ORIZUME - オリズメ

2094.報道比較2015.2.5

0


国内紙のイスラム国への社説は思考停止に陥っている。怒りだけ。対策さえない。これではイスラム国以下だ。騒ぐだけの報道はいらない。まだその反省からさえ進歩していない。

Wall Street Journal
ギリシャ首相、EU首脳陣との協議は「良い方向」 (2015.2.4)

ギリシャのチプラス首相は4日、欧州連合(EU)首脳陣との協議が「良い方向」に向かっているとの見方を明らかにした。首相は債務返済条件の緩和に支持を取り付けようと、欧州の主要都市を歴訪中だ。チプラス首相は欧州委員会のユンケル委員長、トゥスクEU大統領(首脳会議常任議長)、欧州議会のシュルツ議長とブリュッセルで会談した後、相互に受け入れ可能な解決策をEUの法制度内で見つけられると述べた。「協議を終えて、非常に楽観的になっている。既に合意したわけではもちろんないが、合意を探る良い方向に向かっている」と話した。チプラス首相は選挙戦で掲げた公約の達成を目指すとしつつ、経済や債務に関するEUの規則を尊重する姿勢も打ち出した。一方、ギリシャのファロファキス財務相は4日にフランクフルトで欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁と会談。この場で「ギリシャをこのままにしておけない」というギリシャ政府の「揺るぎない決意」を伝えた。ドラギ総裁との協議を終えた後、ファロファキス財務相は話し合いが「極めて有意義だった」と語った、としている。

今年、最大のリスクと言われているヨーロッパ。その主要課題がこのギリシャだ。量的緩和を決定しても、ギリシャの政治的合意に安定したゴールが見えなければ、ユーロの未来は暗いままだ。私は、もうギリシャについては答えが出るまで何も考えないことにした。答えが出ていることにさえ、また問題が生まれるのだから。会合が行われるたびに債券も株も、そしてユーロさえ乱高下する。付き合う気にはなれない。もちろん、それは傍観者としての意見だ。マーケットをいくら揺らしても、ヨーロッパが安定するゴールを目指すのなら、それでいい。その考え方に、ユーロもドイツも意思統一できている点は、安心している。2月末。どんな答えが出るだろうか?

Financial Times
中国の反腐敗運動、金融界のエリートも標的に (2015.2.4)

ここ数日で銀行幹部2人が逮捕された後、中国の反腐敗運動が金融界に広がっている。金融界のエリートはこれまで、政府、軍、国営エネルギー企業内の何百人もの人が摘発されてきた大規模な反腐敗運動を概ね免れてきた。だが、最近の銀行幹部の逮捕は、金融業界に対する幅広い取り締まりの前兆というよりは、特定の政界実力者と関係した利権人脈を標的にしているように見える。金融システムに目が向けられるようになったのは、胡錦濤前国家主席の元側近の令計画氏と諜報機関幹部の馬建氏に対する調査とも関係しているように見える。特定の政治家を狙った逮捕は別として、金融市場での広範な腐敗対策の兆しが2013年に見え始めた。当時は、証券規制当局が利益のピンはねとインサイダー取引で債券ファンドの運用担当者を標的にした。共産党の機関紙の人民日報は昨年、党の反腐敗機関である中央規律検査委員会が金融機関に特化した部署を新設したと報じた、としている。

中国もまた、ヨーロッパと同様だ。習政権になってから投資する気が失せた人は、個人投資家や企業だけではないだろう。中国国内でさえおびえさせている手法が、どれだけのフラストレーションを溜めているか不安だ。このままではハードなクラッシュに向かうのではないだろうか?

日本経済新聞・社説
タクシーは政府頼みから脱し需要創造を

タクシーの強制減車に向けた国の規制が具体化し始めた。一昨年秋に議員立法で成立した改正タクシー特別措置法に沿って、国土交通省は強制減車の対象となる「特定地域」の候補として、全国29地域を指定した。最大の市場である東京23区は外れたが、29地域には大阪市や横浜市、札幌市、福岡市など主要都市が名を連ねる。日本全体のタクシー台数の3分の1を網羅する。こうした規制強化の大義名分は供給過剰の是正である。仮に供給過剰が続くとしても、社会主義経済ではあるまいし、政府による需給調整が妥当とは思えない。各企業が創意工夫を重ねて競争し、市場全体のパイを広げる。あるいは競争で負けたプレーヤーが退出し、需給が再び均衡する。これが本来の道筋である。大事なのは個々の企業の自助努力だ。日本交通は妊婦を産院に届ける「陣痛タクシー」を2012年に始め、都内の妊婦の約1割が利用しているという。スマートフォンを使った配車サービスも広がりつつある。タクシーは人口高齢化で需要が増える可能性のある市場の一つだ。政府頼みを脱して、自らの知恵で需要喚起に挑戦してほしい、としている。

UBERで世界中で騒がしい。日本はノーガードで上陸を許し、東京は営業がスタートしている。今でも大きな騒ぎになったことはない。UBERが苦労しているとの記事も見られる。

スマホ配車「Uber」ひっそり上陸の苦 (FACTA ONLINE)

日本交通がすでに似たサービスを提供していたが、利便性が向上したと高い評価を得ていたと記憶している。もっとも、UBERはマッチング、日本交通はタクシーを運営するプレーヤー。立場の違いは大きいが。ユーザーにとっては、どちらでも構わない。
ユーザーにとっては、そういうことだ。規制よりは、安全に、早く、安く、便利になる。競争を追求してほしい。
タクシーで生計を立てている人にしてみれば、生活がかかっている中で、仕事が増えるなら、これまた「どうでもいい」だろう。
なぜ日本でUBERに、他のアジア、ヨーロッパ、アメリカ国内でさえ起きているような騒動が起きないか、グレーゾーンと言われる法規制をかいくぐるようなことをしても、まだ問題が顕在化しないのか、ここに答えがあるように思う。タクシー自体の存在意義が、日本国内で落ちていると言えるのではないか。それは、地方も、都心部も含めて。都心部は他の交通機関に勝てず、地方では自家用車に負けている。規制も、日経の指摘も、そういう意味では論点がボケている。タクシーが目指すべきは規制の問題ではない。マーケットの創造だ。少子高齢化で、ドライバーを止めようという人が増える中、存在意義はあるように思える。ここが兼業農家の食い扶持、というような間違った議論にさえならなければ、タクシーはいくらでも復活できる。少なくとも、他国でUBER騒動が起きるほど、公共交通機関として守るべき大切な選択肢までは。

日本経済新聞・社説
対立鮮明な米の財政論議から何を学ぶか

米国の財政を巡る与野党の対立が一段と強まりそうな気配だ。民主党のオバマ大統領が議会に提出した2016会計年度(2015年10月~2016年9月)の予算教書に野党・共和党が強く反発しているからだ。予算教書は大統領が示す毎年度の予算編成方針。今回の柱は、法人税率の引き下げのほか、格差是正のため中間層を税制面などで手厚く支援することやインフラ投資の強化などが含まれている。だが、上下両院で多数派を占める野党・共和党は「財政再建にも成長強化にもつながらない中身」と激しく批判しており、予算編成は難航しそうだ。「小さな政府」を標榜し、一切の増税を拒否する共和党のかたくなな態度が、政府閉鎖の危機などの混乱を過去に招いたのは確かだ。しかし、その姿勢が一方的な歳出拡大を防ぐ歯止めになってきた面があるのも確かだ。米国と比べてはっきり違うのは、日本の国会では歳出の削減を主張する勢力が強くないことだ。成長力をどう高めていくかの議論も弱いように思える。理論だけに走った不毛な議論に陥っても困るが、経済全体を見回した骨太の論争が望まれるところだ、としている。

いまの状況で他の話題を語ったのは朝日と日経だけだ。日経には、いつもの注文だが、もう少し深く追求してほしい。この内容では、誰も気にも留めない。これならイスラム国を論じた方がまだいいレベルだ。

朝日新聞・社説
対「イスラム国」―国際包囲網に本腰を

過激派組織「イスラム国」が、拘束していたヨルダン軍パイロットを殺害したとする映像がネット上に公開された。親族や市民の悲嘆は察するにあまりある。各国首脳がこぞって非難するのは当然だ。心から哀悼と連帯の意思を表したい。米欧の主要国と日本は、改めて国連安全保障理事会などに呼びかけつつ、組織に対する包囲網の強化に動かねばならない。過激派組織が破壊しようとしているのは、世界が長い歴史を経て築いた人権と自由の価値であろう。それを許さないためにも、各国は民主世界が共有する法治のルールにのっとってテロ対策を進める必要がある。悲惨な事件を機に、日本はヨルダンを含む中東の政府とともに、幅広い民衆とも、互いに助け合うきずなを深める意識を新たにしたい、としている。

産経新聞・社説
パイロット殺害 残虐な集団の正体を見よ

過激組織「イスラム国」に捕まり、後藤健二さんとともに生死を死刑囚釈放要求の脅迫に使われたヨルダン軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉は殺されていた。公開された映像では、中尉はおりに入れられて生きたまま火をつけられた。イスラム国が流した外国人殺害映像でも初めてのむごたらしい手口である。ヨルダンではリシャウィ死刑囚ら2人が処刑された。報復の意味合いもあるとはいえ、あくまで主権国家による法の執行である。イスラム国の勢力圏イラク、シリアと国境を接するヨルダンは対テロ前線国家だ。国際社会は中尉殺害を機に、一層強く同国を支えていかなければならない。安倍首相もヨルダンとの連帯を鮮明にし、「国際社会と連携し人道支援をさらに拡充する」と述べた。日本政府には、ワシントンで今月中旬に開かれる対テロ国際会議で、ヨルダンなどへの支援拡充など、イスラム国壊滅に向けた具体策を提示してもらいたい、としている。

毎日新聞・社説
ISの蛮行 国際的な結束、今こそ

ジャーナリストの後藤健二さんの殺害を宣告したISはその3日後、ヨルダン空軍パイロットのモアズ・カサスベ中尉を殺害したと主張する動画を公開した。おりに入れた中尉を生きながら焼き殺して埋めたように見える。その残酷さもさることながら、ISはヨルダンで収監されていた死刑囚の釈放を求め、要求をのまないと後藤さんの前に中尉が死ぬと警告していた。ヨルダン当局が言うように中尉が3日に殺されたのなら、ISは死者を駆け引きの材料に使ったのだ。ずる賢く、卑劣である。ヨルダンは中尉殺害を示す映像に対し、ISが釈放を求めていた人物ら死刑囚2人の刑を執行し、全面対決の構えだ。オバマ政権は国防費を増額して対ISの軍事作戦を強化することも検討している。戦闘は激化する気配だが、非軍事分野の結束も大事にしたい。米国は今月中旬、テロ対策の国際会議を計画している。どうすればISを弱体化させ壊滅させられるのか。世界が真剣に知恵を出し合う時である、としている。

読売新聞・社説
対「イスラム国」 国際社会は包括的戦略を探れ

邦人人質2人を惨殺したとされる「イスラム国」が、ヨルダン空軍パイロットを殺害したとする映像を公開した。パイロットを檻に入れ、火を放つという非道な手法で、米軍主導の空爆に参加したヨルダンに対する復讐をアピールする。見る者に恐怖心を植え付けようとする冷酷な宣伝戦の一環だろう。オバマ米大統領とヨルダンのアブドラ国王は会談し、イスラム国の壊滅に向けて両国が連携を強化する方針を打ち出した。キャメロン英首相やオランド仏大統領は、イスラム国を強く非難した。安倍首相も、ヨルダン国民との「連帯」を表明している。米国防総省は来年度予算の「イスラム国」掃討作戦費として、前年度比約4%増の53億ドルを要求した。イスラム国の壊滅には、空爆に加えて、イラク軍やクルド人武装組織などに対する訓練や装備面の軍事支援が欠かせない。米国の指導力が求められる。イスラム国に多くの戦闘員が集まる背景には、貧困や格差、政治の腐敗といった中東の根深い問題が横たわる。各国の統治改革を後押しするなど、中長期的な戦略を進めることも重要だ、としている。

なぜ社説を見て報道を比較しているか。各紙の姿勢と核心のメッセージを比較したいからだ。いまの日本国内の新聞は、まったく思考が停止している。この程度の内容なら、報道のみで済ませるに足りる。社説が怒りを見せるならば、その先の戦略がなければならない。メディアとしての最低の姿勢だ。そういう感覚さえ失っているなら、少なくとも報道機関はテロに対峙することは不可能だろう。恐怖と怒りだけを助長する報道を、主張をすぐに止めてほしい。これに気づいているのは、今のところ日経だけだ。3.11の震災、その後の原発の時、あれだけの苦い体験からまだ学んでいない。残念だ。

So, what do you think ?