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1627.報道比較2014.3.12

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3.11に全国で起きた事のレポートを中心に、もう1日、あの日を振り返る社説。世界はウクライナ問題がひきつづき懸念の種だ。

朝日新聞・社説
原発政策―問題先送りを続けるな

福島第一原発では汚染水との闘いに明け暮れている。日々、約4000人が目に見えない放射線と向き合いながら、作業に従事する。安倍政権は一定量の原発を「重要なベースロード電源」として今後も使い続ける方針を掲げる。原子力規制委員会の審査に適合した原発は動かすことを決めている。「原発依存度を低減させる」といいながら、再稼働への前のめり姿勢は明らかだ。はたして安倍政権は福島での事故であらわになった「原発リスク」に十分、手を打ってきただろうか。民間団体「環境経済研究所」の上岡直見代表が全国17原発を対象に全住民の避難にかかる時間を計算したところ、高速道路が使えても最短の大飯(福井県)で8時間。最長の浜岡(静岡県)は63時間かかり、国道のみだと6日を要するという。政府は「国富流出」を言い募るが、本質は電力会社の経営問題である。原発の停止に円安があいまって、火力発電用の化石燃料の輸入コストが急増し、各社の収益は悪化している。これまでに6社が値上げした。確かに電気料金が家計や企業活動に与える影響は、注意深く見守る必要がある。原発が動けば、電力会社の経営が目先、好転するのも事実だ。しかし、廃棄物の処理や事故リスクを考えれば、原発のコストがずっと大きいことを政府はきちんと認めるべきだ。福島での事故は、原発が抱える根源的な問題を見て見ぬふりをしてきた末に起きた。もう先送りは許されない、としている。

産経新聞・社説
震災の風評被害 国民みずから払拭しよう

被災地の復興、特に農林業、水産業に「風評被害」が重くのしかかっている。風評被害は、被災地の生産者にとって「どうにもならない」問題だ。消費者である私たち一人一人が、強い意志を持って風評被害の払拭に取り組まなければならない。風評被害は、原発事故が起きた福島県だけでなく、東北全県や茨城県などにも及ぶ。厳格な安全基準と検査を経て出荷しても、流通段階で敬遠されたり、震災前よりはるかに安い値段で取引されたりという状況が続いている。放射性物質がまったく検出されない野菜や魚介でも、売れない。福島県産を買って被災者を支えよう、というのではない。風評に流されず、品質や安全性をきちんと評価し合理的な理由で選択するよう心がけてほしいのだ。とても難しいことだ。自分の中の小さな風評と向き合うこともあるだろう。その積み重ねが、被災者に寄り添い、復興を支える力になるはずだ。私たち自身にとっても、「賢い消費者」へのステップになるだろう、としている。

日本経済新聞・社説
「民」のつながり生かし強い社会へ(大震災3年 日本は変われるか)

東日本大震災では、自治体や流通、メディアなど生活を支えていた仕組みが一時、機能しなくなった。見直されたのが助け合いやきずなの大切さだ。個人や集団など「民」が築いてきたつながりを、現代版の安全網として確かなものにしたい。そのために生かしたいのがインターネットだ。震災ではソーシャルメディアが助け合いに貴重な役割を果たした。米検索大手のグーグルは、マスメディアでは伝えられない個人の安否情報をネットで配信した。個人が発する現地の情報を、デジタル地図の上で共有できるようにしたボランティアサイト「シンサイ・インフォ」も活躍した。企業や行政の情報管理の手法も変わりつつある。これまでは縦割り文化や自前主義から、重要なデータは組織内で管理してきた。しかし、津波でカルテや住民基本台帳がコンピューターごと流され、支援で大きな混乱を招いた。そこで注目を集めたのが、情報を外部のデータセンターに預けて使う「クラウドコンピューティング」だ。総務省などの調査によると、クラウドを活用する企業は震災前には15%前後だったが、今では半数近くに増えた。金融機関が本社から離れた沖縄にデータを保管するなど、新産業も生む。震災体験の風化が心配されている。だが現地の状況や必要な人材、寄付金の使われ方など、詳しく効果的に情報を発信すれば、草の根支援を掘り起こす可能性はまだ十分にある。今後の課題だ、としている。

毎日新聞・社説
震災遺構の保存 鎮魂と学びの場として

東日本大震災の発生から3年が過ぎた。体験の風化がいわれることも少なくない。死者たちを追悼し、惨禍の記憶を忘れずに未来に伝えたい。被害を受けた建物などを鎮魂と学びの場として保存するのは、その方法の一つと考えられるだろう。遺構の保存については問題も多い。最も切実なのは、地元の人々の中に「早く解体してほしい」「見るだけで悲しくなる」という声もあることだ。地元の合意が不可欠だが、その過程で人々を二分することにもなりかねない。多くの犠牲者を出したことを考え、遺構が慰霊の場としても受け入れられることが必要だ。行政などは繊細なうえにも繊細な配慮が求められる。復興庁は昨年11月、震災遺構保存のための初期費用を負担する政策を発表した。維持管理費は対象にしないことや、支援する遺構は一つの自治体に1カ所のみとすることなどに、不満も聞かれる。だが、遺構保存をしやすくなったのは確かだ。岩手、宮城両県で、保存するかどうかを検討している遺構は計20カ所以上にのぼる。地方議会や有識者会議で議論しているが、価値が認められ、地元の賛成が得られるものは、震災体験の風化を防ぐ一つとして生かしたい、としている。

読売新聞・社説
3.11の誓い 震災の記憶を防災に生かそう

政府主催の東日本大震災追悼式が東京で開かれた。天皇、皇后両陛下をはじめ、安倍首相ら三権の長、遺族代表、各国駐日大使ら約1200人が参列し、犠牲者の冥福を祈った。岩手県遺族代表の浅沼ミキ子さんは「亡くなった方々の無念さと、その数倍もの遺族の悲しみと悔しさを未来へと語り伝えていかねばなりません」と訴えた。東日本大震災後に高まった防災意識を、地域社会の体制作りにつなげることが肝要である。災害への対応力は、子どもの時から養いたい。地震や津波の仕組みを学び、地域の歴史を調べて、起きやすい災害や危険な場所を知る。それには、防災教育や避難訓練の充実が欠かせない。近隣で助け合う「共助」に日頃から心掛けておくべきだろう。首相は参院予算委員会で、防災に役立つ知見を世界に発信することが「大震災で多くの国々から支援の手を差し伸べられた日本の責務だ」との認識も示している。日本は、地震や台風、土石流など自然災害が突出して多い。これまでも政府開発援助(ODA)で途上国に防災技術を供与してきたが、多様な災害から得た貴重な情報は外交にも生かすべきだ、としている。

批判を承知で、原発をしっかり書く覚悟を決めているメディアは朝日だけ。1紙あるだけでもしあわせと考えるべきだろうか。世界中が未だに懸念を持っているとしたら、原発事故の事故処理以外にない。対外的にも内部的にも、もっとも議論すべき話題のはずだが、エネルギー政策の方針を示しただけで、なんとか3.11は通り越そうとの意図どおりに進んでいる。福島の人たちは、それをどう思うのだろうか。
3年を経過して、記憶を残すべきとの思いと、未だに残る哀しみの名残との葛藤が多く聞かれる。これもまた、復興が思うように進んでいないことが原因だろう。前を向ける未来が示されれば、人は哀しみを乗り越えるために過去を思い出にできる。未だに名残があるということは、忘れられないほど未来はまだ見えないという意味だ。さらに復興は加速しなければならない。
一方で、すでに防災のための備蓄をしていない、という世帯が増えはじめたと聞く。雪で1週間孤立した街もある。備えはいつでも残しつづけるべきでは?と憂う。

Wall Street Journal
ロシアは制裁より世界経済の影響受ける=副首相 (2014.3.12)

ロシアのドボルコビッチ副首相は11日、ロシア経済は西側諸国が検討している制裁措置よりも、世界経済情勢の変化に影響を受けやすいと述べた。国営ロシア通信(RIA)が伝えた。米国と欧州の主要国は、ウクライナへの軍事介入を理由にロシアに対して制裁を科すと警告している。ロシアのプーチン大統領は先週これに対し、制裁が発動されれば、すべての当事国が被害を受けるだろうと述べた。ロシア経済は、輸出需要の低迷や投資の落ち込みで、成長が減速している。経済成長率は昨年、プーチン大統領が2000年に就任して以来最低となる1.3%に鈍化した。さらに、今年もこれまで見込まれていた回復は期待できないもようだ。アナリストらは今年の成長率予想を引き下げ始めており、中には1%に低下するとの見方もある。ドボルコビッチ副首相は、政府は政治的リスクが経済に与える影響を最小限に抑えるつもりだと述べた。そのうえで、「近年の政策は良い結果をもたらすと考えていいと思う。われわれは欧州や米国に加え、アジア太平洋地域のパートナーとも協力関係を拡大している。経済協力の多様化は、ロシア経済の安定化につながると期待できる」と語った、としている。

Financial Times
米国の力を試すウクライナ危機 (2014.3.11)

数週間前は欧州の人間でさえ、ウクライナの出来事にあまり関心を払っていなかった。今では全世界が見つめている。というのは、ロシアによるウクライナ侵攻は一般に、米国主導の世界秩序に対する直接的な挑戦と見なされているからだ。もしプーチン大統領が何の代償も払わずに済めば、中国やイランなどの国の政府は、米国に挑むリスクが低くなっていると判断するかもしれない。冷戦時の数々の危機との決定的な違いは、最近では、ロシアとの対立、そしていずれ起きるかもしれない中国との対立は、世界が競合する政治・経済ブロックに分かれていた時には存在しなかった経済的な関係がかかわってくるということだ。まだはっきりしないのは、西側がグローバル化によって自分たちに配られた経済的なカードをうまく使う方法を見つけたかどうか、だ。中国の指導部が「プーチンをやる」ようなことがあり、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る日本との争いで軍事力を用いれば、米国とその同盟国はどんな対応を講じられるだろうか?ウクライナ国民と異なり、日本国民は米国との安全保障条約に守られている。だが、中国はロシアのように、それでも米国が――特に地球の反対側にあるいくつかの無人の岩礁を巡る問題で――、やはり核保有国である中国と戦争に突入する危険を冒すことはないと計算するかもしれない。クリミアを占領し、ウクライナ東部を脅かすことで、ロシアはウクライナ国民を永遠に遠ざける可能性が高い。この状況は同時に、西側の方がロシアよりも政治的、経済的に魅力があるという点を浮き彫りにしている。たとえウクライナ危機によって西側が一時的に弱く見えたとしても、長期的なトレンドはまだ、ロシアよりも米国と欧州連合(EU)にとってずっと有利なのだ、としている。

日本がアメリカに依存しているのは事実の前に、我々が反論できることは何もないが、Financial Timesは、少しアメリカ依存が強すぎるヨーロッパの姿勢を示している。アメリカがロシアとどう対峙するかではなく、ヨーロッパがロシアとどう対峙するかの方が重要のはずだ。ドイツを中心としたEUが、利害のある中でどうロシアの論理に自由主義として反論するのか、ぜひ見てみたい。ガスを失ってでもクリミアを手放せと言うのか。住民投票がどれだけ適切に行われても、ロシアがクーデターと主張する暫定国家政権の言い分を擁護するのか。ヨーロッパも答えを持たなければ、ロシアはナチのように次は違う場所を欲しがるかもしれない。
さて…同じことが日本に起きたら?を考えるのは不謹慎だろうか?中国が沖縄の政治団体に大量の資金支援を行う。雇用を促進する企業の支社を設立し、雇用を生み出す。中国がいなければ沖縄が成り立たない状態にして、尖閣に上陸。もし尖閣に撤退を迫るなら、沖縄の企業もすべて引き上げる、と交渉する。日本政府は当然反対するだろう。沖縄は?中国領になったら基地用地を全部県に無償で提供すると言ったら?アメリカに撤退してくれたら米国債をさらに買うと交渉したら?その時に日本が財政危機に陥り、中国がナンバーワンの経済大国になっていたら?中国に世界が誇るアップルのような企業や、世界が憧れる大学ができている可能性は否定できない。
実効支配とは、こういうことだ。たとえ憲法を変えようが、軍備や法律を固めようが、国力が勝れば人の心は揺らぐ。揺れれば合法で欲しいものは手に入る。
ロシアがしていることも、周到に準備されている。おそらく、プーチン氏はクリミアが欲しいわけではない。ヨーロッパやアメリカがどれだけ本気で自らの思想で生きているのかに対抗している。正論は本当に恐ろしい。日本も中国に本当に気をつけなければならないのは、これだ。

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