し脱時間給で働ける人をもっと

働いた時間ではなく成果に対して賃金を支払う「脱時間給」制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)の内容が固まった。対象者を年収1075万円以上の専門職とすることなどで、労働政策審議会で労使が合意した。この制度は社員に生産性の向上を促し、企業の競争力を高める効果が見込める。にもかかわらず対象者の範囲が限定されたのは残念だ。活用できる人が増えるよう、今後も制度設計を見直していく必要がある。制度案では、導入にあたっては職務の範囲が明確でなければならず、本人の同意を条件とした。そのうえで企業に、(1)年104日以上の休日を設定する(2)1カ月間または3カ月間の働く時間に上限を設ける(3)1カ月間の深夜労働を一定の回数以内とする――のどれかを義務づけることとした。今後、働く時間の上限設定などを詰める中で、健康確保策を十分に講じながら、制度を使える人が増えるよう検討してはどうか。今回の労働時間規制の改革では、一定時間を働いたとみなして賃金を払い、出社や退社が自由の裁量労働制も見直した。対象に営業職の一部なども加える。柔軟な働き方が広がることは望ましい。その観点からも脱時間給制度の対象拡大を前向きに考えるべきだ、としている。

私のアイディアは2/15に書いた。脱時間給という考えは正しいと思うが、私はそれは今回の労使や給与と関連させる話ではないのではないかと思う。日経が言う脱時間給の論理は、生産性向上の問題意識ではないだろうか?その議論の必要性は、世界と比べてかなり生産性の低い日本のホワイトカラーの労働の問題だろう。それをこの問題と絡めると複雑になる。切り離したほうがいいのではないだろうか。
何によって報酬が得られるかが「時間」であるのなら、時間を拘束することで対価が発生する。この発想なら、むしろ両者が時間を節約しようと努める。生産性は上がるはずだ。実際、パートや工場労働者のような時間給がワークする場所に、無駄な時間を浪費する余裕や文化はない。
それがホワイトカラーに適合すると、なぜここまで生産性が下がるのか?それは時間給だからではなく、無駄が多すぎる働き方の問題だ。
ニューズウィークのコラムを例にあげよう。

「朝型勤務」で仕事の効率は上がるのか?

ホワイトカラーは朝型にするだけで生産性が向上する。理由は無駄が多いからだ。「対話型コミュニケーションに異常なほど時間を割かなければならない、ここにメスが入らなければ生産性の向上も難しい」「朝方勤務にすると効率が上がることが、日中の働き方がいかに非効率かの証明になっている」と冷泉氏の指摘を、全面的に同意する。そう思うホワイトカラーも多いことだろう。
国会を見ればわかる。対話型コミュニケーションで、100人を超える人が議論して、明確な回答など生まれるはずがない。あれは予定調和と、会合に参加した実績のためにやっているとしか思えない。社内のコミュニケーションも同じだ。「とりあえず逢って話そう」「意味不明の週次ミーティング」「責任の見えない全員参加のプロジェクト進捗会議」「エンドレスのブレスト」….これで生産性を上げるのはかなり困難だろう。国会に制度を変えてもらう前に、自らが変わるべきだ。

朝日新聞・社説
国会論戦―節目の年の言論の重み

安倍首相は先週の施政方針演説で、経済再生や社会保障改革、教育再生などを挙げ、「戦後以来の大改革に踏み出そう」と打ち上げた。「戦後以来」の本質は何だろう。経済再生など喫緊の課題よりも70年間築き上げてきたこの国のありようを変えることに、最終的な狙いがあるのではないか。首相がかつて繰り返した「戦後レジームからの脱却」や改憲への意欲を聞けば、そう受け止めるのが素直だろう。内政に目を向けると、急速に広がる所得格差もまた日本社会を変えようとしている。共産党の志位委員長は「首相の経済政策がもたらしたのは格差拡大だけだった」と迫ったが、首相は「格差が拡大しているかは一概にいえない」とかわした。しかし、いまの税制や雇用制度のもとで、不平等はないと言い切れるのだろうか。議会多数派が内閣をつくる議院内閣制の日本では、政府が出す法案や政策を野党が変えさせるのは難しい。それでも論戦を通じて政府案の問題点をあぶり出し、国民に判断材料を示すことは野党の重要な役割だ。これは首相が牽制する「批判の応酬」では決してない。「戦後」が曲がり角にさしかかろうとしているなか、この国会における与野党の責任は重い、としている。

産経新聞・社説
代表質問 安保環境踏まえた論戦を

安全保障関連法制をめぐる国会論戦が本格化した。昨年7月、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定に基づき、国民を守るために切れ目のない法制を整備しようというものである。安倍晋三首相は代表質問で、自衛隊の後方支援に関して「ニーズが発生してから立法措置を行うことは考えていない」と答弁した。海外派遣を随時可能とする恒久法制定の考えを明確にしたものであり、評価したい。民主党は安保法制に関する協議を始めているが、集団的自衛権の行使そのものへの賛否もはっきりしない。岡田氏は、安保環境に対応して国民の平和をどう確保するかの具体論を語るべきだ。安保法制協議をめぐっては、公明党から安倍首相や自民党のペースで進むことに、ブレーキをかけるような発言も出ている。だが、日本の平和を確かなものとする抑止力をいかに高めるかが、議論の主眼となるのでなければならない、としている。

集団的自衛権を語る。議論する。経済最優先で国会は進める前提なら、私はOKだ。どうも朝日新聞の言い分の歯切れが悪い。何が言いたいのか。やはり、単に安部政権を批判したいだけに見える。
Wall Street Journalに似たような指摘が載っていたのでリンクしよう。

安倍首相の歴史観で日米関係にかげり 訪日米議員が漏らす

Wall Street Journalが指摘しているのは「修正主義はダメだ」と明確にしている。これくらい明確な指摘ができないだろうか?朝日には、すでに慰安婦問題で汚点がある。そこを繋げられると自社の批判がブーメランになって返ってくるのを恐れているのだろう。そういう姿勢なら、他人を批判すべきではない。また、戦後70年の議論に参加する資格もない。これから先、韓国、安全保障、日米関係を語る際にも従軍慰安婦の件は必ず出てくるだろう。朝日のスタンスは、原発に対しての東京電力と同じような、曖昧で逃げ腰の態度ばかりだ。安部氏に正々堂々と対峙したいなら、ナチスに対するドイツと同様の姿勢を自身も持つべきだ。書いていることとしていることの乖離が激しい。

Financial Times
ロシア国民の心を巡る「テレビと冷蔵庫の戦い」 (2015.2.17)

ロシアの市民がウクライナでの戦争をどう見ているのか、モスクワにいる友人が気の利いた表現で教えてくれた。テレビは、「ファシスト」のウクライナ人や策を弄する西側諸国との愛国的な闘争の話を流してロシア魂をかき立てる。ところが冷蔵庫は、空きスペースが次第に増えていることや中身の食品が値上がりしていることを示してロシア魂を萎えさせる、というのだ。首都モスクワのスーパーマーケットでさえ始まりつつある食料品の不足は、ロシアが自ら負った傷だ。物資不足の大半は、西側諸国からの多種多様な食料品の輸入を禁止したロシア自身の報復制裁措置によるものだからだ。ウクライナでの紛争を経済力ではなく軍事力を競う場にすれば、プーチン氏にとって最も有利な展開になる。ウクライナの軍隊は、ロシア軍に比べればどうしようもないほど劣っている。メルケル氏が述べたように、西側諸国が提供できそうな程度の量の兵器では、この軍事バランスは恐らく変わらないだろう。西側諸国はロシアに圧力をかけながら、まだ可能なところではロシア政府との合意を見つけることを忘れてはならない。ロシアはウクライナに正当な安全保障上の利益を持っており、この利益は認められるべきだ。制裁がロシア政府の政策に速やかな変化をもたらす可能性は低い。だが、ロシアの侵略行為に対応することは長期的な課題になる。バラク・オバマ米大統領の「戦略的忍耐」の原則を適用すべきケースがもし存在するとしたら、これがそうだ、としている。

Financial Timesがロシアに対して書いたコラムの中で、もっとも冷静で、もっとも理知に富んだ意見だと思う。欧米が持つべき意識は、このRachman氏が言うとおりだ。おそらくメルケル氏とオバマ氏は、この意識を秘めている。弱腰に見えるし、プーチン氏にしてみれば笑止千万の手法だろうが、市民が徐々に根を上げる、もっとも平和的で効果的な手法だ。やがてプーチン氏の支持率が落ち、違うリーダーを望めば理想的だ。利害のあるフランスやイタリアにここまでの高尚な意識があるだろうか?中国は?そして日本は?
安全保障を語る時に、武器や軍の話ばかりしている日本人にも知ってほしい。その前にできるアプローチはいくらでもある。その最たるパワーの経済や知財を、日本は握っていた。そのパワーがダウンしていることを取り戻す議論より、なぜか苦手な兵力や武装の話を優先している。間抜けだ。

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