ORIZUME - オリズメ

1949.報道比較2014.10.24

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カナダで起きたイスラムによるテロを社説に載せられたのは産経のみ。他紙はおそらく「間に合わなかった」と推測する。明日になるのだろう。産経はスピード感が出てきた。取材力と粘りは十分。あとは思想と表現に適切なブレーキが機能すれば、他紙に先んじるだけのパワーを秘めている。

産経新聞・社説
カナダ議会銃撃 テロの拡散に警戒強めよ

イスラム過激思想に染まった男が、カナダの首都オタワの戦没者慰霊碑を警護中の兵士1人を撃ち殺し、さらに連邦議会の議事堂で銃撃し、警官隊に射殺された。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」への空爆参加を承認した議会などを狙ったテロとみられる。同組織掃討に直接、間接に加わる国々は危機意識を新たに、「内なるテロ」への警戒を強めなければならない。日本は有志国を支持し、人道支援を申し出ている。
容疑者は最近イスラム教に改宗したカナダ人で、当局は、この男がイラクとシリアで勢力を拡大させる「イスラム国」に合流する恐れがあるとして出国を阻止していた。カナダでは、この事件の2日前にも、東部モントリオール近郊の軍施設の近くで、カナダ人の男が兵士2人のうち11を車でひき殺し、射殺されている。テロの拡散は、ネット社会を通じた情報のグローバル化によっても加速している。テロの拡散を防ぐために国際的な協調体制を強化しつつ、国内の警戒も強める必要がある、としている。

新聞なら無視することはできない事件だ。アメリカにも相当な緊張が走った。おそらく他紙は間に合わなかった。産経だけが先んじた。このスピードは、強烈なパワーになりつつある。マイクロソフトとの提携を解消してからの変貌に、非常に魅力を感じる。
ISISは戦地だけでなく、世界を恐怖に陥れる可能性を秘めはじめた。テロとの闘いが世界に伝播する。各国で宗教戦争のようなことが起きれば、弾圧や排斥につながる。あまり考えたくない息苦しい未来だ。ISISの想定しているゴールが見えない。そんなことを思考するレベルの集団には見えないが、彼らの悪意は最近起きた紛争の中で最も不愉快だ。世界が協力して排除すべき思想だろう。憎悪まみれのやり方では、どんな交渉も条件も世界は認めないだろう。

朝日新聞・社説
降格違法判決―妊娠を不利益にしない

妊娠を理由に降格させることは、よほどの事情がない限り、認められない。最高裁がそう判断した。広島市内の病院に勤める理学療法士の女性は、就職後10年で管理職の副主任になった。2008年、妊娠がわかって負担の軽い業務に変えてもらえるよう願い出たところ、異動後に副主任の役職を外された。最高裁は、本人の意に反して、妊娠を理由にした降格が許されるのは、雇用主がやむをえない事情を説明できる場合に限定した。納得できる判断だ。厚生労働省によると、都道府県労働局に昨年度、妊娠・出産に伴う雇用主による不利益な取り扱いや健康管理をめぐる相談が3000件以上寄せられた。これも氷山の一角で、不本意ながら受け入れているのが多数ではないか。最高裁が厳格な基準を示した以上、各企業は自らの姿勢を問い直してみるべきだろう。妊娠中や出産後にどう働くかは、職場の理解や協力によるところが大きい。カバーする負担が一部の人に集中して別の無理をうむことがない、職場環境の工夫も不可欠である、としている。

毎日新聞・社説
妊娠で降格 マタハラを防ぐ社会に

妊娠をきっかけにした配置転換で女性労働者を降格させた事業者の姿勢を、最高裁が厳しく批判した。広島市の理学療法士の女性が、勤務先の病院を訴えていた裁判だ。近年「マタニティーハラスメント(マタハラ)」という言葉が使われる。働く女性が妊娠や出産を理由に不利益を受けたり、職場で肉体的、精神的な嫌がらせをされたりすることを指す。意に反した降格もマタハラだと女性は主張していた。2005年に次世代育成支援対策推進法が施行され、2011年からは従業員101人以上の企業は従業員の仕事と子育ての両立を図る施策の策定と、労働局への届け出が義務づけられた。育休の取得率など個別目標も設定されるため、実際に育休を取る従業員が増えたとされる。一方で、厳しい競争環境の中で職場にゆとりがなく、カバー体制などが不十分だ。マタハラを生む背景として考えられる。女性の登用を阻む要因として、時間外労働や、進まない在宅勤務制度が挙げられるが、マタハラにも通じる。男女を問わず働き方を変える仕組みを企業が整備することが、女性への差別をなくすことにつながる、としている。

この裁判に関しては何のコメントもない。いまの時代に被告が取った行動が許されるはずもない。最高裁まで争う内容ではない。
社会が求めているのは、いまやフェアであることだ。人を貶めてまで稼ぐことも、鞭打った重労働の上に成り立っているサービスも、条件の悪い雇用も、どれもが許されない。経営がしずらくなった?そんなことはない。そういう人は、労使も、商売もゼロサム・ゲームと考えているのだろう。その発想こそ古い。もはや世界は獲り合い出はない。シェアであり、ウィン・ウィンであり、チームだ。競争はあっても、恨み合うような闘いではない。ライバルだ。

Wall Street Journal
日銀、インフレ率1%割れの可能性高まったと意識 (2014.10.24)

日本銀行は、インフレ率が1%を割り込む確率が大幅に高まったとみている。日銀の事情に詳しい関係筋が明らかにしたところによると、原油安がインフレを下押ししているためで、追加緩和をめぐる市場の臆測が再燃する可能性がある。向こう2年程度でインフレ率を2%で安定させるという日銀の目標からすれば、原油安による影響は円安効果を上回り、日本をデフレから脱却させるという日銀の責務達成を遅らせることになる。金融市場は日銀が再び行動を起こす可能性を探るため、向こう数カ月の消費者物価指数(CPI)の動向を注視している。価格変動の大きい生鮮食品と4月に実施した消費増税の影響を除くCPIの上昇率は8月に1.1%と、直近のピークをつけた4月の1.5%を下回った。原油価格はここ数カ月で20ドルあまり値下がりしている。アジア市場の指標となるドバイ原油価格はこの日の取引で3ドル安の1バレル=82.30ドルとなった。関係者の1人によると、日銀は原油価格が10ドル下落するとCPI伸び率が0.1ポイント低下すると推計している。関係者らは、最近の原油安が世界経済のさらなる減速を示す兆候であれば、輸出の改善が見られ始めている日本経済にとってマイナスになると指摘した、としている。

不思議だが、日銀は原油安が日本経済にとってはネガティブらしい。インフレにしたいとの意向はわかるが、このあたりになると現実とは乖離している気がする。マクロのことはやはりムズカしい。素人は、なぜ賃上げが起きないのにインフレを期待するのかが判らなくなってきている。これは日銀の問題ではなく政治の問題化もしれないが。この不信感が拭えない限り、アベノミクスの未来は暗い。

Financial Times
中国のレアアース支配に陰り (2014.10.21)

米国防総省の元アドバイザーによると、中国がレアアース(希土類)の国際市場における支配を維持する可能性は低いという。ユーザーがレアアースの消費の効率性を高めるとともに、代替的な調達先を見つけたためだ。中国以外の供給は、ランタンやプラセオジムなどの軽レアアースの方が、ジスプロシウムやユーロピウムなどの重レアアースより手に入りやすい。だが、相対的に供給量の乏しい重レアアースについては中国の輸出制限が完全な効力を発揮せず、政府の制限にもかかわらず、小規模な生産業者が他国に売り続けた。また、今では中国国外の加工能力が増えている。フランスのロディアは、モリコープとライナスから供給される鉱石から重レアアースを抽出することができる。経済性がもっと高ければ、中国以外の重レアアース生産は増える可能性がある。世界の供給量に対する不安感が薄れると、レアアースの価格は急落した。ライナスによると、例えば酸化ランタンの価格は、2011年の1キロ16.26ドルから2014年第2四半期の同3.24ドルに下落した。その結果、モリコープは2012年に4億5000万ドルの損失、昨年は3億8600万ドルの損失を計上した。ライナスも苦戦している。だが、もし中国が再びレアアースの輸出を制限しようとすれば、これらの施設の収益性は高まるだろう、としている。

中国にはまた逆風だ。どんなに圧倒的なシェアを持っていたとしても、世界は支配などできない。特に経済においては。新しい技術が、別の生産者が、再利用の流通が、支配を排除する。マイクロソフトでも、デビアスでも、やはり独占はできない。中国にはまだ経験が不足しているようだ。

日本経済新聞・社説
次世代の移動通信技術の開発に注力を

通信速度が現在の100倍になる次世代の移動通信技術の開発が始まった。第5世代(5G)の技術と呼ばれ、機械や装置をつなぐ手段として期待が高い。日本は携帯市場で外国勢に押されているだけに、積極的に取り組みたい。次世代技術はデータ通信速度が毎秒10ギガ(1ギガは10億)ビットと、光ファイバー網の100倍。一つの基地局で今の100倍の端末を処理できる。消費電力も半分から3分の1となり、産業分野など様々な用途が見込まれている。特に信号が届くまでの遅延時間が10分の1に短縮されるため、センサー情報などの伝達に向く。身に着けるウエアラブル端末や自動車、ロボット、産業機械など、日本が得意とする製造分野を強化する新しい通信技術となる。次世代技術の実用化には新たな周波数の手当ても要る。総務省は携帯電話などに使う周波数を20年までに3倍に増やす計画だ。それには行政が使用している周波数も含め、利用効率の低い電波を洗い出し、新たな用途に振り向けられる政策の導入が欠かせない。日本の情報通信産業が再び国際競争力を取り戻すためにも、第5世代技術への取り組みに力を注ぐべきだ、としている。

強く期待するとともに、ガラパゴス化にだけは最初から気を配って欲しい。やはり新幹線も懸念したとおり、独自技術としての障壁を越えにくいようだ。世界はベストの技術を求めてはいるが、オリジナルでクローズな技術では、もう通用しなくなっている。特に通信は世界で使われてこその技術領域だ。配慮して欲しい。

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