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2093.報道比較2015.2.4

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当分、イスラム国を意識した報道がつづくだろう。私の懸念は昨日のとおり。集中できない時間が増えるほど、経済最優先の意識が薄れていく。

Wall Street Journal
イスラム国、ヨルダン人パイロット焼殺か―動画を投稿 (2015.2.4)

イスラム過激派組織「イスラム国」は3日、拘束中のヨルダン人パイロット、ムアズ・カサースベさんを焼き殺したとする動画を公開した。過激派組織活動の監視にあたる民間団体「SITEインテリジェンス・グループ」が明らかにした。SITEによると、この22分間の動画はツイッターを介して配信された。イスラム国の勢力拡大に歯止めをかけようとする米国主導の作戦にヨルダン政府が関与したことについての映像に始まり、次にカサースベさんとみられる男性がヨルダンの軍事活動について話している。最後には、おりに入れられたその男性がイスラム国の戦闘員により火あぶりで殺害される場面が映し出されているという。本物と断定された場合、世間の注目を集めた捕虜がイスラム国により焼殺された初のケースとなる。カサースベさんは昨年12月、対イスラム国の空爆作戦に戦闘機で参加中、シリアで墜落し、イスラム国に拘束された、としている。

産経新聞・社説
イスラム国 全ての手段で壊滅させよ

米国防総省は206会計年度国防予算案で、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に対する掃討作戦に53億ドルを計上した。オバマ米政権がこのテロ組織の打倒に一段と本腰を入れだしたものである。非道、卑劣なテロと暴力で国際秩序を脅かす同組織の跋扈(ばっこ)をこれ以上許してはならない。国際社会は一丸となって、早期壊滅に全力を傾ける必要がある。その先頭に立つべきは米国をおいてない。安倍晋三首相は「日本がテロに屈することは決してない。罪を償わせるために国際社会と連携してゆく」と表明し、各国からの強い支持が示された。安倍首相が言明した人道支援の拡充はすぐにも実行できる。イスラム国に直接、間接に脅かされ社会が不安定化しかねないヨルダンなど周辺国を支える貢献策を打ち出してもらいたい。米国は今月半ばワシントンでテロ対策の国際会議を開く。軍事作戦だけでなくイスラム国への資金や戦闘員の流入、過激思想の拡散を断つ包括的戦略が必要だ。
 加えて、米地上部隊投入論も米政権内外にはある。「イスラム国壊滅」を国際公約にしたオバマ大統領には、そのためのあらゆる選択肢を考慮してほしい、としている。

毎日新聞・社説
テロ対策 「喉元過ぎれば」でなく

脅しに対して過剰反応は禁物だが、用心はしなければならない。政府は3日、「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」(本部長・菅義偉官房長官)の会合を首相官邸で開き、海外在留日本人の安全確保やテロリストの入国を阻止するための水際対策の徹底などを確認した。会合では、入国審査の厳格化に加え、空港・公共交通機関や原子力発電所など重要施設の警戒警備の強化が提示された。外務省はISが活動するシリア全土とイラクの大半から日本人の退避を勧告しているが、勧告に強制性はないため、それ以外の方法を検討することにした。外国はどうか。IS関連のテロ対策として英国は、不審者のパスポートを国境で没収する権限を警察に与え、特定路線の搭乗者リスト提出を航空会社に義務付けることなどを検討中だ。また、フランスは2001年の米同時多発テロ後、緊急時は令状なしで住居などを捜索できるテロ対策法を作り、オーストラリアは2003年、具体的な容疑がなくてもテロ関連情報を持つと思えば身柄拘束できる厳しい法を成立させた。来年は日本で主要国首脳会議(サミット)があり、2020年には東京オリンピックも開かれる。「喉元過ぎれば」では困る、としている。

読売新聞・社説
国際テロ対策 邦人保護を多角的に強化せよ

邦人2人を殺害したとされる過激派組織「イスラム国」は、今後も日本人をテロの対象にすると脅迫している。狂信的な犯罪集団であり、道理や常識が通じる相手ではない。触発された他の過激派が日本人を狙う可能性もある。テロの脅威が新たな段階に入ったと認識せねばならない。安倍首相は、在外公館に配置する自衛官の「防衛駐在官」を増員する考えを表明した。一昨年のアルジェリア人質事件後に増強され、現在は約40か国に50人以上が派遣されている。現地の軍当局が持つ機密情報は、自衛官の方が入手しやすい。中東などに積極的に配置すべきだろう。過激思想に傾倒し、武器や爆発物を集める不審者はいないか。捜査当局はネット情報などに目を光らせ、テロの前兆を把握して、迅速に対応することが大切だ、としている。

Financial Times
テロに対する日本の答えが孤立であってはならない (2015.2.2)

イスラム過激派組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」による日本人2人の殺害は、ISISの残忍性と人間の品性への侮辱を表す最新の事例だ。だが、殺害事件には特別な意味もある。平和主義の過去を捨てて、国際的により積極的な役割を担おうとしている日本に与える影響のためだ。首相は、攻撃された同盟国を日本が支援することを禁じる日本国憲法の解釈を変えたいと思っている。より広い意味では、日本が自国を国際舞台における外交的中立国として打ち出す原則を終わらせたいと考えている。賞賛すべきことに、安倍首相は殺害事件に慎重な反応を示した。「テロリストに罪を償わせる」と約束しながら、急激な政策変更を推し進めることはせず、ISISと戦う連合軍への後方支援さえも提供しないと強調した。それでも、安倍首相にとってはリスクがある。最大のリスクが、人質危機への首相の対応が、日本は受動的な国際的役割を維持すべきだとする意見を煽る可能性があることだ。日本の憲法は現在、あまりに制約が厳しく、同盟国が攻撃を受けた場合に日本が支援することを禁じている。このような制約は、日本の受動的な軍事的役割を根本的に変えることなく取り除くことができるはずだ。どんな国民もイスラム過激派の心ない暴力から免れないことを浮き彫りにしている。現時点での日本の対応は、新たな孤立ではなく、国際的な関与に根差すものでなければならない、としている。

どの新聞も、まだピリピリしている。テロリストにしてみれば思う壺だ。恐怖を煽り、注目が高まるほど、戦闘が起きやすくなる。結果、残念ながら賛同者も増える。オウムの時を思い出すべきだ。どれだけ残忍だったとしても、認知が高まれば人は流れる。批判する人を論破する労力はたやすい。注目を集めることへのコストは骨が折れる。マスコミが一番知っている事実のはずだ。
人命救助と安全確保を早急に終えて、対策の担当者を設置する。あとは少しでも早く平時に戻す。それがベストだ。いま起きていることは、犠牲者も含めて、望んでいた結果にまったくなっていない。憎悪と対立ばかりが増幅されている。戦闘や壊滅作戦は兵士がやることだ。新聞が煽ることではない。
海外紙はやはり、このタイミングの日本の動きを見ている。アメリカが平和好きな大統領でよかった。戦争好きなら、いっしょに戦争をさせられているところだ。安倍氏は、想像以上に冷静に動いている。その先に何を見ているだろうか。

朝日新聞・社説
教員わいせつ―悲鳴を埋もれさせるな

わいせつ行為などで処分を受けた小中高など公立学校の教員が2013年度、205人と過去最多になった。文部科学省によると、処分の内容は、強姦や強制わいせつ、隠し撮り、セクハラなど。文科省の調査だと、処分対象の半分近くが自校の児童生徒だ。人を傷つける行為を、教育者が子どもに行う。抵抗できない無力な存在に恐怖を与え、人権を奪う。その卑劣なふるまいは決して許せない。教育に真剣に取り組む教職員全体への信頼も崩れかねない。問題を踏まえ、第三者機関の「子どもオンブズパーソン」をつくる自治体が増えている。弁護士や研究者らが相談を受けて助言し、学校や教委に出向いて解決を目指す。参考にしたい。カギを握るのは予防策だ。生徒との私的なメールを禁じたり、処分で生涯賃金がどのくらい減るかを示す資料をつくったりする教委が多い。だが、これらは本質的な解決策とは言えない。大切なのは教員として子どもの立場に立ち、その思いを理解し、自分の指導を不断に見直すことだろう。多くの教員は児童生徒と共に歩もうとしている。だが、教員が指導の名の下に権力をふるえる存在であることもまた事実だ。そのことを意識しながら、子どもに向き合ってほしい、としている。

この犯罪にあった被害者は、テロリストと同様の恐怖を味わっていると言ったら不謹慎だろうか?イスラム国へと同様の憎悪を受けても余りあるような状況だ。教育委員会の対応レベルは低い。まずは刑事告発だろう。加害者をルールに合わせて処罰し、社会問題として認識させなければシステムも変わらない。学校も教育委員会も怯えるほどの事件にしていくことだ。
こういう場面で、被害者が社会的に不利益を被るとの懸念もあるが、私は誤解を恐れずに言えば、時代が少しずつ変わっていると思う。泣き寝入りする方が、晒されるより哀しい。そう思える時代になりつつあるように思える。それは普通の国になることと同じような痛みだろうが、犯罪者を隠すと、その先に次の被害者が増える。芽を摘み、刑事事件で罪を償わせ、民事訴訟で徹底的に賠償を受ける。その強さを応援できる社会になることを期待している。

日本経済新聞・社説
対立鮮明な米の財政論議から何を学ぶか

米国の財政を巡る与野党の対立が一段と強まりそうな気配だ。民主党のオバマ大統領が議会に提出した2016会計年度(2015年10月~2016年9月)の予算教書に野党・共和党が強く反発しているからだ。予算教書は大統領が示す毎年度の予算編成方針。今回の柱は、法人税率の引き下げのほか、格差是正のため中間層を税制面などで手厚く支援することやインフラ投資の強化などが含まれている。だが、上下両院で多数派を占める野党・共和党は「財政再建にも成長強化にもつながらない中身」と激しく批判しており、予算編成は難航しそうだ。「小さな政府」を標榜し、一切の増税を拒否する共和党のかたくなな態度が、政府閉鎖の危機などの混乱を過去に招いたのは確かだ。しかし、その姿勢が一方的な歳出拡大を防ぐ歯止めになってきた面があるのも確かだ。米国と比べてはっきり違うのは、日本の国会では歳出の削減を主張する勢力が強くないことだ。成長力をどう高めていくかの議論も弱いように思える。理論だけに走った不毛な議論に陥っても困るが、経済全体を見回した骨太の論争が望まれるところだ、としている。

いまの状況で他の話題を語ったのは朝日と日経だけだ。日経には、いつもの注文だが、もう少し深く追求してほしい。この内容では、誰も気にも留めない。これならイスラム国を論じた方がまだいいレベルだ。

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