ORIZUME - オリズメ

2086.報道比較2015.1.31

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週末なので、こちらの興味で羅列してみる。先週、やっぱり大きなインパクトを放ったのはアップルか。

Wall Street Journal
GPIF改革、内閣府副大臣と連合会長が激論―ピケティ氏来日講演で (2015.1.30)

来日中のパリ経済学校教授のトマ・ピケティ氏が28日夜、都内で講演した。数百人の聴衆は日本で広がる所得と富の格差拡大をめぐる話が聞けるものと思っていたようだ。ところが実際に見られたのは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の今後のあり方について、内閣府と連合の幹部が真っ向から持論をぶつけ合うシーンだった。ピケティ氏は28日、西村康稔内閣府副大臣と共にパネル討論に参加。西村副大臣は不平等をめぐる議論で、1兆3000億円という巨額資産を運用するGPIFを取り上げた。安倍晋三首相率いる政府は、GPIFの資産構成を見直しリスク資産の割合を増やすことを最優先事項に掲げている。GPIF改革をめぐっては、株式の運用比率引き上げは株価押し上げを狙った安易な策との批判もある。自民党議員らは、GPIFの運用成績が向上すれば、ストックオプションを大量に持つ企業役員でなくとも、全国民が金融市場の改善による恩恵を受けられると指摘してきた。第1次安倍政権が誕生した2012年末以降、日経平均株価は70%上昇している。労働組合の中央組織である連合の古賀伸明会長は講演の最後に、こう言い放った。「西村副大臣、GPIFは出して欲しくなかった。年金積立金というのはそのほとんどが労使で積み上げてきた、労使が供出したお金です。それをあまりリスクの多い投資に回すにはいかがなものかなというふうに思う。供出している労使の人の意見をきちっと反映できる、そんな体制にしなければわれわれは自分たちのお金が非常に高リスクの資産に取り入れてしまうというのは反対するだろう」会場から期せずして拍手があったのはこの時だけだった。この議論でピケティ氏がどういう立場を取ったかというと、以下のように言ったのだ。「米国の大学基金が行っているハイリスク投資や高度なデリバティブ(金融派生商品)の類いが、公的年金基金にとってそれほど良いアイデアかは定かではない」としている。

この場を体験したかった。爆笑でなく拍手だったことが日本人らしい。ピケティ氏が何をしに来たのか…きっと書籍のプロモーションだろう。書籍には大いに興味があるが、いくらノーベル賞が期待できるほどの素晴らしい実績のある著者であったとしても…日本の現在の状況にはお手上げのようだ。まずは議論の仕方や本質を突き詰める方法をピケティ氏から学んだ方がいいだろう。
Wall Street Journalは、GPIF関連で、他にもいくつかの記事を以前から提供している。

これを見て感じるのは、意思決定の段階でブレていることだ。こんな人たちに年金を任せたら何が起きるか…

  • 無責任に運用して元本割れを起こし、責任問題が噴出する。最後には税金で穴埋めする。(どちらにしても国民が無責任な組織運営の責任を取らされる。)
  • いくらリスク投資を進めると言っても安全な運用しかできず、結局運用成績は上がらない。信託報酬が上がるだけ。金融機関が得をしただけの結果が問題視される。

まあ、こんなところだろう。疲れるだけ無駄だ。意見がまとまらない、国民さえ反対しているなら、やめておいた方がいいだろう。なぜ無理に今やるのか?アベノミクスの成功を誇示するために、ムリに株価を上げたいだけではないか。

朝日新聞・社説
年金額の抑制―低所得者対策と一体で

年金額が16年ぶりに引き上げられることになった。実施は新年度から。だが、物価の伸びほど年金額は増えない。理由は、保険料を払う若い世代の減少を年金額に反映させる「マクロ経済スライド」が初めて適用されるからだ。この仕組みは、2004年の法改正で導入された、年金額の抑制ルールだ。物価と賃金のうち低いほうの上昇率を見て、それより下回る幅での引き上げにとどめる仕組みだ。いまの高齢者への給付に将来分の原資を使っている格好で、その分、将来の水準は下がる。厚労省が昨年出した試算によると、インフレ時を想定したいまの抑制ルールを適用しても30年後に厚生年金は2割、国民年金は3割下がる。今後再びデフレが起これば、将来の給付水準はさらに低くなる。若い世代が老後を迎えたときの「生活の安心」が底上げされれば、いま保険料を支払う納得感にもつながる。年金額が低い人に最大で月5000円支給する制度ができてはいるものの、消費税率の10%への引き上げ先送りによって支給開始も先送りになった。こうした手立てが確実に実施されなければ、抑制ルールの見直しに対する納得は得られない、としている。

GPIFの議論の後にこの話を聞くと、マジメに解決しなければならない問題の方が、まだまだたくさんあることを思い知る。借金まみれになっている人が「株で稼ぐから」と言って信じるだろうか?まずは借金の減らし方を考えること。働いて稼ぐこと。当然だろう。
国家破綻は起きるのか、起きないのか。年金は破綻するか、しないのか。そのどちらかを論じるのは無駄だ。起きた時の対処策を考えて、起きなければ笑う。それが理想的だろう。

読売新聞・社説
邦人人質事件 ヨルダンとの連携を大切に

過激派組織「イスラム国」とみられるグループが指定した人質殺害の期限が過ぎた。今後の展開は予断を許さない。政府は、ヨルダンと緊密に連携し、後藤健二さんの救出に向けて総力を挙げるべきだ。ヨルダン政府は、パイロット解放を条件に、死刑囚釈放の用意があると表明した。死刑囚は同時爆破テロの実行犯だ。人質の命を優先し、超法規的措置を取るという厳しい決断をしたのだろう。後藤さん救出は今が正念場だ。日本政府は、情報収集や関係国との調整に、従来以上に緊張感を持って取り組んでほしい。野党の一部議員は、安倍首相の中東歴訪やイスラム国対策の2億ドル支援表明が過激派を刺激した、と批判する。だが、そうした批判は、日本の援助の趣旨をねじ曲げ、テロ組織を利するだけだ、としている。

手詰まり。新聞で触れたのは読売だけ。しかも内容は空っぽだ。政府から情報がなければ何も論じられない。「社説」と言えるような意志は、重要事項になるほど甘い。部数ナンバーワンの読売がこれでは…
やはり、海外紙に目を向けなければ危険だ。日本の新聞の能力は、取材、分析、表現…どれを取っても期待に応えられていない。広告を届けるだけのチラシと同じ存在になってしまった。この状況では私たちは情報不足と判断能力を失う。今までは取材と分析は、明らかに新聞が上だったが、より一般人のコンテンツの方が、あらゆる点で価値を持つ。その時期が近づいている。

毎日新聞・社説
ウクライナ緊迫 逆戻りは許されない

和平を模索していたはずのウクライナ東部と南部で、激しい戦闘が再燃している。親ロシア派武装勢力とウクライナ政府軍の衝突による死者は今月だけで約300人に上り、昨年9月の停戦合意は破綻した。ロシアと欧米の対立も一気に緊迫している。逆回転を始めた時計の針を一刻も早く止めなければいけない。米国や欧州諸国は、親露派がロシアの支援で戦闘能力を急速に向上させているとみて、ロシアが戦闘の沈静化に協力しなければ対露制裁を強化する方針を打ち出した。ロシアはウクライナ介入を否定し続けている。プーチン大統領は、ウクライナ政府側の部隊の中核は「民族主義者の義勇兵」から成る「北大西洋条約機構(NATO)の外国人部隊」であり、その目的は「ロシアの抑え込み」だとして欧米への敵意をむき出しにしている。ウクライナ側も、最高会議(国会)がロシアを「侵略国家」、親露派を「テロリスト」と決めつける声明を採択するなど強硬姿勢を強めている。国連によると、昨年4月の戦闘開始からの死者数は5000人を超えた。これ以上の犠牲は許されない、としている。

読売同様、もう少し踏み込んだ主張か考察がないと「毒にも薬にもならない」とはこの事だ。
春を待っている。プーチン氏の動きにそんな印象を受ける。もうひとつプーチン氏が待っているとすれば、アメリカの何らかのミステイクだ。いまのアメリカには勝てない。だが何かが起きれば、世界経済は一瞬で冷え込む。ヨーロッパも日本もリセッションに入った。冬は動けない。春が来たらどれだけのことができるか、徐々に探っているのではないだろうか。オバマ氏は「去年、プーチン氏を世界が天才だと思っただろうが、今はどうか?」と言っていたが、追い込まれているだけで恐れなければならない相手のままだ。春にまた紛争が再燃しないか心配だ。

Financial Times
空前の好決算、アップルは膨らむ期待に沿えるか (2015.1.29)

企業史上最大となる利益を出した四半期の後、どう先へ進むのか――。これが米アップルの上にのしかかる疑問だ。アナリストらは、アップルの継続的な人気は大型スマホに対する繰延需要によるところが大きいと見ている。大型スマホは昨年9月まで、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を使うサムスンなどのメーカーしか販売していなかった。クック氏は27日の決算発表の電話会見で、iPhone 6とそれ以上に画面の大きい「6 Plus」は、アンドロイド端末から乗り換える「スイッチャー」と初めてアップルのスマホを買う新規顧客の双方を引きつけ、その数が記録的な数に上ったと語った。4月の「アップルウオッチ」の投入は、販売をさらに後押しすると見られている。たとえそれが、iPhone所有者にアップルブランドにとどまる新たな理由を与えるだけだとしても、だ。顧客の忠誠を促すもう1つのサービスが、決済サービスの「アップルペイ」だ。米国の非接触型決済の3件に2件はiPhoneを使って行われており、クック氏は、このお財布携帯アプリを利用できる国が間もなく増えると示唆した。クック氏は、成長を維持する方法についてアナリストからの質問をさばき、アップルの将来展望について「極めて強気」に感じていると述べた。もしウォール街の熱意が結果を出すアップルの能力の先を行き始めたら、こうした自信が裏目に出るかもしれない。「彼らが好調になり始めると、誰もが奇跡を期待し始める」とドーソン氏は言う、としている。

相変わらず、注目を集めるのがうまい。クック氏は自分の得意なやり方で、前年の失敗を修正した。私を含め、懸念しているのはまたアップルを長く見てきた人たちだけかもしれない。ビジネスは本当に上手になった。イノベーションは起きていないが、ブランドとシェアは大きくなっている。そういう人たちにとっての答えが、この春のApple Watchなのだろう。すでに「上手だな。失敗をリカバーしやすいようにしてある」と私は見ている。Apple WatchはGoogle Glassのような大コケはしない。市場がどちらに転ぶのか、ユーザーがどちらを望むのか、その行き先を見定めながら進めるように、柔軟で周到な準備がもうしてある。そのためのキャッシュも、他のドル箱商品も準備している。当時よりイノベーションの規模は大きくなくなったと感じるが、iPhoneのインパクトが大きすぎた。私はそう理解するようにしている。モバイル。このデジタルの歴史でも画期的なイノベーションを着実にアップデートしていく。これだけでも至難の技だ。今のところ世界でこれを一番うまく実行しているのが、Appleだ。

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