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1758.報道比較2014.6.7

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失われた20年の長さを、改めて感じる。中国はここまで大きくなった。ウクライナを不幸そうに見つめるわけにはいかない。それ以上にしぼんでいるのが日本だ。

Wall Street Journal
中国軍、世界的規模で米国に対峙へ―国防総省報告書が警告 (2014.6.6)

米国防総省は5日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表し、中国が軍事費を急速に拡大させており、同国の影響力は高まり、世界規模で米国に対峙する方向に向かっているとの見方を示した。報告書によると、米国の軍事費は減少している一方、中国はステルス機やサイバー兵器、武装無人機の開発のほか、海軍の増強に巨額の支出を行っている。先にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議では、中国軍の高官が米国のアジアでの行動によって中国は敵対的にならざるを得なくなる恐れがあると警告したのに対し、ヘーゲル米国防長官は中国が「周辺国をかく乱する一方的行動」をとっていると非難した。国防総省によれば、中国の2013年の軍事費は1450億ドル(約14兆7900億円)超と推定されている。国防総省は、中国空軍について「前例のない規模で積極的に近代化を進めており、西側との能力の格差を急速に埋めている」と分析した。ただ、中国はステルス戦闘機を開発しようとしているものの、数多くの課題に直面していると指摘、少なくとも5年間は克服できないだろうと予想している。報告書はまた、中国が軍事費を拡大させている主因は依然として台湾問題で、同国は台湾に対し高度な軍事行動を起こす能力を一段と高めたと分析している、としている。

アメリカが徐々に中国の脅威に苛立ちを隠せなくなっている。日本がGDPで中国に抜かれた時のような、堪え難い屈辱感と現実。いつか受け入れることになると知りながら、現実になった時に大きな失望が隠せない。ステルス戦闘機の実現に5年も要するだろうか?たとえば無人機で先を越されることはないだろうか?アメリカが考えたこともないような、さらに効率的で現実的な戦術を中国が考案することはないだろうか?国防費で中国がアメリカを追い越す日は、まだ予想もできない。だが、武力で中国をアメリカがロシア以上に仮想的に位置づける日は、そう遠くはないだろう。日本がなぜいま、集団的自衛権や憲法改正を急いでるのか。答えは案外、アメリカが求めただけという、シンプルな理由かもしれない。

日本経済新聞・社説
欧州の再生に金融緩和だけでは不十分だ

欧州中央銀行(ECB)が追加的な金融緩和策を決めた。政策金利を過去最低の年0.15%に引き下げたほか、民間銀行が中央銀行に余剰資金を預ける預金にマイナス金利を導入した。日米を含めて主要国では前例がない異例の措置である。慢性病を簡単に根治する魔法はない。耳目を集めるマイナス金利などでECBがいくら策を尽くしても、肝心の域内の資金需要は弱いままである。民間銀行が積極的にリスクをとって企業や個人への融資を増やすとは限らない。南欧諸国を中心に、銀行の資産内容は、まだとても健全といえる状態ではない。むしろECBの本音は、意欲的な緩和姿勢を印象づけることで、ユーロ安を誘導する点にあるとみられる。痛みを伴う構造改革に挑み、ユーロ圏への信頼を回復するのは、加盟各国の政府の責任である。大胆な緩和策を発表したドラギ総裁は「これで終わりではない」と語り、量的緩和など金融政策の次の一手に含みを残した。ECBだけでなく、各国政府にも大きな仕事が残っている。競争力の強化と成長に向けて、果敢に行動を起こさなければならない、としている。

読売新聞・社説
マイナス金利 デフレ阻止に動いた欧州中銀

欧州中央銀行(ECB)が大胆な金融緩和策を打ち出した。政策金利を過去最低の年0.15%とし、民間銀行がECBに預金する際に適用する金利は0%からマイナス0.1%に下げる。主要な中央銀行でマイナス金利を採用するのは初めてだ。マイナス金利になるとECBに資金を預けた銀行は「手数料」のように金利を払うことになる。銀行がECBに預けている余剰資金を企業融資に回し、景気を刺激する効果が期待されている。低成長とユーロ高の影響で、ユーロ圏の消費者物価上昇率は「2%近く」としている物価目標を大きく下回り、8か月連続で1%を切っている。このままでは、長期にわたり円高とデフレ不況に苦しんだ日本の二の舞いになりかねない。そうした危機感がECBに異例の緩和策を決断させた理由だろう。マイナス金利の導入については、民間銀行の負担が増し、銀行の財務悪化による融資の抑制や、貸出金利上昇などにつながりかねないとの指摘もある。世界経済の安定に向けて、欧州の成長をどう回復するか。ECBの政策運営が問われる、としている。

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チャートを見てもらえば判るとおり、ドラギ氏の発言の瞬間はショックが起きたが、その後はまた収束してしまった。ここまで意味深な言葉でマーケットをはぐらかしたことが逆効果になっている。ユーロ安に誘導したいとの日経の読みは正しいだろう。いまの景気見通しならドル、円、ユーロの順で価値が高まりそうなはずだが、逆の状態だ。輸出で食べているヨーロッパは、日本以上に通貨安を望んでいるだろう。マイナス金利という異常事態がどういう結果を生むのか。興味深く見ていたい。もし効果を示せば…日本もやるに違いない。

Financial Times
ワルシャワとキエフの格差に見る旧共産圏の分断 (2014.6.4)

ポーランドとウクライナの違いは歴然としている。両国は人口にそれほど差がなく、1990年までは政治経済のシステムも似ており繁栄のレベルも似通っていた。ポーランドの改革派は「ショック」療法を受け入れ、価格統制の廃止や貿易の自由化に踏み切り、通貨の交換性を回復させ、国営企業への補助金を削減した。片やウクライナでは独立後の13年間、共産主義体制時代の生き残りである2人の大統領がその座を維持した。民営化や、市場経済体制への移行もいくつか実行されたが、抜本的な構造改革は何度も先送りされた。歪んだ民営化から巨額の富を得たオリガルヒ(新興財閥)が、政治への影響力を獲得したり、政治システムの転覆を試みたりできるようになった。ポーランドの昨年の人口1人当たり国内総生産(GDP)が1万3394ドルだったのに対し、ウクライナのそれは3919ドルだった。ポーランドは安定した、欧州連合(EU)の中においても比較的繁栄している国だ。片やウクライナは、過去10年間で2度目の革命に直面したばかり。クリミアをロシアに奪われたうえに、政府に不満を抱く市民が国の最東端の各州でロシア政府の支援を得て起こした反乱にも手を焼いている。欧州の政治モデルを広げようとする努力は、ロシア政府とその味方から一段と強い抵抗に遭っている。ウクライナの戦いは、欧州の新しい境界線がどこに定められるか、という問題だ。ポーランドの東部国境沿いか、ウクライナの東部国境沿い、あるいはその中間のどこかに線が引かれることになる。ワルシャワで祭典が行われるなか、オバマ氏の連帯のメッセージは時宜にかなっている。4半世紀経った今も、東欧の自由への行進は未完であり、決して後退し得ないわけではないのだ、としている。

落ち着きを取り戻したウクライナに、自由への努力を応援しているように思えるが「ポーランドを見習え」と政治のレベルの低さを批判している。元のヨーロッパの対応に戻ってしまった。これでは、またプーチン氏が狙う隙ができるだろう。IMFは本気で支援をするつもりが、いつまであるだろうか?今の大統領が、またのらりくらりをつづけなければいいが。
日本も、いい加減、本気の構造改革をしなければ同じような批判を受けるだろう。1990年とは、日本の失われた20年の始まりの年だ。ウクライナと同じだけ、低レベルの政治を続けている。成長どころか、衰退しているのは、ウクライナ以上だろう。反省すべきは私たちだ。

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