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2028.報道比較2014.12.20

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映画をめぐって北朝鮮とアメリカが見えない戦争をはじめた。これが新時代の紛争のあり方か。対して日本はSTAPを薮の中に。世界が失笑し、無視している。

Wall Street Journal
正恩氏暗殺映画、米政府が買い取れ-北朝鮮への報復方法 (2014.12.19)

米政府当局者は、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)に対するサイバー攻撃は北朝鮮の仕業だと考えている。同社が製作したコメディー映画「ザ・インタビュー」を上映中止に追い込んだ脅迫も、恐らくそうだという。部外者はそれほど確信が持てないが、米国は他国が持っていない証拠をつかんでいるらしい。オバマ政権が証拠に確信を持っているのであれば、次の問題はどんな行動を取るかだ。米政府が映画の製作費4400万ドル(52億円)の全額を肩代わりすることになったとしても、非常に有意義な金の使い道だろう。金正恩政権が対SPEサイバー攻撃の背後にいたとすれば、SPEに巨額の損失を負わせたうえ、表現の自由を妥協させることで勝利を収めたことになる。これに味をしめて北朝鮮がさらに危険な挑発行為に出る恐れがある。米政府は北朝鮮の勝利を「オウンゴール(自殺点)」にひっくり返すとともに、西側諸国が脅しに屈しないことを示すべきだ。われわれは、米国の対北朝鮮政策は金王朝の崩壊を目標にすべきだと長らく主張してきた。ユーモアは独裁政権に対する最も強力な武器の一つだが、諸国の政府は意図的なコメディーが得意ではない。今回はセス・ローガンとジェームズ・フランコという2人の俳優がコメディーの仕事を果たした。オバマ政権は、この映画を世界中の人々が見られるようネット上で公開することに一役買うことができる、としている。

産経新聞・社説
米ソニー映画中止 表現封じる脅迫を許すな

北朝鮮の金正恩第1書記暗殺計画を描いた、コメディー映画「ザ・インタビュー」の米国公開がテロ予告を受けて中止に追い込まれた。米政府当局は、犯行に北朝鮮が関わったことを強く示唆している。映画の内容にどんな不満があれ、脅迫によって上映を阻止するような行為は許されない。映画を製作したソニーの映画子会社、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)は11月、ハッカー攻撃を受けてコンピューターシステムがダウンし、従業員の個人情報や未公開の映画5本がネット上に流出した。同社幹部の人種差別的発言や、映画プロデューサーによる女優の悪口を含むメールも公表された。米国家安全保障会議(NSC)のミーハン報道官は「政府は言論・表現の自由を脅かし制限する企てを極めて深刻に受け止めている」とし、「犯人を処罰する」と述べた。捜査を徹底し、国家の関与の有無など、犯行の全容を明らかにしてほしい。脅迫が要求達成に有効であるとの悪しき前例となることを危惧する。ハッカー攻撃を許したセキュリティー面にも不備がなかったか、検証を徹底すべきだ、としている。

奇妙な形で日本も「ソニー」というだけで巻き込まれているが、少しだけ注意した方が良さそうだ。国柄がすっかり現れている。何でも自国の利益に変えるカードにすり替えるアメリカ。冗談が本気で通じず、死刑さえありうる北朝鮮。いつの間にか巻き込まれて貧乏くじを引く日本。そう見えないだろうか?後始末やカネのかかるところにだけ、アメリカも北朝鮮も日本を巻き込もうとする気がする。アメリカも、北朝鮮も、これを「チャンス」と見ていることに注目すべきだ。アメリカは北朝鮮に行動を起こせるカードを手に入れた。北朝鮮もアメリカに調査で協力するとのメッセージを送った。請求書だけ「総責任者はソニーですよね?」と届かないといいが。

朝日新聞・社説
STAP問題―多方面への教訓生かせ

理化学研究所がきのう、STAP細胞の検証実験打ち切りを発表した。理研は今年1月、「まったく新しい万能細胞の作製に成功した」と華々しく発表したが、ネット上で不正が発覚し、やがて論文は撤回された。理研は、論文に書かれた現象が再現できるかどうかの実験を続けたが、万能性を示す細胞は確認されなかった。「世界的な大発見」は幻と消えた。STAP問題の研究者の未熟さを指摘する声は多い。だが、不正が見つかったのは何もこの研究者だけでも、理研だけでもない。東京大の著名な教授など多くの別の不正も近年相次いでいる。個別の人物や研究機関ではなく、研究社会全体の問題として改善を図るべきだ。多くのメディアも若い女性科学者が主役という物語に飛びついた。だが「わかりやすさ」に媒介されて増幅された報道は、不正発覚とともに逆に大きく振れた。朝日新聞を含むメディアにとっても自戒が必要だ。科学界と社会の間には、科学的な意味合いや冷静さを置き去りにしない、健全なコミュニケーションを築く努力が必要だ、としている。

毎日新聞・社説
STAP否定 論文不正の全容解明を

小保方晴子氏が実施した検証実験でSTAP細胞は作製できなかったと理化学研究所が発表した。これとは別に理研のチームが進めていた検証実験でも作製できず、実験は打ち切られた。小保方氏自身が論文通りの方法でSTAP細胞を再現できなかった以上、当然の判断だろう。理研は、残された論文疑惑について調査委員会を設けて調べている。「作製できた」とされた細胞は何だったのか。その裏付けとして論文に掲載されたデータや図表は何を示しているのか。どういう経緯で論文が発表されるに至ったのか。その過程で、それぞれの共著者がどういう役割を果たしたのか。こうした不正や混乱を二度と起こさないためにも、徹底して全容を解明し、説明責任を果たしてほしい。STAP論文は仮に正しかったとしてもマウスでの基礎研究に過ぎない。にもかかわらず、大々的な広報も手伝って再生医療への期待につながった。それが、理研や政府の対応に影響した可能性がある。背景には短期的な応用を重視する日本の科学技術政策もあったはずだ。今回の問題を基礎科学のあり方を再考するきっかけともしたい、としている。

日本の品質が落ちていると感じさせられる結末だ。責任を置き去りにして、去れば、事は終わりと位置づけようとする。捏造とも思える未完成な状態で世界に発表し、取り下げることよりも、結論と対策を見出さずに闇に葬ろうとすることに、相変わらずの未熟さを感じる。会社よりも個人に責任を負わせようとする部分にも大いなる違和感がある。数か月経つと、テレビがこの問題を茶化しはじめる。笑って忘れる。そんな無責任を伝播させる構図をメディアが助長している。不真面目だ。

Financial Times
共有経済はリスクも共有しなければならない (2014.12.18)

今年はウーバーの年だった。「すべての人がウーバーされる(Ubered)ことを心配し始めている」。広告大手ピュブリシスの最高経営責任者(CEO)、モーリス・レビ氏は今週、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)にこう語った。何十万人ものフリーランサーがタクシーを運転し、部屋を貸し出し(Airbnb=エアビーアンドビー)、洗濯物を洗い(Washio=ワシオ)、その他のサービスを提供するのをオンラインプラットフォームが調整するシェアリングエコノミー(共有経済)が到来した。最も大きな不確実性に直面しているのは労働者だ。個人事業主やベンチャー企業、1人の「マイクロビジネス」が労働人口に占める割合が高まるにつれ、労働者は以前より自由になり、以前より大きなリスクを抱えるようになっている。ニューヨークに本拠を置く団体フリーランサーズ・ユニオンは、米国では5300万人――労働人口の3分の1――が少なくともある程度フリーランスの仕事をしていると推定している。この中には、運転手や建設作業員などの請負労働者2100万人と、フルタイムの仕事を持ちながらアルバイトをする人1430万人が含まれている。後者の3分の1は、完全に個人事業主になることを検討したという。安心できる唯一の方法だという理由でフリーランサーに直接雇用への転換を強いるのではなく、フリーランサーが自分の好む形で働くことを支援するためには、長期的な変化が必要だ、としている。

来週頃に各紙から出る、2014年総括の記事かと思ったが内容はまったく違った。シェアリング・エコノミーへの対応が急がれる、という主旨だ。
結論から言えば、ここへの対策が2015年以降の新たなビジネスの種になる。私はまったく興味を感じないが、次にいるのは保険、金融あたりだ。個人的には興味は感じないが、誰かが素人がやっているビジネスを管理、監督しないと伸びない。自己申告は信じられない。キュレーションも広告を考えるとワークしない。団体を作り、加入させ、事故が起こったらそこが損害保険を払う。加入していない人は信頼を失う。そういう仕組みに落ち着くだろう。UberにとってもAirBinBにしても、いいビジネスモデルだ。マネタイズが一気に加速する。さらに強い胴元になれる。
シェアは、忘れられているだけで、現実世界がたどった歴史を繰り返しているに過ぎないのだろう。タクシーや宿屋がはじまり、消費者に知らしめる広告屋、代理店が生まれる。仕事を斡旋するものが現れ、質が落ちてトラブルが生まれ、協会や保険が生まれる。国も認可や徴税がしやすくなってラクができる。その先に何が起きるか?また規制まみれになる。
UberやAirBinBの登場には衝撃を感じたが、これはトラブるな、と誰もが予測したはずだ。だからしっかりやる、念には念を入れるようなスタイルを期待していたが、どちらの会社もマーケティングでうまく乗り切ろうとしている。それは墓穴になる。こういうプレーヤーが増えると、アメリカのITがまたクラッシュに近づいている危うさを感じる。急がなければ、新たなエコノミーになれるだろうが、このままでは….

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